Fate/魚強エクストラ 作:( ∴)〈名前を入れてください
A.リアルが忙し過ぎて禿げそうでした(分かりやすい答え)
保健室に人影が二人。1人は保健室のNPCである間桐桜、彼女は今中々に込み合った状況に置かれていた。
「あのー。どうしたんですか?」
「…何でもない」
「顔を真っ赤に泣き腫らして何でもないは通じませんよ…」
目の前にはさっきまで部屋にいた少女。その子が桜の前にいる。彼女の名前は岸波白野、記憶を失っている極々普通のサーヴァントだ。
「だって…シンジが友達じゃないって……」
「話を聞く限りはそうは思えませんが…」
さて。何故このような状況になっているのか、その為に少し時間を戻すとしよう
それは屋上で三人が話していた時の事だ
「しっかし…天才な僕だから何とかなったけど、岸波みたいな特に取り柄も思いつかない奴が突破出来るとは思わなかったよ」
「まぁ…見るからに平凡よねぇ」
「私もこの状況を理解し切れて無いから一体何が何やらで……」
そんな岸波の言葉を聞いて2人が怪訝な表情をする。まるで「こいつは一体何を言っているのだ?頭が可哀想な人なのかな」と言わんばかりである
「状況って…そりゃ聖杯戦争だろ?しっかりしなよ岸波、そんな調子じゃ1回戦も勝てないぜ」
「そうよ。全く…こんなのが予選を勝ち抜いた猛者の1人だなんて……」
「まぁ。この僕が優勝するからその辺りは当たり前なんだけどな!」
予選の時と変わらずニヒルな笑みを浮かべながらそう宣言するシンジ
「あらあら、間桐慎二さんはさっきの戦闘を覚えて無いみたいね」
その言葉にウッと呻くように言葉を小さくしていくシンジ。そしてその姿をみて笑う凛。
「そう言えば…岸波はこの戦争になんで参加したんだ?平凡オブ平凡の称号を貰っても不思議じゃないのに、何か叶えたい夢でもあるの?」
「確かに。なんて言うか貴女…今の状況を理解しきれてない…いや、自分のおかれている現状を分かってないって感じよね」
「いや…まだ自分の願いが思い出せないと言うか……自分の名前以外分からないですハイ」
その瞬間、シンジと凛の二人が時が止まったように身体を硬直させる。そうして
「「ハァァァァァッ!?」」
二人の驚きの声が岸波の鼓膜を穿った。
「えーっと…つまり岸波は何か良く分からない状況で予選を突き進んで、それで訳の分からないサーヴァントを引き当てたって事か?」
「えーっと…サーヴァントじゃ無くて吸血鬼って言ってたんだけど」
「…訳が分からない。かと言って嘘を言っているようには見えないし、でも吸血鬼ヴァルバトーゼって…そんな英霊聞いた事も無いわよ」
「いや、先ず吸血鬼とかいる訳ないじゃん。吸血鬼の伝承の大元がヴラド三世な訳だしそのヴラド三世は人間なんだから吸血鬼はこの世に存在しないよ」
シンジと凛の正論が岸波の訳の分からない状況にツッコミのメスを入れる。冷静に考えて記憶喪失のマスターの時点で可笑しいのに、それに加えてサーヴァントが身元不明の吸血鬼と言われても納得出来ないだろう。
寧ろこのが現状を受け入れている張本人である岸波がヤバイと言える
「魔界の地獄って場所がヴァルバトーゼのいた所らしいからこの世では無いんじゃないかな?」
「魔界の地獄って…魔界なのか地獄なのかハッキリしろ!」
「だってヴァルバトーゼ自身がそう言ってたし」
「と言うかサーヴァントは英霊の座って場所から呼ばれて来るんだから、そんな場所から呼ばれて来る筈が無いだろ!」
「そんな事言われても…」
シンジと岸波の会話に凛が疲れたような顔をして話し始める
「あー…記憶喪失なら分かる訳が無いわね」
「しょうがないか…さっきの借りも返すついで聖杯戦争について教えてあげる」
まずここは何処だか分かるかしら?
