それでは本編をどうぞ!
気持ち
「お帰りなさいませご主人様!」
「お帰りなさいませご主人様……」
「お帰りなさいませご主人様♪」
俺はメイド服を着て接客の練習をしている2年生組をチラチラと見ながら(変態じゃないよ!!)メイド喫茶の最終チェックをしていた。なぜ、俺たちがメイド喫茶で働いているのかというと、今日と明日の2日間で音ノ木坂学院が文化祭を開催しているからだ。
そして文化祭でのクラスの出し物を決める会議でうちのクラスは満場一致の賛成でメイド喫茶をやることになったため今に至る。
幸いなことに、ここはメイド喫茶の都である秋葉原に近いため色々とスムーズに教室の飾りつけなどが行えた。しかも秋葉原の伝説のカリスマメイド――――ミナリンスキーこと、ことりがいるおかげで接客マニュアルなどもプロのメイド喫茶と全く変わらない良いものが出来た。
「海未ちゃん!もっと恥ずかしがらずに接客しないと来てくれるお客さんに失礼だよ!」
「ことりぃ……そうは言っても私には恥ずかしすぎます……!」
流石はカリスマメイド、いくら幼馴染だとしても容赦がなく指摘をしている……。
「まあまあ、海未はこういう性格なんだし。今から変えろって言っても無理があるからこのままでいいんじゃないか?」
「確かにその通りだね。ごめんね海未ちゃん!」
「いえ、私ももっと積極的に頑張りますので……」
穂乃果と海未のけんかの仲裁をしているうちに磨かれたこの能力を今使うとはな。何が起こるかわからないもんだぜ。
「あれ?徹君その服どうしたの?」
「あ、これか?この服はことりが作ってくれた執事服だよ。クラスの奴らに執事として接客してくれって頼まれてさ、ことりに作ってもらったんだよ」
「徹くん、意外と似合ってるから私も頑張ったんだ~」
「確かに意外と様になってますね」
「おい、さらっと人を馬鹿にするんじゃないぞ!」
文化祭というせいもあって、心なしかみんなのテンションがいつもより高い気がする。みんなで何かをするのって楽しいからわからなくもないけどな。
「お~~~い!!もうお客さんたくさん来てるから中に入れちゃうねぇ~~!!」
そして、穂乃果の掛け声によって音ノ木坂メイド喫茶が開店することになった。少し恥ずかしいけど張り切っていくか!
~*~
開店してから約1時間、メイド喫茶の売れ行きは開店直後からのとてつもない勢いを保ちつつ好調だ。その勢いのせいで行列が出来てしまい、最後尾は遠く離れた我らがアイドル研究部まで届いてしまっている。しかも待ち時間は最長90分と、どっかにある人気テーマパークのアトラクション並みの待ち時間になっている。
なぜ、このメイド喫茶にここまでたくさんの人が集まっているのかというと、とある明確な理由がある。それは、ことりがメイド喫茶にいるということだ!具体的に説明すると、μ’sが秋葉原でゲリラライブを行った日に、ことりは今まで働いていたメイド喫茶を辞めたらしく、その日以降の秋葉原ではことりが消えたため一部の野郎共が悲しみに暮れたらしい。ちなみに俺もその1人だ。だが、ことりが音ノ木坂のメイド喫茶にいる情報が、どこからともなく広まってきてこの大行列に繋がっている。
「紅茶とチーズケーキ2つずつお願いします」
「こっちはアイスクリーム3つ~」
「はい、ご注文承りました。少々お待ちください」
大行列なのはありがたいが、その分こっちが忙しい!さっきから来た客を片っ端から捌いている。なんかお正月とかの店員さんの気持ちが分かったような気がするよ……。
「はい、紅茶とチーズケーキ2つずつ出来ました!」
「サンキュー海未!」
注文を伝えたら、出来ている商品を次々と運ばなければならない。単純な仕事だが、意外と疲れてくる。だけど、2年生組の様子を見るとそこまで疲れてないように見える。これは完全に俺の運動不足が目立ち始めている証拠だな。今度から俺もランニング一緒にしようかな……。
「やっほー徹君!遊びに来たにゃーー!」
「あ、出口はそちらとなっております」
「酷くないかにゃ!」
「今はうるさいやつの相手はきついんだよ、というわけでそこにいる真姫と花陽と絵里だけ案内してやる」
「ちょっと待って凛ちゃんとにこっちは分かるけど、ウチも?」
「たまにうるさいからな、はいはい冗談ですよ。6人まとめて案内します」
μ’sメンバーが一気に来るとは思わず、内心びっくりした。それと冗談を言ってる辺り俺もまだまだ大丈夫そうだ。よし!シフトの終わりまで頑張るぞ!!!
~*~
その後、無事に文化祭が終わり生徒達は片付けを明日に控え、それぞれ帰路に着いた。今ごろは家族に文化祭の事を話しているころだろうか。そんなことを考えている俺のいる場所は、穂むらでも俺の家でもなく音ノ木坂だ。ただ意味もなく学校でうろうろしているのではなく、ある用事があるからまだ学校にいるんだ。用事があるから学校に残っているんだぞ!大事なことだから2回言ったぞ、決して不審者ではない。
そしてその用事があるのはここ、俺の教室だ。ここで、ある人が俺を待っている。わざわざ誰もいないところに呼び出すということは結構重要な内容なんだろう。少しだけ緊張しながら、ドアを開ける。
「あ、来てくれたんだね」
「当たり前だろ……
ことり」
「良かった~来てくれなかったらどうしようかと」
「それで?何かあったのか?」
「あるから呼んだんだよ~」
いつもニコニコしていることりの表情が突然真面目になる。その姿を見て俺もとても真面目な雰囲気を察した。少しの間訪れる沈黙。若干赤くなっていることりの顔は夕陽のせいなのかそれとも……
「わたしね、徹くんのことを好きになったの!だからわたしで良ければ徹くんの彼女にしてください!!!」
少し早口で言ったその言葉は、俺の思考力を一時的に止めるのに十分すぎる破壊力を持っていた……。
――――『穂むらの弟子になった。』3章:穂乃果と徹と穂むらまんじゅうと――――
実は……次でラストの予定です!ラストと言っても本編の方なので、外伝みたいなものも1、2話程度投稿するかもしれません。
活動報告の方に、さぼってた件についてお詫びとお礼をさせて頂きましたので、とらなかくに興味がある方は見てもらうと幸いです。
twitter始めました!執筆状況などつぶやきます。
https://twitter.com/toranakaku
それではまた!