異世界で悪魔退治するのは間違っているだろうか 作:しゅーぞー
1話ではまだオラリオには入れませんが次回か次次回で入れるようにしますので、お楽しみに
では本編をどうぞ
Mission1 依頼を遂行せよ
「
青年はどこともわからない部屋のベッドの上で目覚めた
上半身を起こしつつ周囲を見回すとその部屋は随分と質素な部屋で、生活に必要なものが最小限置かれている以外は、特筆すべきものはなにもなかった
強いて挙げるとすれば部屋の入り口が階段であることだろうか
突然見知らぬ部屋で目覚めた青年は警戒のレベルを最大まで引き上げベッドから音を立てないように抜け出した
しばらく辺りを調べて、誰もいない何もないことを確認してから、彼は入り口付近に置いてあるソファーの上に大胆不敵にもドカッ、と腰を下ろし、その長い足を組んだ
それからここにたどり着くまでの過程を思い出そうとして、なにも覚えていないことに気付く
そう、自分はなにも覚えていなかったのだ
フォルトゥナを発ってからの記憶が全くない
青年は何も思い出せない自分に苛立ったのか
「
そうボヤきながら先ほど確認したばかりの部屋を再び見渡した
見れば見るほどなんら特徴のない部屋だ
この部屋の所持者もそれはつまらない奴だろう
そう勝手に結論付けてから彼はソファーに深く体を沈め、もう一眠り決め込もうとその切れ長の瞳を閉じようとした、その時
ガチャッ、トットットットッ
と上の扉を開け走ってくる足音が聞こえた
その音に微睡もうとしていた彼の意識も一気に覚醒し、入り口の方向に注意を注いでいた
その足音が階段に差し掛かり、徐々に階段を降りてくる
青年の緊張感が最大まで高まろうとした時
「なんだ、もう起きたのかい?寝てなくちゃダメだろう、ついさっきまで倒れていたんだから」
ヒョイ、と入り口から顔を出したのは齢12、3に届くかというような少女だった
「...
青年の間の抜けた声が部屋の中にこだました
「
静かな事務所内に声が響く
それは部屋の奥、更に言えば長机の上で両足を組んでいる青年から発せられたものだった
その青年の容姿は大変人目をひくものであり、何より目立つのは老人のような、と言っては少しばかり輝かしすぎる銀髪であった
彼の名前はネロ
この
そんなネロの顔は無表情ながらどことなくムッとしており、初対面の相手には威圧感を与えかねないものであった
「なぁに、ネロ?」
しかしその呼びかけに返事をした相手はそんな彼に萎縮することなく、むしろ精一杯の親愛の情を感じさせるような返事をした
返事をしたのは可憐な女性だった
キリエ、と呼ばれたその女性は綺麗な金の刺繍が施された上品なドレスのようなものを身につけており、ブラウンの綺麗な髪を後ろで1つに束ねていた
彼女は親に捨てられたネロの保護者でもあり恋人でもあるようなそんな不思議な関係だった
天涯孤独になるはずだったネロを救ったのは彼女なのだ
だからネロは自分のできる限り彼女の助けになろうと決めていた
「仕事が入ったんだ。またしばらくここを開けなきゃならない」
そうネロが端的に告げるとキリエは一瞬残念そうな顔をしてから、すぐにその表情を笑顔の形に直してにこやかにネロに返答した
「そうなの...気を付けてね?2人でゆっくりできなかったのは残念だけど...」
その言葉からは嘘偽りなくネロともっと一緒にいたかったということが伝わってきてネロはなんともむず痒い感覚に陥る
「俺だってそうさ、だから
そう提案するとキリエは花のような笑顔を浮かべて心底嬉しそうにした
その笑顔を見るだけでネロはどんなに大変な依頼でもこなせるような気になる
そう考えてキリエの方をふと見ると彼女はなんだかモジモジしているように見えた
なんでも強くは言わないが言いたい事は言う彼女にしては珍しい事だ
「
そう尋ねると、キリエは一度二度視線を彷徨わせてから意を決したように口を開く
「あのね、ネロ。聞いて欲しい事が...」
とその時
ジリリリリリリリリリ!!
