もしも隣人部に友達の少ないヲタクが入部したら⁉︎   作:中井 修平

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【WARNING!】前回に引き続き、ミリタリー成分多めです、苦手な方はご注意を、好きな方は是非楽しんで下さい。


ロマンシング・佐賀で大暴れする裕翔②

暫く移動すると、雲行きが変わり、黒い雲が空を覆うようになってきた。

 

「皆さん着きました!あれが魔王の居るヴァルハラ城です!」

 

戦闘を行く理科が針の様なオブジェの生えた山の山頂に聳える城を指差した。

周辺には暗雲が立ち込め、雷がなっている。

 

「魔王を倒すまでのオフラインモードが、いわばチュートリアルです」

 

理科がゲームの説明を始める。

魔王を倒すまでの道程がチュートリアルになっており、敵の倒し方その他を慣れるようだ。

 

「チュートリアルで倒される魔王って……」

 

「小鷹、細かい事突っ込んだら負けだ、多分」

 

「試作品ですし、所詮は佐賀県の魔王ですからね」

 

小鷹が若干げんなりしているが、気にしたら負けだ。

 

その時

 

ヴヴヴヴヴ……

 

魔物の呻き声と共に、左手の地面に魔法陣が現れ、モンスターが出現する。

1つじゃない、幾つもだ。

 

「うぉっ!」

 

「もののけがあらわれましたね」

 

「何このエイリアン、超キモいんだけど……」

 

「まるでう○こなのだ!」

 

小鷹、幸村、星奈、マリアがそれぞれの反応を見せる、と、小鷹がモンスターを見て何かに気づいた。

 

「ワラスボ……ワラスボじゃないか⁉︎」

 

「あー、確かに似てるな」

 

魔物がワラスボによく似ている、流石佐賀県のゲームといったところが、こんな所で郷土愛が……

 

「何なのだ?ワラスボと言うのは」

 

夜空はワラスボについて知らないらしく、小鷹にワラスボについて聞く。

 

「九州・有明海に棲息する魚だ。九州に住んでた時に食った」

 

「あれをたべたのですか、さすがですあにき」

 

幸村が小鷹をヨイショする、そういえば、うちの親父も芦屋に居た時に良く食ってたな。酒のつまみで。

 

小さい頃だったからワラスボを知らず、胃に入ってあれが親父の腹を食い破って出て来るんじゃ無いかと心配して泣いた覚えがある。

 

「これは1番の雑魚、ワラスボ兵士ですね、見た目がエイリアンみたいなので採用されました!」

 

理科は腰を落とし、ホルスターからシングル(S)アクション(A)アーミー(A)を抜ける様に姿勢を整える。

 

俺はライフルのマガジンを確認し、左側のコッキングハンドルを引いて初弾装填。

 

「見た目か……」

 

小鷹は何故かがっかりした様な表情を浮かべ、星奈は自分の得物であるハンマーを振り上げる。

 

「じゃあ取り敢えずぶっ殺すわよ!」

 

「待ってくれ!」

 

小鷹が皆の前に立ちはだかり、攻撃を止める。

 

「見た目が怖いだけでモンスター扱いなんて可哀想じゃ無いか⁉︎ワラスボだって、好きでこんな姿に生まれたわけじゃ無いんだ!頼む、こいつらを見逃してやってくれないか⁉︎」

 

こいつ……どっちの味方だよ……

 

「優しいんですね、小鷹先輩」

 

「自分の境遇と重ね合わせたのか」

 

「いい人なのだ、お兄ちゃんは」

 

「まぁ、あんたらしいかもね」

 

理科、夜空、マリア、星奈が小鷹にそれぞれの言葉を投げかける。

 

「まぁ、特殊部隊だし、戦闘を避けて迂回し、城に直接向かう事も可能だな」

 

「皆……!」

 

小鷹はそれぞれの反応に感動仕掛け、今にも泣きそうだ。

 

「だが……」

 

ダンダンダン!

ダンダンダンダンダン!

