異世界で悪魔退治するのは間違っているだろうか 作:しゅーぞー
私事が立て込んでいて更新がかなり、大幅に、これ以上ないってくらい遅くなってしまいどうもすみませんでした。
これから頑張ります!(n回目)
それでは本編をどうぞ
「まったく、他のファミリア、しかもよりにもよってロキのファミリアの構成員相手に大立ち回りだなんて、一体何を考えているんだい、ネロくん?」
「..............」
酒場から帰ってくると玄関で仁王立ちしているヘスティアにすぐさま捕まり、どこに言ってた何をしてたの押し問答の末、事の顛末をネロが話すとすぐさま「正座。」と一言。
正座なぞまっぴらごめんだとネロが突っ返すと無言の圧力をかけられ、30分ほどの無言の戦いの後、ネロが折れたのだ。
なぜだか抗いがたい圧力を感じたのだ。
神の力とやらでも使われたのだろうか。
「ネロくーん、聞こえてるかなー?」
なぜか笑顔でこちらの顔を覗き込んでくるヘスティアだが、その目はこれっぽっちも笑っていなかった。
「...仕方ないだろ、あっちから喧嘩売ってきたんだから」
「それでもだよ、ネロくん。ただでさえ今キミは
「...うるせえな」
「キミってそんなに喧嘩っ早かったっけ?もっとクレバーだと思ってたんだけどなあ」
滔々とネロに説教を垂れているヘスティアはどうやらネロが喧嘩を買った理由が気になるらしい。
それもそうだろう、ネロは大まかな流れは説明したが喧嘩の発端については全く触れなかったからだ。
そもそもまだ
見た目に反してなかなか奥手なネロだった。
ヘスティアもネロが喧嘩の始まりを語りたがらないのはなんとなく察していた。
しかしやってしまったことはやってしまったことだ。
子供の粗相ではなし、きちんと謝罪周りに行く必要があるだろう。
ヘスティアは一度手をパンっ、とたたきあわせると
「ま、とりあえず迷惑をかけた人たちに謝りに行かなきゃね、ネロくん?」
ネロのほおに一筋、汗が伝った。
場面はロキファミリアに移る。
正座をさせられ主神ロキや他のメンバー(主に年増エルフ)にこってりと絞られたベートはもはや息も絶え絶えであった。
もともと昨日の喧嘩で死に体のような状態であったのに、よくもまあ怪我人にあそこまで説教ができるなと言うほど説教を食らった。
曰く、お前は酒が入るとめんどくさい。
曰く、口が悪い。
曰く、アイズたんに絡むのをやめろ。
などなど、挙げればきりのないほどだ。
そんなひどい目にあったベートは、それでも昨日の屈辱を忘れられずにいた。
どんな誹りを外で受けているのか想像するに難くない。
(あのスカした野郎...ぜってぇ復讐してやる。)
しかしベートはロキから聞いていた。
昨日自分がやりあった男の功績を。
(オッタルと互角に戦った上に撃退だとぉ?俺は認めねえ、ぜってえ俺は認めねえからな。)
しかしどうすればあの野郎に勝てるかの想像もつかない。
昨日からアイズは全く口を聞いてくれないし、八方塞がりだ。
様々な者の思惑を含みながら、オラリオは朝を迎える。
そして、場面は豊穣の女主人に移る。
ネロが大暴れした店内を夜遅くまで片付けていた従業員たちは皆帰り、店内には店長でありシェフでもあるミアとシルだけが残っていた。
「まったく、あんのバカタレは店をここまで汚して何も言わず帰っちまいやがって。今度来たらただじゃおかないからね」
「ソーデスネー.......」
夜通し働かされたことで疲労困憊で怒り心頭のミアはもう何回目かもわからない科白を吐いた。
向かいの椅子に腰掛けテーブルにぐだーっと体重を預けているシルはもはや諌める気も起きずにただただテーブルに突っ伏していた。
昨日、ネロが帰ってから働かされっぱなしだった従業員たちは皆血の気が多く、朝一でネロに"ケジメをつけさせにいく"と言って聞かなかった。
そんな彼女らをシルはずっと諌めていたのだ。
1時間諌め続けてやっと怒りを収めてくれたのだ。
彼女の仲裁がなければ今頃古教会は戦場とかしていただろう。
そんなファインプレーをした彼女は心身ともに疲れ切っていた。
しかし彼女の意識は何度も昨日の光景をリフレインしていた。
ベートが何か一言を言った瞬間に弾けるように席を立ち上がりそのまま彼に近づきその頭をテーブルに叩きつけたネロ。
その時のネロの激しい怒りに満ちたその表情を思い出していたのだ。
どうして彼があそこまで激情に駆られたのかは彼女には検討もつかなかったのだが、何か譲れないものがあるのは容易に見て取れた。
とにかく、その光景が彼女の脳裏に焼き付いて消えないのだ。
(困ったなぁ...)
