もしも隣人部に友達の少ないヲタクが入部したら⁉︎   作:中井 修平

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裕翔vs夜空______旧校舎の決闘

その日、俺は帰宅後、夕飯を作って食べたり、いつもの様に過ごしていた。

課題をなるべく早く終わらせようと化学と物理の課題を進める。

物理はともかく、化学は結構得意な分野だ。

 

お陰で未だ、化学で赤点を取った事がない。

 

ガリガリと課題の問題集を進める事2時間……午前1時頃、化学で出されていた課題が終了。

そこから30分程、今度は物理の問題集を進めていると。

 

……prrrrrr…prrrrrr……

 

1階にある固定電話が鳴り始める。

その音に一瞬驚いて身構え、心拍数が上がったがすぐに冷静を取り戻す。

 

「……誰だよこんな時間に……兄貴か?」

 

俺は部屋の階段を降り、リビングの固定電話を取る。

 

「はい?もしもし?」

 

『ひゃっ⁉︎あっ!あの、もsy……もしもし?』

 

カミカミで電話に出たのは女の声だった。

イタズラか……と思ったので一旦電話を切る。

 

その10秒後、再び固定電話の呼び出し音が真っ暗なリビングに鳴り響く。

 

「……はい?」

 

『あっ、あっ、あの!もしもし?あたし…くし、柏崎星奈と申sy…申しますが、高岡裕翔さんのお宅で間違いないでしょうか?』

 

上ずった声で電話をかけて来たのは星奈だった。

 

「……お前か、何だよ星奈?」

 

『へっ⁉︎裕……翔?』

 

「あぁ、そうだけど……」

 

『……馬鹿っ!あんた電話越しの声が恐すぎるのよこの馬鹿っ!もうちょっと普通に出なさいよ!』

 

いきなり電話口で罵られた……何なんだ一体……

 

「お前なぁ……今何時だと思ってんだよ、真夜中だぞ?」

 

『そんな事より』

 

そんな事……もう俺は何かを諦めた。

 

『小鷹の携帯ってどういう奴か知ってる?ほらメーカーとか型番とか色とか』

 

あっ……と俺は察した。

星奈は小鷹と同じ携帯電話を買おうとしているのだ。

多分夜空に対して優越感を感じたいからだろう。

 

「何で俺に聞くんだよ、小鷹に聞けよ」

 

『だって、あんた小鷹とアドレス交換したんでしょ?知ってると思ったんだけど』

 

「今日はしてねぇよ、明日するつもりだ」

 

『ふーん……まぁいいわ、それじゃ』

 

ブツッ……ツー、ツー、ツー……

 

電話が切れた。

 

「……全く、こんな時間に非常識な……」

 

俺は新たな紛争の雰囲気を感じて、ため息を吐きつつそう言った。

多分、初めに感じた違和感は、これなのだろう。

 

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翌日。

俺はいつも通りの時間にいつも通りの荷物を持って家を出て、部活に向かう。

 

勿論途中で昼飯を買っていく。

バランスを考えて、サラダも一緒に買う。

 

今日は夜空と射撃で決闘をする日だ。

その為に今日のソフトケースの中身は前に使ったスナイパーライフルだ。

 

自転車を自分の駐輪機に置き、礼拝堂へと急ぐ。

扉を開けると、いつも通りエアコンの涼しい空気が廊下へと流れ出る。

 

「おう」

 

「おつかれさまです、裕翔のあにき」

 

いつも通りフラットな声で幸村が答える。

理科がテーブルにノートパソコンを置き、何かを打ち込んでいる。

 

「あ、裕翔先輩、こんにちは」

 

「よう理科、システムチェックは?」

 

「ちょうど今終わりましたよ、はい」

 

と言って、理科はノートパソコンについているUSBメモリを抜き、カバーを付けて俺に渡す。

実は少し前に俺が理科にチェックを依頼していたシステムの最終調整を頼んでいたのだ。

俺と友人の独自開発だ。

 

「しかし先輩エグいこと考えますね……理科はそのエグさに感じてしまいそうです!!」

 

「やめろ」

 

そういった俺はケースを置く。

さて……

 

「夜空!」

 

俺は窓際で座って本を読む夜空に声を掛けた。

 

「何だ裕翔」

 

そしてケースを指差して、宣戦する。

 

「勝負だ!」

 

前々から言っていた射撃での決闘だ。

しかし……

 

「ふん、私もそんなに暇じゃないんだ」

 

あ、あれ……?

