GMCは見られる
文化祭の日、私ことローデリアは開会式の戦車部代表として何故か、演説をしていた。私の後ろにはユークレイン社の重役達が並び、生徒会長や部長、臨時副部長のミラコ先輩、カナリス先輩にミーナ先輩達が並んでいる。特に、部長なんか、私を見てニヤニヤと笑っているんだから、ぶん殴ってやりたい。
そして、私は目の前にいる報道陣と一般客や招待客、学校の生徒合わせて数千人の前で部長が悪乗りして書いたとしか思えない原稿を、迫真の演技で読み上げるのだ。
「諸君、私は戦車が好きだ。諸君、私は戦車が好きだ。諸君、私は戦車が大好きだ。
殲滅戦が好きだ、電撃戦が好きだ、打撃戦が好きだ、防衛戦が好きだ、包囲戦が好きだ、突破戦が好きだ、退却戦が好きだ、掃討戦が好きだ、撤退戦が好きだ。平原で、街道で、塹壕で、草原で、凍土で、砂漠で、雪原で、海辺で、泥中で、湿原で。
この地上で行われる ありとあらゆる戦車戦が大好きだ!
戦列をならべた重戦車の一斉発射が轟音と共に敵戦車を吹き飛ばすのが好きだ。ボロボロなった敵戦車が射程外からの一斉砲撃で白旗を上げた時など心が踊る!
我々の操る重戦車の大口径砲が敵戦車を撃破するのが好きだ。悲鳴を上げて我等の戦車から逃げようとする敵戦車をマウスやE-100が吹き飛ばした時など胸がすくような気持ちだった・・・
砲口先をそろえた重戦車の傘型陣形が敵の戦列を蹂躙するのが好きだ。恐慌状態の敵兵が既に白旗の上がった戦車から這いずり出る様など感動すら覚える!履帯が吹き飛び、無残にも白旗が上がった戦車を牽引車で引っ張っていく様などは、もうたまらない!!圧倒的戦力を前にした敵戦車を私の降り下ろした手の平とともに肝を潰す程の砲声で次々と撃破されるのは最高だ!
哀れな対戦者達が雑多な戦車で健気にも立ち上がってきたのをシュトゥルムティーガーの125kgのロケット弾が前面装甲ごと木端微塵に粉砕した時など絶頂すら覚える!
敵のパンツァーカイルに滅茶苦茶にされるのが好きだ。必死に守るはずだったフラッグ車が蹂躙され、周囲の仲間がやられていく様は、とてもとても悲しいものだ・・・…
強豪校の物量に押し潰されて殲滅されるのが好きだ。多数の駆逐戦車に追いまわされ、害虫の様に地べたを這い回るのは、屈辱の極みだ!
諸君、私は戦車戦を・・・地獄の様な戦車戦を望んでいる。諸君、私に付き従うユークレイン戦車部の戦友諸君。君達は一体 何を望んでいる?更なる勝利を望むか?情け容赦のない 糞の様な戦車戦を望むか?鉄風雷火の限りを尽くし、三千世界の鴉を殺す、嵐の様な戦車戦を望むか?」
サクラである他の戦車部の部員が観客に混じって叫ぶ。
「戦車戦を!!戦車戦を!!完全なる勝利を!! 」
周囲の客が少し驚いたようにどよめいている。でしょうね!!正直、顔から火が出そう!!今なら、八九式ぐらいなら倒せるかもしれない。
「よろしい・・・ならば戦争だ。我々は満身の力をこめて今まさに振り下ろさんとする握り拳だ!だがこの暗い闇の底で半世紀もの間堪え続けてきた我々に、ただの勝利では、もはや足りない!!
大勝利を!!一心不乱の大戦車戦を!!
我らはわずかに若輩無名の戦車部、部員千人に満たぬ無名校戦車部にすぎない。だが諸君は 一騎当千の
ならば我らは諸君と私で総兵力100万と1人の軍集団となる。我々を新参の戦車部へと侮っているいる連中を叩き起こそう。髪の毛をつかんで引きずり降ろし、眼を開けさせ思い出させよう。連中に恐怖の味を思い出させてやる。連中に我々の砲声の音を思い出させてやる。重戦車部隊で奴らの哲学では思いもよらない事があることを思い出させてやる。総重量一千トンの重戦車部隊で敵の戦車を燃やし尽くしてやる。
ユークレイン戦車部次期部長より全学校生へ、第35回ユークレイン高等学校文化祭。状況を開始せよ。
征 くぞ 諸 君」
言葉を締め、演説台から降りる。一瞬の静寂の後、割れんばかりの歓声があがった。正直、後を振り返りそうになったが、空かさず部長が踵を音を立てて揃えチラッと出口をみやったので私はそちらへ歩いていく。すると、部長もそのあとに続き、戦車部の面々が一列に並んで会場を後にした。舞台裏に回ると、直様、私は部長に詰め寄った。
「ッブッヒャヒャヒャヒャ!!!!!!最高よ!超似合ってたわ!!!」
そして、部長は大笑いしながら私の肩をバンバン叩く。ミーナ先輩やカナリス先輩も大笑いし、ミラコ先輩が同情するように私の肩に手を置く。
「大体!この文章だってヘルシングの少佐の演説じゃないですか!!原作の大幅コピーで訴えられますよ!!」
「その時は消せば良い。蛇足的な内容だから」
「君達、メタるのは止めたまえ」
ミラコ先輩が私達の口を塞ぐ。
「そして、部長殿。君が招待、大洗の西住が来ているぞ?」
ミラコ先輩が見遣る先には、大洗戦車道部や強豪校戦車道部の面々が居た。部長が読んだのだ。
「ッハ!ッハハー!!
