ついて来れない方は戻ることを推奨する。
コスモアカデミア 個室
シャルルことシャルロットがコスモアカデミアに連れてこられて一日が過ぎた。シャルロットは特に尋問などは受けることなくただ身体テストと軽いカウセリングぐらいだった。その後は用意された部屋に待機されて、一時の休息をとっていた。
「おう、少しは落ち着いたか?」
オータムが食事を持って部屋に入ってきた。シャルロットは一瞬声にビビったがすぐに落ち着く。
「は、はい・・・・」
「昨日は突然で悪かったな。本当なら私がやることなんだがスコールの判断でお前がやるべきだって・・・・・」
「ちょっ、ちょっと待って下さい!やるって一体・・・・・・」
「あ?決まっているだろ。お前の過去との決別だ。」
「決別って言われても・・・・」
「お前だって自分の親父や実家に散々な目に遭っていただろう?それと蹴りを付けるんだよ。」
「でも、そしたら僕も同罪じゃ・・・・・」
「そこは安心しろ、お前の証言とこっちで集めた証拠の数々を昨日、フランス政府に送ってお前に罪がないことをわからせておいた。お前が今までチャンスがあったのにデータをとるのに戸惑うところは千冬から散々報告があったからな。」
「それでもどの道強制送還じゃ・・・・・・」
「お前には今日から家のあるチームに入ってもらう。」
「え?」
「話は食事が終わった後だ。終わったらロビーに来い。お前が入るチームのメンバーが待っているから。」
「は、はい・・・(一体どうなんだろう・・・・・僕。)」
シャルロットは心配そうに食事をとった。
コスモアカデミア ロビー
「おお!ここがコスモアカデミアでっか!」
バイクルは興奮しながらあたりを見る。
「薄暗い儂等が居った支部とは大違いがや~!」
「・・・・・・・・バイクル、そのぐらいにしないとまたシャイニィに引っ搔かせるわよ?」
「すんませんでした教官・・・」
アリーシャに言われてバイクルは頭を下げながら謝罪する。彼女の隣では数馬とウォルターがおとなしくしていた。
「しかし、教官。一つ質問してよろしいでしょうか?」
「何?ウォルター?」
「本来ならフランスに直行し、現地の部隊と合流するはずがどうして変更で来るはずのなかった日本に来たのですか?」
「予定なんて何度でも変わるものよ。今回は私たちウインスペクターに新入りが入るからよ。」
「新入りですか?」
「ええ、スコール会長からの頼みでね。それも数馬、あなたの友達の学園からだそうよ。」
「IS学園から?」
「もうすぐ来るわ。」
「学園ちゅうことは、きっと偉いべっぴんさんなんやろうな~!ウォルターもそう思うやろ?」
「・・・・・・バイクル、お前一回定期メンテナンス受けたらどうだ?」
「ええ!?」
そう言いあっている中、一同の目の前にオータムとシャルロットが来た。
「その子が新入り?」
「ああ、今回の作戦に参加させてほしいとスコールの要請だ。」
「物好きな物ね・・・・・」
アリーシャとオータムが会話をしている中数馬はシャルロットの方に来る。
「君が新入りか。俺は御手洗数馬、タクヤの親友で特警ウインスペクターの隊長だ。とは言っても未だにアリーシャ教官に言われるがままだけどね。」
「私はウォルター、サポートロイドでチームの一員です。今後ともよろしく。」
「儂はバイクルだがね!これからよろしくお願いするがね。」
「よ、よろしくお願いします・・・・・・僕はシャルロット・デュノア・・・・・」
「シャルロットって名前なんか。偉くべっぴんさんだがね~!」
「そ、そんな・・・・」
「気にしないでくれ、こいつ、日頃からこういうしゃべり方なんだ。」
四人が会話をしていると話を終えたのかアリーシャはシャルロットのところへ来る。
「シャルロット・デュノア。」
「は、はい。」
「これから私たちがやることはデュノア社のあなたのお父さんとその関係者の逮捕よ。スコール会長はあなたのことを考えて私たちのチームにあなたを加えることを勧めたけど、私はあなたの意思に任せるわ。あなたは・・・自分の父親を逮捕してでも自由を求める?」
