そういえば――――プール行きました?
それでは本編をどうぞ!
「美穂さん、皆に話って何ですか?」
穂むらの1日の営業が終わり、自宅に帰ろうとした矢先に雪穂ちゃんに連れられて高坂家の居間にやってきた。ここに来る途中で雪穂ちゃんから聞いたのは美穂さんが、穂乃果と雪穂ちゃんそして俺に用があるから穂むらの仕事が終わったら居間に来てほしい。ただそれだけ聞いた。
居間に着くと、腰に手を当て堂々と待ち構えていた美穂さんと、部屋着で待っていた穂乃果がすでにいた。
「ジャジャーーーン!これは何でしょうか~?」
美穂さんは自慢げな顔で自分のポケットから3枚のチケットを取り出して見せびらかしてきた。
「そのチケットって――――もしかして先週オープンしたばっかりのレジャーランドのプールのチケット!?」
「え、嘘!?最近テレビでよく見るあのプール!?」
姉とは性格が真逆の雪穂ちゃんのテンションが珍しく高い。雪穂ちゃんのテンションを上げるとは……。プールめ……なかなかの策士だ!
「そうよ!穂乃果が言った通り、これはプールのチケットよ!――――という訳で、明日あなた達3人でここに行ってきなさい!」
「え!?良いのお母さん!?」
「もちろん!私とあの人は穂むらの店番があるから、あなた達だけで楽しんできなさい」
ちょっと待って美穂さん、それって男女比が1:2って事ですよね?え、なんかむさ苦しい野郎共に刺される気がして来た……。あっ、早速殺気がひしひしとどこからか伝わってくる。
「やったよ雪穂!プールだよ!」
「やった~!大人気プールに入れる!」
俺が自分の命の危機に瀕している中、この姉妹は人気プールに入れるからとてもはしゃいでいる。そんな中俺はある疑問が浮かんだ。そしてそれを美穂さんにぶつける。
「美穂さん、このチケットどうしたんですか?」
「常連さんから貰ってねぇ~、子供たちと徹君にあげてって」
常連さん……。ご厚意は嬉しいよ!?嬉しいけどさぁ……。
「それじゃ、2人を頼んだわよ徹君!」
ああ、もうこれは行くしかないパターンっすわ。自分の死因がむさ苦しい野郎どもに囲まれながら刺殺って……悲しすぎるよ!ダレカタスケテー!あ、これこの前花陽から教わったんだ。
~*~
「うっわぁ、ここのプール大きい!!」
「流石にテレビで大々的に宣伝してるだけはあるな」
電車と徒歩で大体30分程度、目的地のプールにやってきた。フロントで会計を済ました後、それぞれ水着に着替えてからプールサイドの適当なところで待ち合わせをした。
男である俺の方が準備がすぐに終わったため、持って来ていた浮き輪などを膨らませながら待っていた。すると、穂乃果と雪穂ちゃんが女子更衣室の出口からプールサイドの方へやって来た。
穂乃果の水着は水色と白のボーダー柄のビキニで所々にフリルがついている、暑い夏とは真逆の清涼感がある水着だ。そして妹の雪穂ちゃんはワンピースタイプの白い水着。なんというか年相応って感じで似合ってる。
そして穂乃果は、プールを見るなり一目散に飛び込んだ。雪穂ちゃんは俺の姿を見つけると近寄ってきて、一緒に荷物を持ってくれた。穂乃果の妹とは思えないとしみじみ思う。
「すいません、姉があんな感じで」
「いやいや、いつも振り回されてるから慣れてるよ」
雪穂ちゃんと話しながら歩いてるうちに、人が少なくて荷物が置けそうな場所に着いた。パラソルが刺さっていて日陰になっている所を選んで荷物を置く。
「徹君と雪穂おつかれ~」
「あ、お姉ちゃん!先に泳ぎに行くなんてずるいよ!徹さんと私で荷物持ってきたんだからね」
「あはは……ごめんなさ~い!」
荷物を置き終わると穂乃果がやって来た。先に泳いできた穂乃果に対して雪穂ちゃんはカンカンに怒っている。こんな姉を持つと妹は大変だな、雪穂ちゃんはもう少し労わってあげよう。
そういえば、この2人姉妹だけど身体つきまではさすがに似てないよな。穂乃果はスクールアイドルをやってるせいもあってか、スタイルはまあまあ良い。この前も海未に『ダイエットです!』とか言われて渋々ダイエットしてたけど、俺から言わせてもらえばそこまでしなくても穂乃果は十分に細いとは思うが。雪穂ちゃんは……今後に期待で。
「ねえ徹君聞いてる?」
「え?なにがだ?」
「だ~か~ら!今からウォータースライダーに行こうって話!徹君も行くよね?」
「ああ、行こうか」
どうやら考え事をしている間に穂乃果と雪穂ちゃんが、行くところについて話してたみたいだ。
危ない危ない、心が読まれていたら恥ずかしさと社会的の2つで死ぬところだった。一緒にプールに来ている女子のスタイルについて考えてたとか知られたら絶対に変態じゃねぇか!!!