来たな、大洗の西住!!」
そして、部長はパンと手を叩き、西住みほ先輩に歩み寄って行く。私とミラコ先輩達もその後に続く。
「は、初めまして、メンゲレさん」
「ああ、初めまして、大洗の西住!」
部長は西住先輩から差し出された手を握ると、そのまま抱き寄せる。後ろに控えていたあんこうチームの面々が驚いた顔をする。
「あんなにはしゃいでいる彼女を見たのは初めてよ」
隣に居たミラコ先輩が少し驚いた顔で告げる。部長がはしゃいでいる?
「あれ、はしゃいでいるんですか?」
「ああ、そうだよ。君はまだ一年しか彼女と居ないだろうから分からないと思うが、彼女があんなに嬉しそうにしていたのを見たのは私はまだ片手に乗るぐらいしか知らない」
「そんなにレアなんですか?あの状態」
部長は西住先輩を解放し、ハッハッハと笑っている。相変わらずのイケメンスマイルだ。部長は男女問わず、モテる。長身でスタイルも良ければ顔も良い。そして、何より頭が良い。また、何を考えているのかわらない、と言うか、常に不敵に笑っているので誰も部長が心の底で何を考えているのか知らないのだ。そもそも、私も部長の名前と学年、住んでいる寮の事しか知らない。
「部長って、何者なんですか?」
「さぁ?私もよく分からないんだよ。
私と彼女は中学からの知り合いだが、私も彼女もユークレインの中等部で知り合っていてね。知っての通り、ユークレインは中等部でも寮が用意されている。彼女も私も寮で同室となったのが馴れ初めでね。それ以来は事あるごとに一緒になり、恋人になったのさ」
「いや、まだ、付き合ってないでしょうよ、先輩と部長」
「私は何度も告白しているんだが、彼女が照れて頷いてくれないだけだよ」
なに言ってん此奴?割とマジで。
「前、全力で拒否られてたじゃないですか。一緒にトイレ行くのも嫌がられている時点で友達って線引きも怪しいですよ?」
「て、照れてるだけだ」
あ、視線逸らしやがった、この妖怪百合女。
「ま、まぁ、兎も角、今日は文化祭だ!ハッハッハ」
ミラコ先輩が私の肩をバシンバシン叩き、部長の下へ。
「部長殿、こんな所で立ち話もなんだから、彼女達を部室へ案内したらどうかな?」
「そうね。それが良いわね。ロー、大洗の西住を部室へ案内してあげなさい」
「はい、喜んで!!」
部長は私はちょっち糞ったれのイザールに呼ばれてるからと去っていった。
「あ、あの、握手して貰えますか?」
「え?あ、はぁ・・・どうぞ」
おおぉぉぉ!!!!大洗女子戦車道部隊長の西住みほと握手をした!!
「つ、ついでにサインも・・・」
「さ、サイン!?」
「みぽりん凄い!!」
「流石です、西住殿!!」
装填手の秋山優花里先輩と無線手の武部沙織先輩がパチパチと拍手を送った。西住先輩にサインを貰い、多分、私はもう死んでも良いかもしれん。割とマジで。
「ローデリア、惚けていないで彼女達を部室へ案内してやりなよ」
「はっ!!そうでした!!
どうぞ、西住先輩!!汚い所ですが!!!」
「ど、どうも・・・」
私は西住先輩達を玩具や漫画で溢れ返っている部室へ案内した。
ちなみに、ユークレイン戦車部(部長、砲手、操縦手)は全員が3年です
ローデリアのみ1年です
生徒会もイザールが3年でリーナスは2年です
戦車部は保有する戦車から考えて圧倒的な人数不足ですが、女子剣道部の部員を借りて補充しているので、問題ないです
T28で言えば、ローが本来は装填手ですが、チビの上に筋力がないので、装填手という名目の無線手及び観測手です
なので、聖グロの際も砲隊鏡を覗き弾着修正や風速などの観測をしていました