 

俺のSCAR-Lと理科のシングル(S)アクション(A)アーミー(A)が同時に火を噴く。

理科はSAAの醍醐味であるファニングショットで次々とワラスボ兵士を撃ち倒し、俺はホロサイトで狙いをつけ、セミオートで眉間を撃ち抜いていく。

 

「喰らえ!」

 

夜空は薔薇の触手を伸ばし、ワラスボ兵士を刺し貫く。

 

「ワラスボーーーー!」

 

小鷹の絶叫が木霊するが、戦闘中の俺達には響かない。

こっちに至っては銃声で聞き取りにくくなっている。

 

「何でだよ⁉︎何で殺すんだよ⁉︎」

 

「え?だってキモいし……」

 

星奈が巨大なハンマーでワラスボを叩き潰しながら言う、全くの同感だ。

 

「気持ちはわかりますが、倒さないと先に進めません!」

 

「奴らの死は無駄では無い!経験値として、私達の中に生き続ける!」

 

夜空が薔薇の触手をウネウネさせながらいい事を言った風に言う。

目の前の潰れたワラスボからは、緑色の体液が飛び散っていて気持ち悪さを加速させる。

マリアですら魔法の杖で殴り潰し、倒れたワラスボ兵士にトドメを刺していた。

 

「ぶしのなさけです」

 

幸村は日本刀を抜き、虫の息のワラスボ兵士を介錯していく。

 

「ボサッとするな!攻撃を続けろ!」

 

ワラスボ兵士の群れにMK3A2をピンを抜いて投げる。

攻撃手榴弾は開けた場所で威力を発揮した。

しかも、投げた手榴弾は元のポーチに戻っている。

 

更に群れに向かってM240E6をバイポッドを立てて機銃掃射していく。

右側面のコッキングハンドルを引き、ELCAN SPECTOR DR切替スコープを覗きながら大体3〜6発ずつ指切りバーストで射撃、あっという間に群れは一掃された。

 

「何で攻撃して来ないんだ?」

 

「未完成品なので、まだ敵の行動パターンがプログラムされていないみたいですね」

 

そうなのか……道理で倒した時に手応えが無い……

俺は最後の数体を倒す為にAT-4CSを取り出す。

噴出口近くのピンを抜き、サイトを展開、ストックを起こし、レバーを発射位置へ。

発射スイッチに指をかける。

盛大なバックブラストが出るため、後方の安全確認。

 

「せ、切なすぎるぜ……」

 

小鷹が涙ぐみ始める。

 

「ワラスボはなぁ……!見た目は怖いけど!美味しいんだぞー!」

 

発射。

 

ドォン!

 

小鷹の脇をすり抜けた84mm砲弾は見事最後の群れに命中し、丸ごと吹き飛ばした。

 

「殲滅完了!」

 

俺はAT-4CSを背負い直した。

 

すると。

 

テレレテッテッテー

 

何かの効果音、理科がその正体を明かす。

 

「あぁ、レベルが上がった様ですね」

 

「あにき、わざが増えました」

 

「魔法を覚えたのだ!」

 

皆にも何らかの変化があったらしい。

俺もメニューを開く。

スピードとエイムアシストで命中率が向上しているらしい。

 

小鷹は「明日を信じる力」と言うスキルを手に入れたらしい。

 

「信じているだけでは何も変わりません、実際に行動しましょう……か」

 

小鷹はメニューを閉じて一言。

 

「うざ」

 

===========================

 

ワラスボモンスターとの交戦はパターン化し、まずは俺が遠距離から掃射、撃ち漏らしを理科が片付けながら星奈、夜空、幸村が突撃する。

これで大方は片付く、それでも漏れた場合は俺が小銃で狙撃、近距離に敵が現れた場合は拳銃を発砲してどうにかなった。

 

そして俺達はワラスボを倒し続け、魔王のいるヴァルハラ城へと到着した。

ギギギ……と唸る扉を開けると、中はかなり広い。

 

「止まれ!何か見えた」

 

ヘルメットに装着されている暗視装置で何かを確認、暗視装置を外して拳銃を抜き、ウエポンライトで前を照らすと、ワラスボの大きな目と牙が。

その瞬間、広間に松明が灯され、明るくなった広間に魔王が鎮座しているのがわかる。

 

「魔王もワラスボかよ!」

 

そのワラスボ魔王は巨大なトマホークを振りかぶると、思い切り振り下ろす。

 

「うわっ!」

 

「いきなり襲いかかってくる魔王って何なのよ⁉︎」

 

星奈が驚きの声を上げる、当然の反応だ。

 

「まだセリフも用意されていなかったみたいです!」

 

理科がSAAを発砲、頭部に弾かれる。

 

