Fate/魚強エクストラ   作:( ∴)〈名前を入れてください

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やっぱりフェンリッヒがいないとなぁ…まぁそこはザビ子に頑張って貰いますか


自己紹介はとっても大切。だけど私の話をちゃんと聞いてください by桜

夢を見た。誰よりも強く、誰よりも誇り高い吸血鬼の夢を。

 

「おのれ暴君!貴様がいなければ俺が魔界の頂点に立てる筈だった!」

 

「…貴様如き矮小な者が魔界の頂点に立つ?己惚れるな!魔界の覇者は誰よりも強く、誰よりも強大でなければならぬ!浅知恵だけしか脳の無い貴様がなれると思ったか!」

 

金銀財宝が散りばめられている荘厳な部屋の中で相対する2人の異形な存在、一人は長い髪を束ね鋭い眼光を目の前の存在に放つ

もう一人はその眼光に怯えながらも声を荒らげるオークのような見た目をした存在。オークはこの部屋の主なのかその醜悪な見た目に似合わない黄金の椅子に座りガタガタと身体を震わす

 

「恥をしれ!俗物以下の愚か者が!」

 

「ーーッ!ウオォォォッ!」

 

オークが手に大きな斧を持ち目の前の男目掛けて突進する。その身体は男よりもずっと大きくまるで大人と赤子程の身長差があった。

 

「馬鹿が…ならばその身に刻み付けてやろう。この暴君の力を!」

 

「死ねェェェッ!」

 

巨体から振り下ろされる斧が男の身体を両断し男が身体を分断されそのまま倒れ落ちる。分断された肉体は何も言わずただ倒れ伏すのみ。その光景をみてオークは絶頂に等しい高笑いをあげながら男の死体に近づいていく

 

「へっ…勝った?俺が……暴君に?……ヒヒヒヒヒヒ!ヒャーハッハッハッ!俺は暴君を倒した!やはり俺こそが魔界の頂点に相応しい存在だったんだ!」

 

そして男の身体の半身を持ち上げた瞬間オークの周りを闇が包み込んだ

 

「なっなんだこれ!何なんだよこれはァ!」

 

…さぁその身に刻むが良い。誇り高き悪魔の力を!

 

突然の暗闇に狂乱し男の半身を投げ捨て斧を両手に持ち辺りを警戒するオーク。何も見えない中斧を振り回し何かを警戒するもその攻撃は全て宙を切る

 

「クソッ!クソッ!何処だ!何処にいやがる。姿を見せやがれ!」

 

オークの斧が突然何かに当たったようにガツンと良い音を立てて弾かれる。その手応えにオークはニヤリと笑いながら先程の場所目掛けてなんども斧を打ち付ける。

 

「ここかぁ…くらえっ!」

 

斧がその場所を砕いた瞬間その場所から小さな光が漏れ始める。オークはその穴を打ち付け自分が出れる程の大きさまで広げ外に出ると其処は先程までいた自分の部屋とは全く別の場所にいた。

 

「◼◼◼◼◼◼◼◼!」

 

「あっ…あぁ……これは。まさか…遥か昔魔界を荒らした最強の魔物……」

 

自分の立つ場所がほとんど無い地面、そして目の前にいたのはオークが米粒にしか見えない程の大きさを持った怪物。その姿はまるでコウモリに似ていたがその凶悪な見た目からコウモリとは全く別の存在だという事が分かる。

怪物が巨大な羽を広げ呻き声をあげるとその声だけで世界が振動し悲鳴をあげる

 

貴様如きに俺が力を奮うなど烏滸がましい。故に我が僕の力を持って貴様のその全てを残さず消滅させてやろう…

 

「あっ…あぁ……」

 

やれフルークフーデ!目の前の愚か者の魂一片たりとも残さず消し飛ばせ!