えっ…学校?まぁ間違っては無いんだけど、そうじゃないの。ここはセラフと呼ばれる『電子虚構世界』つまりはプログラムから成り立ってる世界なの。
セラフは万能の力を持つ『聖杯』と呼ばれるものから作られててその『聖杯』は月にあるとされてるわ。
えっ…そんな事よりも聖杯戦争について教えてやれ?うっさいわよ馬鹿は黙ってなさい
聖杯戦争は分かりやすく言えば優勝者が願いを叶える権利を手に入れれるって言えば良いかしら。願いを叶える為に皆この世界に来たのだがら当然と言えばそうなのだけどね。
聖杯戦争では参加者である『マスター』と『サーヴァント』つまりは主従で共に戦うって訳ね
戦って戦って戦って…最終的に残った1組が聖杯の元までたどり着ける。
ようは勝てば良いって事。シンプルで良いでしょ?
貴女のサーヴァント…違う?ヴァルバトーゼ?……そこはどうでも良いから話を続けるわよ。貴女はそのヴァルバトーゼと共に勝ち抜けば良いのよ。その事を分かっていれば…あっ大切な事を言うのを忘れてたわ
サーヴァントは過去の英雄達なの。例えば龍殺しの大英雄『ジークフリード』やアーサー王伝説の『アーサー王』神話群の中でも圧倒的な知名度を持つ『ヘラクレス』等が分かりやすい英雄って感じかしらね
そして彼等は『宝具』と呼ばれる彼等の人生の結晶が力となった物を持っているわ。ここは特に重要だからこれ以上忘れないようにしなさい。
『宝具』はサーヴァントによって多種多様、例えば『アーサー王』ならば、かの聖剣『エクスカリバー』があるわ。良くゲームとかで見るでしょ何かビーム出してそうなアレよアレ
って流石に分からないわよね…まぁ宝具はサーヴァントの正体と弱点を晒すのと同意義だから軽々しく出したら駄目よ。
どうせアンタの…ヴァルバトーゼだっけ?そんな奴の宝具見せられても訳が分からないだけだろうから気にする事も無いのだろうけど
要するに過去の英雄たるサーヴァントと共にこの聖杯戦争を勝ち抜く。その為には貴女と彼の協力が必須って事、分かった?
「はい!ここまでで質問がある岸波さんはいますか!?」
「…分かりました(白目)」
「いや白目向いてるじゃん。何も分かってないだろお前」
白目を向く岸波にそれを突っ込むシンジ。まるで岸波がオバカさんに思える状況だが、少し待って欲しい。いきなりベラベラと言われて全部理解出来る人がいるだろうか?
少なくとも私には出来ない(記憶力ZERO)
「ファルシでルシがコクーンでパージって事でしょ。これでも学園生活中の筆記試験ではそこそこ点が良かったんだから!」
それを前提においてもその回答は無い。どうしてそうなった。お前の思考回路が非常に気になる
「隣に同じクラスで友人役だった男がいるのによくもそんなホラを吹けるね。数学が分からなくてで泣き付いて来た奴の台詞とは『わー!わー!わー!』…五月蝿い!」
顔を真っ赤にして言葉を書き消そうとする岸波とツッコミを入れるシンジ。どう見ても漫才芸人である
「…アンタら仲良過ぎでしょ。どんな学園生活を送ってたのか分かるわ」
「私達は友人同士だし。ねシンジ?」
笑顔で岸波は語り掛けるがシンジはそれに対して呆れたように話し始める
「…オイオイ岸波、僕とお前は友人役であっただけでお手手を繋ぎ合ってピクニックに行くような間柄じゃないぜ?」
「…またまたー」
少し驚いた顔をするも直ぐに笑顔に戻りながらそう言葉を続ける岸波
「いや、そうだろ?所詮は仮初の記憶に植え付けられた関係言わばロールプレイをしてただけだしね。そんな僕達が友達だなんて」
だがそれをバッサリと切り捨てるシンジ。その言葉が出れば出るほど岸波の顔が下へと俯いていく
「……」
「大体天才の僕と君が吊りあってるとでも?」
「まっ、まぁ……岸波がどーしても僕と友達になって欲しいと言うなら今回だけは特別にロールプレイだけじゃない。ちゃんとし」
「……もういい」
「へっ…?今なんて言ったんだ?」
「もういい!シンジ何て知らない!このワカメ頭!オタンコナス!キザ野郎!」
「何だよいきなり…何で怒ってるんだ?」
突如激昂する岸波に驚いたような顔をして話すシンジ、その姿を見た岸波が大声をあげながら手を振りかぶる
「ーーーッ!?シンジなんて大ッ嫌いッッ!!」
