モンスターハンターStormydragon soaring【完結】   作:皇我リキ

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女の子の水着を狩れ!(ポロリは無いよ)

 暑い。それ以上に現状を説明する必要は無いだろう。

 

 

 雲ひとつない青空から照り付ける太陽は、遮る物の無い地面を焼肉の鉄板のような温度にしあげる。

 そんな炎天下の中。それでも自分達が笑っているのは、クーラードリンクのおかげでも、気が狂った訳でも無い。

 

 

「なぁ、シンカイ」

 小柄な身体に似合わないブーメランパンツだけを履いたタクヤは、落ち着かない様子で声を掛けてくる。

 

「なんや。今はお前なんぞに用は無いねん」

「俺だってお前なんかに興味はねーよ」

 なら話しかけてくるなよ!

 

 内心そんな事を思いながらも、自分もタクヤも———いや此処に居る男子全員が同じ気持ちだという事を自分は知っていた。

 

 

 透き通るような、冷たい湖に身体を浸かる事が待ち切れない訳では無い。

 

 買い足しておいた水鉄砲や浮き輪等で遊ぶのを楽しみにしている訳では無い。

 

 この暑い中パンツ一枚で過ごすのが涼しくて開放感があって、幸せな訳ではない。

 

 

「どんな水着……かなぁ?」

 鼻の下を伸ばしながらそう言うタクヤ。水遊び、男共は女性陣の水着姿を待って此処に集結していた。

 

 

 待ち切れないのは女性陣の水着姿だ。

 

 楽しみなのは女性陣の水着姿だ。

 

 それを見る事が、何よりも幸せなのだ。

 

 

 それが、男って物だろう?

 

 

 

「……来たな」

 ガイルがそう言うと同時に、オアシスの端に止めてある船から我等が橘狩猟団の女子メンバー達がゾロゾロと出て来る。き、来たぁ!

 

 

「ふぅ、今日も暑いわね」

 そう言いながら一番に歩いて来たのは団員一グラマーな身体を持つクーデリアさんだった。

 

 紫色のビキニは、団員一のスタイルを余すとこ無く堪能出来る。

 パレオと呼ばれる巻き付けるスカートがさらに大人の魅力を引き立てる代物だ。

 

 それはもう歩く姿すら美しく、美を絵にしたような光景であった。

 

 

「男共は早いなぁ」

「カナタぁぁぁああああ!!」

「ちょ、ケイス———ふん!!」

「グボォッハッ」

 その次に続くカナタにケイスケはディアブロスも驚きの突進をかますのだが、容赦の無い張り手がケイスケを地面に叩き付ける。痛そう。

 

 そんなカナタの水着は髪の色に合わせた赤色のホルターネックのビキニだった。

 強調される胸部は普段よりもふくよかに見え、これはケイスケが鼻血出しながら突進するのも分からなくも無い。

 

 

「ケイスケ君大丈夫?!」

 地面に頭を埋めるケイスケを心配して駆けてきたのは、金髪美少女のナタリア。密かに一番に水着姿を楽しみにしてました、はい。

 

 そんな彼女の水着はミニスカート付きの水色のビキニで、清楚な彼女のイメージを崩さずに強調する所は強調する素晴らしい水着だった。

 

 生きてて良かった……っ!!

 

 

「カナカナぁ、たまにはサービスすれば良いのにぃ」

 そう言ってカナタの背後から出て来たのはピンクの髪を後ろで短いポニーテールにしたサナことサーナリア様。

 

 歳にしては良いスタイルを黒のビキニが引き出し、水に濡れても良い素材で出来た白のパーカーも上手に着こなしている。

 なんだこの可愛い生物は結婚してくれ。後で求婚しよう。

 

 

「後はアカリやな……」

 横でタクヤが落ち着かない態度でいるのを感じながら、船の奥から最後の一人が出てくるのを待つ。

 

 数秒して、船の影から顔だけ出すアカリの姿が目に映った。

 それを見たサナの手招きで足を前に出したアカリは何故かその場で転んでしまう。

 

 

「アカリぃ!」

 それを見て駆け出すタクヤ。うん、自分も付いて行くとするか。

 

「大丈———」

「下心前面に出しながらアカリに触れるなぁ!」

「ゲボォッハァッ!」

 アカリにケイスケのように突進するタクヤを途中でサナが蹴り飛ばす。とても痛そうだがしょうがないよね。

 

 

「大丈夫か?」

 タクヤが地面を転がっていったので、後から走り出したのに先に着いてしまった。そのままという訳にも行かず、手を伸ばしながらアカリに声を掛ける。

 

