座敷わらしと幸せうさぎ   作:中に座敷わらし

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と言うわけで、二羽目です。字が違う? いいえ、わざとです。今回も楽しんで読んでいただけたら幸いです。


二羽目

 

「うーん……」

 

 八雲紫さんが出したあの気味の悪い空間内を真っ逆さまに落ちていたはずの私は、自分の顔に当たる日光で気が付く。ここは何処なのかと周りを見渡して見るとなぜか竹林の中にいた。しかも落とし穴に落ちている。はて、なぜなのか。

 とりあえずこの落とし穴から脱出してから考えればいいと思い、体を動かすが脱け出すことが出来ない。どうも体が引っ掛かって自由に動けないのだ。太ったかなぁ…、と思ったが今はそんなことを考えている場合ではない。このままでは夜になってしまい、風邪を引いてしまう。なんて考えていると誰かが近づいてくる気配を感じた。足音も近くから聞こえる。足音の主はかなり軽快な足どりである。良いことでもあったのだろうか? そんな事よりその誰かさんに助けを求めなければならない。私は気配を感じた方に向け助けを求める。

 

「あのー、落とし穴に落ちてしまったので助けて頂けませんかー?」

 

 すると、気配の主は軽快な足どりから一転、慌てるような足どりに変化しこちらに向かってくる。きっと私の状態を察して急いで助けに向かってきてくれているのだろう。

 そして竹の中をかき分けて現れて誰かさんが現れた。……のだが

 

「へ? うさみみ?」

 

 なぜか頭にうさみみが付いていた。

 

 

 

 ☆ ☆ ☆

 

 

 見回りに出ていたうさぎから、落とし穴に引っ掛かったと連絡があった。きっとまた鈴仙が引っ掛かったのだろう。

 私は落とし穴にはまった鈴仙をからかってやろうと心に決め、(くだん)の落とし穴がある場所にスキップしながら向かう事にした。

 

 

 

「~♪」

 

 どんな風に鈴仙をからかってやろうかと想像しながら向かっていると、落とし穴のある方角から声が聞こえてきた。

 

「あのー、落とし穴に落ちてしまったので助けて頂けませんかー?」

 

 まずい。助けを求める声を聞いて、私は声のした方に急いで向かう。

 理由は単純である。聞こえた声は聞いたことのない声であったのだ。と言うことは、落とし穴に引っ掛かったのは鈴仙ではないことになってしまう。もしそれが人間であるのなら大変な事である。だが、人間だとしてもなぜこの迷いの竹林に来てしまったのだろうか? しかし、今はそんなことを考えている暇はない。急いで助けなければならない。

 脱兎のごとく走り、落とし穴の近くまで着くと声の主を見つけた。見た感じは童女のようである。しかしである。何をしたらこのような落ち方をするのだろうか……。体がV字に近い状態で落とし穴にはまっている。多分鈴仙より酷い落ち方なのだろう。そう思いながら目の前の竹をかき分けて現れると、私の姿を見た童女はいきなり

 

「へ? うさみみ?」

 

 と、目を丸くしながら言ってきた。内心イラッともしながら童女に手を伸ばし、落とし穴から引き上げる。落とし穴にはまっていてよく分からなかったが、この童女の背の高さは私と同じ位である。さらに、着ている黄色の着物は姫様程ではないが高そうな雰囲気である。金持ちの娘さんなのだろうか? とりあえず助けると言う目的は達成したので、永遠亭に帰ろうと(きびす)を返すと童女が話しかけてきた。

 

「あ、あの……すみません」

 

 きっとこの竹林の出る方法を知らないのだろう。それを聞きたいと思った私は、親切心から童女に道を教えようと言葉を返す。

 

「あぁ、それならこのてゐ様が案内してあげるよ。ささ、着いてき……」

「い、いえ! 違うんです! ここって何処ですか?」

「?」

 

 突然私の言葉を遮ったと思ったら、何を言っているのだろうか? ここは何処って……幻想郷に決まっているのだが。もしや落とし穴に落ちた際に頭を打って記憶でもなくしてしまったのだろうか? それは悪い事をしてしまったな、と思い童女の問いに答える。

 

「ここは幻想郷だけど? もしかして記憶をなくしたとかでもしたかい?」

 

 すると童女はいきなり声を張り上げてはしゃぎ始めた。記憶をなくしてはしゃぐだなんてよっぽどの変わり者だよ? 記憶をなくしたついでに頭までおかしくなったのかな? と、喉まで出掛けるが飲み込んで止める。童女に至っては

 

「やったぁ! ここなんだ! でも……」

 

 と、訳のわからない状態になっている。これはお師匠さまにでも見てもらった方がいいのではないのだろうか? ……うん。絶対にその方がいいだろう。とにかく永遠亭にこの童女を連れていこう。

 思い立ったが吉日、なんて言うし童女の手をとり、永遠亭まで連れていくことにした。

 

 それにしても……もう少し黙って貰えないだろうか?

