モンスターハンターStormydragon soaring【完結】   作:皇我リキ

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お久しぶりです。登場人物紹介を書くとか言っていたのにまったく書かないでごめんなさい。アレ結構難しいんですよね。言い訳です。

今回はどうしても他の作品でクリスマスイベントが書けなかったので、完結したこの作品での投稿になります。
まぁ、もうクリスマス終わったんだけどね!!


細かい事は気にせずに。


それでは、久し振りの彼等のお話をご覧下さい。


クリスマス特別番外編
彼女が欲しかった物


「クリスマスプレゼント?」

 突如目の前に現れた巨人───もとい親爺。橘デルフは、非常に気持ち悪い笑みを浮かべながらそう聞いてきた。

 

 

 そうか、もうそんな時期か。

 

 

 どこかの地方には、なんかよくわからん偉い人の誕生日を祝うというイベントがあるらしい。

 その日には何故か謎の赤装束を着たおっさんが、全国の子供達にプレゼントを配る風習があるようだ。

 

 ちなみに、そんな赤装束のおっさんは実際には存在せず親や兄弟が、子供の寝ている時にプレゼントを渡す。

 夢など無い。ちなみに自分は、七歳の時に「サンタもプレゼントも、存在しないんだよ」と子供の夢を打ち砕かれた。許せん。

 

 

 

 そんな訳で、クリスマスに優しい親は子供達にプレゼントを渡すのだ。

 親爺にとって猟団の皆は子供みたいなものだから、プレゼントを用意してくれるらしい。

 

 

「い、いや、ワイは要らへんで?」

「そう言うなシンカイ。毎年皆に渡してるんだ、気にせずに受け取ってくれ」

 と、言われてもなぁ。今特に欲しい物がある訳でもない。

 

 ……強いていうなら自分がアカリにプレゼントをしたいので、アカリの欲しい物が知りたい。

 

 

「アカリはどうする?」

『フルフルベビーの人形が欲しい!!』

 隣にいたアカリは、即答でそう答える。スケッチブックに書かれた文字は普段より気合の入った太い文字で、それが冗談でもなんでも無いということを物語っていた。

 

「よーし分かったぞ! で、シンカイ。お前はどうするんだ?」

「あ、そうだ。……娘さんを下さ───」

「まだ二年は早い」

 キメ声で言ったら頭を持ち上げられ、そう言われる。ごめんなさい冗談です。勿論まだ十四歳のアカリをどうこうしようなんて思っておりません!!

 

「ハッハッ、まぁ待ってろ待ってろ。今はまだそんな歳じゃねーだろ。青春を謳歌しな。……ケイスケはそろそろ頑張って欲しいけどなぁ」

 ケイスケはカナタが問題だからなぁ……。

 

 

「お、そうだ。ならシンカイにはとっておきでアカリと二人っきりで過ごす夜をプレゼントだ!」

「え、なにそれ。え───」

「ろい事したらぶん殴るからな。ガッハッハっ!」

「なにそれって聞こうとしただけやしぃ?! そんな事微塵とも思ってないしぃ?!」

「……んぇ?」

 ちぃ!! それただの拷問じゃないか?! そしてアカリが何の事か分かってない様子なのが罪悪感高まる!!

 

「アレだ、クリスマスの日はダイダロスでいつも通り宿を取るつもりなんだがな。シンカイとアカリだけ特別に二人部屋で宿を取ってやるよ! あと、ケーキとかも用意しといてやるから楽しめ!」

『楽しみだね! シンカイ君!』

「せやな。まぁ、邪念は抜きにしてせっかくやし楽しもうか」

「ん?」

 何でもない、何でもないぞ!

 

 

「んじゃよ、シンカイ。代わりと言っちゃ何だが、全員にクリスマスプレゼント何が良いか聞いてきてくれねーか?」

「全員か、ケイスケ達もやな。そんくらいお安い御用やで」

 サンタを信じてる信じてないの問題ではなく、クリスマスにプレゼントを渡してくれるなんて最高だと思う。

 

「おう、頼むぜ。アカリも手伝え、勿論サナの時は慎重にな?」

「ん!」

 アカリが元気に返事を返して、自分と二人で皆の所に行く事に。

 さて、それじゃケイスケじゃないが久し振りに言ってみるか!

