異世界で悪魔退治するのは間違っているだろうか 作:しゅーぞー
最近あまり戦闘シーンがなくて会話シーンが多く続いていますね。
それにしてもMission12を書くにあたって1巻を読み直していたんですが、やっぱフレイヤさんめっちゃエロいですね....
それでは本編をどうぞ
「ネロくん、ボク今日の夜ちょっと出掛けるね。多分明日の朝には帰ると思う。ちょっと帰るの遅くなるかもしれないけど、心配しないでね」
謝罪回りから数日経ち、ネロがダンジョンへ行こうと準備しているとヘスティアが唐突にそう話しかけて来た。
「あぁ、わかった。なんか用事でもあるのか?」
「うん、"神々の宴"に呼ばれててね。まあ実際は飲み食いして旧友たちと喋るだけなんだけどね。」
「へぇ、いいんじゃないか?楽しんでこいよ」
「うんっ」
「それはそうと、神々の集いっていうくらいなんだから、カミサマ共がたくさんくるんだよな?」
カミサマ共って...あまりに慇懃無礼な物言いにヘスティアは少し呆気にとられたが、すぐに気を取り直し
「うん、かなりの数参加してくると思うよ。みんな退屈してると思うし」
そう、何回も言うようだが神々は非常に娯楽に飢えている。
そんな奴らがこんな馬鹿騒ぎが出来るような催し事に参加しないはずがない。
ヘスティアは夜のことを想像して少し嫌になった。
「ならよ、そのカミサマとやらに聞いて置いてくれねえか?元の世界への帰り方を」
そうなのだ。
もともと彼は異世界からこちらに召喚されたようで、元の世界に帰らなければいけないのだ。
ヘスティアにはそう言った知識が乏しい為戻り方の検討は全くつかなかったのだが、他の神なら分からない。
もしかしたら知ってるヤツもいるかもしれない、と少し希望が生まれると同時に、寂しさも感じる。
それはおそらくネロが元の世界に帰ってしまう日を想像してのことだろう。
「...うんっ、必ず何か有益な情報を持って帰ってくるね!」
「あぁ、ありがとう。頼んだ」
そう言って2人は家を出、1人はダンジョンへ、もう1人はバイトへと向かうのであった。
そして、夜。
オラリオの各地でファミリアを率いている神々がこの日、とある敷地内で一同に介していた。
どこか胡散臭いオーラを放つ彼らを見下ろす建物は、一つ。
それはオラリオの中でひときわ目立つ異彩を放つものであった。
巨大な象の頭を持つ巨人像が、白い塀に囲まれただけのだだっ広い敷地に中で、胡座をかいてデン、と座している。
この意味不明の建物はこれでも歴としたファミリアなのだ。
浅黒い肌に引き締まった肉体を持つ眉目秀麗な神であるガネーシャが、なにをトチ狂ったか大枚をはたいて建造した巨大施設。
【ガネーシャ・ファミリア】の本拠、『アイアム・ガネーシャ』である。
構成員達の中でももっぱら不評を買っているこの建物の入り口はあろうことか先ほどの象の股間部分なのである。
『ガネーシャさんマジパネェっす』
貴族のように煌びやかな衣装をまとった神々がその入り口を笑いながら通って行く。
彼らは今宵のガネーシャが開催するパーティー、『神の宴』の来賓である。
『よく来てくれた皆のもの!俺がガネーシャである!ーーーーー」
外側とは打って変わって落ち着いた内装の建物内部の中心で、今回のパーティーの主賓であるガネーシャが煩いくらいの大声で挨拶をしている。
他の神々はもはやお約束となったその挨拶を聞き流しながらそれぞれ知己である
そんな群衆の中で、素早く動く影があった。
そう、我らが【ヘスティア・ファミリア】の
主神である、ヘスティアである。
持参したタッパーの中に出された食事を素早く詰め込み、それと同時に自分の口にも素早く詰め込んでいた。
理由は言わずもがな。
彼女のファミリアは困窮している。
日々ネロが稼いで来る
彼の実力なら一度潜れば一週間分ほどのヴァリスを稼いで来ることも余裕なのだが、本人にあまりやる気がないのか、運動程度に狩ってきて換金するのみのようで、一度そのことについてヘスティアが問い詰めたところ一言、"わざわざしゃがんで水晶を回収するのがメンドクセェ"と言い放たれてしまった。
なので豪勢な食事が山ほど用意されている今日に出来るだけ食べ物を回収していきたいのだ。
口に詰め込みすぎたせいでハムスターのようになりながらテーブルからテーブルへ移動しながら遊撃手さながらの動きで料理を回収していると
『あれ、ロリ巨乳きてんじゃん』
『ていうかあいつ生きてたのか』
『いや、あいつ北の商店街でバイトしてたぞ。客に頭撫でられてた』
『流石ロリ神.......!』
そんな目立つ行動をしていたので他の神々の目に止まるのも早かった。
