コタロウ様と道具屋で商品や店主のコレクションを見て回り、コタロウ様の選んだ服であったり装飾品を買うことになったのが五刻ほど前のことだ。俺としては少し見てから時間を潰せば良いくらいに思っていたのだが、コタロウ様に「兄さんにはきっとこれが似合いますよ!」と言われてしまっては買うしかなかった。
その後、コタロウ様と別れてからすぐに二条御所へは戻らず一人で町中の散策に戻り、言われたことについてあれこれと考えていた。が、既にコタロウ様に一人で考えてもきっと理解出来ないという言葉の通りに理解が出来なかった。
なので思い出を振り返ろうかとも思ったのだが、そのままでいると二条御所に戻ってからのヨシテル様への報告が非常に遅れてしまいそうだったので大人しく二条御所へと戻ることにしたのだ。
とりあえずは報告。それが終わったら何処かで思い出を振り返るとしよう。振り返るような思い出があるのか、と考えたときに首を傾げそうになったが多分大丈夫なはず。
そうしてヨシテル様に必要な報告を済ませて退室しようかと思っていると、そういえばというように手を握られた。あぁ、確かに戻ってきてから確認をしていなかったな、と思い出したので大人しく手を握られておく。
「はい、大丈夫ですね。ちゃんと温かい生きた人間の手です」
「さっきまで報告してたんですから当然生きてますよ。それにしても……これ、毎回やるんですか?」
「義昭が始めて、なんとなく定着してしまいましたからね……結城が嫌でなければ付き合ってください」
「嫌ではありませんが……ヨシテル様は面倒ではありませんか?」
「面倒などではありませんよ。これは私が好きでやっていることでもありますからね」
「好きでやっていることなら良いんですけど……」
「……どうかしましたか?」
好きでやっている、か。そういえば俺は元々ただの雇われ忍だったのに、何がきっかけでその域を超えてヨシテル様の力になろうとしたのだったか。
それを思い出そうとして、少しばかり黙ってしまったのがヨシテル様には気になってしまったらしい。
「結城、突然黙り込んでしまってどうしたのですか?」
「…………あぁ、いえ……ふと思い返してみれば、短い期間ですがそれなりに色々なことがあったな、などと思いまして……」
とりあえずそれらしいことを言って誤魔化しておこう。事実として思い出を振り返る、ということをしなければならなかったのだから。まぁ、話の流れによってはヨシテル様と一緒に振り返るというのも悪くはないのかもしれない。
「そう言われてみれば……確かに、そう長い時間を過ごしたわけではありませんが、色々なことがありましたね……
結城を雇った時なんて、無表情で淡々としていましたが、随分と変わりましたね」
「あー……いえ、あれはその……あくまでも一時の主に対して余計な情を持たないためでして……」
ヨシテル様に雇われた当初は長くて数ヶ月程度に思っていたのでいつも通りの態度で接していたのを覚えている。ヨシテル様の前の主である松永様の時も同じようにしていたが、あの方はそうした俺の態度を気にした様子はなく使えるか使えないかだけを気にしていた。
一応松永様の判断としては俺は使える忍ということだったのでそれなりに重宝されていたが、謀反を起こすより前に契約期間が切れて俺は次の主を探していたところをヨシテル様によって雇われることになった。
結果として松永様の謀反を止めるために動くことになり、松永様と相対した時に憤怒の形相で睨まれたのは今となっては良い思い出、にはならないが思い出の一つではあるだろう。
「いえ、でもそれを言うのであればヨシテル様も笑うことはありませんでしたし、いつも怖い顔ばかりしていましたよ」
「それを言われると……でも仕方ないじゃありませんか。あの時は本当に大変だったんですからね?
