Q.バカはあっち、テストはこっち。では、召喚獣はどっち?   作:黒猫ノ月

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どうもです。

少し短いです。あと、久しぶりのおまけあり。

では、投稿です。


第24話

「ぐあぁっ!? 足がぁっ!」

 

「なっ!? お、おいテメェ! ダチになにしやがるっ!」

 

「立場分かってんのか、ア”ア”ッ!」

 

「…………」(ヒュヒュヒュヒュヒュンッ

 

「……っ無視してんじゃ「ヒュオンッ!!」っ!!?」

 

「……次は、当てるよ?」

 

「「「……っ!」」」

 

まさかここまで強硬手段に出るとは思わなかったよ。……さて、とりあえずこいつらを問いただすかな。

 

俺はフォーク3本を片手で回しながらガラの悪い男達へと歩を進めた。

 

 

……遡ること少し前。

 

 

俺達の愛ゆえの制裁を一身に受けた偽・光源氏は一時の間心の臓が動きを止めていた。

 

康太の蘇生治療によって現世に戻ってきた明久から、雄二がいつかの時に見たという三途の川の渡し人に6万強請られたと聞いた。普通なら6文のところを6万とは……あの世も不況なのかな?

 

「い、い”お”〜っ! ぐずっ、えぐっ! ぼ、ぼぐのばなじをぎいでよ〜〜っ!!」

 

その後、息を吹き返したばかりにも関わらず元気に号泣しながら俺と榊に文句を言った明久の頑丈さには少し引いた。俺達は明久があまりにも必死な形相で話を聞いてと言うので、一応聞いてみた。

 

明久の話を改めて聞いた俺達の判決は……情状酌量の余地ありと言うことで無罪となった。

 

明久としては本当に困ってる女の子を助けたかっただけで、葉月ちゃんのお婿さんにしてあげる発言は子供の言うことだったので笑って聞き流したそうだ。……聞き流せるのは良くて小学校低学年くらいまでだよ、明久。

 

そんなこんなで収束した光源氏計画事件。俺と榊は、決めつけで明久を犯罪者と思い込んでしまったことに反省して、明久に1日だけ『はちぽち』で好きなだけ奢ってあげることにした。その時の明久の喜びようと言ったら……。

 

そんな騒ぎも一息といったところで、今はどういう状況なのかという話になったんだけど……どうやらあまり芳しくないみたいだ。

 

どうにか中華喫茶にお客を戻そうと考え込んでいると、葉月ちゃんから有力な情報を聞いた。なにやらこの中華喫茶の悪評をばら撒いている存在がいるということだ。……ふむ、俺達が裁かねばならない奴は他にいたようだ。

 

ではその元凶をとっちめようってことで、葉月ちゃんがその話を聞いた場所へとみんなで赴くことになった。まあ、俺は行かないんだけどね。ここは明久達に任せよう。

 

「行ってらしゃい」

 

「「「行ってきます! 父さん!」」」

 

「誰が父さんだ……」

 

みんなが報復に行ってる間、俺は中華喫茶の手伝い、榊は『つつみん』のクレープ作りに戻ることなった。俺も少しはFクラスの手伝いをしないとね。午後はつみき達も1人ずつ交代でこっちに向かうそうだ。

 

明久達を見送った俺は、康太に中華服を着させられた。どうやら俺は学祭中には制服は着られないみたいだ。中華服を着た後、康太が何枚か写真を撮って何処かへと一瞬で消えて行ったんだけど……どこの忍びなんだ?

 

消えた康太は置いといて、俺は接客をすることにした。と言っても、お客様がほとんどいないからやることがなかった。

 

しかししばらくすると、お客様がポツポツと中華喫茶にいらっしゃるようになった。俺と秀吉が来てくれたお客様に対応していたら、さらにお客様がやって来るようになった。突然どうしたんだろうか? 明久達がやってくれたかな?