「硬い!」

 

「45口径じゃダメだ!くっ!」

 

ドダダダダダダダダ!とM240の弾丸を腹部から頭部にかけて撃ち込む。

一応ダメージは通っている様だが、簡単に弾かれる。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁ!」

 

星奈が突撃するが、危険すぎる。

 

「星奈戻れ!」

 

俺が声を出したのと星奈がハンマーを叩きつけたのは同時だった。

 

ダメージは通った!しかし星奈が振り払われ、地面に向かって堕ちていく。

叩きつけられる寸前に俺は星奈を受け止めた。

 

「星奈!大丈夫か⁉︎」

 

「う、うん。大丈夫だけど、HPが半分近く減っちゃって……」

 

「待ってろ、全員聞け!作戦を立てる為に一時後退する!」

 

「てきにうしろをみせるのですか⁉︎裕翔のあにき!」

 

「いいから下がれ!犬死する気か⁉︎」

 

俺は星奈の肩を左手で支えながら移動、ホルスターから拳銃を抜いて発砲する。

7.62mm弾が弾かれたんだ、9mmなんて豆鉄砲以下だ。

俺達はバラバラに下がり、近くの岩陰に隠れた。

 

「星奈、メディカルポーチにファーストエイドキットがある」

 

俺は胸のポーチから拳銃用の予備弾倉を取り出し、拳銃に再装填。

背中のメディカルポーチから衛生キットを取り出す。

 

【ファーストエイド・キット】

HPを減った分の半分程回復出来る。

 

2つ程取り出すと、星奈のHPも問題無い位には回復した。

 

「星奈、大丈夫か?」

 

小鷹、理科、夜空が駆けてくる。

岩陰に幸村も集合した。

 

「ま、マリアは⁉︎」

 

「待って下さいね……あ、マリアさんソファーで寝てます」

 

理科が外の状況を確認すると、マリアが微動だにしない理由を明らかにする。

マリアのキャラは皆で引きずって岩陰まで"持ってきた"

 

「どうする?」

 

「奴は攻撃力が高すぎる、防御力もだ」

 

俺は作戦を立て、皆頷くと、その準備に入った。

 

「いいか小鷹、お前にこの機関銃を預けるから、上の岩陰から援護射撃しろ。俺はATで奴の足下を崩す、後は全員で頭部を集中攻撃だ」

 

小鷹には簡単に銃の扱い方をレクチャーし、無線機を預けた。

小鷹は機関銃を背負い器用に岩を登っていく。

 

「準備はどうだ?」

 

『バッチリだ』

 

「撃て!」

 

『了解!』

 

小鷹が位置に着いたらしい。

早速射撃を開始、早い射撃音が上から聞こえ、薬莢が降ってくる。

火線は顔を狙っている、良い判断だ。

俺は指でカウントをとる。

 

3……2……1……

 

岩から飛び出し、既に発射準備を終えていたAT-4を撃つ。

 

ドン!

 

成形炸薬弾が魔王の地面、いや、膝に命中して前のめりに倒れこんでくる。

 

膝は完全に折れ、緑色の体液が吹き出ている。

 

「突撃ィィィィィイ!」

 

「うりゃぁぁぁぁ!」

 

「はぁっ!」

 

三者三様の叫び声を上げ、頭部に攻撃を集中させる。

魔王は腕を振り上げて彼女らを潰そうとするが、その腕にまたAT-4を叩き込む。

AT-4は実際には使い捨ての無反動砲だが、流石はゲーム、砲弾は無限だ。

リアリティが無い……とか言うツッコミはスルーだ。

 

相変わらず小鷹の銃弾は嵐の様に魔王の身体を叩き、HPを削る。

 

「あなたはおわりです」

幸村は腕の傷口を更に抉る。

 

「ローズ・ファイアー!」

夜空は動かない様に触手で拘束しつつ、皮膚に穴を開けていく。

 

「せいっ!」

星奈は巨大なハンマーを頭に叩きつけ続ける。

 

「私はほぼ何もしてないんですけど⁉︎」

理科はファニングショットで傷口に射撃し、柔らかい部分からHPを奪う。

 

俺は小銃で弾丸を撃ち込み、ダメージを与えていく。

30発撃ち切った、マグキャッチを押して空の弾倉を外す。腹のポーチから予備弾倉を取り出し、再装填、ボルトストップを押して完了。

更に弾丸を浴びせる。

 

「はぁぁぁ!」

 

「ぇえい!」

 

ズゴォン!

