「なあ、俺のサンドウィッチ・・・」
ヒッキーの問い掛けに結衣は何も答えずお盆にヒッキーが注文したサンドウィッチとコーヒー、更に雪乃が注文した紅茶を乗せたまま固まって雪乃を見つめていました。一方、店員が注文した紅茶を自分の前に置かず、ただ刻々とお盆の上で冷めていっているにも拘らず無言で結衣を見つめる雪乃。すぐ脇にいるヒッキーを無視して見つめ合う看板娘と貴族の娘。そうしていると店内の他の客もそのおかしな様子に気が付き始め最初は無言で、そして徐々にヒソヒソと、更にザワザワと3人の様子に注目していきました。
(なに?三角関係のもつれ?)
(おいおい、なんであんな男に女2人も?)
(あんな男を奪い合うなんてレベル低!)
(いや、それ完全に違うだろ!あの男が借金でもしてるんじゃないか)
(あ~、それ言えてる。働かずに身を亡ぼすタイプだわ、あれ)
周囲がザワついてきた事にいち早く気付いたヒッキーは動き出す気配のない2人を見て自分でお盆の上に手を伸ばしサンドウィッチとコーヒーを取って自分の前に置くと一人モグモグと食事を始めました。しかしサンドウィッチを頬張ってもコーヒーを飲んでも全く味を感じません。得体の知れないプレッシャーを受けながらの食事は食事ではなく、ただの栄養補給に過ぎませんでした。
(せっかく気分転換で外に飯を食いに生きたのに。なんだよ、この有様?)
そんな事を考えながらの食事は当然食べるペースが遅くなりモグモグというよりモソモソと言った感じで表情を暗くしながらの栄養補給になってしまっていました。すると、その様子に気付いた雪乃と結衣が
「この店のサンドウィッチとコーヒーはあなたの口に合わない様ね。ヒキ鍛冶屋君」
「そ、そんな事ないよ!ヒッキーは最低でも週に一回はうちのサンドウィッチとコーヒーを注文してるんだから。それに他のお客さんにだって人気があるメニューなんだよ」
「けど、今の様子はあまり美味しそう食べてる様には見えないわね」
「ちょっと、ヒッキー。うちの店の評判にかかわるから、もっと美味しそうに食べてよ」
「美味しくない物を美味しく食べるなんて不可能ではないかしら由比ヶ浜さん」
「そんな事ないよ。ヒッキーなら出来るもん」
「ヒキ鍛冶屋君、変った男だと思ってはいたけど、あなた不思議な特技を持っているのね」
結衣と雪乃のいぶかしむ様な視線にヒッキーは
「お前らが店の空気を悪くしてるんだよ。そのせいでサンドウィッチもコーヒーも全く味がしねえんだよ」
「なにヒッキー、私たちが悪いって言うの!?」
「なんて浅はかな事を言い出すのかしら。腐っているのは目だけではなかったのね」
「そもそも今こうなっているのはヒッキーが注文の剣をさっさと仕上げないからでしょ」
「そうよ、あなたが私の注文の剣をさっさと完成させていればこんな事態は防げたはずだわ」
「いや、ソレとコレとは・・・」
「「同じだよ!」事よ!」
「ヒッキー、これからこの人をこの店に連れて来るの禁止ね。来るならヒッキー1人で来て」
「ヒキ鍛冶屋君、これからは私の注文した剣が完成するまではこの店への出入りを禁止よ」
「なんで雪ノ下さんがヒッキーのこの店への出入りを禁止させるの?そんな権利ないでしょ」
「あなたが私の出入りを禁止したからでしょ。なにを本末転倒な事を言っているのかしら」
「そんな事は言ってません。お客として来てくれる人は誰だって歓迎しますけど、ヒッキーが雪ノ下さんを連れて来るのを禁止しただけです」
「あなたにヒキ鍛冶屋君の行動を制限する権利があるのかしら?そんなものは無い筈よ、ある訳がないわ。勝手な事を言わないで頂戴」
「それはそっちだって同じでしょ。ヒッキーがこの店に来るなんてヒッキーが決める事で雪ノ下さんが決める事じゃないじゃん」
