聖櫃に抱かれた子どもたち   作:佐伯寿和2

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悪夢たちは彼の後ろ髪を引く その五

青髪の女に(みちび)かれ、大きな扉を(くぐ)るとそこは講堂らしきだだっ広い部屋だった。

天井には天使の輪のように燦々(さんさん)と光りを()(そそ)ぐシャンデリアが()るされ、30人は(ゆう)に座れる(なが)テーブルには(おごそ)かに進む葬送(そうそう)の参列者のような無数の燭台(しょくだい)が並んでいた。

「待ち()びたぜ、クソ野郎。」

その一番奥、屋敷の主人であるべき席にあの男は座っていた。

「まあ、座れよ。」

窓はない。出口は背後にある大扉一つ。

言われるままに扉に近い椅子(いす)の一つに座ると、男は前振りもなく自分の調子で話を始めた。

「……人生ってのは不思議だよな。あんなヘドロみてえな薬や化け物みてえな機械に囲まれた地獄で息をしてたかと思いきや。こうやってテメエと(はな)やかな貴族様ゴッコが楽しめるんだからよ。」

男の()()ちは先日と何も変わらない。雨風でグズグズになったトレンチとハンチング。カビの()えた白いシャツと濃紺(のうこん)のパンツ。少なくとも、その席に相応(ふさわ)しい恰好(かっこう)ではない。

そして、昨夜は月明かりがなく気付けなかったが、奴の全身に満遍(まんべん)なくついている黒い斑点(はんてん)は、「返り血」だ。

その斑点を染めたであろう右手首から生えるもう一本の腕は、「返り血」以上に血糊(ちのり)を吸っているはずなのに(さび)刃毀(はこぼ)れは一切ない。奴の狂気を代弁(だいべん)するかのように、シャンデリアと燭台の(まぶ)しいまでの光を浴びてなお、(にぶ)(あや)しい光りを放っている。

 

 

御託(ごたく)はいいんだよ。サッサと用件を言いやがれ。」

「そう(あせ)んなよ。5年だぜ?5年越しの再会なんだ。思い出話の一つや二つ、どんなに意地の悪い神様でも大目に見てくれるだろ?それに、テメエだって、積もる話くらいあるんじゃねえか?」

話を長引かせてはいけない気がした。男のペースに合わせてしまえば、生きて帰れない気がした。

「んなモンねえよ。第一、テメエと気の合うヤツなんざゾンビかルンペンぐらいだろうぜ。」

「……エルクよぉ、『類は友を呼ぶ』ってえ言葉、知ってるか?」

不意に名前を呼ばれ、ドキリとさせられる。この男の口から見え隠れする「あの名前」が、俺を(たま)らなく不安にさせるのだ。

ホームレスは俺の異変に気づいたらしく、不敵(ふてき)な笑みを浮かべる。

「おいおい、ヤセ我慢(がまん)すんなよ。5年も俺たちのことを(さぐ)っておいて『興味がない』わけないだろ。」

相も変わらず男の声にはビニールを(こす)()わせたかのような(ひど)いノイズが混じっていている。肩を動かせばその拍子(ひょうし)にもう一本の『腕』がガリガリと床を(けず)る。

その上、男が執拗(しつよう)に口にする「5年」という言葉(フレーズ)

そのどれもが不快だった。

「……今さらなんだってんだよ。」

 

5年間。シュウに拾われてからの俺は必死になって『コイツら』を探し、()()びてきた。それなのにコイツらは、遮二無二(しゃにむに)叫ぶ俺の声に一度だって返事をしたことなんかなかった。シュウやビビガの教育を受け、一人歩きを覚えた俺は世界を()り歩いた。

見知らぬ土地、見知らぬ人間をしらみつぶしに訪ねて回った。

その(かん)も『コイツら』は毎晩のように俺を呪ってきやがる。ヒントの一つも寄越(よこ)さないくせに。俺は俺で『炎』の(あつか)いばかりが上手(うま)くなっていく。その『炎』だけが(かろ)うじて現実と『悪夢』を(つな)ぎとめていた。

けれど『炎』もまた、答えだけは俺に打ち明けることはなかった。

いつしか俺は、仕事と金だけが話し相手になっていた。

……(なか)ば、俺は(あき)めていたんだ。

口では「助ける」なんて威勢(いせい)のいいことを言ってるけど、分かってるんだ。置き去りにしたあの子がもう無事でないことくらい。「5年」を経験して、俺は(さと)ったんだ。

もう……、手遅れだってことくらい。それなのに――――、

 

不快なノイズが俺の問い掛けにいたく反応した。口元を(ゆが)め、男の本性(ほんしょう)を思う存分(ぞんぶん)振り回し始めた。

「俺はただ、薄情(はくじょう)なテメエにミリルの痛みを教えてやろうって言ってんだ。」

……ミリル?