 

『ほ、ホントだ! 音無君が中華服を着てる!』

『さっきまで着てた書生服も良かったけど、中華服もカッコいいなぁ』

『なあおい。ビラで見るよりあのチャイナ服着てる子、可愛くね?』

『だよなぁ? 声も可愛いし来てよかったな』

 

俺と秀吉を見ながらボソボソと何か言ってるお客様達に疑問に思いながらも接客をしていると、お客様としてやって来た顔見知りの子が教えてくれた。……どうやら俺達従業員の写真が載ったビラが突如撒かれて宣伝されたようだった。

 

「……効果は抜群」(グッ

 

「……せめて許可を得ような?」

 

いきなり背後に現れた康太にため息を吐いた。というか俺の写真なんて載ってても効果なんてないだろうに……。

 

まあ、お客様が来るようになったからいいかと接客を続けていると、どこか遠くから騒ぎが聞こえてきた。

 

『おいあの子可愛くないか?』

『何処の出し物だろうな? メイド服がよく似合う』

『でも、どうして走ってるんだ?』

『そういうイベントじゃないか?』

『とりあえず写メ撮っとこうぜ!』

 

『……やめてぇ!! 僕を見ないでぇ〜〜!!』

 

…………。うん、向こうも頑張ってるみたいだ。俺達も気合いを入れないとな。

 

俺は清涼祭で相次ぐ災難に見舞われている(一部俺のせい)友に心の中で励ます。そんな友の心の傷がいつの日か癒されることを願いながら、俺は茶葉のストックを取りに倉庫となってる校舎へと向かった。

 

俺は校舎に着き、茶葉が置いてある教室に入って目的のものを探していたら、教室にいきなりいかにもなDQNが入ってきたんだ。そいつらは俺を取り囲み、その中の1人がこう言いだした。

 

「音無 伊御だな? 悪いが少し痛い目に遭ってもらうぞ」

 

どうやら俺だと分かった上でやってきたようだった。ここで俺を痛めつけたところで意味はないと思うんだが……大人しくヤられてやる必要もないな。

 

というわけで身近にあったフォークをいくつも持って、投げナイフならぬ投げフォークで迎撃したというわけだ。

 

 

……舞い戻って、現在。

 

 

「うぅっ。イテェよう……」

 

DQNの1人が俺の投げたフォークが太ももに突き刺さり、痛みに蹲っている。それを見た他の奴らはそれでも怖じけずに威勢があったが、それもさっき黙らせた。

 

俺もこういうことはあまりしたくないんだけど、抵抗するなら正当防衛として……手足の1本2本は覚悟してもらうよ。

 

「さて、質問だ。誰に俺を襲うように頼まれたんだ?」

 

「「「…………っ」」」

 

……言わないか。まあ、聞いたところでどうせ黒幕じゃないんだろうな。じゃあ次だ。

 

「なんで俺を襲ったんだ? これぐらいなら言えるだろ?」

 

「「「…………」」」

 

だんまり、か。

 

「……はあ、話してくれたら今回は見逃す。言わないなら……」

 

……ヒュヒュヒュヒュヒュンッ!

 

「ヒッ!」

 

「悪いけど、少し痛い目に遭ってもらうよ」

 

俺はさっき言われたことをそのままそっくり言い返した。さて、どう出る?

 

「…………スーツの男に金で頼まれたんだ。『音無 伊御、吉井 明久、坂本 雄二のうちの1人を痛めつけろ』と」

 

素直に話しだした男が「写真も見せてもらった」と、俺の目の前にその写真をばら撒いた。そこには俺と明久、雄二の写真が写っていた。

 

「理由はなんだ?」

 

「知らん」

 

「…………」(ヒュオンッ

 

「ほ、本当だ! 取り敢えずボコせば良いって言ったんだ!」

 

……まあ、こいつら多分捨て駒だ。そのスーツの男も誰かに頼まれた下っ端なんだと思う。思った以上に根が深そうですね、学園長?

