――様といっしょ   作:御供のキツネ

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オリ主はある意味ワーカーホリック。
そして微ヤンデレ。


義昭/ヨシテルさまといっしょ

 ヨシテル様と義昭様が慌しく部屋へと入ってきたのだが、現在俺はミツヒデ様に正座させられていたのでそのままの格好になっている。ため息をつきながら憂鬱だ、なんて思いながら現実逃避を少ししていたからなのだが、ヨシテル様と義昭様はそれが気に入らなかったらしい。

 

「結城!何故起きているのですか!安静にしていなくてはならないはずですよ!?」

 

「そうですよ兄上。ちゃんと横になっていないとダメですよ」

 

 座っているだけでこう言われるとなると、すぐに任務に就こうと思っていたと言ったらどうなることだろうか。いや、そんなことよりも義昭様が怖い。微笑んでいるように見えるが目が全く笑っていない。そしてしれっと兄上と呼んでいるが……まぁ、すでにばれてしまっているので開き直っているのだろうか。

 

「いえ、あの……もう着替えましたし、これで横になるというのも……」

 

「……どうして着替えたのですか」

 

「あんなゆったりとしたというか、普段着ない服装だと落ち着かないので着替えました」

 

 決してすぐに任務に就こうとしたわけではありません。というようなことを言外に伝えてみるのだがヨシテル様はともかくとして義昭様はまったく信じていないように見える。

 それでも何も言わずに、小さくため息をついているので完全に俺の考えを見抜いているような気がする。というか確実に俺が何をしようとしていたのか気づいているのだろう。

 

「それならもう一度着替えて横になりましょうか。姉上は少し外してもらえますか?」

 

「そうですね……義昭、結城のことは頼みましたよ」

 

 おかしい。なんで俺が義昭様に面倒を見られるような流れになっているのだろうか。

 俺だって大人しくするようにと命が下ればそれに従うし、着替えて横になれという程度は子供ではないのだからなんら問題なく出来る。それなのに何故こんなことになっているのか俺にはわからない。

 そんなことを考えている間にヨシテル様は部屋から出て行き、それと入れ違いに睡蓮が葛篭を一つ持ってきた。

 

「頭領、お着替え持ってきましたから、ちゃんと着替えてくださいねー?」

 

「睡蓮……減給」

 

「えぇ!?竜胆ちゃんや鈴蘭ちゃんと違って私は余計なこと言ってませんよ!?」

 

「竜胆も睡蓮も減給しますから大丈夫です。あ、鋼線は貰いますので」

 

「鋼線と引き換えに、減給はなしの方向でー……」

 

「ほら、着替えるので退室してください。睡蓮とはいえ一応女性に着替えを見られる趣味はありません」

 

「ちょっと頭領ってば!そんなのだと睡蓮さんだって怒っちゃいますよっ!

 というか一応女性ってなんですか!良いですか、睡蓮さんは織田様と対等に戦える豊かさを持った立派な女性、って背中押さないでくださいよーっ」

 

 減給を言い渡すとぷんぷんとでも擬音が付きそうな怒り方をし始めたがそれを無視して部屋の外へと押し出す。そして襖を閉めてから着替え始める。

 ちなみに睡蓮との遣り取りを見ていた義昭様が呆れたようにしていたのは見なかったことにする。

 しかし、葛篭の中に入っていたのが里で着ていたものと同じというのはどういうことだろうか。いや、持ってきたのが睡蓮なのだしもしかしたら睡蓮が作ったのかもしれない。手先の器用さは俺以上で、趣味で服飾も手がけることもあるからその可能性は高いが、それはそれでなんとなく頭にくるのは何故だろう。

 

「兄上、余計なことは考えなくて良いですから早く着替えてください。姉上が外で待っていますよ」

 

「あ、はい!申し訳ありません義昭様」

 

「兄上、もう皆に気づかれていますから、ね?」

 

「何か言われそうではありますが……わかりました、義昭」

 

 そうだった睡蓮のことで忘れていたがヨシテル様が外で待っている。このままぐだぐだと余計なことを考えていて着替えが遅くなればヨシテル様を外で立たせておくことになる。それは主にさせることではない。

