タケル「アカリたちの頑張りで、モノリスが眼魔の世界につながった。でも、アランが先に一人で乗り込んでいってしまった。こうしちゃいられない!俺たちも後に続いて、この戦いを終わらせるんだ!」
~アバン終了~
タケル「マコト兄ちゃん、行こう!」
マコト「ああ!」
アカリ「私も行く」
眼魔の世界への突入に、タケルとマコトだけでなく、アカリも名乗りを上げる。
タケル「でも危険だ!」
アカリ「タケルの力になりたいの」
御成「拙僧どもがついていなければ、誰がタケル殿をとめるのです?」
カノン「私も行きます」
シブヤ「僕らも行きます」
ナリタ「眼魔世界か…」
復讐心に揺れるタケルや、不調のマコトを心配してか、その場の仲間たちはついていこうとする。しかし、シブヤとナリタに至っては、勢いに任せたのか少し腰が引けている。
タケル「みんな本当に無理しないで!ここは俺を信じて待っていてほしい。もしも、みんなが父さんと同じような目にあわされたら……俺はその時こそアデルを許せなくなる」
今のタケルは、アデルに報復すべきか、許すべきか、自分の心の整理で胸いっぱいだ。ついてきてくれる仲間をかばう余裕はない。だからこその、突き放すような口調に、周囲はその心中を察して黙り込む。
マコト「そうだ、眼魔の世界はその空気を吸うだけでも危険だと、みんな知っているはずだろう?タケルの迷いはタケル自身に決めさせて、できることをやるんだ」
マコトはタケルの意見に助け舟を出す。
御成「確かに拙僧どもがタケル殿の枷になっては、逆効果ですが…」
アカリ「けど、私達だけじっと待ってるなんて…」
そう諭されても、御成やアカリは踏ん切りがつかないようだ。
その時、モノリスのゲートから、眼魔コマンドが次々に出現する。
御成「な、なっ!何事ですか!」
アカリ「まさか…アランが通ってきたことに気づいてこのゲートを破壊しに来たの?」
アカリの推測は当たっているらしく、ゲートから出てきた数体の眼魔コマンドは、モノリスに取りついて壊そうとしている。
タケルとマコトは止めるために、変身しようとする。だが、それよりも速く、木の杖の一撃が、飛来した光弾が、2本の竹内による挟み撃ちが、眼魔コマンドを撃破していた。
御成「だとしたら、拙僧どもはこちらに残って、ゲートを守っていなければならないようですな!」
杖を振り回し、張り切る御成。
タケル「そんな!みんなだけにここを任せるなんて…」
アカリ「信じて残れって言ったのはタケルでしょ?それなら私たちも信用してよね」
タケルの不安を笑い飛ばすように、アカリは不敵な笑顔で不知火・改を携えている。
シブヤ「僕たちだって、こっちの世界でゲートを守るくらいなら何とか!」
ナリタ「俺たちなら大丈夫です!」
緊張しながらも竹刀を構えるシブヤとナリタ。
戦闘態勢を取る面々を見て、眼魔コマンドは攻撃目標を変える。先に邪魔をする人間たちを倒そうと、その場の全員に襲い掛かる。自力で身を守る術を持たないカノンにまで、眼魔コマンドの魔の手が及ぶ。
カノン「きゃっ!」
マコト「カノン!」
タケル「危ない!」
しかし、カノンを取り囲む眼魔コマンドたちの顔が変化する。上から鮮やかな絵の具を塗りつけられた、ぐにゃぐにゃの抽象画じみた見た目に変色し、眼魔コマンドたちは混乱する。さらに、不協和音に乗せられたエネルギー波が、眼魔コマンドたちに命中し、撃破する。
カノン「これって、もしかして…」
キュビ「カノンちゃ~ん、久しぶりなんだなあ~」
音符眼魔「ラララ~♪、長きスランプを経て、帰ってきましたぞ~♪」
カノン「やっぱり!キュビと音符さんだ!」
タケル「キュビ!音符眼魔!帰って来たのか!」
地下室の階段から降りてきたのは、キュビこと画材眼魔と音符眼魔。スランプから意気投合し、自分の芸術を探求するために放浪の旅に出ていた二人だ。
キュビ「タケルも、カノンちゃんも、大天空寺のみんなは友達。だから、友達が待っていてくれる場所を守りに来たんだな!」
音符眼魔「スランプの間に、あの青年が思い悩んでいた気持ちが、少しわかった気がしました。死ぬほど思いつめても、死んでしまっては、作曲もできない。どうか、かつての罪滅ぼしをさせてください」