 

「……分かった。行っていいよ」

 

「わ、悪かったな。それじゃあ……」

 

「だけど、次に俺達や友人に手を出したら……」

 

俺は間を開けて、両手で回していたフォークを奴らに当たらないように全弾撃ち出す。

 

「「「ひ、ヒィーッ!!」」」

 

「串刺し、だからね?」(ニコッ

 

「「「も、もうしませーーんっ!!!」」」

 

DQN達は蹲っていた奴も連れて教室から慌ただしく出て行った。……本当にやるなよ? フリじゃないからな?

 

「……ふぅ。これはみんなと相談だな」

 

俺はフォークを片付けて、茶葉のストックを手に中華喫茶へと戻った。

 

 

 

●○●○●○●○●○

 

 

 

「…………っ!」(ぬいぬいぬいぬいっ!

 

「俺と明久、伊御が狙われてる理由は簡単だ。このクラスの中心人物だからだ。Fクラスの動揺を誘う作戦だろうな。基本だが、効果は高い」

 

「俺はそんなことないと思うけど……」

 

「そう思ってるのはお前だけだ」

 

「…………っ!」(ぬいぬいぬいぬいっ!

 

「けど良かったね伊御。何もなくて。投げフォークで撃退ってとこが信じられないけど……」

 

「そうかな? 勢いよく投げれば結構刺さるよ」

 

「速度は力、ということじゃのう」

 

「それは果たして人が出せる速度だったのかなぁ?」

 

「試してみる?」(ヒュヒュヒュヒュヒュンッ!

 

「全力で遠慮しますっ!」

 

「…………っ!」(ぬいぬいぬいぬいっ!

 

「ね、ねえ坂本? ホントにこの服で召喚大会出なきゃダメなの? ここで着て働く分にはいいんだけど、さすがにちょっと……」

 

「は、恥ずかしいです……」

 

「お姉ちゃん達、とっても綺麗ですっ」

 

「ムッツリーニが伊御と秀吉のビラをばら撒いてくれたおかげでなんとかなってるが、お前達がそれを着て宣伝をしてくれたら確実だ」

 

「「でも……」」

 

「それに、それは明久の趣味だ。なあ明久?」

 

「大好……愛してる」

 

「明久……君は本当に嘘がつけないね」

 

「あれ!?」

 

「し、仕方ないわねっ。これも店の売り上げのためよね!」

 

「そ、そうですねっ。お店のためですしね!」

 

「…………っ!」(ぬいぬいぬいぬいっ!

 

俺達はそれぞれの用事を終えて、Fクラスに集合していた。明久達の話を聞くと、ここの噂を流していたのは常村先輩と夏川先輩だったそうだ。Aクラスのメイド喫茶に何度も訪れて大声でここの悪口を言っていたらしい。

 

明久達の機転によって止めさせることには成功したが、彼らを逃してしまったようだ。……さっきの騒ぎはその追いかけっこだったみたいだ。

 

だけどただで逃したわけではなく、夏川先輩の頭にブラジャーが接着剤でくっつけたそうだ。そのおかげで、これ以上彼らが人前で妨害は出来ないだろうという話だった。……流石明久達だ。やることがエグい。

 

逃げた常夏コンビ(命名、明久)を追いかける際、明久はメイド服を着て(作戦の内だったらしい)公衆の面前で追いかけたので、心に深い傷を残したみたいだ。

 

さっき密かに康太にその時の写真を見せてもらったけど、秀吉と同じで違和感がなく似合っていた。……康太、それを売りに出すの止めてあげなさい。

 

「……出来た」

 

そんなムッツリ商会の商人は、島田さん達のチャイナ服を羨ましがった葉月ちゃんのためにチャイナ服を一から仕立て直していた。んだけど……。

 

「わあっ。このお兄さん凄いです!」

 

「流石ムッツリーニ! 君の性への衝動は不可能を可能にするね!」

 

「……ふっ」

 