バシュッ!

 

夜空の触手がワラスボ魔王の目玉を突き破り、星奈が頭を叩き潰した。

 

「仕留めた!小鷹、撃方やめ、仕留めたぞ!」

 

「やったぁ!」

 

「よしっ!」

 

「さすがですあにき」

 

「体験版とはいえ、手強かったですね……所詮は佐賀県の魔王と侮ってました」

 

皆がそれぞれ息を吐く。

魔王をなんとか倒し、ゲームクリアとなった。

 

===========================

 

「ふう……」

 

ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を外して一息つく。

 

……何か人増えてる……

 

金髪を2つに縛ったオッドアイのゴスロリ少女だ。

そして変なうさぎのぬいぐるみを抱いている。

 

「……誰?」

 

「くっくっく……我はレイシス・ヴィ・フェリシティ・スメラギ……偉大なる夜の血族なり……」

 

「あっ!小鳩⁉︎」

 

ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を外した小鷹がそのゴスロリ少女を見て声を上げる。

 

「くっくっく……我が半身よ、何時も遅くまで何をやっているかと思えば、この様な子供騙しな遊びをしているとは……」

 

「何このアイリスそっくりな子!小鷹の知り合い?」

 

小鳩、と呼ばれた少女に見惚れながら星奈が言う。

 

「妹、俺の妹の羽瀬川小鳩だ」

 

「あんたの妹がこんなに可愛い訳無いじゃない!」

 

星奈、お前自分で聞いておいて……

そして俺も小鷹の妹とは初めてあった。

 

「本当だ!んで、小鳩、お前何しに来たんだ?」

 

「我が眷属である貴様が、最近我への奉仕を疎かにして下らぬ人間共と戯れている故に、監視しに来たのだ」

 

小鷹の問いに答える小鳩、あれか、いわゆる厨二病ってやつか。

最近やっているアニメ"(くろがね)死霊術師(ネクロマンサー)"で、こんなキャラが居た気がする。

 

「つまり、小鷹先輩が自分より部活を優先しているのが気に入らないから、様子を見に来た、と言う訳ですね?」

 

「ち、ちゃうもん!」

 

あ、今一瞬素に戻った。

九州地方の訛りが抜けてないっぽいな。

 

「ヤダこの子、ブラコンってやつ⁉︎どうしよう、"もふもふ"のリッカちゃんみたいで可愛い!」

 

星奈は両手を頬に添えて悶える。

 

「何でもゲームに例えるな気持ち悪い」

 

「確かに帰りが遅いのは悪かったな、そうだ!毎週日曜日にはとんこつラーメン作ってやるって言うのはどうだ?」

 

夜空が星奈をバッサリ切り捨て、小鷹は小鳩を納得させる為の条件を出す。

 

「とんこつラーメン⁉︎毎週⁉︎にんにく沢山入れてくれる⁉︎」

 

「ああ、良いぞ」

 

「やったーーー!」

 

結構簡単に釣れた。とんこつラーメンめっちゃ好きだなこの子。

 

「休みの日には手間のかかる料理も作れるし、それに弁当も」

 

「お弁当……」

 

小鳩の表情が一瞬で変わる。

何だか寂しそうな雰囲気だ。

 

「お兄ちゃん!」

 

あ、マリアが起きた。

マリアはソファーから立ち上がると小鷹に駆け寄り、腕に抱きつく。

 

「魔王は倒したのか?無事で良かったのだ!」

 

「ああ、倒したぜ。半分くらい裕翔のお陰だけどな」

 

「あら、最後にダメージを与えたのは私よ?」

 

「いや、魔王を拘束し、ダメージを与えやすい状況を作って勝利に最も貢献したのは私だ」

 

「あーはいはい2人のお陰で良いよ」

 

「「良くない!」」

 

夜空と星奈が仲良くいがみ合っている中、マリアは空気も読まず小鷹にお兄ちゃんお兄ちゃんと擦り寄る。

それを見てどんどん不機嫌になっていく小鳩を見逃さなかった。

俺は耳を塞ぐ、もうすぐ俺の嫌いな声が飛ぶからだ。

 

「……アホーーーーーーーッ!」

 

「アホーッ!」

 