もう一押し……!

 

「あれ?受けて立つって前言ってたよね?それとも、俺に負けるのが怖いのかな?」

 

ピクリ、と夜空の方が動いた。

読んでいた本から視線を離し、俺を睨みつける。

止めとばかりに俺は言い放った。

 

「負けるのが怖いなら、仕方ないな……」

 

「……良いだろう、相手になってやる」

 

よし、乗って来た。

俺はソフトケースを担ぐ。

 

「幸村、理科、一緒に来てくれ。公正な目で見て欲しい。夜空、旧校舎に来い」

 

「ふん、私に敵うわけがないだろう」

 

===========================

 

という訳で、空き缶探しから始める。

現在旧校舎にあるこの間使った空きカンは3つ。内無傷の空きカンは1つなので、後4つは必要だ。

 

自販機で缶コーラでも買ってくるか……と思い礼拝堂を出て自販機コーナーに向かう。

 

「お〜い、そこの危ない目つきの子羊ちゃん」

 

何か聞こえたが無視。

 

「ちょいちょい、君の事だよ、子羊ちゃん」

 

声のする方を見ると、ベンチで踏ん反り返り、缶コーラのタブを開けるシスターが1人。

 

「俺すか……?」

 

「君だよ君君」

 

見た目は俺より年下のシスターが俺を呼び止める。

あぁ、俺か……などと冷めた思考で振り返った。

呼び止められる節が……あり過ぎて分からない。

勝手に旧校舎入った事か?学校に銃に(と言ってもエアガンだが)を持って来ている事か?

 

「何ですか?えっと……」

 

よくよく考えたら、職員であるシスターには話し掛けた事がなかった。

ミサや集会でシスターが話していても右から左だし、ミッションスクールとは言っても俺は無宗教だし。

この人壇上で話してたっけ?名前がわからない……

 

「高山ケイト、生徒からはケイト先生とかマザー・ケイトとか言われてる。ほら、隣人部にマリアってシスターいるでしょ?」

 

「あー……」

 

「姉だ」

 

あぁ、マリアのお姉さんか……ん?教員?

 

「って幾つなんですか……?」

 

「女性に年齢を聞くとはデリカシーがあんま無いみたいだねぇ、15歳だよ」

 

うわ、俺より下かよ……

15歳でにしてはスタイルが良い……

 

「君、何か失礼な事考えてないかい?」

 

「いえ、何も。で、何か用でしょうか?」

 

「んー、君の目はちょっと迷っている目に見えたもんで、呼び止めたのさ」

 

ゲッフ、とコーラを飲んでゲップを出す残念ぶりを見せる。残念さはマリア以上かもしれん。

 

「んで、正直に話してみ?君に必要な物はなんだい?」

 

必要なもの、必要なもの……

俺はケイトの周囲に視線を巡らせ、彼女が踏ん反り返っているベンチに置いてあるものを指差した。

 

「それ……コーラの空き缶下さい」

 

「……はぁ?」

 

===========================

 

事情を話すと、納得してくれた。

 

「なるほどね……最初私は空き缶に口つけて間接キスでもするのかと……」

 

「んな事するかっ」

 

まぁ、隠しても仕方ないんで、射的の的にすると言ったら、レフェリーもやってくれると言う。

 

「だからって350mlの缶をこんな乙女に一気に飲ませる事も無いんじゃないの……?ゲフ……」

 

「仕方ないんだ、4つ必要なんだし……」

 

と言う俺は4つの空き缶を持ち、旧校舎に入る。

ってか、職員であるケイトが旧校舎侵入を黙認して良いのか……?

 

それを聞くと、この旧校舎の1フロアの管理を任されているのはケイトだと言う。

 

既に来ていた夜空、理科、幸村と合流、長い廊下の45m先に空き缶を横並びに5つ置く。

 

空き缶の後ろにはダンボールを置いている為、外した弾が窓ガラスなどに襲い掛かる事は無いだろうが、跳弾が怖いので全員にゴーグルをつけさせる。

 

「しかしまぁ……ケイト先生までレフェリーをやるとは……」

 

夜空はそんな事を言いながら準備をしている俺を見る。

腹這い(プローン)で撃つ事を想定してダンボールを敷き、その上にVSR-10を二脚(バイポッド)を立てて置く。スコープの微調整……斜線がレティクルの中心に来るようにする。

 

