とある不動のGMC   作:はち   .

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GMCは味方がいない

「はぁい、ケイ」

「はぁい、ユークレイン」

 

 腕を吊ったケイが前に出る。アリサは車椅子を、ノッポはそれを押している。随分と酷い有様だ。ほかの部員も全員ボロボロだった。まぁ、平均1両につき2発の12.8mm砲弾食らってりゃそうもなるわな。修理代が半端無さそうだけど、まぁ、それは敗者だからしょうがないわよね?強ければそんな余分なことをせずとも、足回りを整備すればいいんだし。

 

「取り敢えず、()()()、良い作戦だったわ、ケイ」

「素直に褒め言葉として受け取っておくわ、ありがとう。でも、何故分かったの?」

 

 ケイが少し悔しそうな顔で私に右手を差し出したので、私はそれを握る。

 

「ふふん?あんな作戦、誰でも思い付く。森から攻めれば、私等が得意な遠方から砲撃は防げる。だから、フラッグ車を含めた囮部隊を森から回し、私等の全車両を森に釘付けにしておく。

 そして、森からちょろっと顔を出してバンバンバン。私等がさらにムキになった所を、強力な17ポンドと90mmが背後から強襲、アボーン」

 

 そう、半分が固定砲塔、更には小回りや砲塔の旋回能力、装填速度がどの戦車も相手の戦車に負けている。初弾防げば次弾までは()()()()()落ち着けるだけの時間がある。

 

「貴女、本当に戦車道初心者なの?」

「ふふん?面白い事を聞くわね。

 今の戦車道は70年も前に私らの爺さんや曾祖父さんが体験しているんだぜ?戦車道なんぞ知らんでも、『戦い方』はいくらでも勉強できる。私が今一番恐れているのは大洗の西住よ。彼奴は想像だにしない作戦を展開したわ。ほら、先の大洗と黒森の戦い。貴女も見たでしょう?」

「ええ、まさかマウスの上に乗るとは思わなかったわ」

「戦車は真上が撃てないので。馬乗りにされるのは勘弁願いたい。まぁ、近づかれれば、貴女達同様に叩き潰すつもりだけれども」

 

 そう。相手に近付かれなければ、何等問題ないのだ。

 

――――装甲を、撃ち抜けなければ、意味がない

 

 我ながら良く出来ていると思う。戦車道川柳に応募してやろうかしら?まえ、なんか募集してたし。

 

「サンダース!」

 

 そこに甲高いアニメ声が聞こえてくる。声の方を見るとブルドーザーのノンノンと大地震のリボンだったかしら?あの二人が居た。

 

「ブルドックのノンノンと地震津波のチェッカーだっけ?」

 

 脇に居たカナリスがローを見る。

 

「ブリザードのノンナと地吹雪のカチューシャですって!!なんで犬と津波のなるんですか!!!」

 

 ローがカナリスの肩を持ってガタガタと頭を振る。良かった、口に出さなくて。

 

「アンタ達の仇はこのカチューシャ様がとってあげるわ。

 ユークレインの、えっと、アンタ名前は?」

「ふふん?

 なら、メンゲレ、死の天使メンゲレはどうかしら?」

「メレンゲって、ケーキの?」

 

 カナリスがミーナを見る。

 

「知らないわよ。あと、メレンゲじゃなくて、メンゲレよ。馬鹿ね」

「メンゲレはヨーゼフ・メンゲレって言って、ナチスドイツの医者ですよ。

 人体実験で多くの人を殺して来た、ゲス野郎です」

「よく分ないけど、医者なのか?まぁ、部長は頭良いからなぁ~」

 

 カナリスがまったくもって見当違いな事を言い、ローが眉間を抑える。

 

「なら、私はエルヴィン・ケーニッヒね」

 

 ミーナがフフンと笑ってみせた。

 

「誰だ、エルビス・ケーニッヒって?」

「エルヴィンですよ。ヴァシリ・ザイツェフが狙撃したと言われているドイツ軍の狙撃兵です。

 実在するかどうかすら怪しい人間ですよ。2001年版のスターリングラードではエド・ハリスがその役をやりましたね。まぁ、映画は面白かったですよ」

 

 カナリスはなるほどと頷いていた。

 

「じゃあ、私はなんだ?」

「先輩は「そんな事はどうでも良いのよ!!