「アホーッ!」

 

「アホ!アホ!アホ!」

 

小鳩の金切り声が部室を満たし、皆が驚いて固まる。

 

「アホとは何だ⁉︎アホって言う方がアホなんだぞ!」

 

マリアがそう言い返す。

小鳩vsマリアの喧嘩が始まる。

 

「うるさいアホ!」

 

「何なのだお前は⁉︎」

 

「小鳩、俺の妹だ」

 

小鷹が全くわかってなかったらしいマリアに小鳩の正体を明かした。

 

「ぇ?こいつがお兄ちゃんの妹なのか?」

 

「またお兄ちゃんって言った⁉︎わ、我は……」

 

と言うと小鳩は横ピースの指の間に目を出し、こう言う。

 

「妹などではない」

 

「ぅえ?妹じゃないのか?」

 

「妹だ」

 

「妹らしいぞ」

 

「我は1万年の時を生きる夜の血族……貴様ら教会の犬どもと長き戦いを繰り広げてきた、人間どもには吸血鬼と呼ばれ畏れられている存在だ……」

 

「吸血鬼……!知ってる!怖い奴だ!」

 

小鳩、厨二病ワールドを展開する。

それを見ていた裕翔、痒さに耐えきれずに100のダメージ。

これは見ていてイタい……

 

「何で吸血鬼がここに居るのだ⁉︎」

 

「我が血を分けし半身が、神の手先に毒されぬ様にだ……!」

 

厨二病ワールド、終了。

 

「戯れに部活とやらに入部するのも悪くない」

 

「ってお前、中等部だろ?」

 

小鷹が小鳩をなだめる。

が、星奈が助け舟を出した。

 

「中等部の生徒が入部しちゃいけないって規定は無かったわよ?」

 

夜空が顎に手を当て、考え始める。

 

「……ま、妹なら問題無いか」

 

「へ?」

 

「いや、私も特に反対する理由は無いな、友達も居なさそうだし」

 

「夜空、小鷹にも小鳩ちゃんにも失礼じゃ無いか?」

 

「くっくっく……夜の闇だけが我の唯一の友……」

 

「やっぱ友達居なかったのかの……」

 

「まぁ、こんな見た目で性格ならそうだろうな」

 

マリアが猛烈に反対しだすが、小鳩が言い返し、また喧嘩の火種が燃え上がる。

 

「お前死ね!神の名の下に私が裁いてやる!」

 

「貴様こそ我が闇の力に屈するが良い!かつてこれが教室を震撼させた闇の力!」

 

ハセガワ菌タッチ!

 

小鳩がマリアを触り、意味を理解したマリアが今度は小鳩にタッチ返し。バリアー、と延々と続く。

 

「あー、俺ん時もこんなんあったな、菌ゲーム。ゲームっつーよりイジメだな」

 

「ハセガワ菌タッチはやめろ……!」

 

「片付け……しましょうか」

 

理科の提案に皆が脱力しながら乗った。

 

===========================

 

片付けが終わり、それぞれの帰途につく。

俺はいつもの如く星奈を送っていた。

星奈は学園からバス停1つ分なので、歩いて学園にも来れる。

 

「今日のは楽しかったわね」

 

「そうだな、魔王も倒せたし」

 

自転車を押しながら俺は星奈と話す。

 

「モン狩りの時は、ボスモンスター倒せなかったけど……」

 

「アレは夜空の馬鹿がやらかしたからよ」

 

「ストッパー役の俺が死ななきゃ倒せてたかもな」

 

話しながら歩いていると、すぐに柏崎邸の前に到着する。

今日はステラさんの出迎えは無い。

 

「あ、そうだ」

 

俺はカバンの中の物を思い出し、カバンを開けて取り出す。

取り出して星奈に差し出したのは"戦場3"のソフトだった。

 

「星奈、プレ3持ってたろ?これ貸すから、後でオンラインで一緒にやろうぜ」

 

星奈はソフトを受け取り、パッケージを眺める。

 

「シューティング?」

 

「そ、ファースト(F)パーソン(P)シューティング(S)って奴だ」

 

「わかった、ちょっとだけやってみてあげるわ!感謝しなさい!」

 

「おう、ありがとな。じゃ!」

 

と言って俺は星奈と別れ、自転車を漕ぎ出す。

また今日も、平和な1日が終わった。

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