season in the sun   作:Orfevre

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紅白戦(3)

「美輪と西田、この回から3巡目だし、那須野も疲れてきてる。肩を作ってくれ」

 5回の表が終わると共に捕手の塩原は響と一人の男子に声をかけ、二人がブルペンに向かう。美代子が響を、美輪には岡部という男子が投球練習の球を受けはじめた。

 

「オレは美輪 駿英(びわ はやひで)、よろしく西田さん」

「うん、よろしく」

 美輪と西田が投球練習を開始した。同じタイミングでリリースされたボールがミットに収まるが、響の方が速く収まった。美輪は響の投げたストレートに驚きながらも、自らのペースを崩すことなく投球練習を再開した。

 

 打球音と共にベンチから様々な声が入り交じる。この回、先頭打者こそ打ち取ったものの、宮原と上尾に連打を浴びて1死1.2塁でクリーンナップを迎えた。

 マウンドでは、那須野が大きく息をしている。かなり疲れが見えてきているようだ。那須野では、キャブテンは抑えられない。

 そう判断した塩原は矢部に合図を送り、プルペンの方にいる美輪を呼んでもらう。響の方がいいのではないか、と思いながらも彼はマウンドへと向かった。

 

「ナイスプレー!」

 美輪は、初球のカーブをうまく引っかけさせ、田中山を6-4-3のダブルプレーに打ち取った。無論、雅を含めて野手陣の好守があってこそだが、これでこの回のピンチを切り抜ける。試合は6回の表を迎えた。

 

 先頭打者がショート後方のポテンヒットで出塁し、続く打者は美輪。ここで矢部が動いた。美輪に代打を出すようだ。1年生の戦力分析がメインであるが、初めてかつ非公式である以上、全員を試合に出すのが筋だろう。

 矢部が指名した代打は美代子、迫力のある素振りをしてから打席に入る。

--女だけど、パワーがあるな、ランナーを無視して変化球勝負だ--

 初球はスローカーブ、遅いうえに大きく曲がる暮羽の決め球。ランナーはこれを読んで盗塁を仕掛ける。

--しまった……!--

 タイミングは微妙だったがベースカバーに入った田中山のタッチが当たらずセーフ。先ほどのポテンヒットといい、どうも田中山は集中力を欠いているようだ。暮羽がタイムをかけ、田中山の方へかけよる。

 

「どうしたんだ、キャブテン?」

「さっきのカーブ、変な軌道を描いてて。まるで虹を描くような……」

 田中山は暮羽に事情を話す。どうやら先ほど打ち取られたボールに意識がいっているようだ。

「そうか、だがあいつには代打が出た。この試合中は心配ないな」

「そうだな、お前のいう通りだ。悪かったよ」

 田中山はそう言って暮羽をマウンドへと送り返す。暮羽はランナーが二塁に行ったことで開き直ったようにこの試合最速のストレートを投じる、美代子のバットはそれを完璧にとらえた。

 レフトのポール際、スタンドを越える特大の当たり、しかし、カレンの両手は上がっている。ファールの判定だ。

 静かになる両ベンチ。ほっとした先輩ベンチとがっくりした1年生ベンチ。追い込んだ暮羽が最後に選んだのはスローカーブ。やや甘く入ったが、フォームを崩された美代子はレフトフライにするのが精一杯であった。

 

「ストライク!バッターアウト!」

 続く矢部は暮羽の気迫の投球に屈する形での三振、打者は今日、打点をあげた雅を迎えようとしていた……。

 




いよいよ、中盤最大の山場、雅VS暮羽!

そして、響の初登板も近づいてきてるのでこうご期待。
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