かつて音符眼魔がアイコンを得るために自殺にまで追い込もうとした青年・君島康介も、作曲のために命さえ投げ出そうとする捨て鉢になっていた。タケルたちに康介の自殺を阻止された当時は気づかなかったが、旅で自分を見つめなおした今なら、彼の苦しみが分かる。だから、取り返しのつかなくなる前に止めてくれた、タケルたちの力になりたい。
キュビ「本当なんだな。音符君も今では僕の友達、信じてほしいんだな」
タケル「…ありがとう、キュビ、音符眼魔。みんなの言うとおりだ。アデルとだって、きっと分かり合える!」
キュビや音符眼魔のおかげで、タケルも眼魔との和解を夢見たことを思い出す。そして少し安心する。自分たちの仲間は、こんなにも心強かったのだと。
カノン「お兄ちゃん、今のうちに早く!」
マコト「ほら、行くぞタケル。みんなはそれぞれやるべきことを見つけたんだ。グズグズするな!」
カノンに促され、マコトが後ろ髪引かれる思いのタケルをゲートまで引っ張っていく。
タケル「みんな…無事でいてくれよ!」
タケルとマコトはゲートの向こうに飛び込む。
眼魔の世界に足を踏み入れて間もなく、タケルとマコトの目の前にダークゴーストが現れる。思わず身構えるタケルを、ダークゴーストは慌ててなだめる。中身はアルゴスではなく、イーディスだった。
イーディス「さっきアランから伝言を預かってな。戦う前に聞いてくれんか」
アランからタケルたちへの伝言とはこうだった。
アラン「私は家族として、兄上の心を開きたい。昔の兄上の心を思い出させれば、こんなことをやめてくれるはずだ。私が先に挑む間、タケルやマコト達には手を出さないでほしい。無論、イーディス長官、あなたもだ」
イーディス「開発者として言わせてもらうが、ネクロムの力だけではガンマイザ―には勝てん。それにアデルはお主にも容赦はせんぞ」
アラン「私には一つ作戦がある。私は決して一人で戦うわけではない。兄上が分離しても、ガンマイザ―の暴走が止まらなければ……その時は頼む」
イーディス「あくまで兄を救いたいということか。わしが勝ち目云々で止めるのも野暮な気がしてくるな。思う存分やってこい」
アランの決意に何か勝算を感じたイーディスは、そのままアランを見送ったのである。
タケル「そっか、アランもアデルと戦いたくないんだね。わかるよ」
マコト「しかし、アランがやられてしまっては元も子もない。俺たちも駆けつけて、見守ってやらないと…」
タケル、マコト、イーディスは走るが、その前にイゴールが立ちはだかる。しかし、今までの余裕は感じられず、何かの声を無視するように頭を抱えて耳をふさぎ、ようやく自分を保っているようだ。
イゴール「侵入者発見。…排除しますよ…アデル様の命で…」
タケル「様子がおかしい…イゴールもデミアに乗っ取られてる?」
マコト「あいつも利用されていたのか…」
イーディス「イゴール、もう無茶はよせ!お主、自分で作ったシステムに自ら取り込まれるつもりか?」
イーディスの忠告が癇に障ったのか、イゴールははっきりと彼本来の怒りを見せる。
イゴール「黙りなさい!長官、あなたさえいなければ、私こそが眼魔の世界で唯一無二の頭脳だ。消えるのはお前たち、私ではない!」
皮肉にも怒りで自我を安定させたイゴールは、眼魔スペリオル・パーフェクトに変身、眼魔コマンドとスペリオルを率いて挑んでくる。
タケル、マコト、イーディスも変身して応戦する。ゴーストとディープスペクターは眼魔コマンドとスペリオルをものともしない一方、イーディスの変身したダークゴーストは、眼魔スペリオル・パーフェクトから狙い撃ちを受ける。
眼魔スペリオル・マシンガンの銃撃で体勢を崩されたかと思うと、眼魔スペリオル・青竜刀に連続で切り付けられ、反撃の隙がない。
イゴール「分かっていますよ。あなたがもう戦える体ではないということは。距離を取りつつ痛めつければ、手も足も出ないでしょう」
イーディス「ぐほあっ!」
タケル「おっちゃん!」
マコト「長官!」
2人は眼魔コマンドとスペリオルに釘づけにされてしまっている。最初からイゴールは、自分の手でイーディスを倒すつもりだったのだ。
イゴール「新たな眼魔の世界の歴史に名を残すのは、この私だーっ!」
