それでは本編をどうぞ!
七不思議とは世界中に多数存在しており、学校の七不思議の他にエジプトにあるピラミッドにも七不思議があったりもする。なんで急に七不思議の事を話し始めたのかというと、俺が現在通っている高校にも七不思議が存在しているらしく2年生組がそれを見に行こうと俺まで誘ってきたからである。まあ、夏だし肝試しでもしようという魂胆だろう。
そして現在の時刻は午後5時。俺も含め、2年生組全員が音ノ木坂学院の校門に集結した。肝試しなら深夜などのもっと遅い時間に行うものだが、この学校の七不思議の一つが夕方にしか出ないという条件があるためこの時間に集合することになった。
「どうして私まで呼ばれないといけないのですか……」
「もしかして海未ちゃん怖いの~?」
「なんでその結論に至るのですか!?」
と、穂乃果の煽りに必死に反論する海未だったが、俺は知っている。さっきから海未の膝が若干笑っていることを。
ちなみに俺は幽霊とか未確認生物とかは信じないタイプだから海未と違って今日の肝試しは全然怖くない。とは言っても自分の目で見たことは当然ないわけだから、実際に『どうも~』といった具合に遭遇したりしたら絶対に信じると思う。霊感とかないタイプだろうから、もし仮に幽霊がいたとしても多分気付かずに終わるだろう。
「じゃあ、早速音楽室にしゅっぱ~つ!」
穂乃果の掛け声とともに俺たち4人は校門を離れ、音楽室に向かった。
~音ノ木坂学院七不思議 CASE1:音楽室の女の子~
「着きましたね。音楽室です」
「特にいつもと変わんないな。扉もいつも通りだ」
「ねぇ、穂乃果ちゃん。ここのお話ってなんだっけ?」
「音楽室から女の子の歌声が聞こえてきて、その歌を最後まで聞くと音楽室から一生出れないって話だよ」
ああ……そういえばそんな話は前に聞いたな。あの時に聞こえてきた歌声はμ’sに入る前の真姫だったんだよな。
「それじゃあ、行くよ……!」
穂乃果がドアノブに手を掛ける。そしてその手を時計回りに回してゆっくりと扉を押し出す。そこには普段の授業で使っているままの配置通り椅子や机が並んでいた。そして――――
~~♪♪~~~♪♪~~
例の女の子の歌声らしきものが聞こえてきた。歌が聞こえた瞬間、訪れたのはたった5秒の沈黙。だが、この状況ではたった5秒が途方もなく長く感じられた。
「私の気のせいであってほしいんですが……今……何か聞こえませんでしたか?」
「ことりも聞こえた……」
「穂乃果も……」
「俺も聞こえたぞ……」
どうやらここにいる全員が聞こえたらしい。どうやら幻聴という訳ではなさそうだ。となると例の歌声の可能性が大きい、そうこう考えているうちに歌は終わりかけようとしていた。
「どうしよう穂乃果ちゃん!このままだと危ないんじゃ!」
「そうだね。みんな!音楽室から出よう!」
ここにこれ以上いるのは危険と感じた俺たちは、一目散に扉に向かう。最初に扉の前に来たのは海未だったため、海未が扉を開けようとするが何を焦っているのやら扉が開く気配がない。
「どうしましょう……扉が……開きません」
「……代われ!俺が開ける!」
海未を後ろに下がらせて扉の目の前に立つ。入った時は逆の反時計回りに手をまわして扉を押す――――が、海未の言う通り扉は微動だにせず俺の目の前に居座り続けている。
「なんでだ……なんで開かないんだ!」
さっきよりも力を込めて全力で扉を押しても結果は変わらない。そして最悪であろう事態が起きた――――そう、歌い終わってしまったのだ。
『うふふ♪お姉ちゃんたち楽しそう!』
「お、おい誰だこの状況で楽しんでるやつは……」
「しかもこの声、この4人の誰のでもないよ……」
「それに小学生みたいな感じでした……」
「小学生……にこの事か」
「にこちゃんがいるわけないよ~」
『あれ!?もしかして私の声聞こえてる!?』
「聞こえてるよ!誰だよお前!!」
『こ、こわいよ~』
「わ、悪かった。それでお前は?」
『私はね!幽霊だよ!』
……まじか。霊感がないから幽霊がいても気付かないって言ったのどこのどいつだよ……。あ、俺か。
「あの幽霊さん?わたしたちここから帰りたいんですけど~」
『えぇーせっかく来たんだからお茶でも飲んでいきなよ~』
「えっと~?」
『いま持ってくるからちょっと待っててね!』
ことりの帰りたいという提案があっさり(というか無理やり)却下され、まさかの幽霊とお茶をすることになってしまった。どうやら俺たちに危害を加えるつもりはないらしいが……?
