その男、八幡につき。   作:Ciels

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導入部です。
気まぐれと変なテンションで書いているので、続くか未定です。



その男、ぼっちにつき。

 

 

 

 

 青春とは嘘であり、悪である。

 

青春を謳歌せし者たちは常に自己と周囲を欺き自らを取り巻く環境を肯定的にとらえる。

 

彼らは青春の二文字の前ならば、どんな一般的な解釈も社会通念も捻じ曲げてみせる。

 

彼らにかかれば嘘も秘密も罪科も失敗さえも、人生(ソナタ)の中の青春(ソナチネ)でしかない。

 

仮に失敗することが青春の証であるのなら、貧乏くじばっかり引いている人間もまた青春のド真ん中でなければおかしいではないか。

 

しかし、彼らはそれを認めないだろう。

 

すべては彼らのご都合主義でしかない。結論を言おう。

 

青春を楽しむ馬鹿野郎ども――――――

 

 

 

 

いちいちうるせぇんだよこの野郎。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 比企谷 八幡という高校生がいる。

身長は平均的、外見も普通よりは少し良い程度。

勉強はできる方だ。得意の国語では自身が在籍する総武高において学年三位だし、理系を除けばそれなりに良い。

普通にしていれば、どこもおかしくない普通の高校生であることは理解していただけるだろう。

 

ではなぜこんな、ありふれた少年の事を紹介しなければならないのだろう。

彼には異世界へ旅立つような選ばれし素質もないし、特殊な能力……いわゆる超能力なんてものもない。

武器は己の肉体のみで、身の丈よりも長い剣など使う事など、もってのほかだ。

 

だが、そんな彼にも、一つ……とりあえず、今は一つ……不思議な事がある。

 

 

記憶。

 

 

人には記憶がある。

記憶とは通常、自身が生まれてから体験してきた記録であり、自分が自分であるための証明でもある。

だが、彼には身に覚えのない、自分以外の記憶が何個もあった。

 

 

一つは、どうしようもなく危なっかしい刑事の記憶。

容疑者をぶん殴ったり証拠を捏造したりしてまで逮捕する、おおよそ一般的な警察組織のイメージからかけ離れているようなヤツ。

こいつには妹がいて、妹が侮辱されると激怒してよく暴れていた。

 

最期は妹を攫って慰み物にした奴を殺し、その妹を助けようとしたが……

妹はすでに廃人と化していて、自分の手で殺してしまった。

コイツ自身も闇討ちされて終わり。なんともまぁ、救いようのない人間だった。

 

 

もう一つは、どっかのヤクザの組長。

沖縄に飛ばされ、本家に利用された挙句に破門。

仲間もほとんど死んでるのにこいつの心は最初から最後までほとんど変わらなかった。

最後?女に見られながら笑って自殺。ヤクザが疲れたらしい。

 

 

まだまだ終わらない。

次はまた刑事だ。簡単に言えば、妻の為ならなんでもする。

文字通り、殺しでも銀行強盗でも。

刑事って何だよ。いやまぁその頃には刑事辞めてたけど。

 

 

次の記憶は前の奴らほど難解な人間ではないが、かなり暴力的で、昔気質のヤクザ。

こいつも散々利用された挙句に破門、子分も死んだが豚箱に入って生き延びた。

生き延びたと思ったら刺された。

出所したらまた利用され、仇を取るも周りは敵だらけ。

 

 

碌でもない連中ばかりじゃないか。

では比企谷 八幡はどうだろうか。

先ほどの紹介ではスペック上でしか彼を測っていない。

 

ならば性格は?上の奇妙な人物と同じく、彼自身も碌でもないのだろうか。

 

否。

 

彼……めんどくせぇ。俺、比企谷 八幡はただの性悪根暗ぼっちだよ馬鹿野郎。

 

 

 

俺には自分が無い。

幼い頃からこんな記憶があった。

様々な記憶は溶け込むように勝手に束ねられ、その記憶の人格すらも一つに収束する。

 

だから、比企谷 八幡という人間は、存在しない。

 

 

我妻、村川、西、大友。

こいつらの記憶が、一つの人格となり、比企谷 八幡という人物を構成している。

元は複数の人格は、互いに干渉しすぎることもなく、平穏に一人の人間をこなしている。

 

しかしそれは、本当に人間と言えるのだろうか。

 

いつも考えていた。

考えて考えて、おかしくなった。

いや、どうでもよくなった。

 

考えてもどうしようもなかった。

 

だって、俺はこういう人間なんだからさ。

あーだこーだ考えるより、なんかやった方がいいじゃねぇか。

 

この作文にしたってそうだ。

俺なりに考え、実行し、本心を書いた。

そしたらなんだ、生活指導の先公が文句言ってきやがったんだよ。

 

 




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