とどめとばかりにダークゴーストに振り下ろされた薙刀・魔偃月を、飛来した青い光弾が弾き飛ばす。それを放ったのは、眼魔スペリオルの姿でありながら、人間に受けた恩義を忘れなかった眼魔。
ジャベル「この期に及んで名を残すだと?このままでは眼魔の世界には、歴史も未来もない!」
イーディス「ゲホッ、ガハッ、お主も来てくれたのか、ジャベル」
ジャベル「ゲートの向こう側の番人たちは、案外すんなりと通してくれたからな」
言葉の上ではあっさり済ませたが、ジャベルはどこか嬉しそうだ。彼もまた、ゲートの向こう側で待っている皆に信じて託されたのだろう。
イゴール「まだ生きていましたか、薄汚い捨て犬の分際で。ちょうどいい、アデル様への手土産にしますか。そうすれば私だけでも…」
イゴールにとってはかつての同僚の帰還も、的が増えた程度にしか感じない。というか、今の彼は、「アデルに取り入れさえすれば、自分だけでも」といった願望に縋るしかないのだ。
そのイゴールの前に、ジャベルが立ちふさがり、牽制する。
ジャベル「イゴールは俺が引き受けた。イーディス長官を頼む」
マコト「助かるジャベル!」
タケル「ありがとう!ほら、おっちゃん、肩貸すから早く!」
イーディス「痛てて!そっと立たせてくれんか、腰を痛め取るんじゃ…」
タケル、マコト、イーディスの3人をイゴールは追いかけようとするが、ジャベルが割り込み、殴り返す。
ジャベル「一度、俺一人に負けたことを忘れたか?」
イゴール「くっ…あの時は、まさかあなたが人間となれ合っているなどと、思っていなかっただけですよ。今やあなたのような旧式に負ける要素はない!」
イゴールは眼魔スペリオル・ブックにチェンジ、2体に分身して挑みかかる。ジャベルはひるまずに迎撃の構えを取る。
先を急ぐタケル、マコト、イーディスの3人の前には、無表情となったジャイロが現れる。その顔が一瞬アデルの顔に変化する。
ジャイロ「侵入者を排除する」
イーディス「ジャイロの奴、完全に乗っ取られておる」
マコト「ここは俺に任せろ。タケルは長官を連れて行くんだ」
ジャイロ「行かせると思うか?」
ジャイロは眼魔ウルティマに変身して両手をかざす。時間を巻き戻す能力で、タケルとイーディスを進ませない気だ。しかし、それが発動する前に、柱の後ろから現れたもう一人のマコトに羽交い絞めにされる。
ジャイロ「貴様、何をする!?」
コピーマコト「邪魔をする気さ。デミアとやらが起動すれば、俺はマコトですらなくなるんだろう?それだけは許せない」
ジャイロがコピーマコトを振りほどいた時には、タケルとイーディスはもうジャイロの視界にはいなかった。
マコトは攻撃するべきかどうかためらっていたが、振りほどかれて床に投げ出されたコピーマコトに声をかける。
マコト「お前、本気で俺と一緒に戦うつもりか?」
コピーマコト「…っ!ああ…。俺はお前を超えて、真のマコトになる。先に他の奴らに倒されたくないまでのことだ」
打ちつけられた背中をさすりながら、応じるコピーマコト。
コピーマコトはマコトになり替わることが使命。それゆえに、デミアによって、自分もマコトも塗り替えられてしまうのを嫌ったのだ。
ジャイロ「裏切者め…。世界がアデル様そのものになる瀬戸際で、そんなこだわりに何の意味がある?二人まとめて始末するとしよう」
ジャイロに対して、二人のマコトはディープスペクターに変身し、挑む。
その頃、アランは祈りの間にたどり着き、デミアに取り込まれたアリア、そしてアデルと相対していた。
アラン「私はタケルに教わった。人の心が…思いがつながることを!なのにあなたは全てを断ち切っている!」
アデル「愚かな…。思いがつながるなど……幻想だ」
アラン「父上は言っていた。理想に心を殺されるなと……。あなたの心は既に死んでいる!」
アデル「父上は理想を捨てた負け犬だ」
アラン「父上は理想より、己の心に従ったんだ。兄上も蘇らせてくれ……己の心を!」
「迷ったら己の心に従え」
父の言葉を思い出しながら、アランはネクロムに変身する。
アデル「一人で私を止める気かアラン。父上も姉上も、私の前に倒れた。お前で最後だ。家族など切り捨て、私は完璧な存在、世界そのものとなる」