いまは何も手につかなそうだ。
そんな彼女の様子を見ていたミアは何かを察したようで、その顔を少しいたずらに歪ませながら
「シールー?あんな男とは付き合っちゃいけないからねえ?あたしゃ許さないよ?」
と、いたずら半分で茶化すと
シルは顔を赤くしながら
「そ、そんなんじゃありません!」
と言いながら明後日の方向に顔を背けてしまった。
しかしこちらにかろうじて見えている耳は朱に染まっていた。
それを見てミアは
(...あれ?)
少し不安になるのであった。
と、その時
ドンドン、と豊穣の女主人の玄関の戸が叩かれる。
まだ通常時ですら営業していない時間だ。
どんな非常識なやつだ、とミアとシルは居留守を決め込んでいたのだが、あまりにもしつこく戸を叩くもので、ミアの我慢が限界に達して一発ぶん殴ってやろうと戸を壊さんばかりの勢いで開けた。
「誰だい!こんな時間に!」
するとそこには年端もいかない少女に連れられた
そして、店内。
テーブルに向かい合わせになって座っているネロ、ヘスティアとミア、シル。
ミアの顔はもはや鬼のような形相と化しており、その隣に座っているシルは心配そうな目をしてネロの方を見ていた。
もはや尋常ではない身の危険を感じているネロはこれは早々に誤って退散してしまおうと決め、ミアとシルの方を見て
「昨日は頭に血が上っちまって、喧嘩して店内をぐちゃぐちゃに荒らしちまってワリィ。許してくれ」
「ボクからも謝る。だからこの子を許してあげてくれないか?」
と、なぜか一緒に来ている少女と2人揃ってそう素直に謝罪した。
ミアは少し驚いたような顔をして
「.....どんな言い訳をしてくるかと思いきや、あんた、素直に謝れるんだねえ」
と、存外に失礼なことを言って来た。
それを聞いたネロは反射的に
「
と、皮肉を言ってしまう。
しまった、誤りにきたのにこれじゃ逆効果だ、と少し焦ったネロの予想とは裏腹にミアは豪傑(豪快ではない)にガッハッハと笑った。
「いやね、今まで
そう言いながらまたもや豪傑に大声を上げて笑うミア。
こいつは生まれる性別を間違えているのではないかと思わずにはいられないネロであった。
「...それじゃあ、許してくれるのかい?」
面食らいながらも正気に戻ったヘスティアがミアにそうたずねると、
「許すさ、今回だけあんたらの態度に免じてね。だけど次はないよ、覚えておきな色男」
そう言って席を立ち店の奥へと消えるミア
と、奥から顔をひょっこり出して
「あぁそれと、シルにはきちんと感謝しておきなよ?うちの奴らがみんなあんたらのとこ襲いに行こうとしてる中シルだけがあんたをかばってみんなを諌めてたんだからね。モテる男はツライねえ?」
などと言いながら再び奥へ消えていく
その話を聞いてネロは
「...また借りができちまったな。助かった、ありがとう」
と、シルに感謝の言葉を述べた。
シルは顔の前で手をバタバタと振って
「い、いえいえ!ネロさんが意味もなく喧嘩をするような人じゃないって私、わかってますから!当たり前のことをしただけです!」
そう勢い良くまくし立てるシルに少し苦笑するネロ。
出会ってからそれほど時間が経っているわけではないが、妹がいたらこんな感じなのだろうか、とネロは思わずにはいられなかった。
本人は謙遜しているが、助けられたのは事実だ。
ここではいそうですかとおめおめ帰るわけにはいかない。