~*~
「これがウォータースライダーか!間近で見るとデカいなぁ~」
歩いた先に見えてきたウォータースライダーに近づいてみると、中々の大きさだった。遠くで見た時はさほど大きくは感じなかったのだが、こうして真下まで接近するとその大きさがよくわかる。遠近法恐るべし……。
ウォータースライダーには上に登るために階段があるのだが、ウォータースライダーの高さがあるせいで階段も長くなっている。俺と雪穂ちゃんは多少疲れながら登ったのだが穂乃果はいつも鍛えてるおかげか息一つ切らしていない。大したもんだよ、最初はこの階段の半分ぐらいの長さでヘトヘトだったくせに。
ウォータースライダーの頂上――――階段を登り切った先に見えた景色は、はるか先まで広がる大自然!――――ではなく東京の高層ビル群だった。
「結構高くていい長めじゃ――――」
ドンッ
俺の背中が何者かの手によって突き飛ばされる。そうすると結果的に突き飛ばされたほうに体は向かう訳で……そんでもって俺の視界には水が流れてるトンネルの入り口があって……
「ん……ってうわぁあああああああ!!」
俺の体はどういう訳かスッポリと足の先からトンネルの中に入っていた。そしてそのまま突き飛ばした奴を見ることが出来ずに水の流れに沿って流れていった。
開幕直後に急加速からの右カーブと左カーブのコンボが続いてやって来る。少し落ち着いた直線に入った後は今まで一番大きな右カーブ。そこからゴールまでは開幕直後と同じような急加速だった。
ドボンッ
「……ぷはっ!はぁ……はぁ……急に突き飛ばしやがって……」
ゴール地点はさっき通ったところの近くのゴール用のプールだった。少し息を整えてからプールを上がろうとするとウォータースライダーの方から笑い声が聞こえる。また誰かが滑ってんのかと思いつつ後ろを振り向いた。
「え!?徹君なんでまだそこにいるの!?」
その声の主は俺と数mという短い距離にいた。しかも相手はウォータースライダーのせいで急加速したからさらに近づいてきて――――お互いの体が近づき俺は水の中にまた戻ることになってしまった。
ムニュ
なんだ……この右手にある柔らかい感触は?確か俺は穂乃果が突っ込んできたのを見て、そのまま穂乃果に押されて水の中に戻ってきたんだった。……それでこの柔らかい感触は?試しにもう1回触ってみよう。
ムニュ
「んっ……♡」
あ、やっぱり柔らかい……ってそこじゃねぇ!なんだ今の声!?どこからだ!?もしかして俺は今とんでもない物を触っているんじゃないか?……まさかアレか!?さすがにそれは……確認のためにも次は2回触ってみよう。
ムニュムニュ
「んんっ///あっ……♡」
……やっぱりもう触るのはやめとこう、なんか嫌な予感がする。というかさっきから息が少なくなってきたから息継ぎをしないと……!
「ぷはっ!おい、大丈夫か穂乃果?」
「え……///あ、うん。大丈夫だよ///」
「驚いたよ、急に穂乃果が突っ込んできたからさ」
「ご、ごめん……あの徹君さ、右手……」
「ん?右手?」
穂乃果に右手と言われて自分の右手を見てみるとそこには――――自分の右手が穂乃果の胸をわしづかみにしているのが見えた。
穂乃果の胸をわしづかみ……わしづかみ……穂乃果の胸を……あああああ!!!!!俺はなんてことをやってしまったんだぁあああああ!!!
~*~
「たいっへん申し訳ございません!!!!!」
現在俺はプールサイドにて穂乃果に土下座をして謝罪をしている。この土下座の綺麗さならオリンピックで金メダルを取ってもおかしくないレベルだろう。ごめん、ふざけすぎた。
「私は気にしてないし、そういうのやめようよ?ね?」
「そういわれても謝らないと俺の気が済まないんだ……!」
「……じゃあさ私とお姉ちゃんに売店でたくさん奢ってよ徹さん♪」
「なんで、雪穂ちゃんの分まで!?」
今日で俺と雪穂ちゃんの仲が深まったせいなのか、年上の俺に命令してきたんだがこの子。これは初めと比べたら友好的になった……のか?
「あれ?徹さん、さっきの事お父さんに言ってもいいんですよ?」
雪穂ちゃんが俺に笑みを浮かべてそう言ってきた。この子中々のドSだ!まずい……もし、師匠にさっきの事を知られたら生き延びることはおろか、死体にちゃんと四肢がくっ付いているかも分からないぞ……!
「はい、喜んで奢らさせていただきます……」
そして俺の財布に入っていた金がすべて消えていったのは言うまでもないことだった。
まさかのこの小説初のやばい事態が起きましたね。今までそういうのを書いてないんで、驚いた方々申し訳ありませんでした。
あ、ちなみに本編では書いてませんがこの話から夏休みに入りました。
twitter始めました!執筆状況などつぶやきます。
https://twitter.com/toranakaku
それではまた!