天下泰平の為に話し合いによる和平を願い、それでもその道が開けることはなく……松永からはこの思想を否定され、ユウサイ……カシンには賛同しているようでその実、武力を用いて泰平の世を作れば良いと言われ、私にとって頼れるのはミツヒデだけでした。
でも、ミツヒデには義昭のことを任せていたので結局は頼ることも出来ずにいましたからね……あの時の私は、傍に誰かが居たというのに何処か孤独でした……」
当時を思い出しているのか、ヨシテル様は何処か遠くを見るようにしてそう言葉を紡ぐ。
「そんな時に、噂を聞いたんですよ。淡々と任務を遂行する有能な忍がいると。だから力を借りるためだけに貴方を足利軍の忍として雇ったのですが……確かに最初は淡々と命令にだけ従っていましたが、何時の間にかあれこれと世話を焼くようになって、気づいたら噂とは全然違う、世話焼きで優しくてちょっぴり意地悪な気の置けない一人の友人とも言えるような存在が其処には居ました」
「友人、と言われて喜ぶべきか。それとも忍を友人なんて言うものではない、とでも諌めるべきか……
とりあえず、言わせて貰うならばそうして世話を焼かなければならないほど危なっかしくて放っておけない主だったということですよ」
「まぁ……確かにあの時はそうだったかもしれませんね……」
「いえ、今でも変わらずに危なっかしいところがありますよ」
「……それは置いておくとして……以前から気になっていたのですが、何がきっかけで結城はあそこまで私たちの為に尽力してくれるようになったのですか?」
「きっかけ……」
さて、本当に何がきっかけだったのか。記憶が探ってみるがぱっと出て来ない。とりあえず順番にでも思い出して行くか。
「はっきりと思い出してはいませんが……まず、世話を焼き始めたのが雇われてから一ヶ月ほどしてからでしたよね?」
「ええ、確かそのくらいでしたね。そのくらいに何かありませんでしたか?」
「…………確か強い雨が降っていたのですが、ヨシテル様が傘も差さずに雨に打たれていたのを覚えています」
「雨に……あぁ、そんなこともありましたね」
「それで…………確か……」
何があったのか、思い出そうと少しだけ過去の記憶を探る。
あの日、あの雨の降りしきる中で何があったのか。
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任務を終えて、足利様へ報告をするために二条御所へと足を運ぶ。
昨夜から降り続く雨を鬱陶しく思いながら風遁で自分の周囲に風の壁を作って濡れないようにしてはいるが、視界が悪くなるは気分の良い物ではない。
さっさと報告を済ませて次の任務を。そう思い足利様の気配を探るとどうやら庭に出ていることがわかった。
こんな雨の中を。とも思うが、本人の意思であるのならば俺にとっては関係ない。さっさと用件を済ませて離れさせてもらおう。
そう考えて庭に飛べば、どうしてか足利様が傘も差さずに雨に打たれていた。
俺の知る足利様は険しい顔をして、戦乱の世を終わらせるためにはどうしたら良いのかと悩み続ける人であったが、とても辛そうな表情を浮かべているのが雨の降りしきる暗い中で見る横顔からでもわかった。
そして、何故かはわからなかったが、足利様が涙を流しているように見えてしまった。
「足利様、任務遂行完了致しました」
「……あぁ、貴方でしたか。お疲れ様です」
「雨に打たれたままですと体調を崩しかねません。どうか御自愛ください」
「…………もしかして、心配してくれていますか……?」
「主である足利様の体調を心配するのは当然かと」
「いえ、そうなのですが……貴方が他人を心配するようには思えなかったので……」
「そうですね。ただ現状では口出しせざるおえませんので」
非常にらしくない。一時の主に心配なんてものは暗殺されないかどうかくらいのものなのに。
ただ、泣いているのかもしれないと思ってから何故か普段なら絶対にしないのに足利様に対してそう口にしていた。まぁ、泣いているのですか?とか聞くのは無粋であるし、口にしてもこの程度だ。