その名前には覚えがある。……どこかで会った気がする。

……だとすれば、それがあの子の名前なんだ。

「……だがまあ、今すぐにって訳じゃあねえ。物語ってのは流れが肝心(かんじん)だからな。王子(プリンス)お姫さま(プリンセス)を助けるにも理由くらいは必要だろ?」

 

ところが、さあこれからホームレスが揚々(ようよう)と語ろうという時、物語に無関係な女が無遠慮(ぶえんりょ)に割り込んできた。

「いい加減にしな。こっちはクソガキどもの不幸自慢(じまん)なんか聞きたかないんだよ。クソはクソ同士、さっさと(つぶ)()っておっ()んじまいな。」

青髪(あおかみ)の女は燭台でタバコに火を()け、腹立たしげに俺たちを(にら)んでいた。

 

女の野次(やじ)が講堂に独善的に(ひび)くと、ホームレスはゆっくりと女を睨み返した。

「……余程(よほど)、弟の命がいらねえらしいな。なんなら明日にでも、俺がズタズタにしてきてやったっていいんだぜ?」

俺はてっきりホームレスの立場の方が上なんだと思っていた。

いいや、『力』関係で言えば間違いなくホームレスの方が上だ。それなのに、女はここでも自分本位な姿勢を崩そうとしない。

「ハッ、(した)()のアンタにそんな勝手な真似(まね)ができるもんかい。それに、『アンタはここで死ぬ』んだ。そんなクソに明日、何ができるって言うんだい?」

「……俺がここで死ぬ?」

女の「断言」が脳裏(のうり)(よぎ)ったホームレスは、完全にその「優位」を女に明け渡した。

その「高み」から見下ろす女は、小汚ない男を容赦(ようしゃ)なく嘲笑(あざわら)う。

「なんだい、まさか勝つ気でいたのかい?ここにはアンタの味方なんか誰一人としていないんだよ?そんな中で、アンタごときの『力』で、この二人に勝てるとでも思ったのかい?」

女の言葉は少なからず俺を驚かせた。

「アタシらはもともと、そういうシナリオで動いてるのさ。」

黒服たちは始めからこの男を捨て駒にする気でいたのだ。

 

こっちもそれなりの(そな)えはしている。当然、勝つつもりでもいた。

それでも、少なくとも俺は男の素性(すじょう)も『力』の正体も分かっていない。そんな中で、「確実に勝つ」なんて言い切ることはできなかった。

それなのにこの女は、黒服たちは、俺たちの勝利を疑わない。

捨て駒にするほどの雑魚(ざこ)とも思えない。……それとも、奴らにとってこれが雑魚のレベルなのか?

……そうでないなら、俺たちには結末の()るがない「保険」が掛けられているのかもしれない。

 

初めから疑ってはいた。

この大袈裟(おおげさ)な人払いが何のための細工(さいく)なのか。考えれば答えは(しぼ)られていた。けれど、ここに来るまでに目を走らせてはいたものの、それらしいものを見つけることはできなかった。それに、リーザやパンディットも何も言ってこない。だから俺の考え過ぎなのかもしれないと思ったんだ。

だが、女の発言で再びその存在を疑い始めると、(きら)びやかな家具や観葉植物、そしてこの広い空間そのものが万能なカモフラージュに化け、俺の理性を誘惑(ゆうわく)する。どこもかしこも(あや)しく見えてしまう。

実際、それらが作る物の(かげ)や光の明暗(めいあん)、色、臭いでできた死角は10や20を下らない。この状況下でその全てを判別(はんべつ)するだけの目は俺にはない。