アリーシャの質問にシャルロットはしばらく黙って考えていたがやがて決心した目で答える。
「僕の家族はお母さんだけです。あの男を父親だとは思ったことはありません。でも、だからこそ僕の手でけじめをつけなくちゃならないんだ!お願いします!僕を・・・・・・ウインスペクターのメンバーに入れさせてください!」
シャルロットは頭を下げて言う。アリーシャはしばらく黙っていたもののその後彼女の顔を見て安心したように言う。
「その顔なら大丈夫そうね。本日をもってシャルロット・デュノアを特警ウインスペクターの新メンバーとして迎える!三人とも以降協力して任務をこなすように!」
「「「了解!」」」
この日、シャルロットを加えたウインスペクターはビーファイターチームに何も告げぬまま日本を去って行った。その数日後、デュノア社でデュノア夫妻含めるスタッフたちが逮捕されたという知らせが学園に届いたのはその数週間後の出来事だった。
ジャマール要塞
その頃、ジャマール要塞では首領ガオームが三幹部たちに対してかなりご立腹になっていた。
「ジェラ!かつて無敵を誇っていた貴様の傭兵部隊ももはやたかが虫けら退治さえできんのか!」
「そ、そのようなことは決して!」
「黙れ!」
「うわあああ!!」
ガオームが掌の水晶から光線を出しジェラを痛めつける。痛めつけられるジェラを見てギガロもシュヴァルツも思わずビビる。
「この役立たず共め・・・・」
ガオームがこう言うのも無理はなかった。今日、ジェラが送り込んだ傭兵兵士デスマルトはかつて百戦錬磨の死神として恐れられていたジェラの精鋭だった。しかし、そのデスマルトすらビーファイターたちを倒すにまでは至らなかった。
「え、ええ・・・・・にっくきビーファイターの首、必ずしもこのシュヴァルツ率いる戦闘メカ軍団が・・・・・」
「黙れ!」
話している最中のシュヴァルツをギガロが突き飛ばして止める。
「このギガロ率いる合成獣軍団の手で今度こそ必ず・・・・・」
「うるさい!その言葉には聞き飽きたわ!」
そう言うとガオームは再び姿を消してしまった。
「ああ~!ガオーム様!」
シュヴァルツが向かうもすでにその場にガオームの姿はなかった。
「りゃあ~ははっはああ!怒らせてどうする!」
「黙れ!貴様こそ!」
罪の擦り付け合いでシュヴァルツとギガロが突起見合いを始める。そんな二人に対してジェラは呆れながら言う。
「仲たがいなどしている場合か!これまで重ねた敗北の数々・・・・・このままではわれら三人に明日はない!」
「げっ!?か、幹部の座を追われると!?」
シュヴァルツが恐る恐る聞く。
「それだけで済むはずがない!」
「まさか・・・・・・見せしめの処刑!」
「りゃあ~~~!!あ~~!やあだやあだ!死にたくない!!」
「俺もいやだ!」
「ああ~!やだ・・・・・・」
「我らが生き残るのはただ一つしかない!」
「何!?」
ジェラの言葉に思わず耳を傾ける二人。
「「そ、それは・・・・・」」
「幸い今回の戦闘で敗北したデスマルトは体が無事に残っている。デスマルトに蘇生手術を施して更に最強の兵士として作り変えるのだ。軍団の壁を越え、我ら三人の持てる力を一つに合わせて!」
「史上最強の兵士・・・・・・今の我等にはこれしかない!」
「よおし・・・・・作ってやろうじゃないの!」
三人は急いで手術室へと向かって行く。
IS学園 食堂
「・・・・んなわけでさ、あたしと組んでよ弾。」
鈴はデザートを食べながら言う。
「まあ、話が分からないのも無理ねえけどさ・・・・・・」
「だってさ、今日になってさデュノア君が急に国に帰ったって言うし、タクヤは先にセシリアから言われて組むことになっちゃったし、マドカちゃんはやらないっていうし、残り頼めるのあんただけなのよ~!」
「そんなこと言ってもな・・・・・・」
「それに私とあんたの仲なんだからさ、ね?」