アデルは呆れつつもパーフェクト・ガンマイザ―に変身、ネクロムと交戦する。しかし、力の差は歴然。ネクロムは一方的に叩きのめされる。
アラン「違う…ネクロムは、思いの力で限界さえ越えた…。その思いの強さを、兄上にも届けたいのだ…」
アデル「多少限界を超えたところで、絶対的な力の前では…無意味だ」
一方ジャベルは、イゴールの変身する眼魔スペリオル・パーフェクトの戦術に翻弄されていた。分身に幻惑されてペースを乱された挙句、眼魔スペリオル・斧の投げ斧とバリアによるヒットアンドアウェイ戦法で追い詰められていく。ジャベルはどうにか斧をかわし続けたが、狭い屋上にまで追いつめられる。
イゴール「逃げるので精一杯とは、所詮は旧式ですねえ!これでは捨てられても当然。やはり生き残るのはこの私…!」
ジャベル「逃げているのはどっちだろうな……お前は正面から殴られるのを恐れている。長官相手でさえ、距離を取らなければ戦えなかったんだ」
イゴール「……何をバカな!お望みどおり、正面からとどめを刺してあげましょう!」
図星の挑発に乗って眼魔・スペリオル・ナイフに変身したイゴールだが、勝算はあった。既にジャベルは逃げられないほどに追い込んだ。こちらはほとんどダメージはなく、ジャベルは疲労が隠せていない。今の挑発は、間違いなく負け犬の遠吠えだ。
眼魔・スペリオル・ナイフがジャベルを切り裂こうとナイフを向けた瞬間、ジャベルは力強く叫んだ。
ジャベル「グンダリィー!!」
その呼び声に呼応して、空から怪物の咆哮が響いてくる。勢いよく急降下してきたグンダリは、屋上の一部を崩しながら、眼魔・スペリオル・ナイフを撥ね飛ばした。
イゴール「ごっほあ!!」
イゴールは屋上から落下するも、何とか空中で眼魔スペリオル・ブックに変身、その浮遊能力で落下の勢いを殺して、地上に軟着陸する。
イゴール「ジャベルめ…この私を道連れにするつもりで…!だが、私は生き残って、奴だけが無駄死にだ。そうだ、勝った、勝ったあはははは!」
だが、イゴールの高笑いをかき消すように、グンダリの咆哮が近づいてくる。そして、聞いた。その中に、ジャベルの声が混じっていることに。
ジャベル「どうした、まだ勝負は終わっていない」
イゴール「まさか、道連れではなく、グンダリと融合するつもりで…?」
イゴールのすぐ近くにいたジャベルもグンダリに撥ね飛ばされたと思われていたが、実はグンダリと融合していたのだ。
ジャベル「グンダリは俺に馴れているからな」
イゴール「ふざけるなあーっ!」
イゴールは眼魔スペリオル・斧に変身し、バリアを展開しつつ、斧を投げつける。その斧はグンダリの吐いた超高熱フレアで爆破される。フレアの余波を何とかバリアでしのいだイゴールに、グンダリが突撃、バリアごとイゴールを押し潰した。
イゴール「ぐあああああっ!」
イゴールの変身が解け、倒れているところに、変身解除したジャベルが歩み寄る。
ジャベル「これで満足か?もういいだろう、意地を張らなくても。お前がそうやって守ろうとしてる心を、アラン様やマコト、タケルたちが消させまいとしているんだ」
イゴール「私は…間違っていたということですか…。デミアを完成させて、長官になったはずだったのに…」
イゴールの顔も、アデルに変化しかけている。
ジャベル「俺を切り捨てたアデル様の下にいれば、お前も切り捨てられないとも限らないだろう。…その点は同情する」
イゴール「この私が、あなたに同情されるとは…。どうやら、もう限界のようですね…。せめて、私の唯一無二の頭脳だけは…守りたい…」
イゴールは首に下げていた吸魂器を手に取り、口をつけてその中に息を吹き込んだ。
ジャベル「それはまさか、自分の魂をその中に封印するつもりか!?おい、イゴール!イゴール!」
ジャべルが呼びかけるも、イゴールの魂は、吸魂器の中に吸い込まれつつあった。
イゴール(これでデミアからは逃れられる…。私自ら作ったシステムのために、死ななくてはならないとは…)
そんなイゴールの最後の意識に、人間の世界で出会った生意気な女科学者の言葉がよみがえる。
「ええ…はっきり理解したわ。化学は人を幸せにするためにあるの! 人の魂を奪って何が完璧な世界よ!あなたがやっている事はね、科学なんかじゃない!」