 そして義昭様に言われて呼び方を少しだけ変えたのだが皆に気づかれているというのはやはり足利軍全体に、ということなのだろうか。

 とりあえずそれは置いておくとして、急いで着替えなければならないのでぱっと早着替えを行う。一瞬で睡蓮が持ってきた服に着替えたが義昭様はそんな俺を見て普通に着替えてください。とでも言いたそうな視線を投げてくるがそれを見なかったことにしてどこもおかしくないかをざっと見て、問題なさそうなので大人しく布団の中へと戻る。

 

「ヨシテル様、お待たせ致しました。着替えも終わりましたのでどうぞ中へ」

 

「わかりました……それにしても結城、随分と睡蓮に厳しくありませんでしたか?」

 

 横になってはいないが、本来なら布団の中へと戻らずに主が入ってくるのを待つべきなのだが、どうにもヨシテル様と義昭様は俺を安静にさせておきたいようなのでこうしたが、呆れたような、俺が大人しく言うことを聞いていることを安心したような、なんとも言えない様子のヨシテル様を見るにこれで正解だろう。

 

「睡蓮に厳しいのはいつものことです。ですのでヨシテル様が気にすることはありません。

 それよりもヨシテル様……その、義昭なのですが……」

 

 言いながら義昭様を見れば、いつの間にか俺の隣に腰を下ろしてから俺の右手を取り、何かを確認するように両手で包み込むように握っている。どうしてそんなことをしているのか皆目検討も着かない俺はヨシテル様にどうしたのかと問いかける。しかしヨシテル様も理由はわからないようで首を傾げていた。

 そうして二人で義昭様を見ていると納得したように、それでいて安堵したように小さく頷いてから片手を放して居住まいを少しだけ正すと先ほどよりも強めに手を握られた。

 一連の行動にどういった意味があるのかわからずに困惑していると、俺とヨシテル様の様子に気づいた義昭様が自分の行動を見られていたことを悟り、少し恥ずかしそうにしながら口を開いた。

 

「あ、えっと……その、ちゃんと、兄上が生きていてくれるんだな、と思いまして……

 ……眠っている間は本当に生きているのか疑いたくなるくらい冷たくなっていたので……でも良かった、私を優しく撫でてくれる大好きな手の暖かさです」

 

「義昭、それ言われてるほうが凄く恥ずかしくなるのでちょっとやめてもらえると嬉しいんですけど……」

 

「どうしてですか?こういうのは素直に言葉にするべきだと思いますよ。そうですよね、姉上」

 

「え、えぇ……確かにそうだとは思いますけど……」

 

「だから姉上も何か言いたいことがあるなら言った方が良いと思います。

 私の言ったようなこととは違いますが、今言葉にしないと姉上はきっとこの先もそれを抱え込み続けることになるのではありませんか」

 

 義昭様が何を伝えようとしているのか、なんとなくではあるが理解することが出来た。ヨシテル様はまた何やら自分だけで抱え込んでいるらしい。以前にそうして悪い方向に流れてしまっていたのに、何をしているのだろうか。

 やれやれ、と思いながらも義昭様に言われても渋っているヨシテル様へと声をかける。

 

「ヨシテル様。義昭の言う通りですよ。

 以前に一人で抱え込んでしまった結果どうなったか覚えていますよね?であればそうして抱え込むのはやめてください。というか義昭の言い方からするとそれは俺に対して何か言うことがある。ということですよね」

 

「……そうですね、これはちゃんと言葉にしておかなければなりませんよね……

 結城、今回の一件は全て私の責任です。主である私の我侭で貴方を殺めてしまうところでした。

 この一件で結城が私を主足り得ないと判断して足利軍を抜けるとしても私はそれを止めることはしません。……いえ、止めることなど、出来ようはずがありません……」

 

 言葉を重ねる毎に苦しそうな、辛そうな表情へと変わっていくヨシテル様。俺が足利軍を離れるならば止めはしないと言っているが内心では引き止めたいと思っているのだろう。いや、引き止めたいというよりも足利軍を抜けるなんてことはさせたくないのだとう思う。

