今回でこの章の最後となります!
それでは本編をどうぞ!
「今の話、本当ですか!?本当に廃校になっちゃうんですか!?」
ドアの隙間から中を覗いてた穂乃果が勢いよくドアを開けて、理事長に詰め寄った。
「……本当よ」
「お母さん!ことり、そんな事全然聞いてないよ!」
勢いよくドアを開けた穂乃果に続き、ことりも理事長に詰め寄る。
「お願いします!あとほんの少しだけ時間をください!2日でなんとかしますから!!」
穂乃果が懇願すると、絢瀬先輩と理事長が不思議そうな目で穂乃果を見ている。
「いや……あのね。廃校にするっていうのは、もうすぐ開催のオープンキャンパスでの結果が悪かった時の話よ」
「オープンキャンパスって何ですか?」
この学校についてあんまり詳しくない俺が、理事長に尋ねる。
「オープンキャンパスは、中学生に学校を見学してもらって高校受験の参考にしてもらうのよ」
「なるほど。そして、その結果が悪かった時っていうのは……?」
「オープンキャンパスでアンケートをとってもらって、結果がかんばしくなかった時の事よ」
「じゃあ、まだ廃校まで時間があるってことですよね?」
「そうなるわね」
「な~んだ~、よかった~!」
理事長からの説明で、穂乃果は安心した顔をしていた。だが、今まで話に入っていなかった絢瀬先輩は冷たい表情だった。
「安心してる場合なの?オープンキャンパスは2週間後の日曜日なのよ。そこで結果が悪かったら廃校は最終決定になるわ」
オープンキャンパスは2週間後……今のままじゃおそらく、結果は悪くなるだろう。
つまり、あと2週間で廃校を阻止しなければならないと言っても過言ではない。
「理事長!オープンキャンパスでのイベントの内容は、生徒会で決めさせてもらいます!」
絢瀬先輩は俺たちと理事長の間に入り込み、理事長の目をしっかりと見ながら頼み込む。
「……止めても聞きそうにないわね」
理事長は絢瀬先輩を止められないと察して、許可を出した。絢瀬先輩は話が終わったのか、理事長にお礼を言い理事長室から出て行った。
「あと、2週間でレベルアップするには……」
俺は、公園での出来事を思い出した――――
「――――というわけで、2週間後のオープンキャンパスが廃校の命運を分けることになった」
「それって、やばいにゃ!」
屋上に向かったμ’sを一旦、部室に戻すと、俺はさっきまでの理事長の説明を他のメンバーにもしていた。
説明してる内にも、事の重大さがわかってきたのか、馬鹿な凛でさえも難しそうな顔をする。
「そこで、μ’sはオープンキャンパスでライブをしようと思ってる」
「異論はありません」
海未が賛成してくれると、他の皆も首を縦に振ってくれた。どうやら、やる気はみなぎってるみたいだ。
「そこで――――1つ提案がある」
「「「「「「「提案?」」」」」」」
μ’sのレベルアップのためにも、やっぱり――――
「絢瀬先輩にダンスを教わろうと思っている」
部室の空気が一気に冷たくなった。それもそうだ、敵視されている人にダンスを教わろうなんて、誰も思いつかないし。
「はぁ?なんでそんなことする必要があるのよ?」
にこ先輩が皆が聞きたかったであろうことを聞いてくれた。
「期末テスト前、俺は絢瀬先輩から1つの動画を見せてもらいました」
「動画?」
「ちょっと待ってろ、穂乃果。今から見せてやる」
俺は、特に何も入ってなくてスペースに余裕があるスクールバッグから、音楽プレーヤーを出して皆が見えるように持った。
そして、再生ボタンを押す。
そこから流れ始めたのは、絢瀬先輩のバレエ――――ではなく、穂乃果とこっそり撮影していた、海未の『ラブアローシュート』だった。
『みんなのハ~ト打ち抜くぞ~~~!!!』
『ラブアローシュート!!!』
『バァン!』
部室に静寂が訪れる……がみんなの体が笑いをこらえていてピクピクと震えていた。
そして、静寂を破ったのは被害者(ある意味加害者)だった。
「いつ……いつ撮っていていたんですか!?」
「昨日、穂むらで穂乃果と一緒に撮ってたんだけど気づかなかったか?」
「ばれちゃいそうでヒヤヒヤしたよね~」
……いま、ばれたけどな。
「穂乃果~!!徹~!!」
「まずいっ!ここは逃げるしかないようだな!穂乃果、あとは任せた」
「穂乃果も逃げたいんだけど!?」
「2人とも、逃がすわけないでしょう?」
逃げようと後ろに体を向けたら、海未が扉をふさいでいた。
あ~目が笑ってないわ。我が人生に一片の悔いなし!!(本当はありまくりだけど)
ゴスッ!