確かにイゴールの発明は全ての魂を奪い、イゴール本人さえも不幸にする産物だった。
イゴール(それが正しいというなら、私のシステムを、アデル様をとめてみることですね…。科学者ならば、理論は、最後まで、実証して、もらわなくては……)
誰にも聞こえない言葉を残して、イゴールの意識は途絶えた。イゴールの魂を失ったことで、その体を形成していた眼魔アイコンは機能停止し、砕けた。ジャベルの手元には吸魂器だけが残された。
他方、ジャイロはディープスペクター二人を相手に押されていた。ゲキコウモードで高速飛行するディープスペクターには、時間逆行のタイミングが見極めにくい。結果として、ディープスラッシャーによる波状攻撃を何度も喰らっていた。
ジャイロ「まさか、これほどとは…」
マコト「あなたはもう忘れてるかもしれないが、俺は眼魔の世界にいた頃よりも強くなった。多くの守るべきもののために!」
コピーマコト「深海マコトは、心を持たないお前などに負ける男ではない!」
ディープスペクター・ゲキコウモードの剣撃と銃撃に、とうとうジャイロは膝をついた。
すかさず、ディープスペクターはギガオメガドライブを発動、同時にキックをお見舞いする。たまらず爆発し、変身解除させられるジャイロ。
ジャイロ「私は何を……そうだ、アデル様が大変なことを!」
最後の最後になって、ジャイロは目を覚ましたようだ。
マコト「落ち着け。アデルなら、アラン、タケルたちが止めに行っている」
ジャイロ「私はやはり、アデル様の操り人形になっていたのか…。あのお方は、もはや忠誠を尽くしてきた部下であっても、信じられなくなっている……」
デミアを造ったイゴールだろうと、命がけでアデルのために戦ってきたジャイロだろうと、そして家族でさえも、今のアデルは信じられない。人の心が見えないからこそ、自分自身で塗りつぶそうとしている。
ジャイロ「私は、もうだめだ。どうか、アデル様を…」
マコト「大丈夫だ。だから今は…短い眠りになるだけだ」
ジャイロの体は消え、眼魔アイコンが砕けた。アデルの計画をとめられれば、次に目覚める時には、彼は自我を取り戻しているはずだ。
コピーマコト「終わったな。ならば、これが最後の戦いだ」
コピーマコトの変身するディープスペクターが、マコトにディープスラッシャーを向けている。
マコト「お前、本当に俺と戦う気なのか?お前は…深海マコトはそんな奴じゃない」
コピーマコト「俺が生き残るにはこうするしかない。構えろ」
ディープスペクター同士の決闘が始まる。しかし、実際はコピーマコトの方が大幅に押し負けていた。あっさりとコピーマコトは変身解除させられる。
マコト「おいどうした!この程度じゃないはず…」
コピーマコトの顔は、アデルに変化しかけている。眼魔アイコンで体が形成された彼も、当然デミアの影響を受けていたのだ。
マコト「お前…そんな状態で今まで戦ってたのか!?」
コピーマコト「お前に勝つまでは、耐えるつもりだったんだがな…。俺は、深海マコトになるはずだった。だが、ガンマイザ―とつながって、俺は奴らの材料にすぎないと分かった…」
コピーマコトはデミアの影響で自我を失いかけている。さらに、ディープスペクターに変身してガンマイザ―とつながったことで、ガンマイザ―の素体にされる予定であることも気づいてしまった。だから一刻も早く、マコトとの決着だけはつけなくてはならなかった。
コピーマコト「もうわかってるだろう?この戦いで勝ち残った方が、負けた方を取り込み、真のマコトになる。なら俺は、お前に取り込まれる最後が、ずっといい」
マコト「お前はそれでいいのか?お前自身が消えることになるぞ!」
コピーマコト「魂は永遠に不滅なんだろう?ならば、俺は深海マコトの中で生きていたい。それが、今の俺の願いだ」
マコト「…俺は忘れない。いや、カノンも俺の仲間たちも、お前という存在がいたことを、魂に刻み込む!」
マコトがそう宣言すると、コピーマコトは満足したようにニヤリと笑い、そして光となって、マコトに吸収された。この決闘で限界を迎えたコピーマコトの眼魔アイコンも、静かに砕けた。これで、ガンマイザ―に利用されることもなくなった。
