〜男の話をしよう〜
その男は誰よりも優しかった。その男は誰かの為に自己を切り捨てられた。故に彼は孤独だった。しかし、彼の周りにはいつもポケモン達がいた。これはifの物語。ありえたかもしれない可能性の一欠片。さあ始めよう、誰よりも小さき相棒の味方であり続けた1人の男の物語を…
ーprologueー
「…お見事です。素晴らしい戦いだったわ。ポケモンが最大限力を発揮できる様に応援しつつ冷静な判断で見事勝利した…
その情熱と落ち着き、二つ併せ持つキミとポケモンならいつだって、何処でだって、どんな時でも乗り越えられる…戦っていてそう思ったの!
シンオウ地方の新しいチャンピオンの誕生ね!」
あーあ、負けちゃったか…久しぶりだったなぁ、あんなに心躍るバトルは。…そういえば最後に”彼”とバトルをしたのは何年前だったかしら?今でもつい最近のことの様に思えるから不思議なものね…後でサザナミにでも呼んでみようかしら。
…え?誰のことを話してるのかって?…別に話してあげてもいいのだけれど貴方、それを聞いたらバトルしに行くつもりでしょ?ぶっちゃけると彼、少し人間嫌いなフシがあるし何よりも不定期で放浪してたりするから私にも確実に何処に居るのかはわからないのよね…
それよりもホラ!貴方はまずやることがあるでしょう?まず殿堂入りの手続きをしなくちゃ!お話はそれからしてあげるわ。貴方と同じ、私と同じハードルにいるトレーナー、そして、私の…ハチマンのこと…
カントー地方、シロガネ山、カントーとジョウトの境にそびえる霊峰には一般人は愚か、並のトレーナーでさえ入山を許されていない。この山に入れるのはポケモンリーグが認めた実力の伴ったトレーナーのみである。最も、そんな猛者達でさえ、このシロガネ山への入山に踏み切ろうとするものは滅多にいない訳だが…そんな山の頂上に2人のトレーナーが向かい合っていた。1人は黒いズボンに黒いコート、頭頂部からは一本だけ毛が飛び跳ねており、何よりもその両眼は濁っていた。相対するトレーナーは赤い服、ズボンに赤い帽子、黄色のリュックを担いでいる。驚くことにこの両名、どちらもまだ成人仕切ってもない若者である。だが彼らの出すプレッシャーは一流の更に上をゆくものである。
「…………………………………」
「…………………………………」
どちらも何も喋らない。しかし彼らの眼には尋常ではない闘志が溢れていた。
どちらが先にボールを取り出したのか、そこは些細な問題であろう。今、ココにカントー最強とシンオウ最強が激突しようとしている!
これはシンオウ最強のトレーナーの生き様を綴った一大叙事詩である。