座敷わらしと幸せうさぎ   作:中に座敷わらし

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遅くなりました。申し訳ないです。まあ、そのためのタグなんですけどね。
実は小話を一羽と二羽の間に投稿しようかと思っています。プロットにもない思いつきなので短いかもしれませんが…。ただ、それだけです。
勢いで書いた部分もありますがそこは温かい目で読んでくれれば…
さ、本文へどうぞ。


三羽目

「えーっと…。貴女がてゐの言っていた幸さんね」

 

 てゐさんを待つこと数分。永遠亭の玄関から、赤と青を基調とした服を着た女性が現れました。後ろにはてゐさんの姿も見られます。ということはこの方がてゐさんの言っていたお師匠さまなのだろう。

 

「はい。幸と申します。えっと…お師匠さまでよろしいですか?」

「ええ。私は八意永琳よ。とりあえず幸さんは私に着いて来てもらえるかしら?」

 

 はて、急にどうしたのだろうか? 別に断る理由もないのでここは永琳さんに従っておこう。

 

「わかりました。失礼します」

 

 永遠亭の玄関に入り、履いている草履を脱ぐ。とりあえず永琳さんの後を追うように永遠亭の廊下を歩いていく。一緒にてゐさんも来てくれるらしい。そういえば助けてもらった時のお礼をまだしていなかったような気がするなぁ。とりあえずお礼を言うために歩いていた足を止める。

 

「あ、てゐさん」

「ん? どうしたんだい?」

「あの時はありがとうございました。てゐさんが助けてくれなかったら私多分風邪ひいてたと思います。本当にありがとうございました!」

「ああ、別に気にしなくていいよ。それと…感謝されることはしてないよ」

「で、でもてゐさんは私を助けてくれたじゃないですか?」

 

 どういうことだろう? てゐさんは私を助けてくれたのに…、と思っているとてゐさんが口を開いた。

 

「あの落とし穴はね、私が掘ったんだよ。ごめんね…」

 

 そう言って、てゐさんは顔を俯かせる。

 なんと…。てゐさんが口にした言葉はまさかのものだった。あの落とし穴を掘ったのはてゐさんだったなんて…。しかし、それはてゐさんが謝ることではない。なんていったって気が付いたら落とし穴にはまっていたのだ。それをてゐさんに伝えなければ。

 

「てゐさん」

「なんだい? 私を責める気にでもなったかい?」

「いえ、違いますよ。私は、八雲紫さんの気味の悪い空間から気が付いたらあの落とし穴にはまっていただけなんです。だからてゐさんはちっとも悪くないんですよ」

 

 ふう…。しっかりと伝えられた。我ながらうまく説明できたと思う。伝えたいことを伝え終えスッキリした私がてゐさんの表情をうと、てゐさんは驚いたような表情をしていた。…なんだかものすごいデジャブを感じますが気にしないでおこう。

 

「え? …ってことは、幸は外界から来たのかい?」

 

 てゐさんの言う外界がここに来るまで住んでいた場所ならそのとおりである。

 

「ええ、そうなりますね」

「なーんだ、幸は記憶喪失になってた訳じゃないんだね。どうやら私は勘違いしてたみたいだね」

 

 てゐさんはそう言うと「あはは」と笑みを浮かべた。その笑みにつられて私も自然と笑いがこぼれる。そう二人で笑いあっていると、

 

「あなたたち、楽しそうなのところ失礼だけど先にこちらの用事を終わらせてからでいいかしら?」

 

 と、永琳さんが口を開いた。

 そういえば永琳さんについてきてって言われてたんだっけ…。

 

「あ、え…ごめんなさい…」

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 永琳さんに案内されたのは、どうも診察室のようにも見られる部屋だった。ということは診察でもされるのだろうか? うーむ…。ちょっと怖いなぁ…、なんて身構えていると永琳さんに

 

「ふふっ、そんなに身構えなくてもいいわよ? 私はただあなたとお話がしたいだけなんだから」

 

なんて言われてしまった。だが、その言葉のおかげで緊張していた私はホッと安心できた。

私は永琳さんに「お話がしたい」と言われふと昔を思い返す。お爺さんがまだ生きていたころは、よくお爺さんの昔話を聞かせてもらいましたっけ。私はそのお返しに、お爺さんが生まれる前にあの家であったことを話してたっけ。あの頃はたのしかったなぁ…。なんて思っていたら廊下の時みたいに永琳さんに注意されてしまった。

 

 全く…私はいったい何をやっているんだ。せっかく永琳さんがお話をしようと誘ってくれたのに一人で過去を振り返っていたら駄目じゃないか。

 私は自分の頬を軽くたたいて気持ちを切り替える。

 

「…さ! 永琳さん、お話ししましょう!」

「ええ、まずは互いの自己紹介からね。先ほども名乗ったけど、私の名前は八意永琳よ。ここ、永遠亭では私とてゐ、あとは姫様、それと優曇華が生活しているわ。…それくらいかしら? さ、次は幸さんの番ね」