場所は変わって、人間界。そちらでは、眼魔コマンドの軍団を天空寺の面々が撃退していた。ゲートの心配はないだろう。しかし、それでもボーッとしてはいられない。できるだけこちらからも、人間の世界を支配するデミアをとめなくては。そして思いついた方法は……。
アカリ「よしっ!人間の世界に置いてあるデミアのサーバーには、何とかハッキングできたわ!」
アカリが操作していたパソコンの画面には、デミアの内部情報として、タケルが侵入したことのあるデミアの夕暮れの世界が映っている。この中に人間の魂が閉じ込められているのだが、人間のパソコンから干渉することはできない。この中に侵入するには、タケル同様、魂のみの状態になる必要がある。
シブヤ「本当に行くんですか?」
ナリタ「マジで帰ってこれなくなるかも…」
キュビ「それでも行くんだな。世界全部がアデル様になったら、美しいも何もなくなってしまうんだな!」
音符眼魔「二度と音楽のことを考えられなくなっては、死んでいるのと同じですからな!」
デミアの内部に侵入するのは、魂だけの眼魔であるキュビと音符眼魔。タケルはデミアの音楽による支配を、一度はベートーベン魂の力で解放した。芸術の力を持っている二人なら、同じことができるのではないかと、このコンビに託すことにしたのだ。
アカリ「タケルの話をヒントに思い付いたけど…タケルも一時は本当に危険な状態だったの。だから無理はしないで」
御成「ダメでもまた別の方法を考えればいい話ですぞ」
カノン「必ず帰ってきてね。キュビ、音符さん」
キュビ「心配しないで。約束するんだな、カノンちゃん」
心配するカノンを、キュビは元気づける。そして、キュビと音符眼魔は眼魔アイコンに変身、パソコンの画面を通じてデミアに侵入していった。
黄昏の世界でキュビと音符眼魔は、デミアに囚われた無数の魂を目にする。タケルが見た時よりもはるかに多くの魂が、この中で眠らされているのだ。
キュビ「なんだか寂しい世界なんだな」
音符眼魔「それに陰気な音楽ですな。沢山観客がいるなら、もっと盛り上げなくては!」
音符眼魔はデミアの世界に流れる音楽を消音する。子守唄が途絶えたかのように、囚われた魂は眠りから目覚める。しかし、心地よい眠りを覚まされた魂は、またデミアの夢の中に戻ろうとしている。
音符眼魔「皆さん、私の音楽を聴いてください!ラララ~♪」
キュビ「みんな、吾輩の美しい絵を見て欲しいんだな!」
音符眼魔が歌い、キュビがデミアの世界の丸いものを塗り替えていく。静かな調和を取り、魂を眠らせてきたデミアの世界が揺らぎ始める。囚われた魂は目をさまし、自由を求めて動き回り始める。
デミアへの反逆が開始された。
眼魔の世界、祈りの間では。
パーフェクト・ガンマイザ―はネクロムの頭を掴んで体ごと床にたたきつける。起き上がろうとするネクロムを足蹴にする。減らず口を叩くアランを弄んでいるかのようだ。
アデル「滑稽だな。口ばかりで、無駄なあがきを続けるさまは」
アラン「無駄ではない…。何度倒れても、諦めなければ、思いの力は募っていく!」
アランのその言葉通り、ネクロムから緑のオーラがあふれ出る。思いの力で、ネクロム本来の限界を突破した証だ。しかし、アラン本人の体力は既に限界。立ち上がるのがやっとだ。
アデル「お前ごときでは、限界を超えてももう遅い。終わりだ」
フラフラのネクロムにパーフェクト・ガンマイザ―のとどめの一撃が放たれる。しかし、ネクロムが突然宙に浮き、その攻撃をかわす。
アデル「…何?」
アラン「ハア、ハア…間に合った…。」
ネクロムはそのまま浮遊し、部屋の隅の柱まで移動するそして、その影から現れたのはブック眼魔。
アラン「いいタイミングだったぞ、ブック眼魔」
ブック眼魔「いえいえ、こんなものではありませんよ。ショーはこれから!」
ブック眼魔の言葉を合図に、部屋の外から眼魔の集団が現れる。妙なことに、全員がアランに加勢しに来た雰囲気だ。
アデル「お前たち…デミアと…私と一つになったのではなかったのか!?」
アラン「ネクロムの眼魔を操る力、それを使って皆に呼びかけた。“兄上を救ってくれ”、その思いにこたえて、皆は目を覚ましてくれた!」