それに、口では俺たちを擁護(ようご)するようなことを言ってるが、それを100%信じていいわけがない。それこそが「罠」だって可能性もあるんだ。

マヌケな結末を()けるために改めて周囲に目を走らせていると、またも女の嘲笑(ちょうしょう)が部屋に響く。

「おいおい、そんなに必死になって何を探してるんだい?ここにオマエたちを守ってくれる(オモチャ)の一つでも仕掛けられてるとでも思ったのかい?あるワケないだろ?そんなモノ。」

……その言葉のどこまでを信じて、どこからを疑うべきなんだろうか。

仮に、それが嘘でないとしたら、残されたシナリオは「人質」か「伏兵(ふくへい)」の二択(にたく)でしかないように思えてくる。

 

生き延びるためにアレコレと疑っていると、リーザが俺の(そで)を引っ張り「誰か来た」と決定的な一言を口にした。

俺たちの()()りを知ってか知らずか。女はホームレスに向き直り、さらに自分の意見を主張し始める。

「アタシの本当の仕事はね、そこの二人を『あの家』に連れていくことなんだよ。お前はその切っ掛け。ただの脇役(わきやく)でしかないんだ。」

女の言う「家」ってのはおそらく俺の『悪夢』の元凶(げんきょう)になった場所のことだ。そして、この殺人鬼(ホームレス)が生まれた場所。

「……そうか。どうりで……、色々と気前よくセッティングしてくれると思ったぜ。……だが、感謝はしてるぜ。何にしても俺にとってチャンスであることには変わりねえんだからな。」

ホームレスは完全に女の言葉を受け入れていた。受け入れた上でこの局面(きょくめん)を存分に楽しむつもりだ。

それでもこの女は、死の(ふち)にまで追いやられた(あわ)れな男を(なぶ)ることを止めない。

「だから、さっきから言ってるだろ?そんなことはどうでもいいってさ。『アンタらの顔は我慢ならない』、『早く殺し合え』ってさ。」

……コイツら、本当に仲間なのか?そう思わせるくらい、女の言葉は()(ふた)もない。それに――――、

「待てよ。なんでいちいちコイツをぶつけてくる必要があんだよ。そっちが教えてくれるってんなら、こんな茶番はこっちから願い下げだぜ。」

それにこの女さっきから、ホームレスの話しよりも俺に(それ)()()()()()としているように見えるのは俺の気のせいか?

もしもそうなんだとしたら、その話の「内容」こそが奴らの考えたクソみたいな台本(シナリオ)(きも)なんじゃねえのか?

俺に、()()()()()()()()()を聞かせることが。

「本当に、いちいちウルサイ奴だね。自分たちで始められないってんなら、アタシがリードしてやるよ。優しくな。」

女が(おもむろ)に銃を抜いたまさにその時、闇夜に()える低く赤黒(あかぐろ)い声が講堂に響いた。

「感動の再会に水を差すのはお前の役目ではないはずだがね。」

講堂の大扉(おおとびら)が開き、お馴染(なじ)みとも言える黒づくめたちが姿を現したのだ。

 

先頭に立つ男には片腕がない。加えて、この(おぞ)ましい声と目の色。同じような背格好(せかっこう)の男たちの中でも、その男だけは見間違えようがない。

俺のことを「兄弟」などと呼ぶ十指(じっし)が、手袋の上からでも見える気がした。

「見ててイライラするんだよ。B級映画じゃあるまいし。クソガキどもの『お涙頂戴(ちょうだい)』なんて誰が見たいってんだい。」

相手はマフィアだ。たかが歌姫(シンガー)一人が何を(わめ)いたところで奴らの()()()()が変わる訳もない。そうとは知りつつも、女はなおも食い下がった。

片腕の男は求められる寸劇(すんげき)を受け入れ、持ち前の圧倒的優位を(もっ)て女を優しく(さと)す。

「ジーンも言っているだろう。物事には流れが肝要(かんよう)だと。」

「こんなの、いちいち回りくどいだけじゃないか。『力』が欲しけりゃ…、アンタらならもっとスマートなやり方なんていくらでもあるだろ?」

(ゆず)る様子のない女を見ると、男は()(ちが)えようのない(ひと)(ごと)(つぶや)いた。

「……『そうして、美しい歌姫は最愛の家族を失うのでした。』」

そのたった一言が、俺やホームレスの『力』を前にしても(ひる)むことのなかった、余裕(よゆう)で満ちた女の顔を(たちまち)蒼白(そうはく)とさせた。初めてその横暴(おうぼう)な口を()まらせた。