この僅かな間で完成させていた。確かに凄いことなんだけど……康太、それは決して誇れることではないぞ。下心でパワーアップするというのは恥ずかしいよ、友人として。

 

「全く……。それじゃあ、俺は向こうに戻るよ」

 

「ああ。あんなことがあったんだ、御庭達もこっちに来なくていいと言ってある。1人で行動させないようにな」

 

「気をつけてね、伊御」

 

「分かったよ」

 

「それと……」

 

「? ……うおっ」

 

間を開けたかと思うと、いきなり雄二に肩を掴まれた。凄い力だ。

 

「……伊御」

 

「な、なんだ?」

 

「Aクラスに行った時にな、翔子が持ってたんだ」

 

「……何を?」

 

「婚姻届とウチの実印」

 

「…………」

 

……霧島さんはどうやら待てないみたいだ。

 

「俺はこの大会に優勝しないと、人生の墓場に新幹線でまっしぐらだ。……勝たなきゃ、勝たなきゃいけないんだ!」

 

「……何がどうなってそうなるんだ?」

 

「お前が翔子に吹き込んだことと俺の不注意が化学反応を起こした生成物だ」

 

どんな反応が起こったんだろうか? ……まあ、それはそれとして。

 

「確かに結婚は気が早いな」

 

「お前とみいこさんのおかげで多少はマシになったがな。ともかく、そういうわけだから翔子と木下姉の打倒は手伝ってもらうからな? 拒否権はないぞ」

 

「……了解」

 

……仕方ない、か。霧島さんと優子には応援するって言ったのに、裏切ってしまうことになるな。責めは甘んじて受けよう。

 

「ははは葉月ちゃんっ!? ここで着替えようとしないで! ムッツリーニが出血多量で死んじゃうから!!」

 

「ほえ?」(脱ぎ脱ぎ

 

「…………気に、するな」(ボタボタボタボタッ

 

……康太、君は何故出血多量で痙攣してるのに幸せそうなんだ。呆れれや侮蔑を通り越してやっぱり最低だよ。

 

俺は榊達の元に戻る前に、輸血パックがストックされてる場所に向かうのだった。

 

 

 

【おまけ】

 

 

 

□とある空き教室□

 

「…………」(トントントン

 

……ガラガラガラ

 

「……待たせた」

 

「……別にいいわ。で、例のものは」

 

「…………」(スッ

 

「っ! ……見せてちょうだい」

 

「……待て」

 

「……はぁ、ほら」(バサッ

 

「……確かに」

 

「さあ、早く見せなさいっ」

 

「……慌てるな、まずは」

 

「……ゴクンッ」(もじもじ

 

「……書生服を着た伊御」

 

「これよこれ! アタシとも撮ったし、彼1人のも撮ったけど違うのも欲しかったのよね!」

 

「……その上にエプロンを着た伊御」

 

「ああいいわ。書生服にミスマッチなエプロンも、伊御君が着ればなんとも言えない魅力を感じるわ」

 

「……客にスマイルを送る伊御」

 

「っ! ……その相手がアタシじゃないのが不服だけど、伊御君の優しい笑顔に免じて許すわ」

 

「……動物と戯れる伊御(書生服ver)」

 

「ふふっ。やっぱり伊御君と動物はセットよね。これほど和むものもないわ」

 

「……最後に本日の目玉」

 

「? 何かしら?」

 

「……中華服を着た伊御(格闘家風ver)」

 

「っ!?」

 

「……お得意様へのサービス」

 

「…………ぁぁ」

 

「……気に入ったようで何より」

 

「っ……んんっ。ええ、最高のサプライズよ」

 

「……ではな」

 

「次もよろしく頼むわね」

 

「…………」(コクコク

 

……シュパッ!

 

「…………ああ、素敵。……もうっ、伊御君はいつもアタシを惑わせるんだから!」

 

……チュッ




如何でしたか?

さ、さいごのはだれだったんだー(棒

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