「うぅ……」

 泣き顔で自分の手を取って起き上がるアカリ。

 そんなアカリが来ているのは真っ白な肌に同化しそうな真っ白な水着。

 フリルが着いたセパレートタイプで、幼い外見に似合ってとても可愛らしい。

 

 

「……ほふぅぁっ?! し、し……か……ぅ」

 立ち上がらせようとその軽い体を引き上げると、アカリは顔を真っ赤にして固まってしまった。

 そんなに転けたのが恥ずかしかったのか。ここは別の事で気を紛らわせてやろう。

 

「似合っとるで、その水着」

「はふぇぉっぁっ?!」

 ハッキリと出せない声をいつも以上に滑らせて。さっきより真っ赤になったアカリはせっかく立たせたのに地面に座り込んでしまった。

 

 

「あ、あるぇ……」

「何してんのよあんたはぁぁっ!」

「ドゥッヘェッ!」

 そして何故か背後からのハイキック。サーナリア様容赦なさ過ぎ。

 

 

「もう少しデリケートに扱いなさいよ!」

「わ、ワイの腰もデリケートに扱ってくれへん……?」

 折れたかと思ったわ!

 

 

「よーし、これで全員揃ったな」

「あれ? 親父は?」

 ケイスケが自由時間の合図を出す前に、自分はそんな率直な感想を口に出す。

 

 

 親父以外は確かに全員揃っているのだが、彼の姿だけ何処にも見当たらない。

 

 

「親父は船で見張りだよ」

 そう答えてくれたのはアニキだった。

 

「ここはモンスターの蔓延る砂漠のど真ん中だからね。大型モンスターの縄張りになってないとは言っても、いつ何が来るか分からないじゃない?」

 そう付け足すのはカナタ。準備運動をするその姿は眼の行き場に困る。

 

「だから親父はこういう時、いつも見張りをやってくれてるんだ。親父の俺達への配慮みたいな物だから、気にしても親父に悪いだけさ」

 ケイスケはそう言うと、腕を広げ構えてこう続けたのだった。

 

 

「よーしお前ら! これから夏場恒例水遊びを開始する! 今回も色々イベントを用意しているが、まずは自由時間だ!! 思う増分楽しめよ! 自由時間……スタートだ!!」

 

 

 

 

「と、言われたものの」

 各々が準備運動やらいきなり湖に飛び込んで行く中。初めての催しで実は戸惑っている自分が居た。

 

 まぁ、木陰から水着姿の皆を眺めてるだけでも楽しめそうだが。

 

 

 そんな事を考えながら歩いていると、突然背後から指で何回か突かれる感触を感じる。この行動は大体誰だか予想が付いた。

 

「アカリ?」

 振り向いてみれば、少し落ち着かない表情でアカリが自分を見詰めていた。

 上目遣いをいつもと違う衣装が持ち上げて、随分と普段以上の可愛さを感じる。

 

 

『お願いがあります!』

 意を決して人にラブレターを渡すような表情で、そんな事が書かれたスケッチブックを突き出してくるアカリ。

 

「な、なんやなんや改まって。えーで、暇しとったしそのお願い聞こうか」

 てかそのスケッチブックどこから取り出した。

 

「っぁ……」

 返事をすると、アカリはスケッチブックをひっくり返して文字を書き連ねる。

 相変わらず超速なんだが。しかし、なんだか恥ずかしそうだ。

 

 

『泳ぎを教えて!!』

 大きくそう書かれたスケッチブックをさっきと同じ様に突き出すアカリ。

 そういえば、サナとアカリと夜に湖で遊んだ時。アカリだけ泳げなかったのを思い出した。

 

 

「なーるほど。まぁ、ええけど……それワイよりサナのがええんやないか?」

 サナの方が教えるのも上手そうだし。それに……なんかタクヤに悪い。

 

「ふむぅ……」

 え、なんか怒ってる?!

 

 

「アカリぃ! 泳ぎなら俺がッヘェッハッ!」

 どこから聞いていたのかティガレックスの突進のように近づいて来るタクヤ。

 しかし、その足をサナの蹴りが見事に命中してタクヤは地面をラングロトラのように転がりながら自分の目の前に辿り着く。

 

 

「……だ、大丈夫か?」

「……見て分からねーのか大丈夫じゃねーよ」

 うん、分かる。ごめん。

 

 

「サナ、何しやがる!」

「あんた、そんなに泳ぐの上手くないでしょ。むしろ下手でしょ。そんなあんたがアカリの面倒見れるの? アカリに何かあったらあんたどうすんの?」

「ぐ……ぉ…………そ、それは……」

 辞めてあげて! これ以上タクヤを虐めないであげて!