「私は注文主としてこれ以上注文が遅れるのが嫌なのよ。私がこれまでどれ程の時間とお金を彼に費やしていると思っているの」
「私だってヒッキーの為に食事を差し入れしたりして雪ノ下さんには想像も出来ない位、時間とお金と手間を費やしてるよ」
「時間とお金と手間?確かに時間と手間は私には解らないわね。しかしお金は解るわよ由比ヶ浜さん。その金額を言ってごらんなさい」
「そ・それは・・・」
「私達が彼の為に使った時間と手間は確かにお互い理解する事が出来ないわ。しかし、お金は別よ。はっきりと数字に出来るモノなのだから言ってみなさい」
「・・・」(そんな・・・お金の話をされたらカフェの娘が貴族の娘に勝てる訳ないじゃん)
「確かに、雪ノ下の方が俺に金を落としてくれてるよな」
結衣が雪乃の言葉に応じられずに作った沈黙の間を縫ってヒッキーが言葉を一つ漏らすと雪乃を見て
「しかし、結衣は俺に俺の仕事にダメ出しした事は無いんだぜ」
「そ、それは・・・」
「ヒッキー」
ヒッキーの言葉に雪乃は戸惑い、結衣は顔をほころばせました。しかしヒッキーの言葉は結衣に向かって続けられます。
「雪ノ下のダメ出しはかなりキツかったから正直、鍛冶屋として自信を無くしかけてたんだがダメ出しされた剣が城の兵士に高く評価して貰えて、それなりに店の為になってるんだ」
「そうなの?」
「ヒキ鍛冶屋君」
「要するに形や方法は違うが俺にとってプライスレスな貢献をしてくれてるって事だ。どっちが凄い、どっちが勝ってるなんて思ってねえぞ」
「・・・どっちも凄くないのね」
「・・・どっちも勝ってないんだ」
「それと結衣、俺はここに雪ノ下を連れて来た覚えはないぞ。俺が来た後にこいつが入って来ただけだろ。だから店の出入りを禁止するとか言い出すのはやめてくれ。それと雪ノ下も俺がここで飯を食うのは気分転換の意味もあるが小町が店番で忙しくて昼飯を作ってる暇が無い時に利用してるんだからこの店に出入りしなかったら昼飯が食えなくなっちまうだろ」
「「・・・」」
そう言うとヒッキーは残りのサンドウィッチを一気に口に頬張り冷めたコーヒーで一気に喉の奥に流し込んでから店を出て行ってしまいました。残された2人は
「・・・紅茶、冷めちゃったけど飲む?」
「・・・いただくわ。自業自得ですもの」
「なんか安心する気持ちと心配する気持ちが混ざり合って変な気分だよ」
「そうね。それにあの男に対して愛しい気持ちと憎らしい気持ちの両方が湧いてきているわ」
「言えてる・・・きっぱり決めてくれればいいのに」
「あの様子では当分無理でしょうね。これは長期戦になりそうだわ」
「負けないよ。何しろ私には心強い援軍がいるんだからさ」
「援軍・・・ああ、この前に来ていた2人ね。他の事ならともかく彼女達にこういう問題のサポートが出来るのかしら」
「それは分からないけど。力になってくれるって言ったもん。だから信じてるんだよ」
「そういう意味で言ったのではないのだけれど」
2人は再び無言で目を合わせました。一方リーフマウンテン王国との国境付近の街道脇では戸塚と沙希が馬を降りて今や遅しとお姫様の乗った馬車が通過するのを待っていました。
「姫様が無事に国境を越えられたら君は釈放だよ」
「礼は言わないからな」
「いいよ、僕としては隣国の警備隊員を処刑なんてしたくなかったしね。その手間がなくなった事を考えればこっちが礼を言いたいくらいだよ」
「これだから平民出身は甘いんだよね」
「これ位は軍の安全装置みたいなもんだと思うけどね。あ!来た」
ガラガラガラ
2人の前を通り抜ける豪華な馬車に対して戸塚は膝をついて頭を下げ、沙希は軽い会釈をしました。
「じゃあ、これで君は無罪放免だ。まあ、これに懲りずに今度は観光でこの国に来てよ」