それでは面目丸つぶれだ。
助けられてお礼をしないなんて、キリエに知られたらなんて言われるか、それを想像しただけで少し寒気がするネロだった。
「お礼がしたいんだ、俺に何かできることはないか?」
そう聞くと意外にも少しシルは考えた後
「じゃあ...あの夜なんで怒ったのか聞きたいんですけど...いいですか?」
少し聞きづらそうに上目遣いでこちらを見上げながらそう言ってくる。
それに対してネロは
「あー...」
と少し逡巡していた。
しかし、お願いはお願いだ。
自分から言い出しておいてやっぱりやめたは聞かないことくらいネロにも十分わかる。
「あっ、言いづらかったら言わなくても...」
ネロのわずかな逡巡を拒否と捉えたのか取り繕うようにそう提案してくるシル。
「いや、そう言うわけじゃないんだ。わかった、じゃあ理由を教える」
そうネロが返すとホッとしたように胸をなでおろすシル。
しかしそれと同時に隣から不穏な空気を感じたネロが隣に座っているヘスティアの方に目をやると彼女は恨みがましい目でこちらをジーっと見つめており、その柔らかそうな頰はリスのようにふくれていた。
ネロが何事かと思うとヘスティアは
「なんだいなんだい、ボクには話したがらなかったくせに、こんな小娘にちょっと色目使われただけで話しちゃうのかい。そうかいそうかい。」
と、ネロに聞こえるか聞こえないかくらいの声で言った後プイッ、とそっぽを向いてしまった。
構うと逆にめんどくさいことになりそうなのでそちらは放置しておいて、ネロは回答をシルに返す。
「あん時は...大事な人を否定されたんだ。それでカーッとなっちまって」
と、そう申し訳なさげに告げるとシルは得心がいったように
「やっぱりそうだったんだ...」
と、小さな声で呟いた。
「ん、なんか言ったかシル?」
何を言っているのかよく聞こえなかったのでそう聞き返すと
「い、いえいえ!なんでもないですよ!」
そう食い気味に否定された。
「ならいいんだけどよ...そういうわけなんだが俺の回答はお気に召したか?」
「はい!ありがとうございました、スッキリしました」
「それじゃあ、用も済んだし帰るか。今度またくるよ。そん時はまた話し相手でもしてくれ」
「任せてください!」
「いつまでもむくれてねえで、帰るぞヘスティア」
「フン、キミに言われなくたって帰るさ。」
そう言いながら店の外に出ていく2人を見てシルは自然と頰が緩むのを感じた。
(仲良しなんだなあ...)
2人が出て言ったのを見届けてからそろそろいい加減に寝ようと思って自分も店の奥に引っ込もうとすると
「ねえキミ」
と入り口から彼女を呼ぶ声が聞こえた
そちらを見やると、ネロと一緒の来ていた少女が戻って来ていて
「ネロくんはボクのなんだから、あんまりちょっかいをかけないでくれよな!」
そう言ってフン、と一度鼻を鳴らすとズカズカとまた外へ出て行った。
それはまるで子供が好きなおもちゃを取られないようにするかのようで、どこか微笑ましい気持ちになったシルはフフッ、と笑みをこぼし
「可愛いなぁ、あの子」
と、朝日に照らされた店内で1人呟く。
オラリオの1日は、まだ始まったばかりだ。
いかがでしたでしょうか?
とりあえずやったことの償いはしないといけませんからねえ...
ここからしばらく会話回が続きそうです。
どうぞお付き合いお願いいたします。