単刀直入に言う……助けて欲しい……
『僕の物になってよ……マスター』グググ
「え、あ、その……」グググ
私の目の前、というより上に乗っかっているのは……私のデッキのエース、火霊使いヒータご本人様でした……
どうしてこんなことになってしまったのだろう……少し時間を遡ってみたいと思う……
確か私は、藤原を運んでブルー寮に向かったんだ……んで、藤原ナビのおかげでなんとか寮についたんだったっけ?
「ふぅ……やっと一息つける……」
考えてみれば、今日一日歩きっぱなしだったからなぁ……今日はもう寝よう、ご飯は……部屋にちょっとしたお菓子があるから明日の朝食べよ……っていうかこの部屋、ベッド一つしかないんだけど……私の一人部屋?もしかして省けにされてる!?推薦組みと一般受験の格差!?差別反対!平等賛成!一人はなんだかちょっとだけ寂しいんだけど!?
「グスッ……いいもん……この広さを満喫してやるぅ……」
…………やることがない……いや寝ろよ、っていうツッコミはなしです、今はこの部屋を満喫しなければ、寂しさでちょっとだけ鬱になっちゃう……
「あぁ……どうしよぉ……」ゴロゴロ
とりあえず床をゴロゴロすることにした、ベッドより布団派の私は、雑魚寝とかが結構好きだったりする……布団、借りてこようかな……
「あぁぁぁ……どうしよぉぉぉぉ……」ゴロゴロゴロゴロ
ゴロってます、それはもう見事なゴロり方です……何の自慢にもならないことは私が一番理解しているだろう……
コンコン
ん?誰って……一人しかいないか……
「藤原か?どうぞー」
「……お邪魔するわね?」
「あぁ!明日香さん!こいつですよ!特異のブルー女子!」
「ジュンコさん?はしたないですわよ?」
……誰だよ、この三人……微妙に頭に引っかかっているんだけど……
「桐野舞さんでよかったかしら?」
「堅苦しいから桐野でも、きりのんでも、舞でも、舞ちゃんでも、マイマイでも好きによんでいいよ?」
「……ま、舞は今日、新入生歓迎会に出席していたかしら?」
素敵な催しものがあったみたいだね、うらやましいね!私も行きたかったね!お腹いっぱいご飯が食べたかったね!
「いや……出てないね……」
さっきまで森の中をさまよってたからね!半日歩きっぱなしだったからね!
「皆すごく楽しみにしていたのよ?『この学校の先生のNO.3を倒したすごい一般受験生がいる』ってね」
……え?あ、あれが三番手?……この学校大丈夫か……?
「……偶々だよ、運がよかったのかな?」
とりあえず、当たり障りのない返答をする……ここで下手なこと言って喧嘩売っちゃったら私はどんどん肩身の狭い思いを……
「それを今から確かめようと思ってね?今から私とデュエルしてくれないかしら?」
「えー……」
面倒くさいなぁ……後で藤原ともやらないといけないし……
「ちょっとアンタ!明日香さん直々のお願いよ!素直に従いなさいよ!」
……頭弱そうな子だなぁ……
「……随分なご身分なんだね?」
「ち、違うわよ!?皆が勝手に……!私はやめてって言ってるのよ!?」
さいですか……まぁどっちでもいいんだけどね?
「まぁ、いいよ?デュエルしようか」
ぶっちゃけるとそこまで断る理由もなかった、さっきまであった悪寒もなくなったし……なんとか持つんじゃないの?
「ありがとう!それじゃあさっそく始めましょう!」
「「デュエル!」」
先行は……私か……
「私のターン、ドロー」
「……もうちょっとやる気になってもらえないかしら?」
デフォルトだよコンチクショー、ってか手札……私、転生者の割にはドロー運なくない?全然動けないんだけど……
「……ADチェンジャーを守備表示で召喚」
・ADチェンジャー ☆1 100/100
「攻守100のモンスター?誘っているのかしら?」
他に出せるモンスターがいないだけなんだけどね!まぁ変に疑って攻撃を躊躇してくれるなら助かるから……
「カードを三枚伏せて、ターンを終了」
一枚しか使えるカードはないけどね!二枚はブラフだけどね!私の手札、事故りすぎなんだよぉ……
「伏せカードが三枚……やっかいね、私のターン!ドロー!」
まぁ計画通りに警戒してくれてるなら……いいか
「ブレード・スケーターを攻撃表示で召喚!」
・ブレード・スケーター ☆4 1400/1500
ブレード・スケーター?なんだっけ?サイバーガールだっけ?使ったやつ見たことないから全然知らないけど……
「バトルよ!」
って普通にバトルするんかい!?