「ゴメンだね。私は王宮の警備で忙しい・・・あ!そうだ。一つだけ教えて欲しいんだけど」
「なに?」
「アンタの剣、この国でならどこででも手に入るもんなの?」
「ううん、僕の知る限りではこれ程の剣は城下町のとある鍛冶屋でしか手に入らないよ」
「随分持って回った言い方をするね」
「あの鍛冶屋さんにはこれからこの国の兵士の為に沢山剣を作って貰わないといけないからね。申し訳ないけど他国の警備隊員に回してあげる余裕は無いんだよ」
「・・・まあ、あれ程の剣だしね。それも当然か。じゃあ帰らせてもらうよ」
「うん、じゃあね」
そう言って沙希は馬に跨り、戸塚に見張られながら国境を越えていき丸一日を掛けてリーフマウンテン王国の王宮に辿り着きました。すると沙希が無事に戻った知らせを聞いた警備隊長が沙希を引き連れ王宮の奥へと入っていき王子様への謁見を求めました。
「王子。調査に出ていた沙希が無事に戻りました」
「本当か!?無事ならそれでいい。それで彼女は?」
「はい、ここに連れて来ております」
「おお、沙希。よく無事に戻ったな」
「王子、恥ずかしながら戻って参りました。調査の失敗については申し開きも出来ません。どの様な処分も受ける覚悟でおります」
「そんな事は気にしなくていい。結果として会談は成功したのだからな。それより何故こんなに帰りが遅くなったんだ?」
「実は優美子姫の尾行調査をしている時に護衛の兵士に捉えられてしまいました」
「沙希の事を捕り押さえるとは大した腕前の奴だな」
「言い訳になりますが私を捕えた兵士と私の剣の腕前はそれ程の差はありませんでした。しかし持っている剣の性能が違い過ぎて簡単に捕まってしまいました」
「剣の性能だと?相手は大剣でも使っていたのか」
「いえ、それが・・・私が持っている剣よりも細い剣だったのですが物凄い切れ味で。ご覧ください、私の剣がこの有様です」
そう言って沙希は腰の鞘から戸塚に切られた剣を抜いて警備隊長と王子に見せました。
「こ、これは!?」
「沙希、これは折られたのではないな」
「はい、その通りです。折られたのではなく切断されたのです」
「剣を切断する程の切れ味だというのか?」
「そればかりではありません。先程も言ったように相手の剣は私の剣よりも細く、更に私の剣を切断した後に私に動かない様にと剣を突き付けてきましたが、その時に刀身を見ても刃こぼれをした様子はありませんでした」
「細くて強靭で切れ味抜群、物凄い剣だな」
「はい、余りの性能に負けた悔しさより剣の出所の方が気になった程です」
(う~ん、尾行中に捕まったという事は優美子姫自身で城の外に出ているという事が嘘ではないという事だ。更に彼女の国には優秀な鍛冶屋がいる事も嘘ではない様だな)
「沙希、戻ったばかりで悪いが、もう一度隣国に調査に行ってくれ」
「え、またですか?隣国の姫君と二度目の会談でもあるのでしょうか?」
「いや、今度は優美子姫の調査ではなく沙希が見たという剣の出所を探ってくるんだ」
「あの剣の出所ですか。相手の兵士の話によると城下町のとある鍛冶屋らしいのですが」
「では、沙希はもう一度隣国に行きその剣の調査、出来れば入手をしてくる様に。鍛冶屋で売っている可能性もあるのだからそのための予算も用意させる。一度家に帰り家族に無事を知らせてから支度を整え直して王宮まで来て金を受け取り次第、隣国に向かえ」
「かしこまりました」
その頃、お城ではお姫様が両親である国王様とお妃様に彼女の初めての外交について全て報告すると国王様が
「うむ、確かに優美子の言う通り金銭的には最高の結果であるが、なかなか難しい課題を出されてしまったな」
「うん、先に帰らせた騎士からも聞いてると思うけど、二週間ちょっとで鍬千本ってかなり難しいっしょ」