「止め……てよ。こんなの冗談(じょうだん)に決まってるだろ?」

女は知っていた。この男が冗談のように人を殺す人間だということを。

 

片腕の男は悠然(ゆうぜん)と女に近寄り、その耳元で、しかし殊更(ことさら)響く声で、女の心臓に爪を立てる。

「私は、シナリオも大事だが、ラストシーンこそが物語を(もっと)(かがや)かせると思うのだよ。」

そして、それが男にとってお決まりの脅迫(ドラマ)だとでも言うように、女の腕を(つか)み、自分の(ひたい)(それ)を押し付ける。

「シャンテ、お前には誰も真似のできないヒロインを演じさせてやろう。」

……まるで同じ光景だ。血と汗で咽返(むせかえ)るあの熱帯夜(ねったいや)と。

「見ず知らずの少年たちの思い出を護るか。愛する家族の命を護るか。好きな方を選べ。」

(よみがえ)る光景が、俺に男の印象をより深く深く穿(うが)つ。「弱者の中で揺れ動く反逆の好機」を見てほくそ笑む男の悪趣味(あくしゅみ)が。

「さあ、お前は今、この世で最も美しい主役(プリマ)だ。」

(おく)する女を尻目(しりめ)に、男もまた(ふところ)の銃をユックリと女のこめかみに突き付ける。

「私のために、(おど)ってみせろ。」

女は(はげ)しく葛藤(かっとう)していた。

俺にはその理由が俺には分からなかった。

今、この女にとって()()えのない弟と(はかり)に掛けられているのは俺とホームレスの過去……なんだよな?

……何かがこの女を()()てているんだ。俺が『炎』を前に自分を見失ってしまうように。『弟』ではなく、他の『何か』に。

 

しかし当然ながら、この女が自分の本当の目的を見失うことはなかった。

「悪かったよ。……アタシもなんでそんなにムキになってたのか。好きにしなよ。」

手を上げ、ゴトリと自分の銃を手放すと――――、

「シャンテさん、危ないっ!!」

 

バンッッ

 

彼女の警告も(むな)しく、響く炸裂音(さくれつおん)(ねら)(たが)わず女の頭を撃ち抜いた。

音もなく崩れ落ちる青髪の歌姫。

 

打ち抜いた鉛玉が講堂の空気を()()み、誰一人として口を開く者はいない。もちろん、たった今永遠の眠りに()いた歌姫も。

その空気を(たの)しむように黒服は耳を()ませ、(まん)()して台詞(セリフ)を読み上げる。

「不合格だよ。歌姫。」

男は、横たわる歌姫に献花(けんか)のごとく鉄の凶器を(ささ)げた。

 

