Q.バカはあっち、テストはこっち。では、召喚獣はどっち?   作:黒猫ノ月

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どうもです。

伊御、つみき戦は明久視点で。
ムッツリーニ、姫路、雄二戦は伊御視点です。
あと、召喚獣の戦いは、わざと召喚獣という単語を抜いています。読みづらいですからね。

では、投稿です。


第14話

「ではこれより、Aクラス対Fクラスの試召戦争を行います。各クラスの出場者は前へ」

 

決戦の時が来た。場所はAクラス。ここで僕達の全てが決まる。

 

Aクラス担任であり学年主任の高橋先生の声に、Fクラス最高成績者として前に出る雄二を筆頭とした5人。伊御と御庭さん、ムッツリーニに姫路さんだ。

 

対してAクラスからは学年最高成績者である霧島さんをはじめ、木下さんと女子2人に男子1人の構成だ。女子は2人とも知らないけど、男子は有名だ。彼は久保 利光君といって、この学年の次席の座にいる。つまりは姫路さんよりも学力が上なんだ。

 

選ぶ科目はもうすでに提出しており、僕達Fクラスは雄二戦とムッツリーニ戦の科目を指定している。なので伊御と御庭さん、姫路さんは敵の得意科目で勝負となる。……厳しい戦いになるね。

 

「各クラス代表者、準備は良いですか?」

 

「ああ」

 

「……問題ない」

 

2人の代表者の了承を合図に、Aクラス戦一騎打ち5番勝負が開幕した。

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 

 

「それでは1人目の方、どうぞ」

 

「……私が出るわ」

 

僕達からは御庭さんが先鋒として名乗り出た。対するAクラスは……。

 

「じゃあ、アタシねっ」

 

木下さんか。……木下さんには本当に悪いことをしたと思ってます。

 

「つみきさん! ファイトじゃよっ!」

 

「頑張ってくださいっ。つみきさん」

 

「ええ。行ってくるわ」

 

「つみき、頑張ってね」(ぽふっ

 

「……うんっ」(ぴっこぴっこ♪

 

御庭さんが真宵さんや春野さんにエールを送られ、伊御からはラブを注入されていた。よしっ! これで御庭さんには敵なしだ!

 

「……負けないわよ」(ボソッ

 

「……優子?」

 

「あ、ああ。なんでもないわ代表。ちゃんと勝ってくるから」

 

「……信じてる」

 

Aクラスの方でも、木下さんに霧島さんがエールを送っていた。霧島さんは思ったよりも冷たい人じゃないのかもしれない。2人はそれぞれ用意されたステージに赴き、所定の位置についた。

 

「初めましてになるかしら? これからよろしくね」

 

「……ん」

 

位置につくと、木下さんが御庭さんに話しかけた。けど、御庭さんは素っ気なく対応する。あれが御庭さんのデフォなんだけど、木下さんの気に触ったりしないだろうか? ……木下さん、プライド高そうだし。

 

しかし予想に反して、木下さんは不快感を表情に出すことなく、勝気な表情で御庭さんへ話し続ける。

 

「悪いけど、御庭さんには勝たせてもらうわ」

 

「……そう」

 

「だって……伊御君が見てるんだもの」(ボソッ

 

「っ!?」(ビクゥッ!

 

……ん? なんだ? 今木下さんが小声で言ったことに、御庭さんが今までの素っ気なさをかなぐり捨てて反応したぞ。どんな挑発したんだ? 木下さんはチラッとこちらを見た気がするんだけど……。

 

「彼の前で不甲斐ない姿なんか見せられないわ。それに……」

 

「…………」

 

「彼といつも当たり前のように一緒にいる貴方が少し……目障り、かな?」

 

「……っ!」(キッ!

 

な、なんだ!? 御庭さんが木下さんを威嚇しはじめたぞ! 何を言ったんだ木下さん!

 

「だから全力でいかせてもらうわ! 別にこれで勝ったからって彼に対して何が変わるわけでもないけど、そうね……惚れちゃった女の意地ってやつかしら」

 

「…………♯っ!」(フーッ!

 

「あら? 彼に対する想いも口に出して言えないなんて。貴方の彼への想いはそんなものなのね。なんだか拍子抜け」

 

「…………潰す」(フシャーッ!

 

「ふふっ、そうよ。貴女も全力でかかって来なさい!」

 

…………な、なんだろう。何を言ってるかは遠くてわからないんだけど……雰囲気がなんか、こう、なんていうかなぁ?

