もしも隣人部に友達の少ないヲタクが入部したら⁉︎   作:中井 修平

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ヲタク成分を含みます、苦手な方はご注意です。


裕翔の趣味バレ

さて、今日も部活の日だ!

とは言ってみたけど、やっぱり星奈が居ない……

一応、星奈から勧められたゲームは一通りエンディングまでやったが、ギャルゲーはもうやりたくないと思った。

ルート決めてからエンディングまでが長い……。

 

いつものソフトケースを背負い、部室に向かう。

2年5組の前を通ってみたが、小鷹も夜空も居なかったから先に行ったのだろう。

 

中庭を抜けて礼拝堂、談話室4へと歩く。

 

「………ん?」

 

『……っ……ぁ……」

 

談話室から何かが聴こえる……

もう少し近づくと、それがはっきりした。

 

『あぁ〜っ、ダメぇっ!キちゃう……おかしくなっちゃうぅ〜!あっ///』

 

これは……女の喘ぎ声だ!

誰だよ談話室で盛ってんの……それか誰かがスピーカーでエロ動画でも見てんのか?

 

取り敢えずノックしてから談話室を開ける。

 

中に入ると、慌てる星奈を羽交い締めにする夜空、そして開かれたノートパソコンを唖然として見つめる小鷹の姿があった。

 

ノートパソコンでは_____エロゲで"そう言う展開"になっていた。

 

「何で部室でエロゲなんてしてんだよ……」

 

「かっ……勘違いしないでよね!」

 

俺がソフトケースと鞄を置くと、俺の言葉に星奈は反応してこっちを向く。

 

「これは聖剣のブラックスターって言う今一番話題の美少女ゲームで、愛と感動の大冒険ファンタジーなの!」

 

……星奈、後で夜空が呆れてっぞ。

 

「苦難を乗り越えて破壊神ヴァルニバルを倒した主人公のルーカスが、ヒロインのセシリアと愛を確かめ合う感動のシーンで、決していかがわしいシーンじゃないんだから!」

 

「にしても部室でエロゲは……」

 

小鷹も呆れ気味だ。

星奈が小鷹に向かって弁明を始める。

何でもきらスクが終わってからまたゲームを探したらこれを勧められて、クラスの男子に頼んだら喜んで持ってきたらしい。

 

そら喜んで持ってくるわ……だってエロゲだもん……

 

「このド変態が‼︎」

 

「あんた今の話聞いてなかったの⁉︎」

 

「ブッ……クッソ……www」

 

俺、吹いた。

夜空の返しが逸品だ、今日はいつも以上にキレている。

 

「黙れ痴女!色情魔!露出狂!アバズレ!歩く公衆便所!リアルダッチワイフ!歩く猥褻物!寄るな触るな!子供が出来る!」

 

ボロクソだ……

 

「何でゲームやってただけでそこまで言われなきゃなんないのよ⁉︎あんたもいつまで笑ってんの⁉︎」

 

「っ……ごめん……wwだってwwwこwwwれwwwはwwwダメだツボったwww本当ごめんwww」

 

俺は変なツボに入って笑いっぱなし、星奈に怒られてしまった。

 

「絶対思ってないでしょ……!」

 

「いやwww思ってるってwwwは〜〜〜……ふぅ……去年の分まで笑わせてもらったわ、ありがとな。ちょっとトイレ行ってくる」

 

半ば本気で笑わせてくれた2人に感謝し、トイレに中座。

この後、俺の趣味が皆にバレるとは思わなかった……

 

===========================

 

「いやらしいシーンを食い入るように観ていた癖に……素直に言ってしまえ自分は変態だと!」

 

「なっ、ち、違う……!これは……!」

 

「あ、な、なぁ2人とも……裕翔のあの荷物、気にならないか……?」

 

夜空と星奈の言い争いを止めるべく、小鷹が話題を変えて割って入る。

 

「…………確かに……いつもあの荷物を持っているな……」

 

「そういえばそうね……大きさからしてギターっぽいけど、弾いてるとこ見たことないわね……」

 

夜空、星奈、小鷹の3人は裕翔の荷物を見つめる。

 

裕翔は今居ない、荷物に着いてる南京錠は鞄の中。

 

「……開けてみるか」

 

「そうね、笑ってくれたお礼しなきゃね……」

 

「あ、開けるのか⁉︎」

 

「何言ってるのだ?私は中身を確認するだけだ、出して何してやろうと言う訳では無い。ギターなら壊れると困るしな」

 

若干引き気味に小鷹が止めるが、夜空に阻まれる。

その間に星奈が裕翔の鞄から鍵を取り出した。

 

カチ……

 

星奈が鍵を開け、南京錠を外す。

 

「行くわよ……」

 

「ああ」

 

「「せーのっ!」」

 

ジィーッ!と2人がジッパーを開けるのと裕翔がトイレから戻るのがほぼ同時だった。

 

「おーっ……っておい!やめろ!」

 

「にひ〜、散々あたしを笑ってくれたお礼よ!お詫びに1曲弾いて_____」

 

 

 

「なっ……!なんだこれは!」

 

中身を確認した夜空の驚愕の声が談話室に響く。

 

フラフラと立ち上がり、後退りすると、裕翔の鞄に足が引っかかる。

開けっ放しの鞄が倒れ、中からゴロリと出てきたのは、恐らく日本人が最も毛嫌いする物の1つ。

 