 

 

「クエストスタートや!!」

 

 

   ◆ ◆ ◆

 

「クリスマスプレゼントっすか? そうっすね、彼女が欲しいっす」

 モヒカンが真顔でそう答えた。

 

 

 ヒール、お前は真面目に返してくれると思ったのに。

 

 

「落ち着けヒール。サンタさんは人身売買までは出来ないんだ」

「んな事ぁ分かってるんすよ! でもなんか最近、皆色気付いて来ちゃって、なんか取り残された感じしてきてるんすよ。ケイスケとカナタは元々、アニキは姉ちゃんから矢印向いてるっすし、シンカイはアカリとくっついちゃうし、サナはそんなシンカイに矢印だし、そんなサナにガイルがなんか矢印だし?! なんなんすか!! 俺だってイチャイチャしたいっすよ。具体的にはクー姉さんとあんな事やこんな事がしたいっす!!」

「……ぁ、な、、こ、?」

「アカリの前だから落ち着いて? それ以上具体的に言ったらぶん殴られるよ? 親爺に」

 そんなに溜まっていたのかヒール……。

 

 

「ごめんなさい、私歳下には興味無いの」

 そして、たまたま通りかかったクーデリアさんに振られるヒール。流石に可哀想。

 

 

「泣いていいっすか?」

「胸貸してやるよ」

「リア充の励ましなんて要らないっすよぉ!!」

 ……なら誰に励まして貰うんだ。

 

「私は彼氏が欲しいわ。歳上の」

「だからあんたも落ち着け?!」

 結局ヒールは新しい櫛。クーデリアさんは素敵な髪留めとの事。

 

 

 

 うん、二人の将来に幸あれ。

 

 

 

   ◆ ◆ ◆

 

「クリスマスプレゼントか、もう正直そんな歳でもないんだがな」

 そう言うアニキは、何故か空を見上げながら瞳を閉じる。なにを考えているのだろうか?

 そうして少し時間が経ってから瞳を開けたアニキは、ゆっくりとこう口を開いた。

 

 

「壊れにくいブーメランとか、かな」

「……ブーメランパンツ?」

「ブーメランだよ。木で出来た、投げたら帰ってくる奴」

 な、なんでアニキがそんなオモチャみたいな物を。

 

「なんでそんな物を……?」

「タクヤがすげー上手かっただろ? 俺も練習してみようかなって思ったんだよな」

 タクヤ……。

 

 

「そしたらよ……あいつの事をちゃんと忘れないでいられると思うんだよな」

「アニキぃぃ……」

 辞めて、泣きそうになるから辞めて。なんでアニキそんなに格好良いの? 惚れそう。

 

 

『私も練習したい!』

「おう、一緒にやろうぜ」

 そんな訳で、アニキはブーメランに決定。

 

 

   ◆ ◆ ◆

 

「……新しい筋トレマシーンが欲しい」

「普通。以外に普通。絶対にぶっ飛んだ物頼んでくると思ってたのに、普通」

 ガイルが正直一番読めないからな。何を頼んでくると思っていた。

 

 

 まぁ、筋トレマシーンも正気変だが?

 普段のガイルを考えると全然普通である。

 

 

「……本当に欲しい物は己の力で手に入れる物だ。だから俺は、己を鍛える物が欲しい」

 格好良い事言ってるって事は分かった。さて、それならガイルが本当に欲しい物とはなんなのか?

 

 

『力を付けて欲しい物は?』

「……」

 アカリの問いに俯くガイル。どうした?

 

 

「…………」

「おーいガイルくーん? もしもーし、ガイルくーん?」

 なんか顔赤くない? 心なしか赤くない?

 

 

「……サーナリアが欲しい」

「聞いてごめん! 分かったからそんなに赤くならないで!! なんか凄い申し訳なくなるから!! いやマジごめんて!!」

 この人本当読めないからね。正直このサナへの気持ちもどうなのか分からない。

 

 いや、でも、まぁ。

 

 

『頑張って!』

「……うす」

 多分、本気なんだろう。

 

 

 

 そんな訳で、ガイルは筋トレマシーン。いや、どこに置く気だお前。

 

 

   ◆ ◆ ◆

 

「クリスマスプレゼント? わ、私は要らないよ……。カナタは?」

 そう言うと思いましたよ、我らがナタリア。

 

 

