「取り敢えず、サンダース校まで来てみたけど」
「常識的に考えて、敵に情報をバラすと思ってるんですか?」
現在、私達はサンダース校の門前にいる。T28の乗員に副隊長のミラコを連れ、立っていた。
「別に、情報くれなくても、相手に情報与えてあげないと、流石に可哀想でしょ」
「いやいやいや!?!
もう、何が目的なんですか!?絶対、入れませんって」
ローが臆病風に吹かれやがるぜ。
「なぁなぁ、サンダーソンってコーラ飲み放題、アイス食べ放題なんだろ!さっさと行こうぜ!!」
カナリスが私の腕を引っ張って入っていこうとする。此奴は、本当に・・・つーか、その嘘情報誰よ、その情報誰出よ?
「まぁ、良いか。
つーか、道分からないし、取り敢えず、近くにいる奴に聞こうべ」
「そうね。ちょっと、そこのソバカス」
ミーナがこの前、ケイの後ろにいた名前の知らないソバカスを見付けた。
「ンナッ!?
ユークレイン!!!何でここに居るのよ!!!」
「スパイに来たんだよ、言わせんな恥ずかしい」
「またスパイっ!?!」
また?前回もスパイがあったのかしらね……
まぁ、どうでも良いか!
「そうそう、スパイスパイ。
ほら、わかったらさっさと案内しなさい。えっと、なんつー名前かしらないけど、ソバカス」
「アリサだ!!」
「じゃあ、お前のあだ名ソバカスな」
カナリスが身も蓋もないあだ名を名付ける。馬鹿とは時として罪になるのだ。
「取り敢えず、コーラ飲み放題とアイスクリーム食べ放題なんだろ!!さっさと連れてけよ!!」
「誰がそんな事言ったのよ!!そんなわけ無いでしょうが馬鹿!!」
アリサがムガーっと叫ぶ。此奴も苦労するパターンに人間ね。ローと一緒で。隣でローが同情するような視線を送っているが、まぁ、良しとしよう。
「取り敢えず、さっさと行って早くぞ。態々サンダースの学校艦が通る航路にユークレインの学校艦を併走させて態々連絡船まで下ろさせて来たんだ。これで収穫なしだと、会長が報われない」
ミラコが溜息を吐いた。
「あ、アンタ等、学園艦の航路動かした訳?」
「当たり前じゃない。じゃなきゃ、どーやって航路が合わない学園艦同士に会えるのよ?
アンタんところの学校艦はどうか知らないけど、ウチの学校艦はユークレインが全て出資してるから航路も学校が握ってるのよ。だから、会長をど突き回してこっちに航路変えさせたわけ。となり見れば、ウチの学園艦が併走してるわよ」
「はあぁぁぁぁぁ!?!?!?!!」
アリサは目を丸くして私を見た。なので、肯定の意味で頷いてやった。ミラコはこういう時はせっかちなのよね。もうちょっと引っ張ってからかっても面白いのに。
「ま、兎も角、学校案内してよ」
「ちょっと待ってなさい」
アリサは私たちにここで待つように言ったので大人しく待つ事にした。待つのは私達の基本戦術だし。
「なぁ、まだ入れねぇーの?」
カナリスが勝手に中に入ろうとするのをミーナが止める。コイツの頭ん中は多分、きっと、絶対アイスとコーラしか入っていないのだろう。
「勝手に入るなっツーの!不法侵入で補導されるでしょうが!!」
「ハッハッハ、捕まるならアンタとカナリスだけで捕まってね。
私とローとミラコは全力で他人の振りするから」
「この悪魔!この馬鹿力っ!後でハーゲンダッツ買ってあげるからじっとしてなさい!!」
ミーナが告げると、カナリスがピタリと止まった。本当に、欲に忠実ね。
それから、15分程するとケイとノッポを連れたアリサが戻ってくる。ケイが少し呆れた顔でこちらへ向かってきていた。
「はぁい、ケイ。スパイに来たわ。
戦車の編成教えて」
「はぁい・・・そう言えば、名前聞いてなかったわね。
大洗の子はオッドボール三等軍曹と名乗ったけど、貴女は何て名乗るのかしら?」
オットット三等軍曹?
「オットット三等兵って何よ?」
となりで申し訳ないですと言う顔のローを見る。
「オッドボール三等軍曹ですって!
戦略大作戦って映画に出てきたシャーマン部隊を率いていた軍曹の名前です。ドナルド・サザーランドっていう役者がやって、キーファー・サザーランドのお父さんです」
「その、キーなんちゃらって誰よ?」
「24ってドラマ知ってる?」
ミラコが呆れた様に私にいう。え、なに?今の私、カナリス的な感じになってるの?
