Fate/魚強エクストラ 作:( ∴)〈名前を入れてください
「あんまり学校内は変わってないみたいだね」
「俺は元の姿を知らんからどうとも言えんぞ」
保健室を出た二人は出る前に聞いた言峰と呼ばれるNPCに話をする為に2階へと足を進める
「そう言えばこの端末を使ってヴァルバトーゼのステータスを確認しろって言ってたっけ?」
「おのれ聖杯戦争…この俺を死人と同じ扱いをしようとは。必ずしやこの戦いを始めた愚か者に死よりも恐ろしい責め苦を味合わせてやる」
隣で誰かに怒っているヴァルバトーゼに苦笑しながら端末を起動しマトリクスという欄を選択する。このモードは自分のサーヴァントについての事が開示されている分表示される優れものでこれでヴァルバトーゼのステータスを確認する
nameヴァルバトーゼ clas Nothing
ステータス (吸血行為又は魔力供給によりステータス変動)
筋力 C+〜unknown
俊敏 B〜unknown
魔力 C++〜unknown
幸運 A〜A
耐久 C+〜unknown
宝具 Nothing
スキル
吸血鬼 Ex 現状唯一の特殊な吸血鬼の肉体を持つ
カリスマ C 誰かを引きつける才能を持つ
暴■ Ex ■■■■・■■■を己の眷属とし隷属させた証、あらゆる者達が彼を正確に認識した瞬間、混乱等のステータス異常を発生する
「何これ…」
まず見て思ったのはこの端末が壊れているんじゃないのかと言う疑問、そして
「unknownって何……?吸血行為って吸血鬼なの?」
「あぁ吸血鬼だが。言ってなかったか?」
「言ってないよ!?もしかして…私の血を吸うの!?」
ヴァルバトーゼの言葉に戦慄を隠せずにいるとヴァルバトーゼは呆れ果てたような顔をしてため息を吐く
「俺に人の血を吸う気は無い。だから安心しろ」
「えっ…ちょっと待って。置いて行かないで!」
端末をポケットに収め足を進めるヴァルバトーゼの背中を急いで追い掛ける。
学校内の様子は予選の時と殆ど変わっておらず特に迷わずに足を進めると予選を勝ち抜いたマスター達が和気あいあいと話をしており報酬、願い、山分け等の言葉を話の中に散りばめていた。
「ふーん…ねぇヴァルバトーゼ。私達も誰かと協力して戦っていった方が良いのかな?」
「駄目だ」
誰かと一緒に協力して戦ったら一人で戦うよりも勝ち抜ける可能性が上がるだろうと思い言った言葉はノータイムで切り捨てられる
「良いか?これはバトルロワイヤル、つまりは殺し合いだ。当然協力する者もでるだろう、だがそれは途中で裏切られても何とか出来る自信の表れでもある」
「記憶も何も無いお前が途中で裏切られてもどうにか出来るのならば話は別だがな」
「つまり…対処出来ない事を自分から背負うなって事?」
そう聞くとヴァルバトーゼはその通りだと頷き話を続ける
「その通り人間は策謀、計略に置いては悪魔よりも辛辣で悪質だ。記憶も無い小娘には荷が重すぎる」
「そこでイヤらしい笑みを浮かべている男がそれだ。気をつけろよ小娘」
ヴァルバトーゼの言葉に一人の神父服の男が意外そうに言葉を発する
「私はNPC故にそのような事はしないのだがね。やれやれ、私はそこまで悪逆を尽くしていた顔に見えるのか?」
「ふん。お前のような善人がいるか、善も悪も分からない顔をしおってどうせ己の欲望を満たす為に」
「ストーップ!すみませんヴァルバトーゼが酷い事を言っちゃって」
岸波がヴァルバトーゼの口を塞ぎながら急いで謝ると神父服の男は楽しそうに口を開く
「だが私の元となった者はそのような半生を送っていたみたいだがな。己の愉悦を追い求め罪なき子羊達に手を掛けた血塗れた求道者」
「だが彼の中にある神への信仰心は本物でありそこが彼の異常性を引き立たせる。生前の彼も君のような男に出会えればまた運命も変わったのかもしれないな」
クツクツと楽しそうに笑う神父服の男に岸波は少し引き気味になりながらも話し掛ける
「あっ…あのー……」
「それで。この聖杯戦争の運営、管理を任されている言峰綺礼のNPCたる私に何か用かね?落第寸前だった未熟なマスターとそのサーヴァントよ」
その言葉に岸波は既視感を感じる。あの時導いてくれた謎の声が目の前の変な神父服の男とダブるも頭からあの時の事を振り払い今尋ねなければならない事を話す
「私の記憶が戻って来てなくて…それでその事を桜に話したら貴方の元に行けと」
「何…?記憶は参加者全員に返した筈だが……ふむ、もしかすると何やら異常が発生し記憶が蘇ってないのかも知れん」
