「トップアタックはどんな戦車でも、流石に無理よねぇ」
部長はようやく終わったか、よこっらしょと白旗の上がるT28から降りる。空から降ってきた何百、何千と言うロケット砲弾はE-100やT26E4、シュトゥルムティーガーを撃破した。
「全車両、動ける車両は動けない車両を牽引して待機所まで戻る。E-100が2両やられてっから、マウスとかで引いて。T28も」
そして、部長は手早く指示を下し、T28からデッキチェアーを引きずり下ろし、組み立てて座る。負けたと言うにどうしてそうも平然としていられるのだろうか?
「この後インタビューがあるわけだ。メンドクセー…はい、ローデリア君、ここで予想されるマスコミのインタビュー内容は?」
「え?えぇっと……
今回の戦いについてどうでしたか?何故途中で、会戦に持ち込んたんですか?今の気持ちは?ぐらいですかね」
「でっしょー?
別に、勝っても良いのよ、こんなアホみたいな試合」
部長がデッキチェアーで涅槃像が如く寝っ転がって告げる。
「じゃあ、なんで負けたんですか?」
「勝っちゃったら、私等最強でつまんないでしょうが」
「だからわざと負けたんですか?」
「あったりめーでしょうーが。
でもね、ローデリア次期戦車部部長。何時も通りの戦法を取っていれば私は確実に負けなかったわ。そして、今日見せたあの戦術も併用すれば更に勝率アップよ」
恐ろしい人だ。試合に負けて勝負に勝っている。そんな事を言っていたらドロドロとⅣ号戦車がやって来た。後ろにはタイガーに乗った西住姉とT-34に乗ったカチューシャ、そして、ピンク色のジープに乗ったダージリンとOD色のジープに乗ったケイも来た。全員大集合だ。
「あら、大洗の西住にその他隊長さん」
部長がデッキチェアーから立ち上がると、大洗の西住がⅣ号から降りてくる。他の隊長達も同じように西住先輩の後ろに並んだ。
「私の完敗です」
そして、西住先輩が告げると、部長はニンマリと笑い、そして、グイィっと西住先輩に顔を近づける。
「当たり前だ、間抜け。お前等如き、クソみてぇな中戦車が100t超の重戦車郡に勝てると思ってたのか?お前が、黒森峰のマウスに勝てたのは、ただの“運”だ。あの時、あのアホ見てーな作戦を思いつかなければ、お前達は今此処に居ない」
部長は西住先輩に告げると、顔を離して笑う。
「だが、君達が試合に勝ったのは間違いない。糞のように命中率が悪いロケット弾を数に物を言わせて我々の頭上から降らせたのは諸君等、火力に劣るチームが成せる最高かつ簡便な選択だ。
諸君等の働きで、E-100やマウスは更に売れるだろう。あの黒森峰やプラウダが束になっても勝てない重戦車郡。倒すには、同数以上の重戦車か糞に集る蠅がごとく大量のロケット弾がいる。社長に提案をするぞ、私は。
カリオペを販売するんだ。シャーマンだけではなく、ありとあらゆる戦車に搭載できる
「ネーベルヴェルファーですね」
「なんでもいい。それと、カチューシャだったか?スターリンのオルガン。アイツ等を戦車の荷台に乗っけたり、砲塔を撤廃して代わりに乗せてやれば良い」
部長が背後に立つ列強校の隊長達を見る。
「資金のない大洗のような学校が、お前達の様に資金も戦車も潤沢にある学校を叩き潰しに来るぞ?あぁ、楽しいだろう。あぁ、素晴らしいだろう?
空から降ってくるロケット弾を避けるにはどうするべきか?今までのセオリー通りでは
部長はハッハッハと大きく笑ってガラガラと引きずられていくT28に飛び乗った。
「私の名前は、イレイナだ。イレイナ・シュタインバッハ。
諸君等がどんなに集まろうと倒す事の出来なかった女だ。覚えて置くが良い」
部長はそう告げると、ハーッハッハと怪盗二十面相然りな高笑いと共に消えていった。部長は、私にウィンクを一つかまして消え去る。その場には私だけが残った。
「戦車から落ちてしまえ」
「え?」
「いえ、何でもないです。ようやく、あの悪魔が部長が引退しましたか…
ウチの部長が本当にご迷惑をおかけして申し訳御座いませんでした」
取り敢えず、隊長達に深々と頭を下げておく。正直、もう、列強校や大洗にはパーシングやらティーガーやらを無料でプレゼントしても良いぐらいに迷惑をかけたと思う。
「でも、なんだか、凄い人でした。本当に強いですね、イレイナさん」
「変人なんですよ、あの人。うちの学校って技術至上主義なんですけど、今までのテスト全て学力だけで勝ち抜いてきてるんですよ。もちろん、技術の能力もあるみたいなんですけど、『なんで私がガスバーナーなんて持って油臭い中テスト受けなきゃいけないのよ?』って言って絶対に実技しないんですけど」
正直、なんでウチにいるのか甚だ疑問なのだ。
「まぁ、私が部長になったからには、こんな戦車道を冒涜するようなアホみたいなクソ戦術は絶対に使いませんけどね。
重戦車は突破こそが花道!!次は、マウスとE-100で編成したパンツァーカイルで街に隠れていようが、森に隠れていようが、蹂躙します。西住先輩、次、試合で勝つのは我がユークレインです。来年の戦車道大会には是非参加してください。そして、
「……はい!」
呆気に取られていた西住先輩が苦笑して、それから笑顔で笑う。
「ちょっと、待ちなさいちびっ子!アンタ、この偉大なるカチューシャ様のプラウダ校に勝つつもりでいるのかしら?」
「我々黒森峰だっている」
「サンダースも頂戴」
「グロリアーナも、お忘れになっては困りますわ」
「アンツェオだって居るわよ!」
列強校の隊長達が前に出てくる。そう、ライバルは大洗の西住だけではない。だが、私の、いや、ユークレインのライバルはただ一人、大洗の西住だ。我が重戦車部隊を破った唯一無二の隊長だからだ。
「申し訳ないですけど、貴女方は私の“眼中”には
それでは、失礼します」
部長に習って私も笑みを浮かべて見る。正直、私もあの部長に毒されている部分があるのだろう。
これで終わり。
次、戦車を書くとしたらセラ重かな
M24チャーフィーを主人公にしたいね
それか、SU-85以降の自走砲でも良いね
いっそのこと三突やヘッツァーオンリーの固定砲塔且つ低身長戦車部隊ってのも面白いね
戦車じゃないけどね
あと、最後の方でアンチョビを真面目に忘れてたのは内緒