「動く気はないようですが、そのままで居たとして弟君に余計な心配をかけることになりますが」
「心配してくれているようで、辛辣でもありますね。ですが……わかりました。いつまでもこうしているわけにはいきません」
「理解しているのであればお戻りを。明智様の小言など、聞きたくはないでしょう」
「貴方は心配してくれているのに、どうしてか怒っているようでもありますね」
「ええ、そのどちらもですので」
「…………こう言うのも可笑しな話ではありますが、責められることはあっても単純に怒られることはあまりないので少し新鮮な気分です」
言ってから少しだけ笑う足利様はもう泣いてはいない、と思う。実際に泣いていたのかわからないので何とも言えないのだが。
それで、多少なりと笑えるのであれば大丈夫だろう。放っておけば自滅するなりしそうなので、雇われている間は少しばかり気にかけておいた方が良いかもしれない。
……まさか一時の主の健康状態、精神状態にまで気を使うことになるとは思っても居なかったし、初めてのことなので不安が残るがやれるだけのことはやるとしよう。
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「危なっかしい主なので、自滅されて報酬が出ないとか嫌だったので面倒見てましたね」
「あぁ……初めての頃の結城であれば納得の理由ですね。あの頃は本当に淡々としていましたし、報酬が良いので契約します。なんて言っていたのを思い出しますよ」
「特定の主を持たない、あくまでも傭兵のようなものでしたから。まぁ、そんなことをしていたのであの頃は竜胆たちも連れてきてはいませんでしたが」
「そういえばそうでしたね。竜胆たちを連れてきたのが……二ヶ月と半月程度した頃でしたか」
「そのくらいですね。その頃から呼び方も足利様からヨシテル様に変わったと記憶しています」
「呼び方は……私がそうするように、と言ったような気が……」
「ええ、そうです。初めは断りましたがヨシテル様がどうしても、というので変えましたね」
俺一人では面倒を見切れないと思ってから一度里に戻り、竜胆たちを連れ出したのがそのくらいだ。里長の師匠に事情を話した際には「ん!そういうことなら連れて行くと良い。それに良い方向に行っているようだしね」と言われたが、あの時は良い方向というのがどういうことなのかわからなかった。
あの頃は、忍は道具だとか忍に感情は必要ないだとか、そんなことを下忍時代に考えていたのを任務に就いた際に引き摺っていたせいかどうにも考え方が凝り固まったものになっていた。
それが少しずつマシになり始めたのを察してそんな風に言っていたようにも、今なら思える。
そうして柔軟な思考というか、考え方が出来るようになっていたからこそ、名前で呼ぶようにというヨシテル様の言葉を受け入れたような気がする。まぁ、多少は親しくなってしまったから、というのもあるのだろうが。
「私としてはどうしても、なんて言ったとしても断られると思っていましたが……そういえば、あの時が初めてでしたね」
「何がですか?」
「結城が微笑んだのが、ですよ」
「……笑んでましたか?」
「はい、微かでしたが……今でも浮かべることのある、仕方がないな、とでも言うような微笑みでした」
「ということは、名前で呼ぶように言われた時点で仕方のない人だと思っていたということですね」
「それはそれで私としては言いたいこともありますが、そういうことなのでしょうね。
そんな結城を見て私はこう思いましたよ、この人もこうして笑うのだな、と」
「そう思われても仕方のない振る舞いでしたが……それを言うのであれば俺も同じことをあの雨の日に思いましたよ。いえ、笑むことが出来るのであればまだ大丈夫、というような程度でしたが」