「連絡を聞いて早速国中に命を出したのだが国の隅々まで通知が行き渡るにはあと一日はかかる。しかし城下町などの近隣の鍛冶屋からは既に二百ほどの鍬が集まっているそうだぞ」
「え、もうそんなに」
「元々、鍛冶屋が持っていた在庫の鍬が集まって来たのだろう。しかしこれからが本当の意味で我が国の工業力が試される機会となるはずだ」
「そうだよね。それに既に集まった鍬が不良品じゃ困るからチェックしないとダメだし」
「ほう、そこまで考えていたか。それは感心だな」
「当たり前っしょ。一本たりと不良品なんて渡したりしないんだから」
「その意気だ。これについては優美子、お前が陣頭指揮を摂りなさい。ここまでやったのだ、最後まで自分でやってみろ」
「モチロンそのつもりだし」
「優美子」
「なに?お母様」
「外交実績としての会談についてはよくわかりましたけど、実績はそれだけだったの?」
「え、どういう事?」
「あなたが自ら外国まで行って同世代の異性に会ったのですよ。何も感じなかったのですか」
「何もって・・・」
国王様との話がお妃様から話し掛けられた事で全く違う話題になってしまいました。国王様もその話題には興味があった様でお妃様の質問にお姫様がどう答えるかを興味津々で待ってました。国王様とお妃様に今までにない程に熱い視線を送られながらお姫様は隼人王子の事を思い浮かべました。
「・・・」巻き髪→§§(///≧◇≦///)§§←巻き髪
「ほお♪」
「まあ♪先方はあなたに興味を持ってくれたのかしら」
「そ、そんなの分かんないし」/////
「別れ際とかに何か言われなかった?」
「え、え~と・・・そう言えばあーしに見合い相手以上に腹を割って話す事が出来るって」
「ふむ、それは中々、興味深い発言だな」
「そうね。しかし今一つの手応えといった所かしら」
「ちょっと、お母様。手応えって」/////
「手応えは手応えよ。この次会うのは約二週間後ね。その時にもう少し進展するといいわね」
「二週間後・・・進展・・・」///////
「優美子、あなたの気持ちを大切にしなさい。私も国王陛下もあなたに強制はしません。その部分は一人の人間として考えなさい」
「その通りだ優美子。お前に特に希望が無ければ私は国策優先でお前の縁談を選ぶ事になる。しかし、お前自身に何かしらの考えや希望があるならば・・・考えないでもない」
「あなた!ここはキッパリ考えると言って下さい」
「う!そ、それは・・・」
「国策優先の発言ではありましたけど、なにやら娘可愛さで優美子を手放したくないだけの様に伺えましたが・・・」
「と、とにかく優美子、リーフマウンテン王国へ鍬千本を贈呈する事と合わせてよく考えて行動する様に」
ジト目のお妃様と慌てた様子の国王様を目の前にお姫様は頬の赤みを抑えられないままペコリと一度頭を下げて、両手で頬を抑えながら謁見の間を出て行きました。すると謁見の間の外で待っていた大臣がお姫様の顔を見て
「姫様、如何なされました?お顔が赤い様ですが、長旅の疲れが出たのでは」
「そんな事ないし。超大丈夫」
「左様ですか。それならば宜しいのですが」
「それで鍬はどれくらい集まっているの?」
「現在の所、二百十七本集まっております」
「不良品は混ざってない?」
「そ、それは・・・」
「至急確認して。集まったと思ってたら不良品が混ざってました!じゃシャレになんないし」
「かしこましました。して姫様はこれからどうされますか?」
「身分を隠さずに護衛をつけて近隣以外の国中の鍛冶屋を回るから。この国の姫として発破かけまくってくるし」
「それならば丁度良いです。姫様にはこれから城からの外出するにあたり専用の護衛を一名付けさせていただきます」