自分がばかにされているのは目に見えているので、ヘスティアはちょっかいを出されない限り無視を決め込む心づもりであった。
むくむくと頰を動かしながら料理を咀嚼しつつ次のテーブルへ移ろうとしていると呆れたような聞き覚えのある声がヘスティアの耳に飛び込んできた。
「なにやってんのよ、あんた.......」
「むぐ?むっ!」
それに反応して振り向くと、瞳に映ったのは燃えるような真紅の髪と真っ赤なドレス。
線が細くありながら鋭角的である顔立ちは秘めた意思の強さを表していた。
耳につけた貴金属のイヤリングはむしろその炎のような美貌に力負けしている。
右目に大きな眼帯をした麗人が呆れた色をした左目でヘスティアを見下ろしていた。
「へファイストス!」
「ええ、久しぶりヘスティア。元気そうで何よりよ。........もっとましな姿を見せてくれたら私はもっと嬉しかったんだけど」
先ほどまでのヘスティアの醜態に呆れたように天井を見上げたへファイストスは腰まで伸ばした長髪をきらめかす。
いつ見ても綺麗な髪だなぁ、と思いながらヘスティアは嬉しそうな顔をして彼女に駆け寄る。
「いやぁよかった。やっぱり来たんだね。ここに来て正解だったよ」
「何よ、言っとくけどお金はもう一ヴァリスも貸さないからね」
「し、失敬な!」
そう、彼女、へファイストスこそがヘスティアが以前お世話になっていた神友なのだ。
付き合いは長く、親友とも呼べる間柄ではあるのだが、ここオラリオに住み着くようになってから全く働こうとしなかったヘスティアに対する信用はへファイストスの中でガタ落ちだった。
ついにへファイストスの堪忍袋の尾が切れて【へファイストス・ファミリア】から追い出された後のことあるごとにやれお金がないだの、仕事がみつからないだの、雨風をしのげる場所がないだので彼女の手を盛大に焼かせたのだ。
生来面倒見が良い彼女は放っておけず結局世話を焼いてしまっていたのだ。
結局、教会の隠し部屋をヘスティアに与え、今のバイトを探したのもへファイストスの手配りだ。
ヘスティアが自力で叶えたものといえばネロを【ファミリア】に加入させたことぐらいだ。
それも棚からぼたもちのようなものなのだが。
「ボクがそんなことをするような神に見えるかい!そりゃあへファイストスには何回も手を貸してもらったことはあるけど、いまはおかげでなんとかやっていけてる!ボクが親友の懐を食い漁る真似なんかするもんかっ!」
「たった今、普通にタダ飯を食い漁っていたじゃない」
「うっ......いやこれは、どうせ残るんだし......どうせ粗末に捨てるくらいならボクが有効利用してあげようかなー、なんて......」
「ほーほー、立派じゃない。そのケチ臭い精神。わたしゃあ、あんたのそんな姿に感動で涙が止まらないわよ」
「ぐぬぅ.......!」
勝ち誇ったようにハン、と鼻を鳴らすへファイストスに、グヌヌと唸るヘスティア。
そんな中コツコツ、と。
ハイヒールの楚々とした音が、へファイストスに背後から近づいてきた。
「ふふ......相変わらず仲が良いのね。」
「えぇ.....ふ、フレイヤっ?」
彼女はこの会場にいる他の神の容姿とは一線を画していた。
もはや超越していると言っても差し支えのないその美貌。
「な、なんで君がここに...」
「あぁ、すぐそこであったのよ。久しぶりー、ってはなしていたら、じゃあ一緒に会場回りましょうかって流れに」
「か、軽いよ、へファイストス......」
「お邪魔だったかしら、ヘスティア?」
「そんなことはないけど......」
常に微笑をたたえた女神が問いかけてくる。
ヘスティアは口を曲げながら言った。
「ボクは君のことが苦手なんだっ」
「うふふ、私は貴方のそういうところ、好きよ?」
そうからかってくるフレイヤにやめてくれよ、と手を振っていると
「おーい、ファイたーん、フレイヤー、どチビー!」
「もっとも......ボクにはもっと嫌いな奴がいるんだけどねっ」
「あらあら、それは穏やかじゃないわねぇ」
遠くから大声で名前を呼びながらこちらに近づいてくるのは、ロキ。
フレイヤの後の登場ということで二番煎じ感は否めなかったが彼女の容姿もヘスティアら同様に整ったものであった。
「あっ、ロキ」
「何しにきたんだよ、君は.....」
「なんや、理由がなきゃきたらあかんのか?今夜は宴。パーっと行こうってのが趣旨やろーが。むしろ理由を探す方が無粋っちゅーもんや。ほんま空気読めてへんな、このドチビ」
「.......!.........!!」
「顔がすごいことになってるわよ、ヘスティア」
彼女、ロキについてヘスティアが語る事は何もない。
