とある不動のGMC   作:はち   .

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GMCは宣言する

 試合はシチューが出来上がった頃に終わった。周囲はどうやら、私達がパーシングを密か偵察に出させていたことを知らなかったようである。本来はプラウダだけを騙すためにやったんだけど、お茶の間の皆さんも知らなかったらしい。

 

「え~、ユークレイン校の車長に勝利者インタビューをしたいと思います」

 

 そして、私は『ユークレイン』としつこいぐらいに書かれたボードの前でカメラに囲まれてインタビューを受けていた。フラッシュ半端ねぇ。多分、画面の端には『激しいフラッシュの点滅にお気を付け下さい』ってのが出るだろう。

 

「勝利、おめでとうございます。ヨナ・カミラです、初めまして」

 

 ヨナ・カミラってサッカーとかでも有名なあの人よね?うわ、サイン貰っとこ!

 

「有難うございます。あとでサイン貰えますか?」

「ええ、もちろんです。

 さて、今日のプラウダ戦、どういった感想をお持ちでしょうか?」

「そうですね。プラウダに完全勝利出来なかった事が非常に悔やまれますね」

「完全勝利、ですか?失礼ですが、私の目には完璧な勝利に見えたのですが?」

 

 カミラの発言に周囲でメモを取っていた記者も頷く。

 

「我が校での完全勝利、とは我が校を破壊しうる事が出来る戦車を無傷で叩き潰して勝利する事です。なので、試合で勝って、勝負で負けるという感じですね」

「成程。次は黒森峰と戦うと言う噂が流れていますが・・・」

 

 カミラの言葉に周囲の記者が前のめりになった。ふふん、注目だな。

 

「ええ、我々には戦う用意があります。えっと、なんでしたっけ?西住流の格言みたいな奴」

「格言ですか?」

「ええ、ほら、立てば芍薬座れば牡丹的な奴」

「あぁ~『撃てば必中、守りは堅く、進む姿は乱れ無し、鉄の掟、鋼の心』ですね?西住流を一言で表した素晴らしい言葉です」

 

 カミラが脇でこちらを見ている西住ママへの配慮かベタ褒めだ。

 

「ええ、それです。我が校『撃てば必中、守りは堅固、進まぬ姿はまさに要塞、巨大な戦車、最強無比』って感じなので。

 それに、黒森峰は最近マウスを追加で1両購入したらしいですけど、先に謝っておきますね。こっち、マウスなんて腐る程あるんですよ。何か、ウチの学校、かなり盛り上がっちゃって、今、マウスを3両制作してるんですよね。あと1ヶ月もすれば完成らしいです」

 

 言うと、周囲が絶句した。マウスが12両でE-100が3両。フラッグ車はT28で、周囲を固める超重戦車だ。更に、近付いて来た戦車の装甲をへし割るシュトゥルムティーガーの38cm臼砲に偵察部隊のM26E4スーパーパーシング。

 

「黒森峰も大洗に負け、我が校に負け、流石に無名校に2連敗するのも可哀想だし、()()()()()()()()良いと思ってますよ」

「つまり、戦えば貴女方が勝つ、と?」

「逆に、どうやって負けるんですか?今、“私”を破る事が出来るとすればただ一人です」

「一人?それが誰かを聞いても?」

 

 カミラや周囲の記者がおぉと驚いた様子で、注視する。明日から大変よ、大洗の西住。

 

「もちろんです。大洗の西住ですよ。彼女の作戦は凄い。素晴らしいですよ。勇猛果敢にして、冷静沈着。まぁ、流石に、大洗のオンボロ戦車じゃ無理でしょうね。

 もし、黒森峰が愚かにも勝負を仕掛けて来て、惨敗したら、次は大洗です。正し、大洗がそのままでは敗北は確実なので、今まで勝負して敗北していった聖グロやサンダース、プラウダ、そして黒森峰の力を借りて戦うのがディ・モールト・ベネ(大変に良い)でしょうね。でなければ、彼女達は勝てないでしょう」

「流石にそれは、言い過ぎなのでは?幾ら、何でも強豪4校相手にこの戦車達では勝てませんよ?」

 

 周囲がせせら笑う。どれほど自信過剰なのか、と。

 

「ふふん?

 我等の戦術を馬鹿にするなよ、()()()。傍から見れば非常に楽で、簡単な戦術だと思っているようだが、我が戦車部の部員達は血の滲む様な努力をしている。観測手と砲手は弾道学を学び、装填手は毎日自分の体重の半分程に近い砲弾を装填している。砲手は観測手の情報を聞き5km10km離れた敵を狙い撃つ為に弾道計算をする。操縦手は砲手と車長の指示を聞き、的確に車体を操る。車長は周囲の状況を判断し、素早く的確な目標判断を行う。そして、部隊の総隊長である私は、戦車の腕ドンと構えて不敵に笑ってれば良いのよ。

 我が校を倒せるのは我が校以上の量を揃えた戦車と()()()西()()だよ。私は待っているぞ、大洗の西住。君が私を倒すのを。

 話は以上さ。また、黒森峰との勝利インタビューで会いましょう、えぇ?」

 

 西住ママを見据え、言ってやる。すると、西住ママはムッとした顔をする。明日のスポーツ新聞は『ユークレイン校、西住流に喧嘩を売る!!』で決まりだろう。ふふん、良いんじゃないの?

 

「部長っ!どんだけ敵作る気ですか!!!下手したら全国を敵に回しましたよ!!」

 

 脇で控えていたローが私に詰め寄る。頬にはシチューが付いてた。さっきまで食べたな、こいつ・・・

 

「お弁当付けて何言ってんのよ」

 

 それを指で拭ってやり、一口。うん、美味しいわ。料理部を無理やり連れてきて良かったわ。

 

「さぁ、こんなクソ寒い田舎から都会に戻るわよ」

「部長!まだ、北海道土産買ってません!!」

「ぱ、パーシングのエンジンが凍っちゃいました!!!」

 

 わらわらと1年やら2年やらが集まってくる。

 

「ぶ、部長!E-100のプレゼンテーションやるから帰っちゃダメって生徒会長が!!」

「はあぁあぁ!?!

 何で試合中にやっとかないのよ!」

 

 慌ててやって来た数学同好会(現観測部隊)の部長が慌てて走ってくる。そして、特設テントの方から雪上車がやって来る。

 

「いやぁ、オメデトウ、部長君。悪いんだけど、E-100のプレゼンテーションやるからまだ帰らないでくれたまえ。

 それと、ちょっとした余興で、音楽会を開く事にした。大砲を使うえっと、何と言ったかな?」

 

 雪上車から降りてきた社長が脇に控える秘書を見る。秘書はちらっと手元のメモ帳を見ると静かに答えた。

 

「チャイコフスキーの序曲1812年と合衆国野戦砲兵隊です」

「知らん曲ばっかだし・・・」

「安心しろ。射撃のタイミングは教えるから、君達は砲弾を込めて撃てば良いだけだ」

 

 この野郎、30両の重戦車で吹っ飛ばしてやろうか?

 

「じゃ、さっさと準備したまえ。私はプレゼンテーションをやって来るから」

 

 脇にいるローを見ると諦めろと言う顔で首を振った。

 

「全車両、暖気して、指示に従いなさい。

 それと、馬鹿みたいに高いお土産をあのおっさん名義で買い占めてきなさい!!」

「「「「アイマム!!」」」」

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