 

「まるで昼ドラの修羅場を目撃してるみたいなんじゃよ」

 

「「「「「それだっ!」」」」」

 

真宵さんの言葉に全力で同意するFクラスの皆。そうだ、そんな感じだよ。……あれ? じゃあなんでそういう雰囲気になっちゃってるの? 今から試召戦争をするんだよね? 今から男を取り合うわけじゃないよね?

 

「……秀吉」

 

「な、なんじゃ雄二」

 

「まさかとは思うが、お前の姉貴……」

 

「……おそらく、雄二の想像通りじゃ」

 

「……伊御も大変だな」

 

「えっ。俺?」

 

「全くもって、同情するのじゃ」

 

「???」

 

僕が頭に疑問符を浮かべてる近くで、雄二と秀吉が何かわかったみたいな顔で伊御の肩を叩いていた。えっ、わかったの2人とも? なら僕にも教えてよっ!

 

結局2人とも僕には教えてくれず、御庭さんと木下さんの雰囲気はそのままで第一回戦が始められた。

 

「第一回戦の科目は数学。では、始めてください」

 

「「試獣召喚っ!」」

 

高橋先生の合図に2人とも召喚獣を呼び出した。御庭さんの召喚獣は猫装備の短剣二刀のスピード重視の見た目。対する木下さんの召喚獣はがっつり豪華な装備を身につけてこれまた大きなランスを持った聖騎士のような召喚獣だ。そして気になる点数は……。

 

数学

『Fクラス御庭 つみきー332点 VS Aクラス木下 優子ー436点』

 

なあっ!? 400点越えだって!? 御庭さんだって凄い点数なのに、木下さんがインパクトを全部持ってっちゃったよ! 木下さんって頭が良いんだろうなとは思ってたけど、ここまでだったなんて!

 

「貴女も中々やるじゃない。でも残念ね、アタシには及ばないわ」

 

「……点数が、全てじゃないっ」

 

先に攻撃を仕掛けたのは御庭さんだ。木下さんの召喚獣に二刀の短刀による素早い斬撃を喰らわせる。今まで見た中でも1番速いっ! これまでの試召戦争で召喚獣の扱いに慣れて来てるのが分かる!

 

木下さんはそれを辛うじて防いでいる状態だ。御庭さんの速さに驚いてるみたいだ。

 

「っ! へぇ、やるじゃない。なら、こういうのはどうかしら!」

 

木下さんの召喚獣の腕輪が光ったかと思った瞬間、武器であるランスが水流を螺旋状に纏った。……まずい! 何か来る!

 

「っ!?」

 

「はあっ!」

 

木下さんは纏わせた水流を増幅させて御庭さんを側から剥がし、その勢いでランスを振るう。すると水流が鞭のようにしなって離れた御庭さんを襲った!

 

「……避けてみせるっ」

 

御庭さんは迫り来る水流を飛んでしゃがんでと縦横無尽にかわしていく。すっ、凄い! 時々かすったりしてるけど、決定打は貰ってない!

 

「召喚獣の操作にかなり慣れてるわね。なら、避けれないよう範囲攻撃で決める!」

 

「……今!」

 

木下さんが一際ランスを大きく振るったその隙をついて再び迫る御庭さん。かなりギリギリだ! ま、間に合えーっ!

 

「……獲った!」

 

「速い!? けど……!」

 

御庭さんの短刀が木下さんの首元に迫る。木下さんはそれを大技を止めることで自由になった左手を貫通させて止めた。御庭さんはそれに動じず、もう一本の短刀を振り抜くも、それはランスによって阻まれた。……惜しいっ! もうちょっとだったのに!

 

「……っ。惜しかったわね? 御庭さん」

 

「まだ、これから……!」

 

「……いいえ。残念だけど……アタシの勝ちよ」

 

木下さんの言葉に疑問を浮かべる御庭さんと僕達。今は膠着状態でお互い何もできない状態だ。なのにあの自信……あ! まさかっ!

 

「これで貴女は……逃げられないわよ、ねっ!」

 

「っ!?」

 

木下さんは再度腕輪を光らせて、水流をランスに纏わせる。それによって御庭さん短刀が思い切り弾かれる。御庭さんはこの流れに逆らわず距離を取ろうとするも、木下さんの側から離れられない。何故なら……!

 

「逃さないって、言ってるでしょ!」

 

「……っ」

 

木下さんの手には貫通された短刀とそれを握る御庭さんの手が握られている。木下さんは首元を狙った短刀をわざと貫通させて、それを握る御庭さんの手ごと握り込んで逃さないようにしたんだ! 点数差で力尽くではどうしようもない!