「んじゃ、夜空。お先にどうぞ、何なら試し射ちもしていいぞ」

 

俺は位置を夜空に譲り、横に立って扱い方をレクチャーする。

 

「引き金はここだ、ここを引くと撃てる。1発撃ったら、このレバーを上げて、引いて、押し込んで、下ろす。そうするとまた撃てるようになる」

 

「ふむ……ではやってみよう」

 

夜空がボルトハンドルを起こしてボルトを前後させ、初弾を装填。

試射しているウチに、俺はいつものベルトを身につける。

 

数回の試射の後、夜空が「よし」と言う。

 

「いいか?」

 

「あぁ、いつでも」

 

俺は得点ボードを持つ幸村に目配せ、幸村は頷き、準備が出来たようだ。

 

「よーい、スタート!」

 

理科がストップウォッチで計測を始める。

今回は"時間・命中率"で競う。

ルールは「装弾数10発、号令と共に撃ち、命中弾と撃ち終わった時間をカウントする」だ。

ボルトアクションは時間には不利だが、命中率はどのライフルよりも優れている。

 

バン!

 

カァン!

 

初弾が命中率。精度を重視してサイレンサーを付けていないVSR-10の初弾は、缶を倒した。

夜空は「当たった……⁉︎」と少し驚いている。

 

慌てて次弾をコッキング。

引き金を引く。

 

バン!

 

カァン!

 

破裂音の後、6mm・0.25gのバイオBB弾が飛び出し、安定した弾道を見せた。

 

次発、装填。

発砲。

 

再び命中、残りの缶は2つだ。

ボルトを前後させ、装填。

夜空は引き金を引く。

 

空き缶は甲高い音を立ててBB弾に弾かれるように倒れる。

 

「「「おおお……」」」

 

「残り……1つ」

 

言いながら夜空は次弾を装填。

引き金を引く。

 

バン!

タン!

 

返ってきたのは、金属音の代わりにダンボールにBB弾が当たる音だった。

 

「くっ……!」

 

5発目を外した夜空は、悔しげに唇を噛むと、次弾を装填して発砲。今度は命中して空き缶を倒した。

空き缶が倒れたと同時に、理科がストップウォッチを止める。

 

「22.68秒、6発発砲、5発命中」

 

「おおっ、いいスコアだな」

 

初めてにしては中々……と言うかかなりいいスコアだ。

しかし夜空は納得していない模様。

 

「じゃ、次は俺だな……」

 

俺はそう言うと、伏せ撃ちしていた夜空のスペースの隣に立つ。

 

「あれ?裕翔先輩これ使わないんですか?」

 

ストップウォッチを持つ理科が俺にそう問いかける。

俺は笑みを浮かべ、こう言った。

 

「俺が使うのは、こいつだ」

 

言いつつホルスターから拳銃を抜く。

そして空き缶を立て直し、マガジンにBB弾を5発入れる。

 

それを拳銃……P226に叩き込み、初弾を装填してホルスターに戻す。

 

「そんなハンデをつけて外したらカッコ悪いなぁ」

 

そう夜空が挑発するが、俺は気にしない。

目を閉じて集中力を高め、脱力。

ふぅ……と息を吐き、目を開ける。

 

「……良いぞ」

 

「ひゃっ、はい!では……よーい、スタート!」

 

理科がそれを言ったのと同時に俺は拳銃を抜いて狙いを定め、ガク引きしない様にゆっくり引き金を絞る。

 

バンバン!バン!バンバン!

 

あっという間に5発を撃ち切った、スライドがホールドオープンしている。

 

的である空き缶は______全て弾き飛ばされていた。

 

「おぉ……」

 

ケイトが拍手している。

 

「これは……」

 

「裕翔のあにきのしょうり……ですね」

 

「いや、結構賭けだったんだ」

 

そう、実際これは結構賭けだった。

夜空が勝っていた可能性もあったかもしれない。

 

「まぁ、夜空は初めてにしては頑張ったんじゃないか?」

 

「……ふん、今度は負けんからな」

 

夜空と俺との決闘は、俺の勝ちとなった。

 




2週間に1回って結構キツイな……他の連載が止まってしまう……
と言う訳で、「不定期でもいいよー」って方が居たら教えて下さい。不定期になっても絶対に完結させます。
「更新あくしろよ」って方は、一応次回は2週間後に投稿する予定ですが、更新されなかった場合は本当に申し訳ありませんが、もう1週間お待ち頂きたい……!
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