 

 

「はぁ……。だから、私があんたに泳ぎ教えてあげるわよ。ついでにアカリも見てあげたいからシンカイとアカリと合同で練習しましょ!」

「ワイの事も信用してないんかい!」

「そ、そういう訳じゃないけど……。ほ、ほら、何事も一緒にやった方が楽しいでしょ!」

「良い事いうじゃねーかサナ!!」

 タクヤ君掌返し早いよ。

 

 まぁ、サナの言う事はいつも通りごもっともだ。何事も大人数の方が楽しいに決まってる。

 

 それを最近は本当に良く思い知らされる。

 

 

「アカリはそれでええか?」

「……ん!」

 元気に頷いたアカリに内心見惚れながらも、先に行くサナに着いて湖に歩き出す。

 さて、泳げないとは聞いたがどれくらいの物なのだろうか。

 

 まぁ、アカリもタクヤも覚えるのが早いから多分大丈夫だろうがな。

 

 

 

 

 そう思っていた時期が自分にもありました。

 

『無理』

 その短文は、彼女の本心なのだろう。

 

 まずは水の中で目を開けてもらおうと思ったのだが。その時点で断られた。湖にすら入れていない。

 

 

「いや、あの……やな。でないと泳げないというか……いや、泳げない訳では無いんやけど。マジか」

「……ぅぅ」

 罰が悪そうに視線を落とすアカリ。

 

 まぁ、無理な物はしょうがない。少しずつ慣れていけば良いのだ。

 

 

「とりあえずスケッチブック置いて湖の中入ろか。あ、そこで急に深くなるから気ぃつけてな」

「……ん」

 コクリと頷くと、アカリはゆっくりと足を水に浸けて出す。

 少し進むとアカリの身長では肩まで浸かってしまうため、自分の手を貸した。

 

 

「とりあえず水に慣れる事からやな」

「……んぁ」

「大丈夫大丈夫。ワイが居るさかい、安心せーや」

「……ん」

 深さに少し慣れて来た所で、とりあえず湖を歩いてみる事にする。

 アカリの手を引いて自分が先に歩き、これ以上深くならない場所を選んで進んで行く。

 

 

 

「よーしよーし。んなら、眼は瞑ったままでえええから、水に浮く練習するか」

「……ぇ」

 なんでそんな絶望した表情になるの?!

 

「だ、大丈夫やで! ワイが居るから!」

「ん……むぅ」

「大きく息を吸って息を止めて、眼瞑って、頭を付けたら身体の力を抜くんや。大丈夫、アカリならやれるで!」

 そう言ってから何秒かアカリは不安気な表情をしていたが、遂にはやる気になって大きく息を吸い込んだ。

 

 

 そして、音を立てて顔を沈める。手を繋いであげては居るが、次第に足も付いてきて完全に水中に浮いた状態となった訳だ。

 

「よーしよし」

「……プハッ」

 時間にして三秒くらいか。手を上げてアカリを引き上げてやる。

 あ、眼鏡掛けたままだったんやな。どうしよう、陸に置いておいた方が良いか?

 

 

「……っか……ぃ!」

 そんな事を考えていたが、アカリはやる気に満ちた表情でそんな声を出した。もう一回、ね。了解。

 

「ほな、今度は手放すからな?」

「……んぇ」

「もしダメそうだったら助けるから」

「……ん!」

 そう言うとアカリはもう一度息を吸い込んで水中に頭を沈める。今度は手も握ってないし、完全に一人で浮いている訳だ。

 

 

 うんうん、教えればちゃんと出来る娘だからなアカリは。

 

 

 もうそろそろ引き上げてやろうと思った次の瞬間だった。

 

「見てくれアカリぃ! 俺すげー泳ぐの早くなったぜ!!」

 サーナリア様のチートのような教え込みで、早くも泳ぎをマスターしたタクヤが泳いで此方へ向かってくる。

 サーナリアさんどんな教え方したらあんなに人は成長するのか。後で自分にも教えてくれ。

 

 

 それ以前にだな———

 

「おいこら止まれドァホ! アカリはここやで!」

「な———うぇぇっ?!」

 さて、どうなったか口で説明するのは少し難しい。

 

 

 水中に浮いたままのアカリに泳いで突っ込んで来たタクヤ。

 それに驚いてアカリは両手で自分に思いっ切りしがみ付いた。いや、そんな事したら浮上出来なくて溺れちゃうだけだからね?!