 取り敢えず、メンゲレ!アンタは私の偉大なるカチューシャ戦術の前に平伏す事になるわ!

 マウスだのティーガーだのと分厚いだけの戦車を揃えたところで、我がプラウダ校の前には無意味よ!ミホーシャには負けたけれども、アンタ達みたいに冬眠中のヒグマみたく動かない戦車共は格好の標的って事を教えてあげるわ」

 

 カチューシャが私に指を突きつける。姿勢が低いので私を見上げる感じになり、カチューシャが慌ててノンナに肩車をした。

 

「貴女も大変ね」

「いえ、それほどでも」

 

 言うと、ノンナは表情を変えずに告げた。ローを呼び寄せてみる。

 

「なんですか?」

「肩車してみる?」

「なんでですか!?」

「え?いや、なんか、面白そうだし。ホラ!」

 

 しゃがんでローに乗るように指示する。

 

「嫌ですよ!?」

 

 しかし、ローは拒否をした。仕方ないので、カナリスとミーナを見ると、二人は直様ローをガッチリと捕獲し、そのまま私の肩に乗せる。

 

「勝ったわ」

「むぅ~・・・ノンナ!この屈辱は絶対に晴らすわ!!」

 

 覚えてらっしゃいとカチューシャがをローを睨みつける。ノンナがオブリゲーション的な事を言って去っていった。

 

「何で私が睨まれたんですか!?」

「知らないわよ。あと、ノンナは何て言ったの?」

「ロシア語でさようならって意味ですよ。あと、いい加減降ろしてください」

 

 仕方がないのでローを下ろす。意外に重かったわ。

 

「そんじゃ、詳しい内容は今度決めるとして、対プラウダ校の作戦を考えないといけないわね」

「また、遊びに行くのか!?」

 

 カナリスが私に詰め寄ってくる。こいつ、絶対、食堂に行きたいだけだろう。サンダースの時も食堂で全メニュー食べやったし。

 

「それも良いけど、プラウダは田舎過ぎるわ。流石にもう航路は変えられないわよ。あの後、生徒会がスゲー怒られたって話だし」

 

 まぁ、イザールが私に文句を言いに来たけど、無視してやったわ。

 

「取り敢えず、ケイ」

「何かしら?」

「我々は新たにE-100を手に入れた。3両だ。

 我が軍にはマウス重戦車9両、E100重戦車3両、T28重戦車1両を基幹とし、相手によって周囲の重戦車を変えていく。大洗の西住に伝えておけ。我が校には貴様の()()()()()()()()()は通用せん、とな」

「自分で言ったら?」

「ふふん?私も、“幸運の女神”が微笑ん()()の学校に足を運ぶ程“暇”じゃないんでね。失礼させて貰うわ。

 帰るわよ」

 

 ケイ達に別れを告げ、私等の戦車に戻ろうとすると、背後でケイが叫ぶ。

 

「ミホは負けないわ!私達とは全然違うわ!!」

 

 私はそれに答えず、キューベルワーゲンに乗り込む。

 

「私が運転してぇ!!」

「構わないわ。ミーナ、カナリスがアホしないように見張って。ローは私にE100について教えなさい」

「はいはい」

「分かりました!」

 

 運転係をカナリスに変わらせ、ミーナを助手席に座らせる。私とローは後部座席に座り、待機所まで戻る。

 E-100を活かすように言われるだろうが、まぁ、無理だな。取り敢えず、プラウダの戦車は硬い、強い、速いの三拍子が揃ったT34を主力にKVシリーズとISシリーズね。KVは遅いから良いが、ISは問題だ。取り敢えず、プラウダの今までの戦術を見直すか・・・

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