 ただ、その様子を見て真っ先に俺の頭に浮かんだのは何故ヨシテル様はその程度のことでそこまで思い詰めてしまっているのだろうか、ということであった。

 殺してしまうところだった、と言っているがあれくらいは里で修行をしている頃は日常茶飯事であったし死んでいないのだから別に俺は構わない。次から気をつけてくれればそれで良いのだから。

 

「ヨシテル様。俺はヨシテル様から離れるつもりはありませんよ。

 まぁ、やりすぎてしまったと思うのであれば次から気をつけていただければそれで構いませんので」

 

「……どうしてそんなことが言えるのですか?結城は戦や任務ではなく、私の我侭に付き合った結果死ぬところだったのですよ?それなのに、何故そう簡単に許してしまうのですか?」

 

「忍なんてものは主の道具ですよ。とか言うとヨシテル様だけではなく義昭も怒るので言いませんが……もし死ぬのなら布団の上で老衰というのも悪くはありませんが、この命を預けた方の手によって死ぬ。というのも悪くないと思っています。

 師匠に言わせると考え方が病んでいるとのことでしたが……まぁ、ヨシテル様の手でこの命を終えるというのは個人的には好ましく思います。あ、でもまだ死にたくはないので今そうする、とかはなしでお願いしますけど」

 

 俺が死ぬときは、貴方の手で俺を殺してください。

 そういう意味の言葉であるが、ヨシテル様が俺を殺すようなことはないだろうと確信しての言葉だ。まぁ、貴方に殺されるというのであれば、それもまた本望。ですから気にしないでください。と伝えているだけなのだがヨシテル様がそれを理解してくれるかどうか。

 いや、俺の言い方も随分と問題があるのは理解しているのだが、本音でもあるしいっそのことそれを伝えておこうと思ったからの行動である。

 

「……随分と、危ない言葉ですね」

 

 それでも少しばかり表情が柔らかくなり、呆れているような、安堵しているような声色でそう呟いたヨシテル様には充分に通じたようだった。俺が伝えたかったこととは違う意味で取られた場合は面倒なことになったのではないだろうか、と今頃になって焦りを覚えるが通じたので問題なしだ。俺は悪くない。

 

「ですが少し救われたような気にもなります。

 ありがとうございます、結城。次からはこのようなことはないように気をつけます。

 ……ただ、その……先ほどの言葉は何と言えばいいのか、随分と歪んだ愛の言葉のようにも聞こえてしまったのは私がおかしいからでしょうかね……」

 

 尻すぼみしていく言葉と共に苦笑を漏らすヨシテル様とそれに答えずに小さく笑んでからヨシテル様を見るだけの俺。そんな俺とヨシテル様の様子を見てどこか不満そうにしている義昭様。

 原因は俺にあるのだろうが、一体どうしてこうなったのだろうか。

 

「……姉上の心配事も無事片がついて良かったと思うのですが、兄上はもう少しわかりやすく、素直な言葉にするべきだと思います。いえ、兄上自身も微妙にわかってなさそうですので今はそれでも良いのですが」

 

「それは一体どういうことでしょうか……?」

 

「いえ、わからないならそれで良いのですよ。そのうち理解してくれれば、ですが」

 

「はぁ……」

 

 時折義昭様が何を言いたいのか理解が出来ない。それはヨシテル様も同じようで俺と同じように首を傾げている。そんな俺たちを見て仕方ない人を見るような目をするのはやめてください。

 ただ、そうしている間もずっと俺の手は義昭様に握られたままになっていてどうにも放す気はないように思える。いや、むしろ先ほどよりも力が込められているような気さえする。

 

「義昭……そろそろ手を放していただけませんか?」

 

「嫌です。大丈夫だとは思いますが、自分は大丈夫だから任務に戻りますとか言い出しそうですからね」

 

「いえ、流石にそんなことを言うつもりはありませんよ」

 

「目が覚めるなり任務に戻ろうとしていたのは誰でしたっけ」

 

「さ、さぁ……誰でしょうね……」

 

 何故義昭様がそれを知っているのだろうか。あれか、ミツヒデ様に話を聞いたのか。

 