「ブレード・スケーターでADチェンジャーを攻撃!アクセル・スライサー!」
出た、技名……ちょっとかっこいいなぁ……恥ずかしそうだけど……ああいうのってフィーリングでつけてるのかな?
「むぅ……」
当然だけど、ADチェンジャーは破壊されます、防げるっちゃ防げるけど、こいつは墓地に居てこそだし……
「カードを二枚伏せてターンエンドよ!」
「あいあい、私のターン、ドロー」
……あ、もういいや……
「憑依装着-ヒータを攻撃表示で召喚」
・憑依装着-ヒータ ☆4 1850/1500
かわいいなぁ……でもこれは通常召喚しちゃうとただのバニラなんだよね……まぁこの状況下じゃしょうがないけどさ……
「バトル、ヒータでブレード・スケーターを攻撃……えっと……メ、メ○ゾーマ!」
「「「メラ○ーマ!!?」」」
し、しょうがないじゃん!出てこなかったんだよ!いいじゃんメラゾ○マ!強いよメラゾーマ○!
「あ!ト、トラップ発動!ドゥーブルパッセ!」
ドゥーブルパッセ?なにそれ、聞いたことないんだけど……原作オリカ?もしかして原作知識ってそういうことまで抜けるの?……やばくない?
ヒータの放ったメラゾーマはブレード・スケーターには当たらず、プレイヤーである明日香に当たった……いやなんで?
「ドゥーブルパッセは相手の攻撃をプレイヤーに切り替える……!そして……攻撃対象となったモンスターでダイレクトアタックができる!」
……?どうしてこのタイミングで?1850のダメージを受けてまで私にダメージを負わせる必要があるのか?
舞 LP4000→2600
明日香 LP4000→2150
「……ターン終了」
結果的にモンスターを残す形にはなったけど……それが狙いなのか?じゃあどうして残した?……上級がくるからじゃん……
「私のターン!ドロー!……手札から融合を発動!」
本当に来るのかぁ……フラグ立てたか?やだなぁ……
「場のブレード・スケーターと手札のエトワール・サイバーを融合し、サイバー・ブレイダーを召喚する!」
・サイバー・ブレイダー ☆7 2100/800
……あれ?思ったよりも思ったよりだったよ、あいつは確か……私の場のモンスターの数で効果が変化するんだっけ?覚えてないけど……
「いくわよ!サイバー・ブレイダーで憑依装着─ヒータを攻撃!」
「それは通せないね、リバースカード発動、和睦の使者、このターン、私の戦闘ダメージはゼロになり、モンスターは戦闘によって破壊されない」
「っく!?カード一枚伏せてターンエンドよ!」
うーん、どうしよっか……よし!私のデッキを信じてみるか!
「エンドフェイズ時、トラップ発動!DNA移植手術!このカードがフィールドに存在するとき、場の全てのモンスターの属性は、私の宣言した属性になる、選択は炎属性ね」
「……なんの意味があるのかしら?」
うん、引きによってはなんの意味も持たないかもね?まぁ、信じてるから、答えてよ?
「私のターン、ドロー!」
どれどれ……うん、ありがとう
「モンスターをセット」
「ふん!結局守りを固めるだけじゃない!そんなんじゃ明日香さんのサイバー・ブレイダーは倒せないわよ!」
「うん、そうだね?ちょっと黙ってみててね?」
応援と野次をはきちがえてはいけないよ?
「……サイバー・ブレイダーの効果を知らなかったみたいね、サイバー・ブレイダーは相手の場にモンスターが2体の場合、攻撃力が二倍になる!」
サイバー・ブレイダー 2100→4200
ほぇ……サイバー・エンド越えたよ……おっそろしいな……
「う~ん……これは倒せそうにないね……」
「どうするのかしら?」
倒せないからなぁ……しょうがないよなぁ……
「倒せないなら……奪うしかないよね?」
「「「……え?」」」
さぁて皆さんは私のセットモンスターがなにかお気づきだよね?それでは参りましょう!
「墓地のADチェンジャーの効果発動!」
「墓地からの効果!?」
……あ、そっか、この時代だと墓地効果は結構珍しいのか……かといって手を抜くつもりはないけどね?