アランが敢えてネクロムでパーフェクト・ガンマイザ―に挑み、限界突破を狙ったのはこのためだった。限界を超えたアラン自身の想い、そして眼魔たちのアデルへの思いが、デミアの呪縛を打ち破ると信じて。
プラネット眼魔「アデル様と一つになるということは、我々がアデル様にお仕えできなくなるのと同じ」
甲冑眼魔「私達は、アデル様への忠誠まで忘れたくありません」
眼魔たちも兄のために必死なアランの声を聴いて目覚めた。このままでは、アランのようにアデルを思う心さえ忘れてしまうと。
アラン「兄上を助けたい強い思い…ここにはそんな民がこれだけいるのだ!だから兄上も…」
アデル「黙れ!最早私こそが世界、世界の理から外れた者はすべて消去する!」
パーフェクト・ガンマイザ―はエネルギー波を放つが、それを電撃と飛んできた斧が相殺し、残った余波も緑色のバリアが防ぐ。
邪魔をしたのは電気眼魔と斧眼魔だ。
アデル「お前たちよくも…」
そのパーフェクト・ガンマイザ―から、ガンマイザ―が何体か分離する。
ガンマイザ―・クライメット「消去目標多数。我々で排除する」
眼魔たちの数に対抗し、ガンマイザ―数体がかりで排除しようとする。
アデル「お前たち、私から勝手に離れるな!私一人いれば十分なはずだ!」
アデルはガンマイザ―がまた勝手な行動をとり始めて、焦燥を見せる。
一方、アランたちにとっては、これこそ待ち望んでいた展開。
アラン「これでいい。兄上から引き離したガンマイザ―を、各個撃破するぞ!」
眼魔3体ずつと眼魔コマンド、スペリオルの集団でチームを組んで、ガンマイザ―を包囲する。ガンマイザ―はネクロムの性能を上回る力の持ち主だったが、限界突破したネクロムが指揮する眼魔軍団の勢いに圧倒される。
マシンガン眼魔「アデル様、ガンマイザ―にはあなたに従う心がない。心でつながる俺たちがファミリーだ!」
マシンガン眼魔の連射砲と電気眼魔の電撃、プラネット眼魔のエネルギー球が、ガンマイザ―・リキッドを蒸発させた。
飛行機眼魔・兄「ブルンブル~ン!そうとも!家族だからこそ、俺たちを兄弟として造ってくれたんだろ!」
飛行機眼魔兄弟と飛行機眼魔・パーフェクトの編隊攻撃が、ガンマイザ―・プラネットを爆撃した。
刀眼魔「何百年とアデル様の一族に仕えてきた身の上。であれば、我らの間には信頼こそあれ、不信はない!」
刀眼魔が空中からツバメ返しで、槍眼魔が背後からの一撃で、斧眼魔が投げ斧で、ガンマイザ―・ファイヤーの火球を潜り抜け、本体を切り裂いた。
インセクト眼魔「水臭いじゃない?何度でも私たちを頼ってみればいいのよ。私達もアデル様のために、何度も復活してやり直してきたんだから」
インセクト眼魔とブック眼魔の分身がマグネティック・ブレードを追い詰め、ダウンさせた。
ナイフ眼魔「完璧な世界を目指すのは、アデル様だけじゃなく、この世界のみんなの理想だったはずだぜ!」
ナイフ眼魔、青竜刀眼魔、甲冑眼魔の刃が、ガンマイザ―・ウィンドを風のバリアごと一閃した。
ガンマイザ―・クライメット「消去目標、過去最大多数。さらなる増援が必要となります」
眼魔コマンド、スペリオルの軍団の一斉攻撃で足止めされながらも、ガンマイザ―・クライメットは、アデルを促す。武器型ガンマイザ―を召喚して、アデルも戦えということだ。
しかし、アデルはガンマイザ―の進言に応えるどころではなかった。
アデル「いったいどうしたことだ…。完璧な世界に心など不要、消し去って支配するのみ。…そんな私を、お前たちは!なぜそこまで慕うことができる!」
自分は愛されなかったと絶望し、だからこそ完璧な世界のために孤独を選んだアデル。彼にとっては、デミアの支配を超えてきたのが、アデルへの敬意だったという事実が呑み込めない。
アラン「兄上、あなたも私も一人ではない。あなたの帰りを待ってる人が、この世界にはたくさんいるんだ!」
そういうアランの横には、表情を取り戻したアリアが座っている。アリアもデミアから解放されたのだ。
アリア「アデル、あなたは冷酷な仮面をかぶってきたつもりでも、この通り愛されていたのです。父上もあなたを愛していないはずがない!」
アデル「黙れ黙れ!愛を知らぬ私が、愛されるなどあり得ん!」
