もしも隣人部に友達の少ないヲタクが入部したら⁉︎ 作:中井 修平
モンスター狩人の世界、青い空をドラゴンが飛んでいる。
夜空は
ネームはNight、"夜"空から取ったのだろう、シンプルでいい感じのネームだ。
対する星奈は白を基調にしたドレスの様な冒険服だ。
背中に蝶を模した飾りを背負い、髪飾りもついている。
大剣を背負い、いわゆる
ネームはセナ、そのままだった。
そして小鷹、全身に甲冑を纏い、長髪をしていた。
背中にはバトルランスを背負っている為、
「お待たせ」
「何だその変な格好は……」
早速夜空に突っ込まれる。
「しょうがないだろ、まだ始めたばっかなんだし」
「装備じゃなくてキャラ自体の事だ、悲しいくらい本人と似てないな」
「小鷹はこういうロン毛の外人になりたい訳?キャラの名前も"ホーク"ってベタベタよねぇ……」
夜空だけでなく、星奈にまで突っ込まれる。
「ほっとけ!ゲームなんだからちょっと位現実と違ってもいいだろ⁉︎」
「「ちょっと?」」
「ぐっ……さぁ!行こう……」
小鷹が話題を逸らそうと後ろを振り返ったところ、俺と目があった。
俺の格好は機動力重視、防御力は最低限の鎧をつけているだけだ。
そして片手にはライトクロスボウ、もう片方の手には左腰にはサーベルを備えている。
限りなく黒に近い赤髪には何も乗っていない。
ネームは
「何よ
「裕翔、だから無いはずだが……」
「まぁ、ネームなんて何でもいいだろ」
「まぁまぁ、早く行こうぜ」
若干流れかけた流れを小鷹が持ち直す。
早速、行動を開始する事にした。
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途中遭遇したモンスターは、星奈か夜空なほぼ一撃で倒していた。
レベルの低い俺らは後衛で、小鷹は何故か鳥に突かれていた。
「さぁ、さっさとボスを狩りに行くぞ」
大弓を畳んで仕舞いながら
と、その後ろでまた不穏な動きが。
俺は星奈の剣が背中にあるうちにクロスボウを撃つ。
ガツンと柄の部分に当たり、弾かれる。
「ちょっ……何を……」
「止めろ星奈。夜空の突っ込み方はアレだけど、星奈も星奈だ。おーい
「あぁ〜ちょっと待ってくれ、イテッこいつ!やめろ!」
突かれながらついてくる小鷹、俺は取り敢えずサーベルを抜いて牽制し、鳥を追い払った。
俺達は夜空の後に続く。
途中の湖で体力回復の為、何かを食べる事になった。
「ランク6のあたしには要らないから、あんた達が食べなさい」
と言って回復アイテムから肉を出し、俺達に分けてくれる。
「肉はやはり肉か……私は不要だ、肉から貰った肉は食えない」
「夜空、貰って置け。何にしろお前はここまでで消費してるんだから」
夜空は「くっ……」と歯をくいしばる。
よほど星奈から何かを貰うのが屈辱的みたいだ。
小鷹はその肉をガツガツ食べている。
俺もありがたく星奈から貰う、と、星奈は湖で釣りを始めた。
食べながら気付く、夜空が大弓で星奈を狙っているのだ。
俺は素早くクロスボウを展開し、夜空が放った矢に空中でクロスボウの矢を当てて弾く。
ついでに夜空に駆け寄って次弾が素早く射てないようにサーベルで弦を切る。
「なっ……貴様!」
「お前なぁ……良く星奈に突っかかって飽きねぇな……」
「ふんっ、肉の悔しがる表情を見下すのが良いのだ」
せんせー、ここにどSが居まーす。
「おいっ!来たぞ!」
と、小鷹が指差す。
その先には、かなりデカいドラゴンが居た。
グォォォォォォォォォ!とドラゴンが吼える。
「こんなのあたしが蹴散らしてあげる」
釣りの結果に満足した星奈が大剣を抜き、ドラゴンに近づく。
ドラゴンは地面を踏みしめ、うなる。
「トカゲの分際であたしに逆らうなんて、100億年早いのよ!」
セリフを遮って夜空が復活した弓で星奈に麻酔矢を射とうとしたが、これも俺が迎撃した。
「
「あたしに命令してんじゃないわよ!」
「全くだ、これで皆やられたら貴様の責任だ」
左側に回り込んだ星奈は大剣で脚に斬りかかる。
小鷹は指示通り、ランスを展開して腹に突撃する。
夜空は未だ星奈を邪魔しようとしたが、たまに俺が星奈に向かう矢を迎撃する。
クロスボウは大弓より威力、射程共に半分程だが、速射性は大弓の4倍ほどある。
俺も大弓は使ったが、あれは支援用の兵器だ。
クロスボウを顔面に射ちこみながら、サーベルでチマチマダメージを入れていく。
しかし、俺の見切りが甘く、ドラゴンに蹴られて俺のキャラは死亡した。
やっべ死んだ……となると……
夜空は麻酔矢を放ち、星奈をドラゴンの前で眠らせてからタル爆弾を使った。
もちろん、星奈もセットで逝った。
それが引き金で……
「死ねぇっ、肉!」
「この女狐がぁ!」
夜空vs星奈のキャットファイトが始まる。
こうなるんだ……小鷹も止められないっぽいし。
完全に2人して(と言うか2人の)ガチバトル空間になっている。
それから20分程、2人のアバターが力尽きるまでそのガチバトルは続いた。
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全員がゲームを投げ出して力なく机に突っ伏す。
「やっぱりゲームはダメだな」
「無駄な時間を過ごしちゃったわ」
夜空と星奈が真っ先に諦める。
今日の部活の意味はどこいった……
「最近のゲームは通信ありきというのが気に入らん」
「全く同感ね、ゲームの世界でまで他人に気を使わなきゃいけないなんて、どうかしてるわ」
「お前らがいつ他人に気を遣った……」
「あ"あ"ん⁉︎」
「……何でもありません……」
小鷹が突っ込みを入れると、半ギレで夜空と星奈が小鷹を睨む。
勢いに押されて引っ込む小鷹、見た目だけなら軟弱なヤンキーだな……
「お前ら2人とも馬鹿だろ」
「はぁっ⁉︎」
こういう時だけ息ぴったりだ、こういう時だけ……
「私とこんなの駄肉を一緒にするな!」
「あんたに言われたくないわよこのクソ狐!」
俺は溜息を一つ付き、またいがみ合いを始めた2人を見つめて腕を組んだ。
その日はそれで部活は終了した。
小鷹がカツアゲをしたという噂が広まり始めたのは、次の日だった。
曰く、アイテム交換を申し出たところ、誤解を受けたらしい。
俺はPSPとモン狩りを速攻で売った。