「このカードをゲームから除外することで、フィールドに存在するモンスター一体の表示形式を変更する!」
「な!?サイバー・ブレイダーの守備力は800……!」
あ、そっか、それで戦闘破壊も狙えたのか……うっかりしてた、まぁ今回は……
「言ったはずだよ?奪うってね?セットモンスターを攻撃表示に変更!」
裏守備から攻撃表示になることによって、そのモンスターは姿を現す……
「火霊使いヒータのリバース効果発動!」
私のフェイバリット、火霊使いヒータがきつね火を従えて颯爽と現れる……ちょっとかっこいいかな……
「このカードがリバースしたとき、相手フィールド上の炎属性モンスター一体のコントロールを得る!」
「私の場に炎属性モンスターなんて……」
「ついさっき炎属性になったよね?私のトラップで」
「「「……あ」」」
ご理解いただけたところで!
「サイバー・ブレイダーのコントロールをこちらに移し、バトルフェイズに入るよ?」
「っく!?」
「サイバー・ブレイダーで攻撃」
「トラップ発動!ドレインシールド!」
んげ!?順番間違えた!!?
「相手モンスター一体の攻撃を無効にし、その攻撃力分だけライフうぃ回復する!」
明日香 LP2150→4250
「……続けて憑依装着─ヒータ攻撃」
「っ!通すわ!」
「火霊使いヒータで攻撃」
「うっ!?」
明日香 LP4250→2400→1900
最初にヒータで殴っておけば、もうちょいダメージ稼げたかな……まぁよしとしようかな?
「ターンを終了」
「私のターン!ドロー!……手札から!魔法カード、強欲な壷発動!」
つ、壷!?おいおいおいおい!!?禁止じゃないの!?この世界観では使用可能なの!?めっちゃ欲しい!
「……いくわよ!サイバー・チュチュを召喚!」
・サイバー・チュチュ ☆3 1000/800
このタイミングで下級を攻撃表示……仕掛けてくる気満々じゃないか……
「バトルよ!サイバー・チュチュで火霊使いヒータを攻撃!ヌーベル・ポアント!」
「あ!ヒータ!」
舞 LP2600→2100
「これでヒータのコントロールの奪取効果は消える、そうよね?」
「……その通りだよ」
サイバー・ブレイダーが、相手のフィールドへと戻っていく……あぁ、これは負けたか?いや、まだまだ……
「サイバー・ブレイダーで憑依装着─ヒータを攻撃!」
「おわ!?」
舞 LP2100→1850
ぎ、ギリギリセーフ……って、んなわけないか……
「速攻魔法、プリマの光を発動!場のサイバー・チュチュを生贄にして、手札からサイバー・プリマを特殊召喚する!」
・サイバー・プリマ ☆6 2300/
やっぱりか……サイバー・プリマにはまだ攻撃権が残っている……うまいもんだな……
「これで終わりね!サイバー・プリマでダイレクトアタック!ヌーベル・ポアント!」
ゴーン……ゴーン……
ノンノンノン、正確には……コレが通れば終わり、だよ?
「手札からバトル・フィーダーの効果を発動、相手のダイレクトアタック宣言時、このカードをフィールドに特殊召喚し、バトルフェイズを終了させる」
まさか使うときが来るとは……数あわせで入れただけなんだけどね……
「そんな!?また止められるなんて……」
そう、そして……これで止めがさせなかった君は……
「……ターン、エンド……」
「私のターン、ドロー」
さて、一気に決めますか!
「サイバー・ブレイダーとサイバー・プリマを生贄にささげる!」
「は、はぁ!?アンタ気でも狂ったの!?相手のモンスターを生贄になんて、できるわけ……!」
外野……もう終わるんだから、静かに見ていきなよ……
「……続けるよ?二体のモンスターを生贄にささげて、溶岩魔人ラヴァ・ゴーレムを攻撃表示で君のフィールドに特殊召喚!」
・溶岩魔人ラヴァ・ゴーレム ☆8 3000/2500
「こ、攻撃力3000のモンスターをわざわざ相手のフィールドに出すなんて……!」
まぁすぐに戻ってくるんだけどね?
「さて、と……最後の伏せカードオープン…………洗脳解除、発動」
「洗脳解除……?一体どんな効果なのかしら?」
あら?このカードも知らない?この世界でもマイナーカードってこと?結構便利なんだけどな……
「このカードがフィールドに存在する限り、フィールド上に存在する全てのモンスターのコントロール、元々の持ち主の場に戻る……言ってる意味、分かるかな?」
「……溶岩魔人ラヴァ・ゴーレムは……元々は舞のカード……」
そういうことだね……さて、フィニッシュ!
「ラヴァ・ゴーレムの攻撃!……桐野ファイヤ!」
「「「だっさ!!?」」」
城ノ内君に謝れ!
明日香 LP1900→-1100
「お疲れさま、楽しいデュエルだったよ?」
「ありがとう……噂は本当だったわね、確かな実力者だったわ」
私ぐらいの人なら向こうの世界にたくさんいるよ?
