椎名提督と艦娘   作:大石蔵良 ショタ 提督

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第39話 Please remember

提督「え?ここは?どこ?」

そこには広大な海が広がっていた。しかし不可解な点が一つだけあった、空がなにか不吉を呼ぶかのようにドス黒くまるで生き物のようにうねっていた。

 

???「椎名さん…」

 

???「しいな…」

 

???「ていと、く…」

 

ゾクッ。

提督「!?あなた達は!ほ、鳳翔さん…それに…曙、長門?…」

 

そう、思い出すまいとしていた、かつて数年前提督になって新米だったころ、3人の艦娘が命を落とした。それがこの3人だった。

 

提督「そんな…どうして?」

 

 

 

その瞬間3人の瞳がブラックホールのような漆黒の目に変わる。そしてその目からは涙ではなく悲嘆の嘆きとともに血の涙が溢れる。

 

提督「ヒッ!?」

 

鳳翔「提督…さみしいです…」

 

曙「あんたのせいで…あんたのせいだ…」

 

長門「どうして、たすけてくれなかったんだ…」

 

3人「ゼッタイニ、ユルサナイ!」

 

鳳翔「あなたも来てこの苦しみを味わってください…」

 

曙「クソ提督、あんたもこの暗い海の底でいっしょにいるのよ♪」

 

長門「そうだな…それがいい」ニヤリ

 

血に染まった3人の手が提督の制服のズボンを掴み脚を掴み腕、肩にまとわりつき漆黒の空間に引きずり込んで行く。

 

???「ぃとく…いとく!提督!」

 

提督「!?」がばっ!

 

どうやら目が覚めたらしい、目の前には見慣れた自室の景色が広がっていた。

荒々しい自分の鼓動と呼吸が聞こえる。

 

鳳翔「提督?どうなさいました?」

 

ふと声の方を向く。そこには鳳翔がいた。

 

提督「ヒッ!?や、やめて…こないで…ごめんなさい…!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」

 

鳳翔「!?提督!落ち着いてください!私です!鳳翔です!」

 

何度鳳翔の顔をみてもあの漆黒の目と血の涙が幻覚として見える、それが幻覚なのか現実かすらわからない。

 

提督「あ…ああ…そうか。僕が死ねばいいのか…あはっ、あはは!あははははは!」

 

恐怖が逆に面白くなり理性が砕け散る。

 

直ぐに枕元にあった短刀を喉元に突き立てる。

 

鳳翔「!?いけません!」ガシッ!

 

提督「へ…?」

 

ポタッポタッ…

 

鳳翔「…っ!良かった…怪我はありませんか?」

 

そこには腕から血を流した鳳翔がこちらを安心した顔で見つめていた。

 

提督「!?どうして?憎くないんですか?」

 

鳳翔「…致し方ありませんね」ギュッ

 

提督「ふぇ?」

 

それはあの冷ややかな身体ではなく、暖かい、優しさに溢れた暖かい抱擁だった。

 

鳳翔「なにを怯えておられたのかは存じあげませんが、一つだけ言えるのは私はあなたのことを憎んでもいません。むしろ感謝でいっぱいです。だから大丈夫」ナデナデ

 

初めてここであの自分の大好きな鳳翔だとわかった。

 

提督「鳳翔さん…!鳳翔さん!うっ…グスッ…鳳翔さん!うぇ…ええええぇん!…うわぁぁぁぁ!」ギュ!

 

鳳翔「よしよし…大丈夫。私が居ます」ギュッ

 

どのくらい泣いたのだろう、ただただあの恐怖やトラウマ、悲しみが溢れる限りとにかく泣いた…

 

提督「うっ…グスッ…ズビッ。あ、鳳翔さん…うで…」

 

鳳翔「ただの擦り傷です。大丈夫ですよ」ニコッ

 

提督「ごめんなさい…ちょっとまっててください!」

スタタタ!

 

鳳翔「?」

 

提督「ちょっと手かしてくださいね」

 

鳳翔「そんな!大丈夫ですから!」

 

提督「良いんです!やらせてください」ニコッ

 

鳳翔「で、では、お言葉に甘えて」

 

スッと細い白い鳳翔の腕を持ち上げ、血を拭き取り、傷口を強く圧迫して止血し、消毒、ガーゼと包帯で覆う。

 

提督「終わりました」ニコッ

 

鳳翔「ありがとうございます」ニコッ

 

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