「知ってるわよ。アンタが私の部屋にDVD全巻置いてるでしょうが」
そう、ミラコは私の寮に入り浸っている。隙あらば私の想定を紳士的に狙おうとしてくる奴で、
「あれの主人公が、キーファー・サザーランドだよ。
ほかにはスタンド・バイ・ミーでも不良役で出てたな。今度一緒に見る?」
「結構よ。そう言う、ロードムービー見るなら水曜どうでしょう見てた方がマシよ」
「分かった。今度、一緒にDVDを借りに行こう」
「ロー、あんたも一緒よ」
隣にいたローを捕まえておく。
「嫌ですよ!何で私が部長の百合臭い部屋に行かなくちゃいけないんですか!?」
「テメーこのアマ、私の部屋の何処が百合クサイって言うのよ!?
アンタの鉄臭い部屋よりはマシでしょうが!!」
「鉄臭くて結構です!
それより、さっさと帰りましょう!!サンダース校に迷惑なんですから!!」
ローが私の手を引っ張ていこうとして、ケイに止められる。
「待って。別に、迷惑なんかじゃないわよ。
逆に、私達の凄さをその目で見て行ってもらおうと思ってるわ」
言うと、ケイは不敵に笑って付いて来てと歩き出す。
ローやミラコがどうするべと私を見る。どうするもこうするも無いでしょうが。
「ほら、行くわよ」
ローの頭をクシャクシャと揉み、サンダース校の門を潜る。名門サンダース。すげー広い。ウチの学校も負けてないぐらいに広いけど、何と言うか、アメリカンな学校だ。
「廊下にロッカーがあるわ」
ミーナが呆れた顔で廊下に並ぶロッカーを指差す。
「そうね。しかも、上履きじゃなくて土足で行けるってのもあれよね」
「そうですね。アメリカンですね、流石サンダース!」
ローがムッハーと興奮した様にケイの後を付いて行く。
「アンタん所の編成教えなさいよ。まぁ、どうせ、蛍2両にシャーマン18両とかそういう感じの編成なんでしょうけど」
「フフーン?
あまり、私達を甘く見ない事ね」
ケイはそのまま私達を倉庫に連れて行く。倉庫にはオリーブドラブ色の戦車がワンサカあった。
「なにこれ、全部同じ戦車じゃない」
「なー」
「ゴキブリみたいにウヨウヨいるわ、気持ち悪い」
「ゴキブリ戦車か!」
「「M4シャーマン戦車!!」」
アリサとローがミラコやカナリス、ミーナに叫ぶ。正直、M4シャーマンってだけでどれがどれなのかさっぱり分からん。
「何でも良いわよ。アンタ等はM4こんだけもってんだぜ?ヘッヘーって言いたいわけ?悪いけど、ウチの学校もこんなブリキ缶より強力な戦車がワンサカ有るわよ?欲しいならあげるわよ。
なんだっけ、ファイティングパーシング?あれ?103号戦車だっけ?」
「M103ファイティングモンスターですって!!」
ローがパーンと床にハンカチを床に叩きつける。何でも良いわよ、うるさい子ね。
「それそれ。なんか、チョーだっせー感じの戦車だったけど。10両ぐらいあるし」
「まぁ、あれは連盟の定める規則に引っかかって、参加出来ないですけどね」
ローが呆れた顔で告げる。そう言えば、なんかドイツ軍っぽい奴等が来て、参加出来ませんとか抜かしてたわね。戦車なら何でも一緒だろうに。
「まぁ、良いや。それで?サンダースの秘密兵器は何かしら?」
「ふふん」
ケイがパキンと指を鳴らすとガラガラガラと戦車が1両入って来た。やはり、深緑色だ。
「ぱ、パーシング!?!」
「「「「何それ?」」」」
ロー以外の全員が同じ事を思ったらしく、ローに尋ねた。
「アメリカ軍が対ティーガー用に開発したM26パーシング重戦車ですよ!!」
「ウチの学校にもあるの?この深緑色?」
「ありますよ、ええ、と、言うか、二年の春にこれを作るって言われてとても楽しみです。M26は数え切れないぐらいにありますから、展示する価値もないって感じに鋳潰されてます」
「ふーん、じゃあ、良いや」
「あ、でも、90mm砲の威力はパンターやティーガーⅡの正面装甲は抜けないみたいですけど、舐めてたら、痛い目みますよ?足速いですし」
ローがなぜかケイの横に立って、擁護していた。なんで此奴、私達と敵対している相手側に居るの?
「なぁ・・・」
「「あいよ」」
私がローを指差すと、ミーナとカナリスがローを脇に抱えて、こっちに連れ戻した。
「此奴はたったの1両しかないの?」
「悪い?」
「ふーん。じゃあ、これ1両、蛍2両、シャーマン17両かしら?」
「いいえ、パーシング1両、ファイアフライ4両にシャーマンM4が7両、M4A1が8両よ」
なら、その5両に要注意ね。
「こっちは、T28が1両」
「ええ」
「マウスが3両」
「は?」
「後は、ヤークトティーガーが3両、ケーニヒスティーガーが3両の計10両よ。
じゃ、当初の目的も果たしたし、サンダースを楽しんでから帰りましょう。ケイ、学校案内してよ」