 

「それじゃあ……さようなら、御庭さん!!」

 

「……うぅっ!」

 

どうしようもない状況でも諦めずにもがく御庭さんに、木下さんの水流が直撃した。

 

数学

『Fクラス御庭 つみきー0点 VS Aクラス木下 優子ー234点』

 

「勝者、Aクラス木下さんです」

 

そして、第一回戦の勝敗が決した。

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 

 

「御庭さん、少しいいかしら?」

 

「…………何?」

 

「アタシは……伊御君が好きよ」

 

「っ!」

 

「さっきも言ったけど、この戦いに勝ったからって伊御君のことには何も関係ないわ。けど……」

 

「…………」

 

「貴女に、アタシが本気であることが伝わったはずよね?」

 

「…………うん」

 

「覚えておくことね。貴女の今の場所……伊御君の側に居られることは、当たり前じゃないってことを。そして、その場所をいつでも狙ってる人がいることを」

 

「…………」

 

「周りの人達は貴女たちが結ばれることを望んでいるみたいだけど、知ったことではないわ。周りなんて関係ない。アタシは伊御君が好きだから。彼と一緒になりたいから。全力で貴女の場所を奪って……いいえ、そこさえも乗り越えて伊御君の側に行くわ」

 

「ま、負けないわっ」

 

「……そう。なら、これからは正真正銘のライバルね?」

 

「……そうね」

 

「それじゃ……」

 

「ええ……」

 

「「絶対、貴女には負けない!」」

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 

 

勝負の後、木下さんが御庭さんの側に寄って何かを話している。それから少しして、お互いが手を握り合って別れた。あれかな? 良きライバルみたいな感じかな? これからもお互い勉強を頑張りましょう! みたいな。

 

「おかえり、つみき」

 

「……ごめんにぇ? 勝てにゃかった」(へんにゃり

 

「うぅん。つみきはとても頑張ってたよ」(ぽふっ

 

「……うん」(へんにゃり

 

御庭さん、相当落ち込んでるな。伊御のなでなでにも猫耳が反応しない。

 

「つみきさん! お疲れ様じゃよっ!」

 

「つ、つみきさん凄かったですよ!」

 

凹んでいる御庭さんに真宵さんと春野さんが励ましてるけど、しばらくは立ち直れないかな?

 

「御庭はよくやってくれた。腕輪持ちにあそこまで戦えた時点で凄い。おかげでこちらの士気は下がってない」

 

雄二も御庭さんにそうやって声をかけた。その通りだ。途中まで接戦だっんたんだ。僕達はAクラス相手に戦えるんだということを証明したんだよ、御庭さん!

 

「それでは次に進みます。2人目の方、どうぞ」

 

「それじゃあ、次は俺かな」

 

御庭さんが立ち直る前に、伊御が呼ばれてしまった。高橋先生! もう少しツン猫のケアする時間が欲しいです!

 

「……頑張って、伊御」(ぴ……こ?

 

「ああ。行ってくるよ、つみき」(ぽふっ

 

御庭さんも伊御の出番にさすがに落ち込んではいられなかったのか、少しだけ持ち直した。

 

「ファイトだよ、伊御!」

 

「伊御、儂らの分も頼んだぞい」

 

「伊御、ここで一勝はしておきたい。……勝て」

 

「ああ。全力を尽くそう」

 

伊御は僕達に微笑み返してステージへと歩を進めた。

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 

 

「よろしくね」

 

「ええ。こちらこそ」

 

伊御とAクラス側の女生徒が軽く言葉を交わす。

 

「第二回戦は物理です。では、始めてください」

 

「「試獣召喚っ!」」

 

そして始まった第二回戦。伊御の召喚獣は相も変わらずカッコいい。今日も『悪の帝国国軍 将軍閣下』として敵を無慈悲に屠そうだ。対するAクラスの佐藤さんの召喚獣はネイティブアメリカン風の装備に武器は鎖鎌だ。……凄い、見た目だけで圧倒してるよ。佐藤さんもタジタジだ。

 

「な、何よあれっ!? カッコ良すぎでしょ! ……も、もしあれを本人が着た日には……あっ、鼻血が」(ボソッ

 

「……優子? どうしたの?」

 

Aクラス側も騒ついている。それほど伊御の召喚獣は異彩を放ってるんだ。そして召喚獣達の上に表示される点数。

 