「はあ・・・・今回は面倒だから参加するのやめようと思ったのによ・・・・・・」
弾は頭を抱えながらコーヒーを飲む。
「最近ジャマールがいつ責めてくるかって心配気味なのよ、あんた。そういう時だからこそこういうイベントで気分転換しなくちゃ!」
「・・・・・・そうだな。たまにはそういうのも悪くねえかもな。」
「サンキュー!」
「やれやれ・・・・・」
「そう言えばマドカちゃんってなんでタクヤと組まなかったのかしら?兄妹なら問題ないと思うんだけど・・・・」
「きっとあれだよ。」
弾が自分たちの席の後ろの方を指さす。弾たちが座っている席から少し離れた席でマドカが簪と楽しそうに会話していた。
「あ~つまり・・・・」
「あそこの簪さんの機体が未完成らしいから手伝っているんだとさ。今回抜けるのも彼女と一緒に出たいという意思だからだとさ。」
「なるほどね・・・・・」
鈴は悟られないようにマドカを見る。
IS学園 アリーナ
「はあ・・・・・」
タッグトーナメントまであと一日と迫っていた。ラウラはあの後ビーファイターが二人で相手をした場合と一人だけの時と様々なパターンでシュミレーションをしていた。だがどれも勝率は確かなものにはならなかった。
欠点としてはレーゲンの長所であるAICがタッグ戦ではあまり有効ではないこと。
もう一つはレーゲンの性能がビーファイターに一歩劣っているところ。
そして、もう一つはパートナーである箒にあった。
彼女の性格もあって誰も組もうとはしなかった。その中で箒は頭を下げてお願いしきた。そこまではいい。
だが箒は自己勝手な上に連携が取れていない。さらに言えば専用機持ちではない彼女をパートナーにしては逆に自分がカバーをしなくてはいけなかった。それを考えるだけであの時の屈辱がはらせないと苛立つ。
「なんとしても奴を倒したい・・・・・・・」
「およよ?どうやら困っているようだな~お嬢さん~?」
「!?何者だ!」
突然の聞き覚えの無い声にラウラは周囲を警戒する。すると彼女の目の前にシュヴァルツ、ジェラ、ギガロが現れる。
「貴様らは!」
「勘違いするな。我々は貴様に力を貸すと言っているのだぞ?」
「何?」
シュヴァルツは彼女に一つのメモリーチップを見せびらかす。
「このメモリーチップを貴様の専用機に移植すればあ~ら不思議!ビーファイターにも勝る性能へと引き上げることができるんだよ~ん!」
「それは本当か!?」
「嘘も何もこのシュヴァルツの頭脳は宇宙一!付けてみればわかることだ。」
「しかし、私の方がよくなっても篠ノ之をカバーしながらでは・・・・・」
「そんな奴よりもコイツと組む方がよっぽどいいぞ?」
ギガロがそう言うと後ろから数日前にビーファイターが倒したはずの傭兵デスマルトが無言で歩いてきた。
「だ、だが・・・・」
「心配するな、あれを見て見ろ。」
ジェラが指示を出すとデスマルト一瞬にして箒の姿へと変わった。
「これはすごい・・・・・・」
「どうだ?我らと組めばビーファイターを倒すのも悪くなかろう?」
「う・・・・・・」
ラウラは悩んだ。確かに自分の目的はビーファイターを倒し、千冬を見直させ彼女を再びドイツ軍に戻すことだ。だが、相手はジャマールで人類の敵、信用はできない。しかし、このまま手を組まず、明日の試合で敗北すれば軍人としてのプライドも面潰れになってしまう。それだけはどうしても嫌だった。
「・・・・・・・」
「どうした?このまま奴らに負け面を見せるのか?」
「わ、わかった。今回は貴様らと組んでやる!だが勘違いするな!貴様らジャマールなど我らドイツ軍からしてみれば敵ではないのだからな!」
「そうだそれでいい・・・・・・」
ジェラは素顔が見えない仮面の中から笑みを浮かべて言う。
まさかのラウラの悪堕ち。
とは言っても飽くまでもビーファイターに負けたくないという感情が今の彼女を支配しているので仕方がないということで。
次回、「死闘!英雄の影と合体怪人」
の予定。