誰よりも生き残ることを信じて疑わなかった女が今、たった一人の悪ふざけに呆気(あっけ)なく殺されてしまった。

虫けらのように。

「……お前ら、いったい何がしたいんだよ。」

ソイツは、俺にとってもいけ好かない女だった。だが、目の前で頭を打ち抜かれ、それで気分が晴れるなんてことにはならなかった。それどころか……。

「話の腰を折ってすまないね。どうやらシャンテは君たちの歪んでいく友情を見ていられなかったらしい。」

「……友情?」

どうやら今度は俺たちが「(なぐさ)(もの)」に映っているらしい。男は芝居(しばい)特有の回りくどい言い回しをし始めた。だが、そんな男の悪趣味に飽きたのか。

館の主人であるホームレスが黒服の寸劇に水を差した。

「いい加減にしろよ。それは俺の役目なんじゃねえのかよ?どいつもこいつも、人が気持ちよく話してる横から茶々ばかり入れやがって。」

「……これは失礼。」

すると、黒服たちはホームレスの言われるまま、横たわるシャンテを(かつ)ぎ、扉まで下がった。

「……とは言ってみたものの、なんだかだいぶシラケちまったな。」

ホームレスは豪奢(ごうしゃ)な椅子に座り直し、()(いき)()いた。

関係(かんけぇ)ねえな。要はテメエをブッ殺せばいいんだろ?だったらさっさと始めろよ。こっちはそのつもりで来てんだからよ。」

いつの間にか、俺はホームレスの目に恐怖を感じなくなっていた。代わりに込み上げてくるものが俺の目を埋め尽くしていくのが分かった。

「クハハハッ、なに苛立(いらだ)ってんだよ。まさか、あの女とデキてたってワケじゃねえんだろ?」

男のノイズが、俺の胸をさらに逆撫(さかな)でる。

「……ただただムナクソ悪ぃんだよ。テメエらと同じ空気を吸ってると思うとな。」

 

バキンッ

 

突然、卓上の燭台が数本、真っ二つに()()かれた。

ホームレスの『右腕』は一瞬たりとも動いていない。

つまり、俺の『炎』と同じくコイツの『真っ二つ』は能力者本人に直接働きかけるような『力』じゃねえってことだ。

それでも正体はまだハッキリとしちゃいない。その威力も。

もしかすると、そう見せかけているだけのハッタリで、俺の警戒心を(あお)っているのかもしれない。でも……、それももう関係ぇねえ。

不思議と、負ける気がしなかった。ここでこの男を殺してしまっても、後悔(こうかい)しない気がした。

彼女に袖を引かれればこの気持ちは(くじ)くかもしれない。でも今はただ、この場にいる殺人鬼どもを皆殺しにしないことには、俺の気がすまない。俺にはその『力』がある。

そう思えた。

 

俺の安い挑発(ちょうはつ)に掛かったホームレスは、幽鬼(ゆうき)のごとく立ち上がる。その殺気は露骨(ろこつ)で、鋭い。

「……エルク、知ってたか?なにも、記憶を()くしたのはテメエだけじゃねえ。俺やミリルだって身体(からだ)改造(いじく)られた直後は何にも(おぼ)えちゃいなかった。そういう薬を打たれるのさ。でもよ、俺もミリルもお前の名前を聞いた瞬間に沢山のことを思い出したぜ。……お前といた砂場やブランコ。思い出した瞬間、思わず声を上げて泣いちまったぜ。」

殺気を帯びたままの『物語』は不気味に俺の心に(すべ)()んでくる。

思い出せない。でも、知っている。

「……笑える話だよな。テメエは俺たちのことを何とも思っちゃいねえってのによ。」

思い出せない。でも、知っている。

 

俺も、ジーンも、『物語』を(かて)に生きて、『物語』を(かか)えたまま、死んでいくしかない。

……そういう『運命』なんだ。




※長テーブル
名称が合ってるかどうか疑問ですが、昔の西洋貴族の屋敷や王室などで見かける長方形の長ーい食卓のことです。

※葬送(そうそう)
ご遺体をお墓まで運ぶ儀式のこと。関係者が付き従い、行列になることを葬列と言います。

※御託(ごたく)
手前勝手なことを、もったいつけて言うこと。偉そうに語ること。また、その言葉。

※ルンペン
浮浪者、乞食、失業者。つまり、ホームレスのこと。
「布切れ」や「ボロ服」を意味する『Lumpen』というドイツ語が由来。

※遮二無二(しゃにむに)
他のことを考えず、一心にすること。無闇やたらに。がむしゃらに。デタラメに。

※揚々(ようよう)
得意げで威勢のよい様子。Sネ夫の自慢話にジャイAンの暴力を足した感じ。

※プリマ
バレエにおいてはプリマ・バレリーナ(prima ballerina)というバレエ団におけるダンサーの最高位。
オペラにおいてはプリマ・ドンナ(prima donna)という主役の女性歌手を意味します。

※ジーンの右腕
ゲームでは登場の際に、必要に応じて刃物が生えるというような演出していましたが(X○ンのウ○ヴァリンみたいな)、本作では出し入れはできないことにしようと思います。
でも、強化骨格(やっぱチタン?)くらいはあることにしないと刃物振り回した時に骨がイッちゃうかも。
さらに、彼の体格に対し刃物が大きすぎたため、体勢がどうしても刃物の方に持っていかれ、常に先端を引き摺る形になってしまいます。そのため、刃の先端は削れてしまっています。

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