なんて強いんだ……これが園田家の力……
「――――で、これが先輩のダンスですか」
「悔しいけど私たちより圧倒的に上ね」
俺は部室の床にうつ伏せで倒れながら、こっそりμ’sの会話を聞いている。
……真姫も悔しいとか言うのか、いっつもクールだから意外だな。
「確かに徹の言う通り、教えてもらったほうが……」
「でも、会長……」
「凛たちの事嫌ってるよね~!」
「というか嫉妬よ、嫉妬」
「そうね、潰されかねないわ」
……どうやら、賛成派は俺と海未。反対派は花陽、凛、真姫、にこ先輩。
あとは、穂乃果とことりだけか。さて、どうなることやら。
「……私は賛成かなー」
「「「「えっ?」」」」
反対派の4人が穂乃果が賛成派だったのに驚く。
「だって、ダンスが上手い人がいて、私たちはダンスが上手くなるために教わろうって話でしょ?だから賛成!」
「私も!穂乃果ちゃんが賛成なら♪」
……そうだったな。穂乃果はこういう性格なんだった。
どんな事にも恐れずに突き進んでいく、それが穂乃果の凄いところだ。
「とりあえず、聞くだけ聞こう!いいですか?にこ先輩?」
「どうなっても知らないわよ」
にこ先輩が渋々承諾してくれた。部長の許可も出たし、さっそく明日頼みに行こう!
~~~~~~~~~
「絢瀬先輩、お願いします!私たちにダンスを教えてください!!」
生徒会室のドアを開けると、μ’sの2年生と御影君がいた。それによく見ると、柱から他のμ’sメンバーも見えている。どうやら全員で来ているみたいだ。
そしてμ’sの用件は、私にダンスを教えてほしいという事だった。多分、御影君がμ’sに私の事を教えたのだろう。
『μ’sにダンスを教えてあげてください!!』
公園での彼の言葉を思い出す。あの時は、テストが終わった後で話すと言って先延ばしにしてしまったが、実は私の答えはもう決まっていた。
「わかったわ。人気があるのは事実みたいだし引き受けましょう」
「よっしゃ!」
彼はガッツポーズをして誰よりも喜んでいた。生徒会でもこんなに嬉しそうな彼は見たことがない。
「けど、私が認められるところまでやってもらうわよ!」
「はい!ありがとうございます!!」
いま、希が何か言ったような……?
~~~~~~~~~
生徒会長にダンスを教えてもらうことになった俺たちは、さっそく絢瀬先輩を連れて屋上での練習をすることにした。
屋上に着くと、ちょうど海未がリズムをとってダンスの練習をしていた。俺は、入口近くの壁に寄りかかってる絢瀬先輩の隣で練習を眺めていた。
「1、2、3、4、5、6、7、8……」
「にゃ……にゃにゃ?うにゃ~~~!!」
「おい?大丈夫か?」
自分の足でバランスが崩れて凛が転んでしまった。
駆けつけて様子を見てみると、特にどこにも怪我をした様子はなかったので安心した。
「あなたたち、全然出来てないじゃない!!よく、そんなダンスでPV撮影出来たわね。不思議でしょうがないわ!いい?基礎がしっかりと出来てないからそんなことになるの。足、開いて」
絢瀬先輩は凛に足を開くように指示をした。凛が足を開くと、絢瀬先輩は凛の背後に回って背中をグッと押す。
凛の上半身は床まで倒れずに止まってしまった。なぜかって?体が硬すぎるからさ。
「柔軟性を上げることはすべてに繋がるわ!本番を失敗させたくないのなら、まずは柔軟から取り組みなさい」
絢瀬先輩はそう言うとμ’sに柔軟をさせている間、俺の近くまでやってきて1枚の紙を渡した。
「これは?」
「柔軟のメニューよ。指導とかしたことないんでしょう?だから、柔軟の練習はこの紙通りにしてちょうだい。そしたらきっと上手くなるわ」
「ありがとうございます!助かりました!」
しっかり教えてくれるなんて思わなかった。俺らが思っているほど、この人はμ’sを敵視していないんじゃ?
「私はこれから、オープンキャンパスのイベントを考えてくるから。後は御影君に任せたわ」
「絢瀬先輩帰っちゃうんですか?」
柔軟が丁度終わったのか、穂乃果が俺と絢瀬先輩のところに来た。まだ、絢瀬先輩に練習を見てもらいたいらしい。
「ごめんなさい。生徒会もいろいろ仕事があるのよ」
「そうですよね……。あっ!ちょっと待ってください!」
「……?」
いつの間にか、μ’sが整列していた。俺は……並ばなくてもいいか。
「ありがとうございました!明日もよろしくお願いします!」
「「「「「「お願いします!」」」」」」
絢瀬先輩は驚いた顔をして、屋上から出て行ってしまった。
首を横に向けると、夕日が眩しく輝いていたので今日の練習はここで終わることになった。
~*~
次の日、俺は昨日の夜遅くまで新作の和菓子作りに没頭しており、睡眠時間が減ってしまった。そこまではまだ良しとしよう。
だが、運が悪いことに、俺は今日の授業で寝てしまい先生からのお仕置きという名の雑用を30分やらされた。
「なんで、穂乃果は毎日授業中に寝てるくせに俺だけ雑用なんだよ!」
1人で愚痴りながら屋上への階段を上っていると、屋上のドアに金髪クォーターの生徒会長がいた。
完全に油断してる。どうやって声をかけようかな。よし、脳内会議だ!