アデルはパーフェクト・ガンマイザ―の拳でアリアに殴りかかるが、アリアは、ダークネクロムピンクに変身し、その拳を優しく受け止める。その全身にはピンク色のオーラがみなぎる。彼女も自我を取り戻すと同時に、思いの力で限界突破しているのだ。
アリア「父上はあなたを最後まで気にかけていました。そしてこれが、父上が残したアデルを救う手段」
ダークネクロムピンクはネクロムとうなずき合い、二人同時に乗っ取りゴーストを発動する。2色のパーカーがパーフェクト・ガンマイザ―に取りつき、アデルとガンマイザ―を分離させた。放り出されるアデル。
アデル「まさか、こんなことが…」
アドニスの死後にイーディス長官がこれを開発して、最初はアリアだけでアデルからガンマイザ―を分離させようと挑み、失敗してしまった。しかし、今ならば、ガンマイザ―を分離して迎撃する大チャンスである。
パーフェクト・ガンマイザ―「ネクロムも危険な消去目標と確認。排除する」
ガンマイザ―・クライメットと再び合体したパーフェクト・ガンマイザ―は、分離させられたアデルに構わず、ネクロムを排除するつもりだ。結局は、パーフェクト・ガンマイザ―はアデルの真実の姿ではなかった。
パーフェクト・ガンマイザ―の攻撃を、二人のネクロムと眼魔たちが迎え撃つ。
アラン「父上は、兄上が戻るための方法も用意してくれていた。これでも、愛していなかったというつもりですか?」
アデルは、今までアドニスから無視されていると感じてきたのだ。アドニスは亡くなった家族に目を向け、アランやアリアにだけ声をかけてきた。しかしアドニスは、アデルのことも考えてくれていたのだ。
アデル「今更気づいても遅い…。私は父上を殺してしまった…」
アリア「いいえ、私達は信じています。絆とは、決して死では切れないものだと!」
アラン「死を乗り越えて、思いはつながる!父上は死んでも思いをつなごうとしていた。だから今度は、兄上がそれを受け取る番だ!」
アデルはその激励で立ち上がる。そして、久しぶりに自らのアイコンで、眼魔ウルティマに変身する。
パーフェクト・ガンマイザ―「我々を拒むつもりか、アデル」
アデル「お前たちも、度々私に逆らっていただろう?今の私には…もっと信じられる者たちがいる」
パーフェクト・ガンマイザ―は触手で薙ぎ払おうとするが、眼魔の軍団が身代りになり、防がれる。
そして、その隙に、二人のネクロムのネクロムデストロイ、そして眼魔ウルティマのパンチがパーフェクト・ガンマイザ―に命中する。
パーフェクト・ガンマイザ―「この世界、理解不能…」
パーフェクト・ガンマイザ―は爆散。これでデミアサーバーは完全に停止する。アランたちは変身解除する。そこに、タケルとイーディスも駆けつける。
タケルは、アデルと家族が和解している雰囲気に気づく。
タケル「アラン!もしかして…上手くいったのか?」
アデル「天空寺タケル…。お前たちも、すまなかった…。私が人の心を見ようとしていなかったのだ」
父の仇がしおらしく謝る姿に…タケルは怒りの矛を収めていた。
タケル「いいんだ、分かってくれれば」
アデル「タケル、その…お前の父の仇は、許してくれるのか?」
タケル「お前がアランさえも傷つけているのを見たら、俺はきっと許せなかった。でもそうじゃないなら…分かり合える。父さんもそうするはずだ」
天空寺龍は、イーディスにも伝えた「人はやり直せる」という思いを伝えようとして、死んだ。タケルはその言葉に賭けた。アデルがもしもやり直せるなら、自分の復讐心は封印しようと。
アデル「もちろん、今ならお前の父の気持ちも分かる。私は、知らなかった…。この世界は…愛に満ちているのだな…」
アデルは嗚咽する。愛ゆえに、周囲のみんなに感謝する涙。愛ゆえに、自分が殺してしまった者たちへの悔やみの涙。
頑なだったアデルの涙が、戦いの終わりを実感させ、その場の空気は緩む。
しかし、そんな彼らを祈りの間の天井、グレートアイの側から、何者かが見下している。
???「アデルが感情を取り戻したところで、結局はバグにすぎぬ。傀儡の奴から離れたグレートアイは、もうすぐ我の物となるのだ。フハハハハ!」
まだ、戦いは終わっていない。
今回は乱戦描写だけで力尽きました…orz
次回はまだ先になりそうです。