それにしてもお互いに笑う姿を見て、まだ大丈夫だとか、こんな風に笑うのだな、なんて思う辺りカシン様風に言うのであればその頃からある意味で似た者主従だったということだろうか。いや、お互いにその考えの中に酷いことが含まれている辺りとか似ていると思う。
ただ、やはりと言うかきっかけというのはこれくらいだろう。打算に塗れた心配から始まっていつの間にか本気でヨシテル様の心配をするようになっていたのだからその点については師匠の言う良い方向へと変わったということなのだろう。
「しかしこうして話をしていると色々と思い出してきますね……結城、時間はまだありますね?」
「ええ。どうせなら茶でも用意しましょうか」
「そうですね……少しばかり、長い話になりそうですからお願いします」
その言葉を聞いて俺は茶と茶菓子の準備をするために席を外す。
それなりに長い話になることを俺もヨシテル様も想定しているので話の最中に席を立つ必要がないようにちゃんと準備をしておかなければならない。
そして出来ることならば、コタロウ様に恋と言われた感情がこの胸のうちに本当にあるのか、それを確かめたい。
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「さて、では名前を呼ぶようになってから後のこと……順番に思い出となることを振り返ってみるのも良いかもしれません。まぁ、其処までのことはないかもしれませんが……」
「そうですね……名前で呼ぶようになった後ですとヨシテル様が義昭の世話を頼んできた時のこととかでしょうか?」
「……あぁ、なるほど。確かにあれはあれで思い出話に華を咲かせるには充分ですね」
「ええ。まぁ、カシン様にも言われましたが義昭様には随分と怯えられていましたから……あの時はなかなかに大変でしたよ」
「でも良いじゃありませんか。あれがきっかけで義昭とも打ち解けることが出来たのですから」
「……それはそうですが、本当に大変だったんですからね?」
顔合わせ時点で完全に怯えられていたのに、俺が世話をすることになったと聞かされたときの義昭様の驚いた表情と信じられないという表情は今でも覚えている。そしていざ世話を始めてみると逃げられたのだ。
いや、警戒もしていたし怯えてもいたのだから当然と言えば当然ではあるがまさかあれほど本気で逃げられるなんて思っていなかった。具体的に言うと朝に挨拶をしたら逃げられ、朝食の準備が出来たことを伝えようとすると隠れられ、勉学に励む義昭様の護衛をしようとすると集中出来ないからと部屋から追い出され、その後も逃げる隠れる追い出すと繰り返されたものだ。
まぁ、忍としては子供が逃げようが隠れようが関係ないので背後に飛んで「もうおしまいですか」とか声を掛けていたのを思い出す。そして今になって思えばそれのせいで余計に怯えられていたような気がしなくもない。
「義昭のお世話をお願いしてからは義昭と結城の鬼ごっこが此処での名物になっていましたからね。
こんなことを言うと義昭に怒られてしまうかもしれませんが、実は楽しみにしていたのですよ。今日の義昭はどれくらい逃げれるのか、結城はどうやって捕まえるのか。なんて考えていましたから」
「完全に娯楽の一つじゃないですか。俺はともかく本気で逃げたり隠れていた義昭に聞かれると怒られるくらいじゃ済みませんよ」
「……怒られるよりも酷いと言われても、義昭からは想像が出来ませんが……」
「いえ、多分拗ねます。そしてヨシテル様と暫く口を利いてくれません」
「結城、先ほどの言葉は内密にお願いします。良いですか、絶対に義昭に知られてはなりませんからね?」
「義昭に何事かと聞かれたらついつい口が滑ってしまいそうです」
「ダメです!義昭が拗ねるのは可愛いので良いかもしれませんが口を利いてくれないなんて私が耐えられません!」
「口は災いの元ですから」
「あ、もしかして結城は結城で義昭のお世話をちゃんとしようと真剣に追いかけたり探したりしてたのを楽しみにしていたと言われて怒ってるのですね?