 

 

 ☆ ☆ ☆

 

 

 薄いピンクのワンピースを着たうさみみの少女(と言っても私とそこまで身長はかわらない)に落とし穴から助けられた私は、うさみみの少女にお礼を言おうとしたが、うさみみの少女は颯爽(さっそう)と立ち去ろうとしていた。えっ、ちょっと待って下さいよ、私お礼言ってないですよ!? とりあえずうさみみの少女の歩みを止めるために声をかける。

 

「あ、あの……すみません」

 

 声をかけるとうさみみの少女は歩みを止めて振り向いてくれた。よかった……と安心しているとうさみみの少女が口を開いた。

 

「あぁ、それならこのてゐ様が案内してあげるよ。ささ、着いてき……」

 

 が、何やら案内してあげる、と言い出したので勘違いされても困るので、思い付く言葉を並べていく。

 

「い、いえ! 違うんです! ここって何処ですか?」

「?」

 

 う、うん。我ながら微妙な質問だと思う。うさみみの少女も悩んでるし……。とりあえずうさみみの少女の答えを聞いてから考えようかなぁ……。と思っていると

 

「ここは幻想郷だけど? もしかして……」

 

 えっ、幻想郷って……。と言うことはここは幻想郷なのだ! 

 

「やったぁ! ここなんだ! でも八雲紫さんはいないしなぁ……。でもここが幻想郷ならきっと八雲紫さんともすぐ会えるよね! ふふっ、これから楽しみだなぁ…」

 

 と、ブツブツ一人言のように喋っていた私はお礼を言おうとうさみみの少女を見ると、なぜか私が手を引かれ竹林の中を進んでいた。あれ? 私なんでこんな状況なんだろう……と、また考え始めるとうさみみの少女が睨んできた。

 

「もう少し静かに出来ないかな?」

「う、五月蝿(うるさ)かったですか? ごめんなさい……」

 

 どうやら手を引かれている間の私は、ずっとブツブツと喋っていたらしいです。それはそれは、うさみみの少女に迷惑をかけてしまったようですね……。それと、ずっとうさみみの少女って言うのはあれですよね。ちょうどいいタイミングですし名前を聞いておきましょうか。

 

「あのー、突然ですが名前聞いてもいいですか?」

「……ほんと突然だね。別に名乗っても減るもんじゃないしね。私は因幡(いなば)てゐだよ。そっちは?」

「も、申し遅れました! 座敷わらしの(さち)です」

 

 へぇ……因幡てゐさんって名前なんだ。友達になれるといいなぁ。

 

「ふぅん……。幸っていうんだ。宜しくね。……っと着いたか」

 

 ふと、てゐさんが足を止める。着いた、とも言ってましたし何処かに着いたのかな? と、視線をてゐさんの見ている方に向けると……

 

「わぁぁ…」

 

 立派な屋敷が建っていた。日本では見たこともない位、立派な和風建築である。建物に見とれていると、てゐさんが口を開いた。

 

「えーっと、とりあえず永遠亭にようこそ。お師匠さま呼んでくるからここで待っててくれるかな」

 

 てゐさんはそう言うと屋敷――永遠亭と言うらしい――の玄関扉を開けて廊下を走っていった。

 

「ここは律儀に待たせてもらいましょうか」

 

 私は玄関扉の前に座り込むと、てゐさんの帰りを待つ事にした。




てゐの口調……唯一持っている原作の花映塚基準でやっているので「おかしい」や「語尾ウサじゃないの!?」と思われるかもしれませんがこのままでやらして頂きます。
話の終わりが納得出来ていません……ですがこれ以上書くと次回の話に影響してしまうし……と悩んだ結果このザマです。
さて、今回も読んでくださりありがとうございます。次回もお楽しみにしてくださると幸いです。
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