屋上にパチンッと心地良い音が響いた
「シンジの馬鹿…なんであんな事を言うの?酷いよ……大切な友達だと思ってたのに」
「(やっぱり…話を聞く限りはそう言っていませんね。シンジさんも友達になって欲しいのなら恥ずかしがらずに言えば良かったものを)」
「(本当にどうしましょう。参加者の心身のカウンセリング担当ですがここまで子どもな喧嘩をされるとどうカウンセリングすれば良いのやら)」
落ち込んでる生徒に何といえば良いのか分からずオロオロとする新人教師のような状態が暫く続くと保健室の扉を勢い良く開けられる
「何をウジウジとしている。さっさと立ち上がれ」
「だって…」
「(辛辣!ヴァルバトーゼさんちょっと言葉掛けがきついです!もっと相手を思いやってですね!?)」
入って来たのはスパルタな御両親…いや何方かと言えば辛辣な先輩といった所だろうか、そんなヴァルバトーゼが保健室に入りズカズカと音を立てて岸波が座ってる椅子の前に立つ
「………」
「愚か者が!その程度で折れる奴に俺は呼ばれた訳では無いぞ!」
「友だと思っていた者が友では無かった!?結構、それで良い。ならば己の全てを持ってして奴と友となれば良いだけの話だ!」
「己の…全て?」
ヴァルバトーゼの言葉にピクリと反応する。それを逃さぬと言葉を畳み掛けていく
「勝ち進めば必ず小僧との戦場を用意される。あの小僧と死力を尽くし殴り合え!そうすればお前の望む物が得られる筈だ!」
「(それは…良いんでしょうか?)」
「本当に…シンジと友達になれる?」
「(食いついたッ!?)」
「当然だ。誇り高き悪魔である俺は嘘などつかん!」
「本当に?約束してくれる?」
「約束しよう。必ずやお前と小僧は良き友となれる…いやお前の生涯において親友と呼べる存在になるだろう」
「私…頑張る。頑張ってシンジと親友になってみせる!」
「その意気だ。精精気張れ!」
「(…もうどうにでもなーれ)」
そして、そのまま桜に礼を言って保健室から岸波を連れ出す辛辣な先輩改め、熱血教師ヴァルバトーゼ。そんな彼等の姿を煤けたような姿で見送る桜
「もしかして…参加者ってこんな人ばっかりなの?」
いや、これは例外です。色んな意味で
「取り敢えず…腹が減ってるからそんなネガティブな考えに支配されるのだ。イワシを食べろ!イワシを食べれば血液サラサラ頭も良くなり、その美味しさから嫌な事は全て吹き飛ぶスグレモノだ!」
「ヴァルバトーゼはイワシが好きなの?」
「当然だ。俺の身体はイワシで出来ていると言っても過言ではない。血潮はカタクチイワシで心は真魚強だ」
「吸血鬼要素の無さにビックリ。イワシ100%って何それ凄い」
「お前もイワシの奥の深さをしれば俺の言っている言葉の意味が理解出来るかもしれないな。イワシは生でもいけるし焼いても上手い、イワシを食べた事のある者ならば分かるであろうあの食感、風味、素晴らしい味!素朴ながらこの世の全てを体現したと言っても過言では無いあの肉体の黄金比率!見ればかぶりつきたくなるプリプリの身!イワシこそが魚の、いや食べ物の頂点だ!」
「うわぁ…(絶句)」
そんなイワシな話をしながら廊下を進む二人、彼等の言葉を聞いて思わずイワシが食べたくなった日本人マスターとサーヴァント達が食堂へ向かっている中二人も食堂へ向かって足を進める
目指すは勿論
「さて。ここでもイワシが食べられるのならば良いのだが……先ずは食堂に行き新鮮なイワシがあるかを調べなければ!」
「何だかイワシが食べたくなってきた…」
食堂である
「ふん!面白い俺達マグロ組に勝てるわきゃあ無いだろうが!」
「鰯はすっこんでな!この雑魚野郎!」
「うっ…うぅ……」
彼は願った…誰よりも強い魚になりたいと
「おら鰯。さっさとその貧相な尾ビレを使ってジャンプしてみな!」
「うっ…うぅ……」チャリンチャリン
彼は願った……コイツらを倒せる程の強くなりたいと!
「俺のトレーニングはキツイぞ?鰯がついてこれるか?」
「僕は鰯のままじゃ嫌なんです!強魚、イワシになりたいんです!その為ならばどんな辛いトレーニングも耐えます!」
魚強ーイワシー 来週夜8時から放送開始!
閣下「…名作確定。Blu-ray100万枚予約した」
ザビ「やめて!!」