それでは本編をどうぞ!
~音ノ木坂学院七不思議 CASE2:図書室の幽霊~
「とりあえず絆創膏貼ったから安心だよ、徹くん♪」
「ありがとな、ことり。おかげで助かったよ」
「それよりもどうするんですか?最弱の幽霊にあんな力があるとは想定外ですよ」
話は5分ほど前に遡る――――
「まずは最弱の幽霊で力試しって事だな」
「うん!幽霊ちゃんの話だと図書室の幽霊が弱そうだったし!まずはそこに決定!」
「この音楽室からもさほど遠い位置にはありませんしね」
俺たちは幽霊から他の6体の幽霊の話を聞いた後、校内にいる3体の幽霊のうちどこに行くかの話し合いになり、特に長くならなかった話し合いの結果、最弱幽霊がいる図書室に行くことになった。音楽室に二度目の別れを告げた後、同じ階にある図書室に着いた。そこで扉を恐る恐るゆっくりと開けていくと――――
ビュン
という音が聞こえるのとほぼ同時に、俺の右頬を何かがかすめながら飛んできたことを認識できた。そして次の瞬間には『何か』は壁に激突した。壁にひびは入っていないからそこまで威力が高くないことはわかったのだが、かすった右頬からは血が垂れてきた。
血が流れてきたのを確認した瞬間、2つさっきと同じものが顔面めがけて飛んできた。それを瞬時に読み取り体を伏せることにより難なく防いだが、これ以上考えなしに踏み入ると危険だと判断した俺は、恐る恐るゆっくりと開けた時と真逆の閉め方をした。
そしてさっきの会話の流れになるという訳だ。
「み~んな~!さっき飛んできた物持ってきたよ~」
「おお!穂乃果ナイス!」
「……これは本ですか。しかも3冊とも作者が同じ人ですね」
「あれ?よく見たら俺この本持ってるぞ?」
「そういえば前に徹君の家で遊んだ時に私も見た!」
「え!?穂乃果ちゃん、徹くんの家に遊びに行ったの?」
「うん、この前行ったんだ~」
確かこの作者ってこの3冊以外にもう1冊本を出していたはずだ。4冊の内の3冊が投げられるなんて偶然にしては出来すぎているような気もする。これは幽霊に対抗出来るカギになるかもしれない。
「なあ?ここの図書室に『海賊の手帳4』って本あったか?』
「え?穂乃果に聞かないでよ!本の事なんてさっぱり!」
「安心しろ、今回はお前に期待してない」
「『海賊の手帳4』ですか?それならそこのショーケースの中に入っていますよ?」
海未が指をさした方向に視線を移す。そこのショーケースの中には、俺が求めている本が眠っていた。
『海賊の手帳4』――――さっきの幽霊が投げてきた3冊の本の続編であり、シリーズ最後の本だ。その本の人気は世界中に広がっていて、名作中の名作と言う人も少なくはないという。
「この本が何か関係があるの?」
「ああ、大ありだ!!……多分」
「多分って……不安すぎるよ!!」
「まあ見てろって、すぐに解決させてくるからよ」
投げられた3冊の本。そして俺の手にはその続編。舞台は整った!さらば幽霊!!