「え!護衛をつけるって」
「城外への外出が城内での公然の秘密から城内の事実となった今、姫様をお一人で外出させる訳には参りません。それ故、一名だけ護衛を付けさせていただきます」
「え~、今までは何も言わなかったジャン。それに護衛なんてついてきたら城下であーしが国王の娘だってバレちゃうし」
「それにつきましては護衛の者にも平民の服を着せ一定の距離から見守る形での護衛とさせていただきますので問題ございません」
「・・・それ、もう決定なの?」
「はい、決定でございます」
「じゃあ、しょうがないか~。で、どんな奴なのその護衛って」
「はい姫様を護衛するにあたり新たに兵士を雇い入れ、その者に護衛の任に当たらせます」
「雇ったばかりの新兵なの?それって大丈夫」
「ご安心を。既に姫様を助けた実績のある者でございます故、姫様も安心出来るかと。この先に待たせておりますのでご覧ください」
お姫様は自分を助けた事がある人間と言われ不思議がりながら大臣の後ろをついて行くとその先には材木座が膝をついて頭を下げていました。
「姫様、この者が今日から護衛を務めるチューニと申すものでございます」
「チューニ!チューニってひょっとして」
大臣の紹介とお姫様の声に反応する様にチューニこと材木座が膝をついたまま顔を上げると
「姫様、思い出の森以来でございます」
「やっぱ、チューニじゃん、へ~、アンタがあーしの護衛をしてくれるんだ」
「はい、あの後、城から人が来て私が助けたのが姫様である事を知らされ、その褒賞として短剣を賜り、こうして城の兵士として雇っていただきました。本日より命をかけての護衛を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします」
「あはは。じい、良い護衛を見つけてくれたね。チューニなら超安心だよ」
「気に入っていただいて幸いでございます。ではチューニよ、これから姫様は至急、国中の鍛冶屋を回る事となったので他の兵士と共に姫様の護衛にあたれ」
「ははっ!かしこまりました」
「姫様は至急旅の支度を。国中を回るとなれば軽く三日は掛かりますので、そのおつもりで」
「ねえ、姫菜も連れて行っていいかな?」
「姫菜でございますか・・・宜しいでしょう。では姫菜にも至急旅の支度をする様に命じておきますので準備にお掛かり下さい」
お姫様は大臣と材木座を置き去りにして、その場を歩き去りました。残された2人は
「大臣、我はこれからずっとチューニという名を名乗らなければならないのでしょうか?」
「しかたあるまい。お前が姫様にチューニと名乗ってしまったのだから已むを得んだろう」
「とほほほ・・・まさかあの時とっさに思い付いた名が我の名前になってしまうとは」
「とにかく、材木座、いやチューニよ。これから国内行脚、姫様の事を頼んだぞ」
「はい、姫菜も同行してくれるのですから比較的ワガママは少なく済むと思われますのでご安心を」
「うむ、これは姫様の初めての政策指揮じゃ。何としても成功させるぞ。姫様が国内行脚をされている間にワシは戸塚に命じて近隣の鍛冶屋に鍬の督促をさせるから、何としても期限までに鍬千本をリーフマウンテン王国の王宮に届けるのだ」
「いっそ姫様の国内行脚で出会った農民から鍬を没収してまいりましょうか」
「それはならん。隣国の王宮に送る鍬が使い古しでは国の、陛下の、姫様のメンツにかかわるからな。それに姫様自身がその様な徴発の場にいたら姫様の国内での評判に傷がついてしまうし、なにより姫様がその様な行為を望まれるはずもない」
そうしてお姫様、チューニ、戸塚、姫菜、更には隣国のリーフマウンテン王国の警備隊員の沙希までもが鍛冶屋へと出掛けて行きました。
― 続く ―