Fate/魚強エクストラ 作:( ∴)〈名前を入れてください
知らんそんなのは俺の専門外だ
「ふむ…どうやら君も駄目のようだな」
冷たく機械的な声が耳に届く、まるでテストの採点をして不合格だと書かれている紙のようにこちらに対しての感情を何も抱いておらず、ただ事実をこちらに伝えて来る。
「そろそろ刻限だ。君を最後の候補としその落選をもって、今回の予選を終了しよう」
「さらばだ、安らかに消滅すると良い」
消滅…聞くだけで嫌な予感がするその言葉は決して冗談と呼べる者では無かった
倒れ伏す我が身を動かそうとしても激痛が走るだけで動く事が出来ず、自分の腹部から流れ落ちる血液を眺める事しか出来ないのだから
ーーあぁ私はここで死ぬのだろうか?
何時も通りの学園生活を送っていると感じた違和感、その違和感の感じるがまま進んだ先にあった謎の人形、それをひきつれて進んだ先にあった謎の空間。
例えるならば電子の中にでも入ったかのような世界。様々な色が点滅し、学校の背景等無くしたような場所を突き進んだ
まるでゴールの見えない道のりを謎の男の声の聞こえるがままに突き進み、道中で現れた謎の物体…男の声はそれを「エネミー」と呼んでいたがそれを人形に指示を出し打ち倒し先へ先へと進み、そしてこのザマである
ステンドグラスが貼られ、まるで聖堂のような厳かな雰囲気を出す場所にたどり着いた先にいた謎の人形、さっきまでのエネミーとの戦いでコツを掴んだから大丈夫だと思い人形に攻撃の指示を出した瞬間、謎の人形の攻撃により私の人形は砕けその隙を逃さぬように私の腹部目掛け謎の人形の腕が貫いた。
身体から流れ落ちる血液を見詰めながらも身体を動かそうとするも激痛が身体を走るだけで指1本も動かす事も出来ない
まさに絶体絶命、いっそこのまま身体の力を抜き死を待った方が楽なのだろう
だが…それをする気にはなれない
例え苦痛に苦しもうが生きなければならない。少女が痛みに耐えて立ち上がろうとすると身体中が悲鳴をあげてそれを阻止しようとする。
止めろ、もう十分に頑張った。もう良いじゃないか、もう無理だ動ける筈が無い
「それが…どうしたっ!まだ動ける、まだ立ち上がれるんだ!」
頭の中で思い浮かんだ弱音を跳ね除け身体を動かそうと藻掻く
もう無理だ、動けない…まだ動ける
ピクリ、指先が少し動く
駄目だ動かない…大丈夫まだいける
ピクリ、腕に力が入る
諦めよう、もう頑張った。後はゆっくり休もう…論外だ。まだいける、休むのは身体が動かなくなってからだ
ピクリ、立ち上がる為に上半身を地面から離す
…何やら声が聞こえたと思えば……どうやらもう死に体ではないか。安心しろお前が死んだらちゃんと1人前のプリニーとして育ててやる
だから安心して死ぬと良い
突如聞こえた謎の声を無視して身体を動かそうと足に力を入れる。腹部から鮮血が流れ落ちるのを無視し立ち上がる為に身体に力をいれる。
何故だ…お前は何故そこまで足掻く?大人しく楽になれば良いものを無駄に足掻こうとする?おまえの死は確定だ、目の前の人形にお前は殺されるのだぞ?
何故…?その言葉にふと言われた言葉を思い出す。
「…お別れを言うのは間違いだ。不思議と今の僕はまた貴女に会える気がしている。」
「だからここは『またこんどお会いしましょう』と言うべきですね。次は本戦でお会いしましょう」
顔はもう思い浮かばないが言われた言葉は決して忘れない。また会おう、約束した訳では無いがそれを破るのは何だか負けた気がして嫌だ。生きてまた会う事が一番良いに決まっている。
自分の記憶も家族の記憶も無い、そのまま死ぬなんて嫌だ。自分が何処の誰かも分からないまま死ぬなんて諦めを許せる筈が無い、それに
無意味に消えていくなんて考えるだけでも恐ろしい。
「私は…例えこの場で殺されるのが確定されていようとも決して諦めたりなんてしない!」
その言葉を放った瞬間謎の人形が少女目掛けて突進する。今度は確実に殺すと言わんばかりに手刀をその脳天目掛けて
未だに動かない身体に鞭を打ち早く動けと、早く立ち上がれと命令するも身体は言う事を聞かずこれ以上動く事が出来ない
「諦めるもんかっ!絶対に…生きる!」
…まぁ良い。今回はその心意気に免じて特別に助けてやろう
人形の手刀が少女を貫こうとした瞬間ステンドグラスは割れそこからあらんばかりの闇が人形を襲う。質量を持った闇が人形を砕き、貫き、粉砕していく
そして闇は異形の牙へと形を変えて人形だったものを噛み砕き、その全てを破片へと変えていった。
「えっ……?」
目の前の光景に呆気に取られていると目の前にある闇が蠢き始め姿を形作る。いや…良く見るとそれは闇では無い。その闇を構成しているのは数え切れない程の黒いコウモリ、そんなのが集まっているから闇に見えたのだ。