「いっ…異常!?私は大丈夫なんでしょうか!?」
「問題無い。人格面に支障があれば既に対処されている」
異常と言う言葉にあの時の惨状が原因では無いのかと思い聞くもそこは問題無いとしれっと流される
「済まないがその事は私の方ではもうどうしようも無いので君の方で対処を願おう。何、直ぐに記憶も蘇るだろう。問題無い」
「そんなぁ……」
そう言い捨てられて思わず肩を落とす。自分で何とかしろと言う有難いお言葉に世知辛さを感じているとヴァルバトーゼが何か思い付いたように話し掛ける
「つまりは…後は小娘が記憶を思い出すだけでお前達は手出しが出来ないと言う事だな?」
「そう思ってくれて構わない」
その言葉に岸波は不安感を感じる。自分はちゃんと記憶を思い出す事が出来るのか、それとも
「(本当に…思い出せるのかな?)」
そんな事が頭の中をよぎる。記憶が蘇らなかったら私は一体どうなるのだろうかもしも記憶が戻らなかったら…
「(私…この人に見捨てられるの?)」
「ならば問題無い。行くぞ小娘、ここ以外を探索するのだ」
「えっ…待ってよヴァルバトーゼ!」
そのままマントを翻しツカツカと歩いて行くヴァルバトーゼの背中を急いで追いながら綺礼に頭を下げてその場を後にする岸波。その姿を見えなくなるまで見た後ボソリと呟く
「しまった…彼等に言わなければならない事があったのだが、後で良いだろう」
しかしこの愉悦神父。そんな事を言うも笑みがデフォでドス黒いから正直ろくな事を考えてないようにみえる
「ねぇ待ってよ!……ちょっと待って!」
「ん?どうした小娘。変な顔をして何かあったのか?」
先程までの場所を離れヴァルバトーゼが何も言わず歩いていくと後ろから岸波が声をあげて着いてくる。
後ろにいる岸波の声に気付いたのか足を緩め後ろを振り向く
「ねぇ、どうしてあんな事を言ったの?」
「何の事だ?」
「問題ないって言ってたけど何でヴァルバトーゼが言い切れるの?」
「お前は俺と約束した。必ず思い出し俺を元の場所に戻すと」
「その言葉を俺が信じているからだ」
その言葉を聞いてなんだか心が温かく感じる。自分が自分を信じられずにどうやって約束を守れるんだ。会って間もない私の事を信じてくれている人が目の前にいるのに私が私を信じられなくてどうする
「(そうだ。自分を信じなきゃ始まらない、諦めたらそこで終わりだ)」
「他には何かあるか?」
「ううん、何でもない!」
そう言い岸波はヴァルバトーゼの手を握り前へと早足で駆け出していく。
「待て!……おいっ腕を引っ張るな!」
「確か…屋上が凄く見晴らしが良かったんだ。一緒に見に行こ!」
「(これから一緒に戦うんだ。先ずはこの人の事を知らなきゃ始まらない!)」
駆け出していく2人を周りのマスター達は驚いたような顔をして見詰める。どう見てもマスターがサーヴァントの手を握り目の前を通り過ぎていくのだ。驚きもするだろう
「ねぇヴァルバトーゼ」
屋上へ駆け上がっている中、岸波はヴァルバトーゼに話し掛ける
「どうした?」
「私の名前は岸波白野。まだ自分の名前しか分からないけど記憶を思い出したらちゃんと自己紹介をするから!」
「フッ…フフフ。オレはただの協力者だと言った筈だが?」
「だからだよ。私と貴方はこの聖杯戦争で一緒に戦うパートナー、仲良くしなきゃ勝てるものも勝てなくなる」
軽快に階段を登っていく音と二人の声が階段に木霊していく。
「パートナー…か。暴君と呼ばれ恐れられた俺に対等な存在。宿敵であり戦友たるハゴス以外に……面白い。長生きはしてみるものだな」
「宜しくね!」
「確かに俺とお前は協力者、だがお前は俺と対等でいるとでも?」
「それは…これからガンバリマス」
「精精精進する事だな」
へにゃリと力が抜けたような顔をして言う岸波とそれを見てニヤリと笑うヴァルバトーゼ、そして二人は屋上の扉を開き
「砲撃よぉぉい!藻屑に消えなぁ!」
「我が骨子は捻れ狂う!」
溢れんばかりの光の中に包み込まれた
「初めまして!私、アサギ!ここに入ればこの物語の主人公となれると聞いて飛んできました!」
「ちょっとー?マスタータオルは何処かしら?」
「待って待って!そのまま出たら床が濡れるでしょ!」
「まぁ時々私達…もう一人はまだ秘密だけど。そんな私達がここで話すからよろしくね!」
「次回魔法少女デスカル☆アサギ『初めての魔法少女』宜しくね!」
「ちょっとぉ!私の名前が入ってないわよ!」
「だからアナタはまだ内緒だってば!」