座敷わらしと幸せうさぎ   作:中に座敷わらし

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もはや100%思い付きから生まれた作品です。
一話目は少し短めに。


一羽目

 私の過ごした家が取り壊されていく。かつて私――『座敷わらし』は幸せを呼ぶ存在として人々に認知されていた。『座敷わらしのいる家には幸せがくる』と言うのは聞いたことがある人はもはやこの世界にはいない。唯一私の存在を信じていたお爺さんも先日天国に旅立ってしまった。そしてお爺さんが亡くなったのを皮切りに、私とお爺さんの過ごした家は取り壊されてしまった。

 科学の進歩とはとても恐ろしいものである。今では全てが科学で説明が出来てしまうほど人間は進んでしまった。そのせいで昔の人が語った事さえも真摯に受けることなく、私達と言う妖怪、怪異の類いは人々から忘れられていってしまった。

 そんなある日、家を失い途方に暮れていた私の目の前が歪んだと思うと気味の悪い空間の()()()が現れ、その空間から金髪の見るからに怪しそうな導師服を着た女性が姿を見せた。

 

「どうも。座敷わらし……でよかったかしら?」

「……そうですけど。ところで貴女は?」

 

 私の問いに目の前の怪しそうな女性は

 

「私は八雲(やくも)(ゆかり)。幻想郷の管理者よ」

 

 と、丁寧に名前と職業まで答えてくれた。ところで幻想郷とは何なのだろうか? そう考えていると彼女――八雲紫さんは続けて言う。

 

「貴女を幻想郷に招待するわ」

 

 だから幻想郷ってなんだよ。とりあえず説明が足りない。うーん……本当に彼女が管理者なのだろうか? なんと言うか物凄く不安になってきた。はたしてこんな言葉足らずの管理者が管理する場所に行ってよいのだろうか? ……心配なので一応訊いてみることにした。

 

「あの。幻想郷って一体?」

 

 私の問いに今まで真剣な表情だった八雲紫さんはハッとしたように慌て出した。つまり、説明してないことに気付いたのだろうか。額に汗をかくほど焦るだなんてよっぽどのことなんだろう、そう思いながら彼女が問いに答えるまで待つことにする。

 八雲紫さんから返答があったのはそれからそれから二分程経った頃だった。

 

「……コホン、幻想郷と言うのは忘れられたものが集まる場所よ。」

 

 随分と省略されているような気もするが、とりあえずは幻想郷と言うのは忘れ物が集められる場所と受け取っていいのだろうか? つまるところ私に新しい家を与える代わりに働いてくれ、と言うことなのだろう。八雲紫さんは優しい女性である。見た目こそ可笑(おか)しな服を着ているが手品師の類いであろう。そうすれば気味の悪い空間から出てきたことも納得する。いい人のようだし断るのは可哀想なので誘いを承けることにしよう。

 

「わかりました。幻想郷に行けばいいんですね」

「えっ……そんなに簡単に了承していいの?」

 

 私が快く了承したのが不思議だったのか八雲紫さんは目を丸くしていた。そんなに驚くとは思わなかった。たしかに知らない人の誘いをすぐ了承するのはおかしいものであるが、現に私は住む場所がなかったのだ。住む場所を提供してくれるのならきっとどんな条件でも着いていく自信はある。

 

「貴女はいい人そうですし住む場所を提供してくれるのなら私はどんな条件でも着いていきますよ。さ、幻想郷とやらに行きましょう」

「そ、そうね。幻想郷に行きましょうか」

 

 八雲紫さんはそう言うとあの気味の悪い空間の裂け目を作ると私にそこに入れと命じた。もちろん断る気はないので了承する。私がその空間の裂け目に足を入れようとしたとき、八雲紫さんが口を開いた。

 

「そう言えば貴女の名前聞いてなかったわね」

 

 そう言えば一度も自分の名前の事を訊かれなかったので答えてなかったがこれからお世話になるのだ。名前は教えておいて損はないだろう。

 

「私は(さち)っていいます。『幸せ』って書いて『さち』って読むんですよ。この名前は今はもういないお爺さんにつけて貰ったんですけどね」

 

 名前を告げ終えた私は再び空間の裂け目に足を踏み入れる。だが……

 

「へっ?」

 

 その空間の中は足場がなかった。と言うかその空間で体を支えることが真っ逆さまに落ちていく。空間内は目玉がギョロついており、かなり不気味である。が、今は落ちていく自分の体の心配の方が大切である。助かるのか……落ちる場所は柔らかい場所がいいなぁ……なんて思う私の体は落下を止めない。

 そして、諦めかけた私の頭に浮かんだのは『どうして八雲紫さんは私の姿が見えたのだろうか』と言うことであった。

 




タイトルにもある幸せうさぎの方はまだ出ません。
ほら、タイトル詐欺とか言わないの。
とりあえず誤字やここがおかしいぞ、と思うところがあれば教えて下さると助かります。
タグの通り投稿のペースは遅いかもしれませんが宜しくお願いします。
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