「ちょっとアンタ!まぐれで勝ったからっていい気にならないでよね!アンタなんか本来なら明日香さんの足元にも及ばないんだから!」
「やめてジュウコ!見苦しいまねしないで」
う~ん……あ、そっか
「その子のいうとおりだよ?私なんか、本来ならあっさりやられちゃってるだろうから、今日のことは気にしないでいいと思うよ?」
きっとこの子は、大好きな明日香さんを元気付けようとしているんだろう、頭は弱いけど……嫌いじゃないなぁ、こういう子……
「「「え……?」」」
「ち、ちょっと待って!舞、アナタは本当に強かったわ!」
「……うん、ありがとう、その言葉だけで十分だよ」
もう遅いから部屋に戻った方がいいんじゃないかな?私がそう提案すると、三人はあっさり引き取ってくれた……本用にただデュエルをしに来ただけのようだね……
「……さて、私ももう寝ようかな……」
『ベッドは暖めといたよ?』
ん、ありがとう……
「暖かい……ぬくぬくだね……」
『もうちょい詰めてよ、入れないでしょ?』
あぁごめんごめん……二人だとちょっと狭いね……
『マスター……いい匂いだね……』
「ちょっと、くすぐったいよ?」
なんで抱きついてくるかな、狭くなるだけだよ?もうちょっと広く使おうよ……
『ねぇマスター……僕もさ、色々限界なんだ』
なにがかな?相談とかならのるよ?
『マスターじゃないと……解決できないんだ……それでも聞いてくれる?』
「そっか……うん、大丈夫だよ?」
……で?マスターって誰?
『僕、こんな気持ちになるのも初めてなんだ……!』
そっかそっか……で?君は誰?どこかで見た覚えが……
『マスターのこと考えると、夜も寝れなくなるくらい好きなんだ!だから……!』バッ
うん?なんで馬乗り?顔近くない?お鼻がくっついちゃいそうだよ?
『僕の物になってよ……マスター』グググ
「え、あ、その……」グググ
あぁそうだった、確かこんな感じだよ……最初に気付けよ私、なに自然な流れでベッドに潜ってんだよ……
「えと……ヒータなんだよね?」
『そうだよマスター、マスターの頼れる永遠のパートナーのヒータだよ』
ヒータってこんな性格だったんだ……そんなにずれてないか……
「とりあえず、降りてくれない?重いんだけど……」
『マスターを僕色に染めるまで放さないから♪』ギュッ
かわいいよ?めっちゃくちゃかわいいよ?でも残念、私もこの子も女の子なんだよ……
「……寝れないんだけど?」
『今夜は……寝かさないよ』キリッ
なんか小学生がかっこつけてるようにしか見えない……
「ヒータって……精霊?」
『さっすがマスター!前世から僕を使っているだけのことはあるね!』
前世って……マジ?
「もしかして……向こうの世界でも……?」
『当たり前でしょ?そこにカードがあれば、精霊は宿っているもんだよ!』
マジか……おぉマジか……
『といっても、前世でも使われていたぐらいの記憶しかないけどね!』
あぁよかった……前世での私の恥ずかしいことまで覚えていられたらなんだか泣きたくなってくるもんね!
『前世でも僕のこと大事にしてくれてありがと!だから僕は恩返しするんだ!』
……あれ?おかしくない?恩返し?貞操を奪われる寸前なんだけど?
「……とりあえず、降りない?」
『……マスター、僕のこと、きらい?』
あれ?恩返し?いやかわいいよ?かわいいんだけどさ……恩返し?
「……嫌いじゃないよ?ヒータは私のパートナーなんでしょ?」
『……うん!』パァ
うれしそうなのはいいんだけどね?とりあえず恩返しの言葉は訂正してもらいたい……
「今日はもう遅いから、早く寝よ?」
『う、うん!僕がんばるから……///』
そこで顔を赤らめる理由が分からないよワカラナイヨ……
「……ヒータ、私は眠たいの、分かる?」
『で、でも……!』
「……ヒータは私を困らせたいの?」
あぁ、この言い方はちょっといやだなぁ……なんか脅迫めいてるからなぁ……でも貞操は守らないとなぁ……
『ち、違うよ!僕はマスターのために……!』
「じゃあ、もう寝よ?私はそんなこと望んでるわけじゃないんだから」
『……うん……』シュン
あからさまに落ち込むし……まぁとりあえず上からはどいてくれたけど……
「……一緒に寝る分には別にいいから……」
『う、うん!』パァ
喜怒哀楽が激しい子だね……いい子なんだけどね……
第4話終了です!
めっちゃ長くなってしまいまいました……
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました!