モンスターハンターStormydragon soaring【完結】 作:皇我リキ
欲望見えるレースも終わり。
残りの時間は各々で自由な時間を過ごしたりした。
「お、えーでえーで。そんな感じや!」
「……ん!」
アカリの泳ぎの特訓にまた付き合ったり。
「もっと右や右ー!」
「こっちかしら……?」
「違うっす逆っす! 絶対にそこでは無いっすぅぅ!!」
スイカとヒールの頭を並べてスイカ割りをクーデリアさんとやったり。
「オセロの続き……?」
「……負けっぱなしでは居られない」
「だからってなんでビーチバレー。しかもワイ」
「行くよカナタ!」
「任せてナタリア!」
ガイルにナタリア、カナタとビーチバレーをやったり。
「中々やるわね……っ!」
「お前にエースの座は取られたが、まだ二番手だからな!」
「水鉄砲捌きにそれ関係あるんか?!」
サナやアニキ達と水鉄砲で遊んだりと。
中々に充実した時間を過ごしたと思っている。これも皆親父の計らいっていうんだから、何か礼をしたい所だな。
そんなこんなで楽しい時間は早く過ぎる物で。照り付けるようだった太陽さんは次第に低くなって行き、空をオレンジ色に染めてから沈んでいく。
「綺麗やのぅ……」
『そうだね!』
こんな楽しい日々が、ずっと続くのだろうか。
「なんだか夢の中に居るみたいや……」
「……?」
そんな独り言は、隣で一緒に夕日を見ていてくれたアカリには通じなかったのか。首を大きく傾げて不思議そうにしていた。
「なーんでも無いっ。さて、戻ろうか? そろそろバーベキュー始まる時間やろ?」
『うん! 行こっ!』
きっと、こんな楽しい日々が続いていく。でも今日はもうおしまいだから、その締めにパーっとやろうじゃ無いか。
「おぅ、行こうか!」
「これ、親父に持って行ってくれないか?」
ケイスケが言いながら手渡して来た皿には溢れんばかりのお肉や野菜が積んであった。
自分達がこの湖を堪能する為に、親父は一人船に残って監視をしてくれているのだ。このくらいの事はしないとな。
「って、それも?」
「あぁ、こっちもこっちも」
しかし一つだと思っていた皿がもう一つある事に驚きを隠せない。
そんなに食べれるのか……?
「悪いが親父の相手もしてやってくれないか?」
「あー、なるほどな。に、二週するわ……」
「俺が持ってってやるよ! しょうがねぇなぁ!」
そう言ってもう一つの皿を手に持つのはブーメランパンツがとても似合わないタクヤだった。
「おぅ、なら宜しく頼むで」
「任せろ!」
二人で歩いて、船の方へ。
「親父ー、飯やでー」
甲板に登ってから見張り台に居る親父に声を掛ける。
「おぅ! そこ少し退けぃ!」
ん? なんで?
そう思ったのも束の間。親父は見張り台から飛び降り、自分の目の前に大きな音を立てながら着地したのだった。
何メートルあると思ってるんだこの人?!
「どぅっはっ?! あっぶな!! 船壊れるで?!」
「がっはは! バカにするんじゃねーよ! 俺の船がそう簡単に壊れ———」
親父がそう言うのも束の間。その足元で嫌な音がしたかと思えば、床を形成していた木の一部が豪快に凹んだ。
「———たな」
「あちぁぁ……」
まぁ、そんな事もある。
「楽しんでるか! 二人共!」
気を取り直して、三人で机に座って食事を囲んだ。この時間まで親父は一人で見張りなんてしていたのに、自分達に楽しんでるか聞くのか。
本当に、家族思いな人だ。
「おかげさまで」
「がっはは! そりゃ、良い! 人生楽しくないといけねぇ。タク、おめーはどうだ? アカリの水着見て興奮したか!」
自分の実の娘を口に出して何言ってんのこの人。
「な、何言ってんだよ親父! お、俺は……そんな…………ね? 紳士だから! うん!」
「はみ出しとったけどな」
「喋るなシンカイぃぃいいい!!」
事実だ。
「がっはは! 男はその位が良いんだよ。まぁ、アカリが欲しけりゃもっと強くなれ。俺は応援してるぜ!」
「お、お父さん……っ!」
「がっはは! まぁ、まだまだお前はなっちないないがなぁ!」
そう言うと親父はタクヤの背中を軽く叩く。
「どべっふぇっ?!」
い、いや、本人は軽くだったつもり……なんだろうが。タクヤ自身は甲板を転がっていった。
「親父は応援しとるんやなぁ」
「俺は皆が幸せになればそれで良いのさ。だからアカリが誰とくっつこうと、それがアカリの望んだ事で、それでアカリが幸せになれるならそれで良い」
軽く考えているようには見えない。そんな父親の表情を、親父はしていた。
「勿論、お前でも構わないし。ラルフでもガイルでもヒールでも良い。アカリだけじゃねぇ。お前達が幸せになれるなら誰が誰とくっつこうと、それで良いのさ。勿論外の奴とでも構わねぇし、それでこの猟団を抜ける事になっても、それが幸せなら……それで良い」
親父は言い終わると肉を口いっぱいに詰め込み始める。
そういや、結婚して出て行った奴が居たんだよなぁ。
それでも、親父は家族の幸せを一番に考えてくれているのだろう。
「……親父」
「ん? なんだ」
「野菜も食えや。栄養バランス悪いと身体壊して家族に迷惑掛けるで」
「んーな柔じゃぁねーよ!」
「ボフゥッェ?!」
なんで叩かれた?! クソ痛いんだけど!!
「……ありがとよ」
「照れ隠しかいな……」
もう少しお手柔らかにお願いします。
「……そろそろ日が暮れるな。もう少ししたら片付けさせるか」
「ならワイが戻って伝えて来ようか?」
「いんや、俺が行く。お前とタクヤは船で待ってなぁ! 片付けは歳上にやらせときゃ良いんだよ!」
そう言うと親父は今度は船の上から飛び降りて湖の方に向かって行く。相変わらず人外染みてるが、良く良く思い出せば竜人なんだっけ。
「なーら、お言葉に甘えるとするかのぅ。……おーい、タクヤくーん。起きろや」
「———ハッ?! な、何が?! 何があった?!」
記憶飛んどるんだど。親父怖いんだけど。
「祭りは終わりや。片付けは年長者がやってくれるみたいやから、その似合わないブーメランパンツも脱げ脱げ」
「お、お前こんな外から丸見えの所で俺を襲う気なのか?! ……まさか、ホモなのか?!」
「どうしてそうなるんや!! もう着替えようって言う話やろがい!!」
そうやってふざけ合いながら二人で下に降りて着替えを済ます。女子の水着姿も見納めになるので、ここで待っていて最後に目に焼き付ける事にした。
勿論、提案者はタクヤだ。
「シンカイって頭良いよな」
「黙れ」
「ぇ、なんで……」
提案者はタクヤだ。
「シンカイってさ……その、好きな女の子って居るのか?」
「それはなタクヤ、女の子が好きな男の子に聞く質問やで? ホモなんか?」
「ちげーよ!! 俺はアカリ一筋だから!!」
「クーデリアさんの胸元に釘付けだったような……」
「男ならしょうがないだろ!!」
「同意や」
「同意するのかよ!!」
男の子だもん。
「んーで、なんの話やったっけ?」
「だから……恋話だよ」
女かお前は。
「特に考えた事は無いなぁ……。ナタリアって天使みたいに可愛いと思うけど。いや、でも良く考えたらここのレベルは皆高い」
しかし、下心が湧いた事はあるが恋心を感じた事はまだ無い。
悪く言えば、家族と思い込んでしまっているから。そういう感情に至らないのかもしれない。
「しかし、まぁ。誰かを自分の物にしようとは……思った事は無い。…………皆良い奴だから、選べてないだけかも知れへんけどな」
明確な好意というのをまだ分かっていない自分もいる訳で。そういうのは難しいのだ。
タクヤやナタリアやケイスケみたいに、ハッキリと自分の感情を掴めていない。の、かも知れない。
「せやから、よー分からん」
「そうか……」
その点、タクヤはアカリに明確な好意という奴があるみたいで。
それが良い事なのか、悪い事なのか、自分では判断しかねる問題だ。
「俺ってシンカイに猟団に入った理由話したっけ?」
「いや」
あ、これいつもの奴だ。そう思って身構えた。
このタクヤだって。なんとなくで猟団にいる訳では無いのだろう。
そう考えると、なんとなく会社を辞めてなんとなく此処に居る自分がなんだか恥ずかしい気もして来た。
「んな、身構えなくても変な話じゃねーよ」
「無理言うなや……」
これまで何人の重い話を聞いたと思ってるんだ。
「俺さ、家出中に死にかけてさ」
「やっぱり重いやん!!」
「そうか?」
いや、開幕命かかってるんだけど。
「家族と喧嘩してどうしても家に戻れなくてさー、砂漠でのたれ死ぬ寸前でアカリが俺を見付けてくれたんだよ」
「ほぉ……それで?」
「それだけじゃない。死にかけの俺を必死に介護までしてくれて、船に乗せてくれるようにも頼んでくれたんだ!」
アカリは優しい。多分彼女にとってそれは当たり前の行動だったのかもしれない。
でも、それはタクヤにとって命に関わる事だったのだ。
「んで、まぁ……気が付いたら船の中にいて。事情話したら親と仲直りする気になるまで猟団に居させてくれるってなってさ」
「軽っ」
「うるせーよ。シンカイも大概だろ?」
それを言われると返す言葉も無い。
「え、てか、つまり……お前は今、家出中なんか……?」
「そうだな」
帰れよ。
「お前なぁ……」
「親二人が、俺には何も無いって馬鹿にして来たんだよ。だから俺はあの二人がビックリするくらい立派になって、彼女も作ってから戻ってやる! そう決めたんだ」
「両親は心配しとるんやないか……?」
「旅に出ますって手紙出しといたこら大丈夫!」
そんなバカな。
「だからさ、シンカイ! 俺、新しい武器を構えてアカリに格好良い所見せてさ……」
意を決したように一旦空気を吸ってから、彼はこう続けた。
「……告白してみる!!」
「……おぅ、そうか」