「何を惚けているのだ小娘、いい加減さっさと立ち上がれ」
無数のコウモリが集まり始め一人の人間を作り上げていく、あまり高くない背丈に死人のように白い肌。宝石のようなの赤い目。身体を貫いている複数の木杭、そして極めつけは口元から見える鋭い牙
その姿はまるで御伽噺に出てくる吸血鬼そのもののようであった。
「俺も暇では無い、これからプリニー共に教育を施さねばならぬ。故に俺を呼んだお前には早く俺を元の場所に戻してもらわないと少々困るのだ」
少女は溜息混じりのその言葉を聞いて混乱する。自分が誰かを呼んだ覚えは決して無く、寧ろ目の前の彼がイキナリ現れたとしか分からない状態でそのような事を言われても混乱するしか無い
「……どうやらお前が俺を呼んだ訳では無いようだな」
ゾクリ、その言葉に全身が警鐘をあげるこれは自分の運命を分ける場所だと本能的に思った彼女は残った力を全てを使い先程の言葉に返す為に言葉を出す
「私だ…私が貴方を呼んだんだ!」
「それならさっさと……!」
その言葉を放った瞬間少女の手の甲が光を放ち始め幾何学的な模様をそこに刻む
身体の至る所から走る激痛は既に彼女の精神を蝕んでおり、謎の人形の恐怖から開放された事とにより彼女の意識は限界に近付いていた。
「中々に面白いサーヴァントを引き当てたようだな。君の手に刻まれたのは令呪、つまりは君がマスターになった証とでも思って欲しい」
「…この声は一体何処から来ているのだ?おい小娘、意識はまだ捨てるな。俺がお前のサーヴァントとは一体どう言う事だ」
突如現れた少年が少女の肩を揺さぶるも少女は声をあげる事も出来ずただ聞こえてくる声に耳を傾ける。
「令呪は使い方によってはサーヴァントに力を与える事も出来れば命令を強制する事も出来る。使い方は君次第だと言っておこう」
「命令…だと?ますます意味が分からん。おい声だけ聞こえる貴様!取り敢えず今の状況を説明しろ!」
「但し、その令呪を全て失ったその時君の命は潰える。その令呪は聖杯戦争への参加権でもあると言う事を忘れない事だ」
死ぬ…謎の声が発する言葉を忘れないよう必死に頭に叩き込む。サーヴァント…令呪、聖杯戦争、そして令呪を失えば死ぬ
「ええい益々意味が分からん。俺は声に呼ばれ意識を此処に連れてこられたと言うのに説明も無しか!」
「…どうやら君のサーヴァントは中々直情的なようだな。まぁ君には期待しておこう」
声は少年の言葉を全て無視し少女に語り掛ける。そしてそんな態度に少年は機嫌がドンドン悪くなり三白眼のような目を虚空にキッと睨み付け盛大な舌打ちを放つ
「未熟ながらも勇気に溢れた行軍は見ていて見応えのあるものだった。おめでとう、ここがゴール地点だ。後はゆっくりと休み傷を癒したまえ、君が目が覚めた時には本線会場にいるだろう」
「貴様…一体何を言っている、この小娘は既に死に体。もう直ぐその命が尽きるのは見れば分かるだろう」
彼の言う通り少女は既に限界に近く、意識を失えばそのまま死んでしまうだろう
そんな彼の言葉を声は無視して少女に語り掛ける
「あぁそうだ。君達は私の正体を気にしているようだが別に私を気にしなくて良い。私はここでの案内人みたいな物だ…そうだ。君には何者かから祝辞が届いている」
「『光あれ』と」
その言葉を聞き届けた瞬間少女の意識は暗い闇の中へと落ちて行った。近くで呼び掛けてくる彼の声は少女の耳に届かない
これが彼等の出会い、何も知らぬ彼等が出会ったのは那由他の彼方にある奇跡を偶然掴んだようなものだ。
これより物語の幕を開けよう。勝者には栄光を、敗者には死のデスゲームを
電子の海より産まれ落ちた少女と人間の血を吸わない不思議な吸血鬼の物語
──では、これより聖杯戦争を始めよう。いかなる時代、いかなる歳月が流れようと、戦いをもって頂点を決するのは人の摂理。
月に招かれた、電子の世界の魔術師ウィザードたちよ。汝、自らを以て最強を証明せよ──。
「突如現れた謎のサーヴァント。それは謎の吸血鬼!私は一体どうなるのか、私の名前はいつ出るのか!と言うか私血塗れなんだけど…大丈夫なの?」
「それはそれとしてイワシだ!イワシは栄養に優れ血液をサラサラにしてくれる優れもの!取り敢えず最初はこの程度にしておこう。次からはイワシについて更に詳しく教えてやるからな!」
「二人してまだ名前が出てないとかこんなの有り得なく無い?」
「「次回Fate/魚強エクストラ!『自己紹介はとっても大切』お楽しみに!」」
「しまった…そう言えば昼食のイワシを食べるのを忘れていた……」
「えぇ……」