俺はもう一度扉を開けて、手に持っている本を自分の胸の前に突き出す――――本は飛んでこなかった。
『そ、れ――――さがして――――た』
「知ってる。ほら、受け取れ」
幽霊がいるであろう所に本を投げる。そのまま本は地面に吸い寄せられていってフローリングの床に着いた。
『あ、りがと、う』
~音ノ木坂学院七不思議 CASE2:図書室の幽霊:END~
「あ!徹くん大丈夫!?怪我してない!?」
「全然平気だぞ?それよりも海未と穂乃果はどこに行ったんだ?」
「…………2人は先に家庭科室の幽霊に会ってくるって」
「なっ……!もしもの事があったらどうすんだよ、行くぞことり!」
「……うん!」
~音ノ木坂学院七不思議 CASE3:家庭科室の見習いパティシエ~
「「きゃああああああ!!」」
すぐ近くから穂乃果と海未の叫び声が聞こえる。急いで角を曲がった先には、お互いに身を寄せ合っている2人の姿が見えた。
「おい!2人とも大丈夫か!?」
「ことりちゃん……徹君……」
「すいません……私が不甲斐ないばかりに」
「一体何が起きたんだ?」
どの幽霊にやられたのか2人に詳しく話を聞くと、2つのことがわかった。1つ目は、この2人が出会った幽霊は家庭科室の幽霊だということ。2つ目は、家庭科室の幽霊は美味しいケーキを求めている。これが現時点で判明している情報だ。
「美味しいケーキを求めてるのか……。ことり、お前確かケーキ作り得意だったよな?」
「……うん!大得意だよ!幽霊さんにケーキを作ってあげればいいんだよね?」
「その通り、話が早くて助かるぜ」
「わかりました!ことり、いっきま~す♪」
そのセリフ、どっかで聞いたことがあるような……。気のせいか。
~~~~~~~~~
『あなたはケーキが作れるの?』
わたしが家庭科室に入ると、彼女はいきなりそう尋ねてきた。すでに日は落ちて、月明かりと僅かな電灯だけが家庭科室を照らしてくれている。風がなびき月明かりを受けているカーテンがとてもきれいに動いた。なんて幻想的な部屋なんだろう。思わず見とれてしまった。
「そうですよ♪ことりはあなたにケーキを作ってあげるために来ました♪」
『じゃあ早く作ってよ、美味しくなかったらどうなるかわかるよね?』
「でも~ことり実はケーキ作れないんだ~」
『はぁ!?何言ってんの!?』
へえ、そんな口聞いちゃうんだぁ。これはお仕置きが必要かな?
「ねえ、あなたは邪魔なの。あなたさえ霊力を弱くしたら彼らは校舎から出れるの」
『え……ちょっと待って、「あなたさえ」ですって?校舎に出るには保健室の幽霊を倒さない限り無理よ。ただの人間ごときが勝てる相手じゃないわ』
「もう2回も言わせないでよ。あなたさえって言ったじゃん」
『え……嘘でしょ……?待って、もしかしてあなたは……』
やっと気づいた、遅いよ~
「どうやらわかったみたいだね」
『ええ……あなたは――――でしょ?』
「だいせいか~い」
『わかってるの?――――は重罪よ?』
「そんなのわたしには関係ないよ♪」
だってわたしは―――南ことりだもんね!
~音ノ木坂学院七不思議 CASE3:家庭科室の見習いパティシエ&CASE4:保健室に通い続ける生徒:END~
「おまたせ~終わったよ」
家庭科室の扉がガラッと開いた。立っていたのはことりだけで幽霊の姿は見当たらなかった。どうやら、美味しいケーキを作って霊力を弱めたらしい。
これで校舎の中に存在している幽霊は、1体目と7体目を除いて残り1体――――保健室だけとなった。つまり、あと1体で校舎から出れるようになるってことだ。だが、保健室の幽霊は2番目に強い霊力を持っているらしい。
俺たちだけで勝てるのか?
「ねえ、徹くん。さっき家庭科室の幽霊さんが校舎に出れるようになったって言ってたけど本当かな~?」
どういうことだ?まだ1体残っているはずなんだが……。ここはもう一度玄関口を確認する必要があるな。
~*~
結論から言おう。さっきまで閉まってたはずの玄関口は軽い力を入れるだけで開いた。外に出てみると、真夏とは思えないほどの寒さに襲われた。それだけでも、ここの学校一体が何か良くないものに覆われているのがよく分かった。
ここの学校から出るために弱らせないといけない幽霊の数は残り3体のところまできた。どういうわけだったのか4体目は消えていたが。
時刻は現在夜の7時。残りの幽霊は3体。どうにかして夜が深くなる前にこの不可解な事件を解決させなければいけない。
最終決戦が目前に近づいてきた。
ことりちゃんの正体は!?そして徹たちの運命は!?
次回で幽霊シリーズが最後になる予定です。というかこの作品自体が、もう少しで終わるかもしれません。
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それではまた!