月日は更に経ち、トーカ=ゾルディック12歳。
「そうだ。家に帰ろう」
読んでいた本をパタンと閉じ、椅子から立ち上がりながらトーカは唐突に思い付きを口に出した。
端正な顔立ちは更に磨きがかかり、綺麗なプラチナブロンドの髪は幼い時のショートヘアから腰ほどまでのロングヘアーへと変わっている。
「さーてやって参りましたわククルーマウンテン!」
時間は2日飛んで舞台はククルーマウンテン。わざわざ観光用のバスを使って我が家へと帰ってきたトーカの前には幼い時の記憶と違った掃除夫がいた。
バスガイドがゾルディック家について話していると騒ぎが起きる。
「くっそー!なんだよこの門!開かねえじゃねえか!」
「どうなってんだよおっさん!」
柄の悪い二人組が掃除夫に向かって絡んでいた。どうやら試しの門が開かないことにより中に入れないようだ。
「あらあらまぁまぁ」
バスガイドの説明より面白いことになりそうなのでそちらに寄っていくトーカ。
寄っていったトーカは柄の悪い二人に守衛室の存在を教えると、二人は喜んだようにそちらへ駆け寄った。
「あーあミケがまた拾い食いしちゃうなぁ」
「あの子まだそんなことしてますの?」
まるで知り合いのように話すトーカに若かりしゼブロは目をぱちくりさせた。
「お、お嬢さん一体?」
トーカの視線の先では重すぎる守衛室の扉に悪戦苦闘していた二人がちょうど扉を開けたところだった。
「また遊びましょう掃除夫さん」
そう言ってトーカはゼブロに笑いかけた後、二人に続いて滑り込むように守衛室に入っていった。
「に、似ている・・・あの方に」
守衛室に入った三人はゾルディック家の庭へと続く扉を見つけ、庭へと侵入を果たしていた。
「で、お嬢ちゃんはなんで着いてきてんだ?」
「だって面白そうですもの」
ゾルディック家を目指して歩く3人は突如として怪物の叫び声を聞いた。
「ひっ!?な、なんだ・・・!」
「なんかくるぞ!」
「ようやくお出ましですか。番犬の癖に寝坊なんて・・・お仕置きですわ」
3人の前に現れたのはまさに怪物。全長二メートルを越える二足歩行のイキモノ。ミケと呼ぶには恐ろしすぎる怪物だ。
3人が逃げ始める前にミケはトーカに狙いを定め、その鋭く大きな爪を降り下ろした。
「おい!嬢ちゃん!」
叫ぶ男と降り下ろされる爪。トーカは人差し指をゆっくり立てる。
その指が爪と触れあった瞬間!
二人組は火を見るより明らかな結果から目をつむり、ミケは手放した驚愕という感情を取り戻した。
「正直出来るとは思わなかったですわ・・・」
トーカの人差し指は!!迫りきていた自らの身体より大きな爪を!!山吹色の輝きを放ちながら受け止めていた!!
「これからあなたを目一杯ぶん殴りますわ」
一点集中の波紋により、ミケの爪を受け止めていたトーカは波紋をはじく波紋へと変え、バチィ!という音と共に身動ぎ1つせずミケの爪を弾いた。
「オラァ!!ですわ」
弾かれたことにより体勢を崩したミケに向かってトーカはまたしても身動ぎ1つせず跳躍した。
そしてミケの左頬を右の拳でぶん殴った。
山吹色のスパークが辺りに走り、ミケは倒れようとするが不自然にピンと身体が起き上がった。
「出ていく前まではミケを操ることは出来なかったけど、成長してますわね私も」
トーカは二人組に向き直り、
「さぁミケに乗って。参りましょうか七年ぶりの我が家へ」
その時二人は、死を覚悟した。