異世界で悪魔退治するのは間違っているだろうか 作:しゅーぞー
これをモチベーションにして頑張っていこうと思いますので応援のほど宜しくお願いします
あ、それと気付いたことやご指摘などございましたらお気軽にお教えいただければ幸いです
それでは本編をどうぞ!
フォルトゥナを離れてから一路ネロは依頼先へと向かって行った
その日もいつものように仕事先に到着し、いつものように依頼を遂行する...はずだった
異変は依頼通りに悪魔を斃している時に起こった
「
そう言いながら背中の剣(レッドクイーン)を抜剣しつつ高速で悪魔との距離を詰めるネロ
"スケアクロウ"
今ネロの周りを囲んでいる4体の悪魔の名前だ
その姿はピエロのような見た目であり、手に生えた鎌のようなもので敵の命を刈り取る恐るべき敵だ
しかし青年の前ではその程度の悪魔などは脅威たり得なかった
「ハッ!」
レッドクイーンの持ち手の部分を一気に回してアクセルをふかす
刀身から真っ赤な炎が轟!と吹き出す
その炎の熱量によってレッドクイーンの刀身が真っ赤に光る
剣を握る左半身に感じる圧倒的な熱量
ネロは自身に感じるその熱の熱さの勧めるまま手近にいたスケアクロウを一気に真っ二つに叩き切る
ソレは黒い粒子のようなものになって消えて行った
「
一旦悪魔どもから距離をとって手を叩きながらそう挑発する
その挑発を受け、三体のうちの二体がネロめがけて躍り掛かってきた
その二体はネロを撹乱するかのように同じタイミングで左右から襲いかかってくる
その2つの鎌が宙を閃く
それはネロの首をまっすぐに狙っており、このまま何もせずにいれば現世とオサラバ出来るのは目に見えていた
本来ならば食らって仕舞えばひとたまりもないその二撃をネロはサッと体を横に反転させただけで危なげなど全くなく華麗に回避した
そして自分のすぐ横を勢い余って過ぎ去っていく二体の悪魔のうちの一体の後頭部にブルーローズの銃身を押し当てもう一体にはレッドクイーンの刀身を押し当てた
乾いた発砲音と金属が肉を断つ音と共に悪魔の体は霧散した
「
あっけなく消滅する悪魔に思わずネロの顔に嗜虐の笑みが浮かぶ
残る悪魔は一匹、早々に決着をつけようとネロは地を蹴り宙高く跳んだ
「ハァッ!」
その裂帛の一言とともにネロに悪魔の血が流れていることを証明する右手が蒼い残像とともにグッと伸長した
そしてその手は地上で惚けていた悪魔のその無防備な胴を鷲掴みにしていた
悪魔は数瞬の間を置いてから自らの置かれている状況に気付いたようで必死に身をよじって逃げようとした、が、もう遅い
すでに自らの体は宙へと引き上げられ、相手の支配下に置かれていたのだから
「
その一言とともに悪魔は地面に物凄い勢いで叩きつけられ、断末魔の叫びをあげることすらなくこの世から跡形もなく消滅した
そのあと何事もなかったかの様に着地したネロは余裕綽々といった様子で右肩を回しながら呟いた
「終わったか...さぁて、帰るとする...!?」
か、と本来であればそのあとに続くはずであった言葉が紡がれることはなく
ネロは横っ飛びに飛ぶ
自分が先ほどまで立っていたところを見ると大きく抉られておりもし直前で気付いて回避していなければよくて致命傷、運が悪ければ即死だった事が嫌でも分かった
ネロは珍しく背中を冷や汗が伝うのを感じ、軽い恐怖心を吹き飛ばそうと急襲を仕掛けてきた主を探そうと後ろに目をやる
そこには驚きの光景が広がっていた
視界の先には一面異次元が広がっていた
それは比喩でもなんでもなく
いや、異次元と言っては語弊があるのかもしれない
よくよく目を凝らして観察してみればそれは大きな"口"であった
口の中は本来ならば歯や牙があって然るものなのだがそこにはただ"空間"があるだけだった
そう、それはあまりにも大きな
「
思わず呆然と目の前の異形を見つめてしまうネロ
その口の中は波面のように渦を巻いており、吸い込まれて仕舞えばひとたまりもないだろう
