このすばに転生した黒の剣士に祝福を! 作:よろ
(…ここは…そうか。俺、死んだのか…)
男はすぐに理解して、手を目に押し付けた。泣きそうになるのを我慢し彼女を思い出す。
(ごめん、アスナ...君の事、約束守れなかった…)
心に残るのは、ただ一人。共に戦い、共に笑い、共に泣いた、あの...
少年ーー桐々谷和人は最愛の人を。ただ一つの約束さえ守り切れなかった自分へ罪悪感を押し付ける。
約束した。一緒に現実世界へと帰る。あの約束を。
だが、結局ゲームはクリア出来なかった。ヒースクリフ...茅場明彦に負けた。約束を守れなかった。お互いの死という最悪の結果に終わってしまった。
(アスナ…もう一度会いたい…今の願いはそれだけだ)
「ようこそ死後の世界へ。私は、あなたに新たな道を案内する女神。桐ヶ谷和人さん、あなたは本日.今日何日だっけ?そうそう、11月7日の14:54分に亡くなりました。辛いでしょうが、あなたの人生は終わったのです」
そんな様子をちっとも読み取らず定文を言うKYな女神。
俺が目が覚めると、そこは事務室みたいな部屋で...懐かしい感じがした...学校か
「あなたも不幸ね。クリアするまで脱出不可能。約一万人とデスゲームなんてね。まっ、最後の最後で死ぬのもどうかと思うけどププ」
「そうか。俺は桐ヶ谷和人だがおまえは?」
「私の名前はアクアよ。若くして死んだ人間を導く女神。貴方の事は貴方以上に知ってるわ。まっ、何にはともあれ一応お疲れ様。そしていらっしゃいやり直しの...転生の場へ」
本来のアクアならカラカッテ終わりの筈だが一万人も巻き込んだゲームで生きた事を知っている為何時もとは違っていた。
「転生...か。本では何度か読んだがまさか本当に存在するなんてな」
俺も全く知らない訳では無い。
その手の小説は幾つか呼んだことが有るがよもや存在していたとはな。
「なら話は速いわね。あなたには、2つの選択肢があります。
1つ、人間として生まれ変わり、記憶を消して新たな人生を歩むか。
2つ、天国的な所でお爺ちゃんみたいに暮らすか」
「天国か...今頃アスナも天国だろうか」
「天国というのはあなた達が想像しているようないいところではないのよ、だって、死んでるから食べ物はいらないし、物も生まれない。何かを作ろうにも材料もない。
言っちゃえば何もないところだから、日向ぼっこぐらいしかできないのよ。」
もしもアスナが天国ならば俺も天国へ行くが...もし生まれ変わるならば最低でも同じ世界で生きたい。
それが約束破りの最低限の今出来る償いだった。
「2つ、質問いいか?1つ目は俺が死んだ後のSAO2つ目はアスナについてだ」
これ以外コレからの自分に関係無い事になる。
真剣な眼差しを目にし諦め真実を口にする。
「一.1つ目のアンサーは“全滅”よ。約一万人の死亡を確認。2つ目のアンサーは転生よ。」
「そうか...なら俺も転生するか...」
アスナが転生を選んだ事は偶然か必然か...
そして、一緒に戦った仲間達への償いを
どちらにしても俺の答えは...
「そこで一つチャンスが与えられる。勿論あなたに良い話があるのよ。」
ニコニコした顔でアクアが俺に話し掛ける。
「あなた、ゲームは好きでしょ?確かにデスゲームが有ったから無理とは言え無いわ。でも、もしも許されるならばゲーム感覚に似た場所へ記憶と肉体そしてデータと共に向かって欲しいの」
「どんな世界なんだ?」
「簡単に言うとその異世界に魔王がいて、その魔王軍のせいでその世界がピンチなのよ。そんな世界には、魔法やモンスターがあって夢のような世界なんだけど………」
「何か問題でもあったのか?」
「そうなの、その世界で死んだ人達はさぁ、まぁ魔王軍に殺されたわけでしょ、それでまたそんな死に方したくないって言ってその世界での生まれ変わりを拒否しちゃってそうすると、
その世界で赤ちゃんが生まれないし、その世界が滅んでしまう、ならほかの世界で死んだ人を送ってしまおう!ってことになったのよ」
「で、送るなら若く死んでしまった未練タラタラの人を肉体と記憶をそのままで送ることになって、でもそのまま送ってもすぐ死んだら意味がないってことで、何か好きなものを1つだけ向こうの世界に持って行っていい権利をあげているの。そして魔王討伐の暁には何でも一つ“願い”を叶えてる権利を与えるわ」
何でもか...
それならば、あの日をやり直し仲間達をアスナを救えるかもしれない。
「因みに貴方の仲間達と他の六千人ぐらいは本来死ぬはずの無い人だから適当ーーで元に戻れば其処から彼処へ移動よ。貴方が話に乗ればの話だけどね」
深く聞くなと言わんばかりの顔。
神々にも事情が有るのだろうか。
「分かった。特典はどうすれば良い?」
あのデータなら間違い無くチートであろう。
「そのままは無理だから幾つか修正が掛かるわ。迷惑料として本来の記憶とレベルに合わせて解放できる剣を与えるわ」
「宜しく頼んで良いか?」
「ええ、勿論よ」
俺の言葉に笑顔で答えてくれた。
「それでは、桐ヶ谷和人さん。あなたをこれから異世界へ送ります。魔王討伐のための勇者候補の一人として。魔王を倒した暁には、神々からの贈り物。先程述べたどんな願いでも、たった一つ叶えて差し上げましょう」
「さあ、勇者よ!願わくば、あまたの勇者候補達の中から、あなたが魔王を打ち倒す事を祈っています。.......さあ、旅立ちなさい!」
そうアクアが言うと俺は明るい光に包まれた