正直言ってビックリした。タクヤにそんな度胸があるとは思ってなかったから。
ただ、それくらいに真剣なんだな。そう思った。
「応援するで! 頑張れや、タクヤ」
「お、おぅ!」
次の狩りか。さて、どうなる事やら。
そんな会話をしていると片付けを終えた皆が帰って来て、きちんと水着姿の見納めをしてから今回のイベントは幕を閉じたのであった。
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「とうちゃぁぁっく!!」
年齢の割に落ち着いているいつもの彼女とは違い、一段と騒ぎながら船から降りるのはサーナリア。
ここカラドボルグは砂漠と密林を分け隔てる境にある村で、北に砂漠南には密林と様々な物資が行き交う賑やかな場所である。
砂漠と密林の両方を捉えられる事や、村の中央にある推定百歳の巨大サボテン等地理に恵まれているおかげで観光地としても有名だ。
そして我等がエースのサーナリア様はサボテンオタク。カラドボルグに来る度にあの巨大サボテンでテンションが上がるのだとか。
ちなみに自分はこれで二回目。
湖に行ったあの日の次の日にダイダロスで自分とタクヤの武器を受け取り、数日掛けてこの街へ。
態々砂漠の端にあるこの村に来たのは、最近ここら一帯の生態環境に不穏な動きが見られる事からクエストに事欠かないらしいからだ。
何やら密林のモンスター達の動向に不可解な点が多数発見されているとか。密林で不可解と言えばあのジンオウガの異様な死体を思い出すが。
さて、村に着けばさっそく親父がカラドボルグの村長と話のため集会所へ。
とりあえず団員は村で自由行動兼休憩という事だがどうするか。
「……切れ味でも試すか」
何もしないでボーッとするのも無いと思い、せっかく新調した新たな相棒を手に立ち上がる。
レックスライサー。轟竜の素材をふんだんに使った切れ味抜群の双剣だ。
ボーンシックルと比べるともう桁が格で違う代物。駆け出しハンターの自分には少し手に余る気もする。
そんな新しい武器の切れ味を試そうと思って立ち上がった矢先、背後から一人に声をかけられた。
「悪いなシンカイ、そいつの試し切りはまた今度だ」
そう言う背後の人物は狩り用のフル装備に、スラッシュアックスを肩に乗せて申し訳なさそうな顔をしている。
「どういう事や? アニキ」
「次のクエストはお前にこれを使ってもらう」
そう言いながらアニキが片手でひょいと渡して来たのは片手剣、デスパライズ。
ついこの間までタクヤが使っていた一品な訳だが。
はて、これを使ってもらう? どういう事だ?
「次のクエストがもう決まってな。密林でゲリョス二頭の討伐だ」
「で、なんでワイが片手剣……?」
双剣使いからすれば片手剣は手数が減るだけの物なのだ。片手剣使いからすれば、また違う意見が出て来るのだろうが。
「ゲリョス一匹ごとにタクヤの武器を変えて、どっちが良いか最終判断を付けようってのが……ケイスケの考えだ。で、まぁ一匹倒す度に戻って来るのも面倒だからこいつを持っててくれ」
「なーるほどなぁ。ま、そういう事ならええで」
片手剣をまるで使えないという訳でも無いしな。
「メンバーは?」
「俺とお前、タクヤに……タクヤの強い願いもあってアカリだ」
「ゲリョス相手に大丈夫やろうか……。まぁ、アニキがなんとかフォローするやろ」
「他人事みたいに言うなよ。お前もフォローするんだ」
デスヨネー。
「まぁ、良いとして。タクヤの奴なんでアカリをあんなに強く押して来たんだか。狩り中に恋にうつつを抜かしてると痛い目に合いそうだが……」
「この狩りで格好良い所見せて、アカリに告白するんやと」
「マジか?!」
「マジや」
一旦考えてからアニキは「なるほどな」と言いながらどこか遠い所に眼をやる。
それは成長していく弟を見るような表情だった。
「格好良い所見せられるように全力で為にフォローしてやるか」
「流石アニキ、話が早くて助かるわ!」
「うし、ならタクヤの奴呼んで来い。クエスト行くぜ!」
さて、タクヤの一世一代の大勝負か。
どつなる事か。
どうなる事か。
久し振りにモンスターハンターの世界に戻って来た感じがしますね()
さてさて、別に私はゲリョスがこれといって好きと言う訳では無いのですが……なぜにこうもゲリョスに出番があるのか(´−ω−`)
その謎はもうそろそろ明らかに!←
久し振りの狩りシーン頑張ります(`・ω・´)
また次週お会い出来ると嬉しいです。
厳しくで良いので評価感想の程も暇があればよろしくお願いします。