「結城、ミツヒデから話を聞いているので誤魔化せませんよ。

 それに手を握られるくらい良いではありませんか。義昭のちょっとした我侭だと思えば……」

 

「そうかもしれませんけど……しかしですね、ヨシテル様。片手が使えないというのは結構辛いものがありまして……

 というか、ヨシテル様はなんで俺の空いた手を凝視しているのでしょうか」

 

 義昭様に手を放して欲しいと伝えたくらいから空いた手をヨシテル様が凝視していた。やはりヨシテル様も俺が片手しか使えないというのは良くないと思ってくれたのだろうか。休むように言われたとしても、忍としていざという時にすぐ動けなければならないのだから当然か。

 であればヨシテル様も義昭様に手を放すように言って欲しい。俺では強く言うことは出来ないがヨシテル様ならが放すようにと言えば義昭様も諦めて手を放してくれるはずだ。

 

「……結城、抵抗しないように」

 

 それだけ言ってヨシテル様は空いている俺の手を義昭様と同じように両手で包み込むようにして握った。

 そうすると予想していなかったせいで手を取られた瞬間に驚きで体が固まったように動かなくなった。そうして俺が動かないことを気にするでもなくヨシテル様は好き勝手に俺の手を弄んでいる。本人はとても真剣な表情でしているので義昭様がそうした時以上にどうしたら良いのかがわからない。

 そして更に困ることに義昭様がそれを見て、ヨシテル様と同じように俺の手を弄び始めたことだ。ヨシテル様は真剣に、義昭様は非常に楽しそうに。こんなことをするような人たちだっただろうか、と現実逃避をしながらそれを見る俺を誰も責めはしないはず。

 

「こうしてみると結城の手は綺麗ですね……肉刺の痕もありませんし……」

 

「あぁ、それは里の塗り薬を使っていましたので……というか、それを言うのならヨシテル様の手の方が綺麗ですよ。俺みたいに薬を使っているわけでもないというのが信じられないですが」

 

 事実ヨシテル様の手はとても綺麗だ。俺以上に刀を振るい続けているのだからもっと硬くなっているかと思ったがそんなことはなかった。綺麗で、女性らしい柔らかさを持った手をしている。

 左手を弄ばれているのだが、ヨシテル様の手の感触が存外気持ち良いので別にこうされているのも悪くないかな、とさえ思える。むしろ俺の方がヨシテル様の手を弄んでみたくなる。

 普段なら絶対にしないのだが、今の状態であればやったとしても咎められることはないだろう。なので思い立ったら即実行である。

 

 特に力を入れて俺の手を握っていたりはしないので少し手を動かしてからヨシテル様の手を握る。そしてどうして肉刺の痕さえないのかと気になったので、掌を揉むようにして確かめる。

 何度かそうしていると肉刺が出来るであろう場所に微かに硬い感触がするので、まったくないというわけではないらしい。それでもどうしてこんなに柔らかいのだろうか。これがもしヨシテル様だから、ということではなく足利家の人間がそうだというのであれば義昭様も剣を振るい続けたとしても手が綺麗なまま、となるのかもしれない。

 そんなことを考えながらヨシテル様の手をむにむにとしながら遊んでいると、視界の隅に顔を赤くしているヨシテル様が映った。

 

「あ、あの、結城?そんな風にされると……その、流石に恥ずかしいのですが……」

 

 言われてふと気づく。俺は特に気にしなかったし、気になったとしてもどうしたら良いのかわからない。程度であったがヨシテル様はこういう場合恥ずかしいと思うのか。であればここで手を放すのが正しいのかもしれないが、そんなヨシテル様を見ていると愉悦とはまた違う何かが浮かび上がってくる。

 なんというのか、そうして恥ずかしそうに顔を赤らめているヨシテル様をもっと見たい。そんな風に思えてしまう。なのでヨシテル様の言葉は気にせずに弄び続ける。まぁ、こうしていると存外気持ち良いのでやめたくないというのも多少はあるのだが。

 

「どうして続けるのですか!?こういう場合は手を放すべきだと私は思うのですが……っ」

 