まったく……拗ねているのは義昭じゃなくて結城なのではありませんか?」
「義昭に伝えておきますので覚悟して置いてくださいね、ヨシテル様」
拗ねるのは義昭様であって俺ではない。というかヨシテル様まで困った弟を見るような目をするのはやめてもらいたい。そういう目をしても俺が納得することが出来るのは師匠や奥方様などの俺よりも年上で幼い頃からお世話になっている人だけだ。
竜胆たちは微妙に納得がいかないが兄弟子姉弟子ということで何とか納得しようとはしている。だがヨシテル様やミツヒデ様はダメだ。絶対に納得しないというか出来ない。
「冗談ですよ、冗談。あ、でも本当に義昭には内緒ですからね?」
「はぁ……わかりました。今回だけですからね」
「ありがとうございます。それで、そのことがきっかけの一つと言うのはわかりますが……具体的には何があったのか聞いても良いですか?」
「……まぁ、過ぎたことですし言っても良いでしょう。義昭は俺から逃げるために、必死になりすぎたせいか一度外へと逃げてしまったことがあるんです。
その時に義昭が道に転がっていた小石に躓いて転んで怪我をしてしまいました。まぁ、それを見て見ぬ振りも出来ませんので医療忍術で治していたのですが……」
「何か問題でも起こったのですか?」
「いえ、その際に手を取った時の反応が、貴方の手も温かいのですね。というものでして……」
「あぁ、どうして義昭がそういう反応をしたのかわかりますよ。
だって初めの頃の結城は、失礼だとは思いますが絡繰人形か何かなのではないかと疑ってしまうほどに人間らしくありませんでしたからね。きっと義昭もそのせいでそうした反応になったのだと思います」
「そこまでとは思っていなかったんですけど……ヨシテル様の言葉や義昭の反応を見る限りでは本当に酷かったみたいですね……」
「酷いと言うか……まだ松永の手にあった頃のドウセツのような物でしょうか?」
「それは酷い」
いや、別に立花様を悪く言っているわけではなく、本当にあの頃の立花様は人間らしさなど欠片もない正に絡繰であった。それが今のように変わるとは……大友様が居なければ有り得なかっただろう。
そう考えると、俺も立花様も主によって変わることが出来たという共通点があることになる。もしかすると俺が思っていた以上に立花様とは共通する事柄が多いのかもしれない。
「ですが、なるほど。何事も些細なきっかけで変化が起こるものですからね……私の知らないところで義昭が結城に懐いていたのはそういったことが始まりでしたか」
「ええ、あれがきっかけと言えばきっかけでしょうね。あれ以降逃げられたり隠れられることもなくなりましたから」
「そして義昭と普通に接することが出来るようになっているのをミツヒデが何事かと行動を起こしたのが、ミツヒデと話をするようになったきっかけですか?」
「ですね……まぁ、義昭絡みで行動を起こすというのはミツヒデ様らしいと思います。あの時は心底鬱陶しいと思っていましたが」
「それもあの頃の結城らしいと言えばらしいですが……ミツヒデにそのことを言ってはいけませんよ?最近結城のことを弟か何かのように見ていますから、きっと悲しむ……ような気がしますね……」
確信は内容で言いよどんでいるが、重要なのは其処ではなく何故か俺のことを弟か何かのように見ているというところだと思う。
それにしても何故ヨシテル様との思い出話でも、と思っていたのに義昭様やミツヒデ様の話になっているのだろうか。いや、これも思い出と言えば思い出ではあるし、そうして皆と接していくうちにヨシテル様と話をする機会が増えたのを覚えている。
となればこうした話になるのは当然と言えば当然なのかもしれない。
「さて、では次はどの話にしましょうか。思い返してみれば結城と関わりのある思い出は意外と多いようで驚いていますが……それ以上に、なんだか嬉しいですね。誰かとこうして沢山の思い出を作ることが出来て、一緒にその話が出来るなんて」
「……まぁ、確かにそうですね。個人的にはその相手がヨシテル様というのは悪くありません」
「ふふ……それなら良かったです。別の人とが良かった、なんて言われていたらきっと泣いてしまいますからね」
「ヨシテル様に泣かれでもしたら義昭やミツヒデ様に何を言われるか……では、泣かれないようにもう少し思い出話でも続けましょう」
「ええ、まだまだ時間はありますし、思い出も沢山ありますからね」
まだ自分の感情の名前がコタロウ様の言う物なんかわかっていない。ならばこのまま話を続けよう。
それに、こうして話をしているのはそういった目的があるから、ということ以上にヨシテル様が笑っていてくれる。それが俺にとっては喜ばしいことだ。
さて、どの思い出を振り返ればヨシテル様は笑っていてくれるのか。そんなことを考えながら次の話を口にするのだった。
思い出話編。
尚、まだ続く模様。
真面目な感じというか、色恋沙汰が関わると筆が遅くなるのは何故でしょうか。
個人的には今までで一番やり辛い。そして多分次回もそんな感じになる予感。