「はい! 私は幸と申します。えーっとここに来る前…外界? でしたっけ、外界では座敷わらしとして生活してました。好きなものは甘いお菓子とお茶です! こんなかんじですかね」

 

 やっぱり人と話すのは楽しいですね。心が和みますよね。

 

「そういえば…、幸さんって八雲紫にこの幻想郷に連れてこられたのよね?」

「ええ、そうですよ。でも気味の悪い空間を真っ逆さまに落ちて気が付いたら落とし穴に…って感じですね。八雲紫さんが心配して私を探してなければいいんですが…」

「あ、そのことなら心配いらないわよ。てゐが幸さんを連れてくる前に彼女が来ててね。あなたのこと頼むってお願いされたのよ。急すぎたし、断ろうと思ってたけどあなたを見て安心したわ。これなら大丈夫ねって」

「へえ…八雲紫さん来てたんですか。あれ? でもなんでここに来るまでに出会わなかったんだろう?」

 

 この部屋に来るまで廊下はまっすぐであった。それならすれ違うことぐらいあると思っていたのだが…。

 悩んでいると、永琳さんが

 

「彼女なら()()()で帰ったわよ? そうね、幸さんにもわかりやすく言うと気味の悪い空間のことよ」

 

 と教えてくれた。

 えっ…、確かに出会った時も急にあのスキマとやらで現れてきたし、移動にも使えるのか…。便利だなぁスキマ。あ、そうだ。なんで八雲紫さんには私の姿が見えたのだろうか。永琳さんも見えているみたいだし訊いてみる価値はありそうである。

 

「永琳さん、一ついいですか?」

「ええ、私が答えられる範囲なら大丈夫よ」

「なんで八雲紫さんは私の姿が見えたんですか? それに永琳さんも私が見えてる見たいですし…」

「んー…、なんて説明すればいいのかしら? 私はともかく彼女は妖怪よ? だから種族の近い貴女を見ることができた、じゃないかしら?」

「へ? 妖怪?」

「そうね。あ、てゐも種族的には妖怪兎よ」

「あ、あはは…」

 

 ……乾いた笑いがこぼれる。話が急すぎてついていけない。

 だけど、と私は一つのことを考えた。もしかしてだが幻想郷とは妖怪たちが住んでいる場所なのではないだろうか? てっきり忘れ物が集まる場所、なんて考えていたが今思えば私という座敷わらしも人々に忘れられた存在ではないか。科学を妄信する今の人類は妖怪などの存在を否定し、その存在を忘れてしまったのだ。

 

「たぶん彼女が貴女を招待したのは、外界で生き残っていた貴女の存在が消える前に助けたかったのよ」

「…きっとそうですよね。あの優しい八雲紫さんですからね」

 

 なんだか心がスッキリした気がします。やっぱり八雲紫さんの誘いを受けてよかったと思います。

 

「あ、永琳さん。そういえばこの永遠亭にはほかにも誰かが住んでいるんですよね? その方たちに挨拶とかしたほうが…」

「んー…、姫様はいるのだけれど優曇華は人里にいるのよね。そうね、夕方あたりには帰ってくるしその時にでも私から貴女のことを紹介させてもらうわ」

 

 ということで挨拶は夕方あたりになりそうである。今が昼過ぎだから…、あと三時間くらいなのかな? しかし、三時間も何をすればよいのか…。そう考えていると部屋の(ふすま)が開けられそこから豪華な着物を着た女性が入ってきた。

 

「あら、楽しそうなことをしてるわね。私も混ぜてもらってもいいかしら?」

 

 と、女性は言うなり永琳さんの隣に腰を下ろした。

 

「姫様、一体どうしてここに?」

「んー、暇だったからかしら? 部屋にいても何もすることないじゃない」

 

 姫様…ということはこの方が永遠亭に住んでいる姫様なのだろう。姫様って言われてるぐらいだしかなり位の高い方かもしれないしここは挨拶でも…。

 

「あ、あの私は座敷わらしの幸と申します! よろしくお願いします」

「へえ、座敷わらしの幸…ね。私は蓬莱山輝夜よ。こちらこそよろしく」

 

 蓬莱山輝夜さんか…。ん? 輝夜…姫様…もしかしてかぐや姫? ま、まさかそんなことあるわけがないですよね。……一応聞いてみよう。

 

「輝夜さんってもしかしてかぐや姫だったりします?」

「ん? …ええ、そのかぐや姫よ」

 

 

 

「ええぇぇぇぇ!?」

 

 

 

 …私が驚いた声が永遠亭内に響き渡ったことは言うまでもない。




プロット通りなので大丈夫(多分
勢いで書いたところはいつか修正するかも。
次も遅くなるかもしれませんがお楽しみに…。では



2016年5月23日追記:一羽と二羽の間に小話を投稿しました。

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