 そんなものは知ったことではない。今はヨシテル様の手の感触を楽しむのが優先である。とはいえ、それだけではなんとなく物足りないので、指を絡めるようにしてみる。指が太いというわけではない俺の指と比べてもヨシテル様の指は細い。少し力を入れると簡単に折れてしまいそうに思えるが、その実何よりも力強い手であることはわかっている。

 そして、弄んで遊んでいるのだが、ヨシテル様はこの手で自らの未来を切り開いてきたのだと思うと感慨深い。また幾らか愛おしくさえ思えるから今日の俺はおかしいのかもしれない。

 

「元々はヨシテル様が始めたこと。であれば多少は我慢してくれても良いのではありませんか」

 

「う、くっ……た、確かにそうですが……!」

 

「それとも、ヨシテル様は俺にこうされるのは嫌ですか?」

 

 いや、まぁ……嫌だと言われてしまえば流石にやめるのだが。なのでヨシテル様に確認してみる。

 

「あ、い、嫌というわけではないのですが……」

 

「であれば我慢してください。満足したらやめますので」

 

「そう言われるとすぐに満足しないように思えるのではどうしてでしょうか……」

 

 実際そうすぐに満足はしないはずだ。このまま暫くヨシテル様の手で遊ぶ気なのだから。

 それにしても、俺の手で遊ぶ義昭様と、ヨシテル様の手で遊ぶ俺。そして恥ずかしいらしく真っ赤になっているヨシテル様という少々意味のわからない状況になっているが大丈夫だろうか。

 とりあえず誰かが来るまでは気にせず遊ばせて貰おう。どうせ今の俺にやることなんて、というかやらせてもらえることなんてほぼないのだし。

 

 そうしてヨシテル様の手で遊んでいると赤くないところを探すのが不可能なくらいに真っ赤になったヨシテル様が急に俺の手を強く握った。どうしたのかと思いながらなんとなく俺も握り返しておく。

 

「どうかしましたか、ヨシテル様」

 

「さ、流石にそろそろ弄ばれ続けるのも恥ずかしいので、動きを止めさせてもらいました。

 止めさせてもらったのですが、その、これは……」

 

 どうやらヨシテル様は握り方を間違えてしまったらしい。とりあえず動きを止めようとした結果、指を絡めた上体で強く手を握り合う形になってしまったのがより恥ずかしいようだ。

 ヨシテル様が動きを止める、というのであればそれに合わせるがまた俺の手を弄ばれても困るのでこのまま握っておくことにする。俺も手を動かせないが、ヨシテル様も同じ状態なので問題ない。

 

「え、あの、結城……?」

 

「暫くこのままにしておきましょうか」

 

 お互いに相手で遊ばないために。

 

「は、はい……わかりました……」

 

 どうやらこうして手を握るだけでもヨシテル様は恥ずかしいようでついには俯いてしまった。やりすぎてしまったか、と少し反省しようとしたところで義昭様に手を強く握られた。

 どうしたのだろうか、やりすぎだと怒られるのだろうか。と思って義昭様を見ると、義昭様はとても楽しそうに、そして温かい目で俺とヨシテル様を見ていた。

 そんな義昭様は俺が何かを言う前に声に出さずに「このまま静かにしておきましょう」と口の形を変えて伝えてきた。どうしてそんなことをするのかと疑問には思ったが義昭様には義昭様の考えがあるのだろうと小さく頷いて答える。

 そうした結果として、義昭様に手を握られながらヨシテル様と手を握り合うという意味のわからない状態になってしまったのは気にしないようにしておこう。

 

 それに別に嫌な気はしない。義昭様は満足そうであるし、ヨシテル様は俯いているが嫌がっている様子はない。それどころか嬉しそうにさえ見える。

 どうして嬉しそうなのかはわからないが、ヨシテル様がそれで良いのであれば俺としては何も言うことはないし、俺としてもお二人と一緒に過ごせるのは顔に出さないがとても嬉しい。俺も随分と足利軍の、ヨシテル様と義昭様が好きだという想いに染まったものだ、と思いながら静かにこの時間を楽しむのだった。




ヨシテル様と義昭様に手を握られてある意味両手に花状態って素敵だと思います。
そして二人の手の感触堪能出来るとか最高だと思います。

そろそろ甲斐、越後に行かないと。
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