 

「◼◼◼◼◼◼◼◼◼◼◼◼ッ!」

 

怪物がその身を震わせ超音波を発する。羽を震わせ発生する超震動はオークとその周りにある物全てを震わせ存在を崩していく。

 

ーーそしてその衝撃が目の前に

 

「……夢?」

 

急に目が覚めるとまず感じたのは薬品のツンっとした臭い。そしてベットのフンワリとした感触、それらの感覚を感じながらボウッとした頭をゆっくりと覚醒しさせていく

 

「目が覚めましたか?」

 

「……君は?」

 

声が聞こえて来た方に見ると白衣を纏った一人の少女がこちらを見つめている。

 

「私はこの保健室のNPC間桐桜です。主にこの聖杯戦争での皆さんの身体、並びにメンタルのカウンセリングを任せられております」

 

「破損していた肉体は既に修復しましたが何処か不都合は起きていませんか?頭が痛いとか腹部に何か違和感があるとかがあれば直ぐに教えて下さい」

 

それを聞いてあの時の事が蘇る。身体を貫かれ死に掛けた自分、そして現れた謎の少年…謎の声が言っていた言葉の数々

 

「そうだ…彼は一体何処にいるの?」

 

「彼……ですか?」

 

その言葉にキョトンとした顔を見せると直ぐに納得したような顔をして頷く。

 

「あぁ!貴女のサーヴァントなら」

 

「俺はサーヴァントと呼ばれる物では無い!誇り高き悪魔ヴァルバトーゼだ!」

 

「……あそこにいます」

 

桜がそう言うと部屋の奥の椅子に座っていたあの時の少年が少女のいるベットに音を立てて近付き少女のベットの目の前に立つ

 

「起きたようだな小娘、では早速俺を元の場所に戻してもらおうか」

 

「……えーっと」

 

「どうした。まさか出来ないと言う訳では無いだろう?俺は早く戻りプリニー共に教育を施さねばならぬ。それに早く戻らねばフェンリッヒが錯乱してしまうやも知れん」

 

「さぁ早く俺を地獄へ戻してもらおうか!」

 

ヴァルバトーゼと名乗ったあの時の少年は少女へ早く俺を元いた場所へ戻せと捲し立てるように言うが少女は困り果てた顔をして黙るばかり。その態度に目つきを悪くして少女を睨む、一気に悪くなる空気に桜が困り果てたように言葉を出す

 

「先程から言ってましたけど、貴方はサーヴァントとして此処に呼ばれたんです。だから元の場所に戻せと言われても」

 

「だから俺は死人ではない!俺は悪魔。人間の幽霊では無い!」

 

「だから幽霊じゃなくてサーヴァントですってば!」

 

「俺からすればどれも変わらんわ!死んだ人間の魂はプリニーとなり生前の罪を贖罪するか、天使に認められ天使になるしか無い!」

 

「英霊の魂?死んだらどれも亡霊に過ぎん!」

 

「だーかーらー貴方はサーヴァントとして彼女に呼ばれたんです!」

 

「知るか!俺は英霊の座などにはいない俺の肉体があるのは魔界の地獄だ!」

 

ギャーギャーと桜とヴァルバトーゼがまるで口喧嘩をするように声を荒らげ話をする。

 

その声を聞き少女は喧嘩をしている2人に対して待って欲しいと呼び掛ける。

自分は聖杯戦争やサーヴァントの事を良く分かっていない。だから教えて欲しいと

 

「えっ…可笑しいですね。予選を通過した時点で記憶をお返ししているのですが本当に覚えてませんか?」

 

桜に自分の事は名前しか覚えていないと伝えると困り果てたような顔をしてこちらに頭を下げる。

 

「すみません…どうやらこちらに不都合があったらしく記憶の返却が出来てないみたいです。私の権限ではどうしようも……」

 

「記憶が無い、だと…ならばお前はどうやって俺を元の場所へ戻すのか分からないのではないだろうな!」

 

先程の言葉に食いついてくるヴァルバトーゼに少女は頭を下げて謝る。すみません、私にはその方法が分かりませんと

長い時間深々と頭を下げて謝るとヴァルバトーゼは労るように少女へ語り掛ける

 

「…どうやら嘘では無いみたいだな。いいすぎた、すまない。だが俺は早く地獄へ戻らねばならぬ。どうやって戻れば良いのか……」

 