物理

『Fクラス音無 伊御ー246点 VS Aクラス佐藤 美穂ー389点』

 

うはぁっ! やっぱりAクラス上位陣は化け物だな! 400点はいってないけど、ほとんど変わらない! 腕輪があるかどうかの違いなだけだ。というか400点を超える人達が異常なだけなんだよね。

 

「貴方もAクラスの平均は超えているのですね。素晴らしいです。しかし、容赦はしません」

 

「さっきつみきも言ってたけど、点数が全てじゃないんだよ?」

 

「なら、証明してみてください!」

 

佐藤さんが鎖鎌の分銅を伊御に投げつけてきた。伊御はそれを余裕でかわし、佐藤さんに迫る!

 

「先ずは一撃だね」

 

「させないっ!」

 

佐藤さんは分銅を引き戻すことをせず、鎌で伊御の長剣を受ける。伊御は鍔迫り合いを避け、少し佐藤さんから距離を取った。そしてそこから召喚獣の扱いに慣れた人特有のスピードを生かして、佐藤さんの召喚獣の周りでHIT&AWAYを繰り返す。

 

佐藤さんは分銅を戻すこともできずに受けに徹することとなった。伊御は決定打を与えられなくとも、確実に佐藤さんの召喚獣を痛めつけていく。

 

「は、速い!? ……いいえ、召喚獣の動きがスマートなのね」

 

「まあ、Bクラス戦でたくさん戦ったからね。操作にもだいぶ慣れてきたよ」

 

そう。伊御と御庭さん、春野さんなんかはかなりの場数をここにくるまでに踏んでいる。多少の点数差ならモノともしないはずだ!

 

物理

『Fクラス音無 伊御ー246点 VS Aクラス佐藤 美穂ー296点』

 

よし! 300点を切った! このまま行けるか?

 

「っせい!」

 

「!」

 

いや、ダメだったか! 佐藤さんもようやく少し慣れてきたのか、伊御が脚を斬りつけようとしたのを見計らってカウンター気味に鎌で凪いだ。あ、あの点数差。伊御の召喚獣は大丈夫か?

 

物理

『Fクラス音無 伊御ー142点 VS Aクラス佐藤 美穂ー296点』

 

一気に100点近く持ってかれた! さすがに一撃が重い。

 

「さあ、仕切り直しですね」

 

「……ふむ」

 

佐藤さんは引き戻すことが出来た分銅を回して、伊御を牽制する。……伊御はここからどうするんだろう?

 

「一か八か……行くかな」

 

「受けて立ちましょう!」

 

伊御は召喚獣をジグザグに進ませながら佐藤さんの召喚獣に近づく。佐藤さんは分銅を飛ばすこともせず、落ち着いて伊御の動きを追っている。そして伊御がある程度近づいてきた瞬間、分銅を横に凪いだ。伊御はそれを飛んだかわすが……ヤバいよ伊御!

 

「空中なら、身動きが取れませんよね!」

 

佐藤さんも飛び上がって鎌を構えて伊御を狙う! 伊御!

 

「それは、決めつけじゃないかな?」

 

伊御は空中で勢いを殺さず、佐藤さんに向けて剣を構えて縦に回転しながら落ちて行く。……伊御はここで迎え撃って終わらせるつもりだ!

 

「はあぁっ!」

 

「……決める!」

 

そして2人の召喚獣は空中でぶつかり合い、そして……。

 

「くうぅっ!」

 

「っ!」

 

伊御の回転斬りは勢いもあり肩から胴にかけて断ち切り、佐藤さんの鎌が……伊御の召喚獣の心臓を刺し貫いた。

 

……多分、佐藤さんの鎌が心臓を刺し貫いたは偶然なんだと思う。伊御が召喚獣を回転させたのは、剣の威力を増すためと、狙いを付けづらくさせるため。もし佐藤さんが伊御の狙い通りほとんどの部位を刺し貫ていたら、まだ伊御が勝利する可能性はあったはずだ。けど、今回は伊御に勝利の女神が微笑まなかった。

 

物理

『Fクラス音無 伊御ー0点 VS Aクラス佐藤 美穂ー24点』

 

こうして、第二回戦は……伊御の敗北で決着が付いた。




如何でしたか?

Aクラス前半戦、2連敗!
ご納得できない方もいらっしゃるとは思いますが、話の都合上、こうなりました。

では!
感想やご意見、評価を心よりお待ちしております!
これからも応援よろしくお願いします!!
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