と事務所の机の上に置いてある黒電話が大きな音を立てて鳴った
正直今は電話なんかよりキリエが言おうとした話の方が気になるが、仕方がない
「ちょっと待ってくれ、キリエ」
そう告げるとネロは机の上で組んでいた足をダンッ!と机に叩きつけた
その反動で黒電話の受話器が宙に浮く
それをキャッチしてネロは耳に当てた
「Devil May Cryだ。どちら様?」
「
その電話口から聞こえてきた声はなんとも懐かしいものであった
彼はダンテ
少し前にここ、城塞都市フォルトゥナで起きた悪魔騒動の時に手を貸してくれた人物だ
その正体は自らの体の半分に悪魔の血が流れている"半魔"であり、いつも人を食ったような態度とふざけたジョークを飛ばす事をやめないオッサンだ
だがその実力は折り紙付きで、実際ネロも何度も助けられた記憶がある
「...アンタか。わざわざ電話してきて何の用だよ?」
「
そうおどけたようにからかってくるダンテ
いちいち反応していてはこっちが疲れるのでネロはまともに取り合わない事にしていた
尊敬できる事にはできるのだが普段の行動でぶち壊しにしている感が否めない
「まさか、からかうためだけに電話かけてきてわけじゃないよな?もしそうだったら今すぐ電話線引っこぬくぜ」
「おいおい、そりゃねえよ。ただお前がしっかりやってるか気になっただけだ。」
実はここの事務所の名前であるDevil May Cryという奇妙な名前はこのダンテがネロに押し付けられた妙な看板からとっているのだ
その看板にはネオンでDevil May Cryと書かれており、聞けばダンテも同じ名前の悪魔退治専門の事務所を持っているらしい
まあ彼の場合依頼に行くのは気分によりけりなところが多そうだが
「
「なら良かった。依頼がこなくて廃業になってたら大変だと思ったんだけどな」
「そんな事万が一にもねえよ。悪魔はいなくなんねえからな。依頼がバンバンきてこっちはてんてこ舞いだ。というか、あんたも仕事しろよ俺に電話なんかかけてる暇あったら」
「いや、俺は今ピザとジェラート食うのに忙しいんでな。あいにく店は休業だ」
「言ってろ」
そうダンテと軽口を叩き合っているとキリエがこちらをジッと見ている事に気がついた
そういえばさっきキリエの話半ばで電話が来てしまったんだった
「そろそろ依頼先に行かなきゃいかないから切るぜ」
「おう、キリエちゃんによろしくな」
「あぁ、変なおっさんがよろしく言ってたとだけ伝えておくぜ」
そうして受話器を投げる
ガチャン、と音を立てて受話器は元の位置に戻った
そして机から足を下ろしてキリエの方に向き合ってから
「さっき話半ばで切れたよな、なんて言おうとしてたんだ?」
そう尋ねると彼女は少し逡巡してから
「ううん、いいの。ネロが帰ってきたら話すわ」
「?...そうか?じゃあそろそろいってくる」
そうキリエに告げてから横に置いてある黒い大きな箱を開けて、中から仕事に必要なもの(武器)を取り出していく
まず取り出したのは大振りの剣だ
取っ手がバイクのアクセルのような構造になっており、刃は血に濡れたかのように光っていた
この武器こそがネロとともに数多くの悪魔を屠ってきた愛剣"レッドクイーン"である
そして次に取り出したのがこれまた大きなリボルバーだった
その名も"ブルーローズ"これもネロと運命を共にしてきた愛銃である
長い銃身が特徴のクールな大口径リボルバーだ
ついでに銃弾もしっかり補充する
それから今きている赤いパーカーの上に青いコートを羽織る
そしてレッドクイーンを背中に、ブルーローズをパーカーに内側に収納した
仕事の準備は完了だ
「それじゃあキリエ、行ってくる」
「うん、行ってらっしゃい」
そう交わしてからネロは事務所のドアを開けて出て行った
「ネロ...早く帰ってきてね」
しまっていくドアにどんどん遠くなっていくネロの背中を見てキリエがそう呟く
その小さな呟きは終ぞ誰にも届く事はなかった
いかがでしたでしょうか?
自分はDMCは一通りやったのですが、ダンテよりはネロの方が好きですかね
若さ特有の熱さやスタイリッシュさが感じられるので笑
コメント、お気に入りお願い致しますm(_ _)m