『お待たせしました!さぁ席に座って!』
「し、失礼しま~す」
『それで?お姉ちゃんたちはどうしてこんな時間に来たの?』
「私たちここの七不思議を確認しようと思ったんだ!」
『お姉ちゃんたち、そのつもりで来たのなら今すぐ帰ったほうが良いよ』
「なぜですか?」
『私は人に危害は加えないけど、他のはわからない。だから、他の幽霊が目覚めないうちに帰ったほうが良いの』
「そういう事なら俺たちは帰るよ。お茶、ありがとな。美味かったよ」
俺たちは再び扉の前に立った。さっきと同じように開けようとすると今回はすんなりと開いてくれた。幽霊が開けてくれたんだろう。ふと後ろを見ると、姿が見えない幽霊がぼんやりと見えた気がした。
「じゃあな」
そう呟くと
『何かあったらいつでも来てね!』
と言われてしまった。なんて頼もしい幽霊なんだろう、そう思いながら音楽室を出て学校の玄関口に向かった。
~音ノ木坂学院七不思議 CASE1:音楽室の女の子:END~
「開けるぞ」
音楽室から全速力で走って、玄関口に着くのは時間が掛からなかった。あの幽霊に言われたようにすぐにでも帰ろうと強引にドアを押そうとするが、すでに遅かったのかドアは開かなかった。
「嘘ですよね……?」
「いや、嘘じゃない。開かないんだ」
「ということは他の幽霊が目覚めちゃったってことだよね……?」
「どうしよう……!」
「引き返すぞ、音楽室に戻ろう。今考えられるところではあそこが一番安全だ」
「徹君の言う通りだよ。音楽室に行こう。出るためのヒントを教えてくれるかもしれないし」
こうして俺たちは学校から出ることが出来ずに、再びあの陽気な幽霊がいる音楽室に向かう事となった。
~*~
『その様子だと開かなかったみたいだね』
「うん……ことりたちどうやったら帰れるんだろう……」
玄関口が開かず、学校から帰る方法が分からず途方に暮れていた俺たちは音楽室に戻って来てしまった。あの幽霊はさっきと同じお茶を出してくれた、毎度毎度すいませんね。姿が見えないからコップが浮いているようにしか見えないのは言わないでおこう……。
『あるよ。帰れる方法』
「え、あるの?」
『うん、ただ、誰も試したことがないから絶対に帰れるとは限らないけど……聞きたい?』
「「「「聞きたい(です)!」」」」
さすがは幽霊。まさか学校から出れる方法を知っているとは。これから幽霊には足を向けて寝れないな。……そもそも見えないけどね。
『いい?この学校には7人――――いや、7体と言ったほうが正しいかな。この学校には7体の幽霊がいるの。その内の1体は私のことだけど。そして、私以外の幽霊は人間に危害を加えるかわからないとさっき言ったけど実は嘘。危害を加えてくるの』
つまり、俺たち人間側に味方している幽霊はこいつ1人で他は敵ということになる。
『その6体の幽霊を成仏――――とまではいかなくても霊力を弱めることが出来たら多分だけど、帰れるよ』
「その……霊力とは具体的にはどんなものなのですか……?」
『幽霊が持っている力の事だよ。この霊力が尽きると幽霊は自動的に成仏しちゃうの』
「それでその霊力はどうやったら弱くなるの!?」
『幽霊によって減らし方は違うけど、基本的にダメージを与えたら霊力は減るよ』
ということは、俺たちが学校から出るためには、まず幽霊に会ってその幽霊を攻撃してダメージを与える。そして霊力が弱まらせる。それを6回やればいいことになるな。
「なあ、残りの6体の幽霊について知ってる限りの事を教えてくれないか?」
『もちろん!まず、1体目は図書室の幽霊。この幽霊の霊力は他のよりも弱いよ。2体目は家庭科室の幽霊。生前はケーキが好きだったとかじゃなかったとか。3体目は保健室の幽霊。この幽霊の霊力は私もいれた7体のうちで2番目に大きいから気を付けて。5体目は――――あ!』
幽霊が何かを思い出したような声を上げる。
「どうしたの?」
『あのね、玄関口はさっき言った3体が閉じているから、その3体を弱らせてからじゃないと他のに行けないんだった!』
「じゃあ、残りは玄関口の外――――校舎の外にいるって事か」
『そういうこと!4体目は弓道場の幽霊。姿は人型の幽霊じゃなかった気がする。5体目はアルパカ小屋の幽霊。これも人型じゃないはずだよ』
弓道場の幽霊にアルパカ小屋の幽霊……前に穂乃果が言ってた七不思議の話と同じだ。この幽霊といい、あながちあの話は嘘じゃなかったのかもしれないな。
『それで6体目は……わかんない!』
「はあ!?わからない!?」
『うん、全然知らないことばかりで唯一知ってるのは7体中最強の霊力ってことぐらい』
場所もわからないってことは、準備する暇もなく最強幽霊とエンカウントする可能性があるってことか。
「情報ありがとうな。どこから行くか考えてみるよ」
こうして俺たち2年生組が学校から出る戦いが始まったのである。
もう9月なのに七不思議を書くとかいう謎ですね。8月に書いとけよ!というツッコミが聞こえる……
次回もこの話の続きとなります。更新予定はまだ未定ですが、なるべく早く書きます!(フラグ)
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それではまた!