黒光りした鉄の塊、1挺の拳銃だった。

 

「えっ⁉︎」「ひっ⁉︎」「うぉっ⁉︎」

 

夜空、星奈、小鷹が一斉に転がった拳銃から距離を取ったのと同時に、裕翔は溜息をついた。

 

===========================

 

談話室に戻ると、星奈と夜空が俺のソフトケースを開けていた。

中身を見た夜空が驚愕し、後ずさって足に引っ掛けた俺の鞄から拳銃_____愛用のP226から転がる。

 

短い悲鳴を上げた皆に溜息を吐く。

 

「夜空、星奈。何で開けた……?」

 

「ひっ、あっ……あ、あの……?」

 

「あの、違うのこれは……!」

 

俺は髪を書き上げる、出来れば知られたくなかった。

そう……俺はミリタリーヲタクなのである。

 

わたわたと弁解をする星奈と夜空が怯えている……あぁ、また失敗した……

この目つきでこんな趣味してりゃ怖いよな……

 

昔から「お前、人殺した事あるだろ?」と先生に言われる程目つきが悪かったからな、この三白眼……いや怖がらせたい訳じゃ……

小鷹ですら硬直している。

 

俺は転がった鞄から拳銃を取り出し、スライドをオープンさせてマガジンを抜き、テーブルに置く。

 

ソフトケースから取り出したのは……夜空の悲鳴の元になったライフル銃_____M4A1アサルトライフルだ。

 

「……すまんな、言い方が不味かった……俺はこの通りミリタリーヲタクで、これはいわゆるエアソフトガンってやつだよ」

 

「あ……そ、そう、そうよね。日本国内に銃なんて、おかしいと思ったわ」

 

「あ、あぁ。確か、サバイバルゲームっていうのに使うんだろ?」

 

「な、何故そんな物を持って来ているのだ……?学校でテロでも起こすつもりか⁉︎」

 

そう、多分皆の最大の疑問は今夜空が言った事だろう。

「何故、学校にエアガンを持って来ているか」だ。

 

「バイト先がこういう物を扱ってるところでな、そこだと射撃場が使えるから、そこで撃つためだ。1度家に帰るとバイトに間に合わないしな」

 

「な、なるほど……あまり出さない様に、見つかったら不味いからな……」

 

ほっ……どうやらクラスの様な反応じゃなく、多少なりとも理解がある様だ……。

心の底からホッとしてボスッとソファーに落っこちてしまう、俺の体が。

 

「ふぅーーーーーーーー〜〜〜〜〜〜〜〜………………」

 

「長い溜息ねぇー」

 

「当たり前だ、高校で趣味が理解されたの初めてだからな……あーーー良かった理解ある人で……」

 

「人の趣味を否定するなんて、愚者のやる事だからな……」

 

「あんたねぇ……!」

 

星奈と夜空にまた火花が散るが、正直立ち上がる気力が無い……安心しすぎて脱力してしまった。

 

「もしかして……モン狩りで私の矢を弾いたのはこの趣味が?」

 

「まぁ、そんなところかな」

 

夜空はようやく合点がいった様で、皆でプレイしたモン狩りの時に俺が矢を弾いた事を思い出した様だ。

FPSとかやってるからな……狙撃は上手いって訳じゃないけど。

 

「これ持ってみても良いか?」

 

「あぁ、良いけど絶対引き金に指をかけんなよ」

 

小鷹がエアガンを触って良いかと聞くので、一応注意して許可する。

まぁ確かに普通なら触る機会も無いしな……興味を持ってくれるのは嬉しい。

 

「うわっ、重っ!」

 

「そりゃM4……そのライフルだけでも3キロあるからな」

 

「へぇ〜……これ持って走り回るのか……」

 

「ちょっと待ってくれ」

 

確か、ソフトケースの中に追加装備が……

 

「あ、あれ……?」

 

「?どうした?」

 

「た、立てない……」

 

脱力し過ぎた結果、脚に力が入らなくなってしまった。

立ち上がろうとすると、膝がガクガクする。

 

「もう、馬鹿ね」

 

「あ、ありがと」

 

星奈が手を引いて立ち上がらせてくれた。

多分、不安と安堵から来る反動だな……

ケースを開けると更に荷物が詰まっており、ホルスターのついたベルトが入っていた。

 

「おおっ!」

 

「これ着けてみ?」

 

小鷹が俺からベルトを受け取り、腰に巻いて止める。

ホルスターに拳銃を入れ、ライフルのスリング_____ストラップを肩からかけると、それらしくなる。

 

「「「おぉ〜……」」」

 

「ど、どうだ?」

 

「様になってるな、小鷹」

 

「なかなか良いじゃない」

 

夜空も星奈も褒める、正直凄く様になる。

日本人離れした髪色とマッチしているのだろう。

 

「ありがとう、貴重な経験が出来たよ」

 

「俺も、皆が理解ある人で良かった」

 

「その……済まないな……勝手に開けてしまって」

 

「ごめん、裕翔」

 

「良いんだ、俺もこれからは控えるよ」

 

こうして俺の趣味は皆にバレてしまったが、皆のお陰でこの部でまで居場所を失くさずに済んだ。

この部に入部して心から良かった……そう思った放課後だった。




裕翔はミリヲタでしたっ!
……絶対に誰も納得しない……
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