この女は、敵だ。
「本当に久しぶりね、ロキ。ヘスティアやフレイヤにも会えたし、今日は珍しいこと続きだわ」
「あー、確かに久しぶりやなぁ。......ま、久しくないのもここにはおるんやけど」
糸目がちな目を少し見開いてロキが微笑を送る先は、彼女の美貌によって骨抜きになっている給仕から受け取ったグラスを傾けながらゆったりと微笑んでいるフレイヤであった。
「なに、貴方達どこかで会っていたの?」
「先日にちょっと会ったのよ。と言っても、会話らしい会話はしなかったのだけどね」
「よく言うわ、話しかけんなっちゅうオーラ、全開で出しとったくせに」
「ふーん。あ、ロキ、貴方の【ファミリア】の名声よく聞くわよ?上手くやってるみたいじゃない」
「いやぁー、大成功してるフェイたんにそんなこと言われるなんて、ウチも出世したなぁ。まあ、今の子供らは結構ウチも自信あるんやけどな?」
そう照れ臭そうに述べるロキには構成員達への情が見え隠れしていた。
「そういえば、ドチビのところにも変わった奴入ってきてたよな?」
ここで話の中心がロキからヘスティアへと移る。
変わった奴、と言うのはネロのことだ。
それもそうだろう、この前のオッタルとの一件でネロは有名人だ。
彼女らの興味を引くのも致し方ないことだろう。
もはや彼のことについて隠し立てすることは不可能だろう。
「うん、ネロくんって言ってね...ちょっとみんな顔寄せて」
「なんや、キスでもするんか、気色悪い」
少し戸惑いながらも他の3人が耳を寄せてくる。
彼のことについて相談するにはいい機会だろうと彼の生い立ちから今生じている問題までをヘスティアは包み隠さず話した。
へファイストスは言うまでもなく信用できるし、フレイヤは苦手だけどこう言う出来事には精通していそうで、ロキのことは嫌いだが彼女もフレイヤと同様にイレギュラーな問題に関しては造詣が深そうだった。
他の知らない
結果、フレイヤは何かを考えるかのように目を少し細め、ロキはいたずらっぽくニヤリと笑い、へファイストスは驚きをありありとその顔に映し出していた。
「別の世界から来ただなんて...本当なの、ヘスティア?」
「うん、朝に冒険者通りに
「んなことあるんやなぁ。まあアイツただの人間じゃないのは知っとったけど。悪魔入っとるもんな」
「...え?」
ロキの何気なく放った一言にヘスティアは心臓が縮み上がるような感覚に襲われた。
彼が悪魔であることは先ほどの話の中で一度も触れていない。
にもかかわらずロキは知っている。
「悪魔って、あの悪魔?」
すこし間の抜けた声でへファイストスが鸚鵡返しに聞き返す。
「せやな、あの悪魔やな」
フレイヤはあいも変わらずだんまりを決め込んでいる。
「なんでそれを....」
「いや、だってあの腕人間や獣人のものじゃないやん。としたら候補は絞られるやんか。まあ後は神様の勘って奴?他の
ずいぶんあっけらかんとした様子でヘスティアが隠そうとしていたことを暴露していくロキ。
でも知られたからには仕方ない。
「ろ、ロキ、そのことは.....」
「言わんとけってことやろ?分かっとるよ、なんの儲けにもならへんし。わざわざ言って回ったりせんから安心しろやドチビ」
「うん、ありがとね....」
珍しくしおらしいヘスティアにロキは少々面食らいながらも
「と、とにかく!悪魔うんぬんかんぬんは置いといて、元の世界に帰る方法やけど!」
「.....!」
「全くもってわからん!異世界転生モノとかラノベだけにしとけや!」
ロキの意味不明かつ堂々たる投げっぷりに口から言葉が出てこないヘスティア。
「私にも元の世界への帰り方は見当もつかないわ。役に立てなくてごめんなさいね」
頼みの綱であるフレイヤまでもお手上げであるらしい。
まあ仕方ないといえば仕方ないだろう。
ヘスティアも別世界から転生してくるなんて初めて聞いたのだ。
「ほな、ウチ他のやつにも挨拶しにいかなあかんから、またな。なんか分かったら伝えるけど、期待はすんなよ?」
そう言い残してヘスティア達の元から離れて言ったロキ。
「私も用事を思い出したから帰らせてもらうわ。またねヘスティア、へファイストス」
そう言って優雅に踵を返して去っていくフレイヤ。
彼女が去った後には仄かに鼻腔をくすぐる甘い匂いが残るのみだった。
結局何一つ掴むことができなかった。
ネロくんに何かを情報を持って帰る、と約束したのに...と落ち込むヘスティアにへファイストスは
「とりあえず...
そう優しく告げるのだった。
いかがでしたでしょうか。
今回から文頭の一字下げを導入してみたのですがいかがでしょうか、読みやすいでしょうか?