結果、恐ろしいほどの駄文になってしまった…!
「…誰?」
そう思った俺を非難する奴はおそらくいない…筈だ。そりゃそうだろ、見知らぬ人に話しかけられたなら警戒の一つか二つするもんだ。誰だってそーする、俺だってそーする。が、目の前の金髪のお嬢さん(私見)は返事が気に食わなかったのか頰を「むー」と膨らませている。アレだな、うちのオヤジのグレッグルみたいだ。
…こんな事本人の前では口が裂けても言えないけど。
「えーと…それ、本気で言ってる?」
「本気も何も、俺たち初対面じゃねーの?」
そう言うと急にソイツは顔を怒りからか真っ赤に染め上げた。…いやそんな理不尽な…
「ちょっと⁉︎私のこと知らないの⁉︎同じクラスの、しかも隣同士なのに⁉︎」
「…マジか…いやすまん。自慢じゃないが俺の頭の中には家族以外の名前がインプットされてないからな。」
「ホントに自慢じゃないよ…」
ハァ、といかにも『私、呆れてます』的な心情を隠す振りもなく溜息を吐く目の前の金髪女。いやいや溜息を吐きたいのはこっちだっつーの。昼飯どうするか考えなきゃならんのに…
「誰だか知らんが何の用だ。冷やかしに来たのなら今すぐ向こうに行け。」
シッシッとおそらくどの地方でも意味は共通であろうジェスチャーをやってみる。ぶっちゃけた話、そろそろ退散して欲しいのだ。いくら今いる場所が滅多に人の通らない所だと言ってもギャーギャー騒がれたりしたら流石に目立つ。そうなったらほぼ間違いなく俺の社会的評価がダダ下がりだ。やれ腐った目だの気持ち悪いだのゴキブロスだのと碌な扱いをされるはずがない。
…なのだが女はそれでも尚立ち去る様子を見せなかった。
「え⁉︎いや、その…」
だが様子がおかしい。急に内股になったと思えば顔をクラボの実よろしく赤らめている。
「…風でも引いてんのか?」
「違います!…あーもう!話が逸れたじゃない!」
「…むしろそっちの方が脱線させてる気が
「うるさい!はいこれ!黙って受け取る!さよなら!」…ええー…」
何だが知らないが突然逆ギレされたかと思えば両手にパンを握らされ、そして逃げ出すように彼女は走り去っていった…解せぬ…
「どうすりゃ良いんだ…つーか結局あいつ誰なんだよ…」
…その後俺は暫くの間、渡されたパンを持ってただただ困惑するばかりだった。
(因みに、もちろんパンは美味しくいただきました。)
この時の俺はそいつの事を、日常に置けるモブの一人ぐらいにしか考えていなかった。だが現実は違う。今日この日、俺はその後の人生において最も深い関わりを持つであろう少女、後のシンオウチャンピオンとなる少女とファーストコンタクトを果たした。その出会いがもたらすのが果たして悲劇か、それとも喜劇なのか、少なくともまだまだガキの身分である俺には理解の及ばない出来事であった…