 

 

「……いってぇ…………」

「こんの……ドァホ。お、おいアカリ! 落ち着け落ち着け離れろ!」

 未だに水中で自分にしがみ付いているアカリを無理矢理離して、その身体を抱き上げてやる。

 その表情は大型モンスターに襲われた子供のような表情で、とても怖い目にあったんだなと理解出来る物だった。

 

 眼鏡も湖に落ちちゃってるし。

 

 

「……っく、……ひっ」

「ほーらもう大丈夫や———うぉっ?!」

 落ち着かせてやろうと頭を撫でようとするが、アカリは相当怖かったのかその場で一旦暴れ回る。

 少しすると落ち着いたのか、手近に居た人物に思いっきり抱き付いて泣きじゃくったのだった。

 

 

「……っ、……こ……ぃ、ひっ」

「ちょ、ぁ、ぅぁ、あ、あか、アカリ……?」

 因みに、その手近に居た人物とは自分でなくタクヤで。

 多分、眼鏡が無くてタクヤだと思ってないんだろうが……彼の気持ちを知る自分からしてみれば感極まるような光景だった。

 

 

 多分、今のタクヤのどもり声も聞こえて無いだろう。

 

 

「ちょ、あ、あか、アカリ……し、シンカイ…………お、おれ……おれぇ……」

 いや、ええんやで。例えそれが奇跡でも偶然でも掴み取った幸せなんだ。

 普段可哀想な分存分に味わえ。うん。

 

 

「あ、アカリ?! 何してるの?!」

 タクヤの背後から来て驚きの声を漏らすのはサナだった。

 そりゃ、この現場を見れば多分誰もが驚く。人によっては感動の涙すら流しかねない。

 

 

「まぁまぁサナ、たまにはええんや無いか……?」

「良く無いわよ!」

 なんか酷い。

 

「アカリ、それタクだぞ……」

 あー、言っちゃった。

 

「……ほふぇぁぅっとぁ?!」

 聞いた瞬間タクヤを突き飛ばし、危ないと言う暇も与えずにアカリは陸に上がって行く。

 水の中であんなに早く歩ける物なのだろうか。

 

 

「短い夢やったなぁ、タクヤ……」

「つーか何してたのよ……」

 一瞬水中に潜ったかと思えば、その一瞬でアカリの眼鏡を見付けて拾ってからサナはそう聞いてきた。

 何してたと言うか、何があったかと言うか。

 

 

「アカリが水中で浮く練習してる時に、タクヤがドーンって」

「最低ね」

 ご、ごもっともです。

 

 

「ほらタク、謝りに行くわよ。シンカイも付いてきなさいよね」

「まぁ、ワイも止めれんかったしなぁ……」

 と、いう訳で陸に上がってアカリを追いかけようと歩き出す。

 

 しかし、背後で動かないタクヤに気が付いて自分とサナは振り向いた。

 

「何してるの?」

「何しとるん?」

 その二人の質問に、タクヤは顔を真っ赤にしながらこう答える。

 

「いや、その、はみ出ちゃって……」

 何が、とは聞くまい。

 

 聞く前に理解してしまったサナが、水中なのに見事な跳び膝蹴りをタクヤに叩き込んでその身体を沈める。

 

 

「あ、あんた……さ、さ、さ、最低! 信じらんない! このゴミ! 変態痴漢強姦魔!!」

「さ、サナ落ち着いてくれ俺ヴッ?! ちょ、ま、話を———グフェッ、ドグォッ、ま、待って、あっ、そこはダメ!! いやん———いぎにゃぁぉぁぁっ!!!」

 

 

「………………」

 見なかった、聞かなかった事にしよう。自分はただ、そう思った。

 




水着イベントだぜイェィ!(モンハンとは)
やったねタク……。うん、たまには良い事あっても良いと思うよ。


さて、先日せっかくついた色評価ですが少し落ちてしまいました。
私の技量不足ですね……。申し訳ない(こんな事(水着回)してるからか……)。

精進します(´・ω・`)


前回感想にて、キャラクター紹介のご提案を頂きました。
ちょーっとキャラクターの多いこの作品。確かに、あった方が良いかもしれませんね。現在製作中です(´−ω−`)

投稿するのか、本文に乗せるのかあとがきに乗せるのか、はたまた別の方法か。どうしましょう。


さて、また次週お会い出来ると嬉しいです(`・ω・´)
厳しくで良いので評価感想の程も暇があればよろしくお願いします。
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