二人して現状に困っていると二人の話を黙って聞いていた桜が名案だと言わんばかりに両手を叩き言葉を発する

 

「見つけました!お二人の現状を何とかする方法を!」

 

「聖杯戦争に勝ち抜いていけば良いんです。その過程で記憶が戻れば問題無いし、記憶が戻らなくても最期まで勝ち抜けば願いを叶える事が出来ます!」

 

二人して桜の話を静かに聞くとヴァルバトーゼが胡乱な目をして桜を見つめる

 

「願いを叶える?」

 

「はい!この聖杯戦争を勝ち抜けば願いを叶える事が出来るんです!」

 

「下らん。神にでも願いを叶えて貰うつもりか?神はちっぽけな俺達の願いを叶える程優しくは無いぞ」

 

「えーっと…何か色々と言いたいですが取り敢えず説明しておきますね。今回は運営側に不備があったみたいですしこれくらいは参加者も知っているので開示しても大丈夫でしょう。」

 

そこから桜からこの聖杯戦争について説明される。簡単に言うなら参加者がサーヴァントと共に戦い勝ち抜いていくバトルロワイヤルであり、優勝者には自分の願いを叶える権利を持つと言う事らしい

 

正直…信じられない

 

「あの〜…二人してそんな『そんな事信用出来るか』みたいな顔をされても……」

 

「当たり前だ。そんなホイホイと願いを叶える方法がある訳無いだろう。そんな簡単に願いが叶えばこの世は既に世紀末だ」

 

「でも本当の事なんですってば!何度言えば信じてくれるんですか!」

 

「第一俺がサーヴァントとやらでは無いと言ってるだろうが!俺は誇り高き悪魔。亡霊等では断じて無い!」

 

あーっもう話がまた戻った。

 

「第一、名前も知らぬ小娘の従者になるなど…」

 

名前…そういやまだ名前言ってなかったけ?

 

「私の名前は岸波白野。宜しくお願いしますヴァルバトーゼさん」

 

そう言いながら岸波は握手を求めるようにヴァルバトーゼに向かって手を出す

 

「いっ…いや、名前を伝えられても従者になると言ってないからな?」

 

「宜しく」

 

「いや…だからな?俺は」

 

「宜しく」

 

岸波の強引なゴリ押しに折れたのか、それとも諦めたのかヴァルバトーゼは岸波に向かって手を出す

 

「ーーッ分かった!今回はお前達の事を信じよう!どうせこれからの事も分からない身だ。聖杯戦争とやらもお前と共に戦ってやろう」

 

「だが俺はお前の下に着く気は毛頭無いそれだけは忘れるな。俺とお前は協力者と言う事だけだ!」

 

「お前が記憶を思い出し俺を元の場所へと戻せるようになるまで戦おう!」

 

そう言い二人は握手をする

 

「うん、約束する。私は貴方を元いた場所に戻してみせる」

 

「そうか…ならばそれまで俺はお前の剣であり盾であろう。約束だ」

 

握手したヴァルバトーゼの手はとても冷たく、まるで死人ように血が通っていないように感じた

 

「労働条件として三食イワシを貰うぞ」

 

「えぇ……」

 




「ついに自己紹介をした私達!私の名前は岸波白野皆宜しくね!」

「まさか俺が人間の小娘と共に戦う事になるとは…それはさておきイワシの話だ!今回は誰でも知ってるマイワシだ!マイワシは分類上顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱真鰭区ニシン・鰾下区ニシン上目ニシン目ニシン科マイワシ属とされている!
生命力に溢れ、こんなにカッコイイ分類なマイワシだが漢字に直すと『真鰯』…これは酷い!真に弱い魚等と言う名をつけられているが俺はこんな名前は認めない!マイワシは真に強い魚と書いて『真強魚』と書け!お前達もマイワシを漢字で書く時は『真強魚』と書くように!」

「うわぁ…隙あらばイワシ語りしてる……」

「「次回Fate/魚強エクストラ!『昨日の友は今日の敵!?』次回も楽しみにしてね!」」

「イワシィ!」

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