『やっぱり、先輩だからきちんと挨拶したほうが良いって!』
流石は真面目な俺!言うことが正論だ。
『いやいや、ここは後ろから脅かすべきでしょ!』
悪戯な俺は典型的なの考えてきたな。
『帰ろうぜ~』
おい!面倒くさがりな俺!帰るのは駄目だろ!
『生徒会長さ、無防備じゃん?後はわかるだろ?楽園見ようぜ!!』
『楽園見ようぜ!!』じゃねぇよ!!ほんっとに変態の俺は、使えない意見しか出さないな。
……よし、悪戯な俺の意見で行こう!
「わっ!!」
「きゃぁぁ!!」
絢瀬先輩を驚かすと、昨日の凛みたいに尻もちした。少し、驚かしすぎたかな?
「びっくりしたわ。まったく……」
「ははは……。すみませんでした!」
「別にいいわよ。さてと練習見に行きましょうか」
ドアを開けると、すでに練習着に着替えて待機していた。
「あなたたちに聞きたい事があるんだけど、いいかしら?」
「構いませんよ」
「その……上手くなるかわからない練習をやって、辛くないの?」
絢瀬先輩が質問すると、穂乃果が皆より1歩前に出た。どうやら、質問に答えるつもりらしい。
「やりたいからです!!」
「……っ」
「確かに練習はすごくきついです。身体中痛いです。でも、私たちは廃校を阻止したい!だから、そのために今日も練習お願いします!」
絢瀬先輩は、驚いた表情を見せた後に、難しそうな顔をして無言で屋上から立ち去ってしまった。
屋上が急に静かになる。誰も絢瀬先輩を追いかけようとはしなかった。
そして、10分後。1人の先輩が屋上までやってきた。
「東條先輩!?」
東條先輩は息を整えると、さっき引き出した絢瀬先輩の本心についてわかりやすく説明してくれた。
「まさか、絢瀬先輩がμ’sに入りたかったとはな」
「ほんっと、素直に言えばいいのに」
「いやいや、にこっちは人の事言えんからね」
「うぐぐぐぐ」
痛いところを突かれてにこ先輩が黙ってしまった。同じタイプだった真姫は黙ってたのに、この先輩ときたら……
「ねえ、みんな。私は絢瀬先輩をμ’sに入れたい!みんなはどう思ってる?」
穂乃果の考えに異論を唱える人は誰もいなかった。
「それじゃあ、さっそくμ’sの8人目を勧誘しに行くぞ!」
「エリチなら、3年生の教室におるよ。みんなついて来て」
東條先輩について行き、3年生の教室に着いた。中を覗くと絢瀬先輩が窓の外を眺めている。誰がどう見ても悩んでいるようにしか見えない感じだった。
「穂乃果、お前が最初に行くんだ!その後に、俺らがフォローに入る。その作戦でいこう!」
「了解です!隊長」
穂乃果は絢瀬先輩に見つからないように静かに教室に忍び込む。なんか、ステルスしてるみたいだな。
そして、穂乃果は絢瀬先輩のすぐ近くにまで接近していた。
「生徒会長!」
「あなた達……!」
「生徒会長……いえ、絵里先輩。μ’sに入ってください!一緒にμ’sとして歌ってほしいです!スクールアイドルとして!!」
穂乃果は笑顔で絢瀬先輩に手を差し出す。
「ちょ、ちょっと待って。私がアイドルなんておかしいでしょ?」
「特に理由なんて必要ない。やりたいからやってみる。本当にやりたい事ってそんな感じで始まるんやない?」
生徒会長の右腕である副会長が笑顔で語り掛ける。
絢瀬先輩は穂乃果がまだ手を差し伸べていることに気づいた。そして、絢瀬先輩は立ち上がって穂乃果と握手をした。
その時の”絵里先輩”には揺るぎない決意が見えた気がした。
「よし!これで――――」
「9人や、ウチをいれて」
『8人!』と言おうとしたら、”希先輩”に割り込まれ続きが言えなかった。
「えっ?希も?」
絵里先輩が驚いて希先輩に聞く。
「占いで出たんや。このグループは9人揃ったら未来が開けるって。だから付けたん。9人の歌の女神”μ’s”って」
「「「「「「「「えーー!?」」」」」」」」
希先輩以外の、教室にいた人たちが驚く。まさか、希先輩がμ’sの名付け親だったとはな……
「まったく、希ったら。それじゃあ、さっそく練習するわよ!」
「「「「「「「やった~~!!」」」」」」」
音ノ木坂学院アイドル研究部スクールアイドル『μ’s』現在9人!(マネージャー入れて10人!)
いや~~~やっとμ’sが揃いましたね!長かったな~~!
前書きでも言った通り、今回でこの章は終わりとなります。
ここまで読んでくださった方々、本当にありがとうございました!
また次の章もよろしくお願いします!
次回はオリジナル回!
twitter始めました!執筆状況などつぶやきます。
https://twitter.com/toranakaku
それではまた!