そうじっくりと観察していると突然その口が迫り、ネロを捕食しようとしてきた
「...っ!?」
凄まじいスピードで迫ってくるソレに思わず後方に回避行動をとったネロはその勢いのままソレとの距離を大きく離そうと試みた
意外なことにソレが追撃をしてくる様子はなく、その場でただ動かずに再び口を開けて佇んでいた
10mほど離れただろうか
遠目からよく観察してみると、ソレの全貌を見る事ができた
最大の特徴であるその口は大きさにして4、5mほどはありそうな巨大さであり、その体躯も口に準ずる様に巨大なものであった
四つ足をついて地をつかむソレはまるでワニの様な姿をしており、体の表面は分厚い鱗の様なもので覆われていて、並大抵の攻撃では傷すらつけられそうにない事がはっきりと分かった
それは悪魔と断ずるにしてはネロが見たことのないものであり、いったい何なのかさっぱりわからなかった
とその時、ネロは自らの体に違和感を感じた
まるで何かに引き寄せられるかの様な感触であった
地面を見ると周りの土などの少しずつ動くのがわかり、錯覚などではなく実際に引き寄せられていたのだ
何に引き寄せられてるのか
「
その答えは当然ソレにあった
その大きな口で周りのものを根こそぎ吸い込んでいるのだ
その吸い込む力はどんどん強くなっていっており、今はなんとか踏ん張って耐えているが、このままなんの対策も取らねばあの口の中に吸い込まれるのは火を見るより明らかだ
「何か...何かないか!?掴まれるようなもの...あれだ!」
そこでネロが目をつけたのは近くに生えていた太い樹だった
その樹はこの吸引力の中でも微動だにせず堂々とそこにそびえ立っており、地下に潜むその根の深さが十分に想像できた
その太い幹を掴めさえすればなんとかこの吸引に対抗できる様な気がしていた
「
その一言とともに彼の悪魔の血が流れている所以であるその右腕が伸び、その大樹の幹をひしと掴んだ
それを機にネロの体は停止した
なんとか危機を脱したことを理解したネロは
「あぶねぇ...危うくあのクソッタレの中に吸い込まれるところだったぜ...」
そう皮肉交じりに安堵の息を吐いた
しかし、ネロの想いとは裏腹にさっきとは違いソレの追撃の手が緩むことはなかった
むしろソレの吸引はさらに苛烈になっており、今や周りの少し大きな樹木までその渦巻く波間の中へ消えて行っていた
どんどん引っ張られる力が強くなる
唯一の頼りだった大樹も今ではミシミシと音を立てているのが右腕を伝わってくる
「マズいな、このままじゃ」
そうネロが切迫した声で言うのと寸分違わぬタイミングで
ミシミシミシ、バキバキバキッ!
と、音を立てて大樹が幹の半ばから真っ二つに折れた
「...
ネロの体は波間に吸い込まれて見えなくなってしまった
どんどん世界から離れていく
そんな奇妙な感覚にとらわれながらネロは落下していた
いや、落下していたのかすら定かではない
上昇していたのかもしれないし、ただその場にとどまっていただけなのかもしれない
しかし1つ確かなのは彼がソレによって飲み込まれてしまったという事実
不思議と恐怖心は感じなかった
その中は少し暖かく、怖いというよりはむしろ少し心地いいくらいだ
最近の激務で疲れ切っていた彼の体は、休息を欲していた
自然とまぶたが落ちていく
体が周りと溶けて混ざっていく様な感覚がして
ネロは、意識を手放した
青年がいなくなったその場所に残るは剥き出しの地面と無言で佇むソレだけであった
彼、ネロの存在は今その場から消えてしまったのだ
おそらくは遠く彼方のどこかの世界へ
そして彼の物語はようやく歩き始める
いかがでしたでしょうか
ようやく次回からオラリオ編に入ることができます!
描写にも今以上に一層力を入れていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします
自分的にはネロの煽りゼリフや英語ゼリフを書いてる時が一番楽しいですね笑