「でも毎年貰っとるんやろ?」

「ナタリアの分は毎回私が選んでるのよね。この子本当に消極的だから」

 そりゃ、ナタリアらしい。

 

「それじゃ今年は、二人でお揃いの腕輪とかにしちゃおっか」

「え、あ、うん。カナタとお揃いなら嬉しいかな」

 圧倒的女子力。

 

 

『私も何かシンカイくんとお揃いで欲しいな』

 圧倒的天使。

 

 

 そんな訳で、ナタリアとカナタはお揃いの腕輪に決定。

 

 

   ◆ ◆ ◆

 

「カナタをくれ」

「言うと思ったよ」

 ブレないケイスケが自分は嫌いじゃないよ。

 

 

「分かってる……。好きな女は自分で手に入れるものだと」

「なら頑張れー?」

「だから親父にはカナタ用のウェディングドレスを貰う」

 話が飛び過ぎだろうがい!!

 

『楽しみだね!』

「ふ、カナタのドレス姿……。ふふ」

 黙ってるかカナタが関わらないと格好良いのにな……。

 

 

「で、本当に決定でええと思う?」

『素敵だと思う!』

 もうどうにでもなれ。

 

 

 ケイスケはウェディングドレスと。

 

 

   ◆ ◆ ◆

 

 さて、後はサナだけか。

 

 

「サナさーん、サーナリアさーん。あ、おった。おーい、サナ! 親爺がクリスマスプ───ぐふぇっ?!」

 サナに話しかけようとしたら、当然背後から何かで叩かれた。

 

 

 え?! なに?! なんの感触?! なんか薄い紙の束みたいな。え?! もしかしてスケッチブック?!

 

 

 アカリに叩かれたの?!

 

 

『サナ、何か今欲しい物ある?』

 そしてそのアカリは、自分を通り越してサナにスケッチブックを見せていた。

 

 

 待って、どういう事?!

 

 

 

「な、なにすんねんアカリ。親爺から頼まれて全員にクリ───ずぇっ?!」

 口にスケッチブックを突っ込まれた。なんでだ?! なんでこんな目に?!

 

 

「親爺……? クリスマス……?」

「ん! ん!」

「ん? え、欲しい物……? えーと、特には無いけど。それにもう少しでクリスマスだし、欲しい物ならサンタさんに貰うわよ」

 え、今この娘なんて言った?

 

 

 え、今サーナリアさんなんて言った?!

 

 

 

 サンタさんとか言った?!

 

 

 

「ぁ……ぅ、ぇ、と、の」

 し、しまった……。まさか、まさかと思っていたが……。

 

 

 

 サーナリアさん、サンタさん信じてる……?

 

 

 

「ちょ、悪い。今のなしや。出直してくる! ほいじゃなぁ!!」

 アカリの手を引いてとりあえずこの場は脱出する。

 

 ヤバイよ? マジでヤバイよ?

 

 

 全然簡単なクエストだと思ってたけど、めっちゃ難関なクエストだったよ?

 

 

 何この仕様。ゲネポス狩りに行ったつもりがティガレックスと遭遇した気分だよ。めっちゃピンチだよ!!

 

 

 

「な、なんだったの……。まぁ、そろそろクリスマスねぇ……。ふふ、楽しみ」

 

 

   ◆ ◆ ◆

 

「……どないしよ」

『ごめんねシンカイ君』

 二人でとりあえず反省会。アカリは咄嗟とはいえ自分を叩いたりした事と、サナの事情を言わなかった事を後悔しているらしかった。

 

 

 いや、そうは言っても結局悪いのは自分だ。これはなんとかしなければならない。

 

 

 

「考えてもしゃーない。とりあえず行動や」

『どうするの?』

「サナの事を知ってるのはやっぱりお姉さんやろ」

 と、そんな訳でアカリと二人で再びクーデリアさんの所に向かう。

 妹の事だし、何が知っているかもしれない。

 

 

「サナの欲しい物、ねぇ。……そういえば去年も苦労したかしら、それで」

「去年はどうしたんや? あと、猟団に入る前とかは」

「猟団に入る頃は、サンタさんに手紙を出させてたわ」

 辞めて、あのサーナリアさんがサンタさんに手紙出す所なんて想像したくない!!

 

 

 いや、でもサナはまだアレで十三歳なんだよなぁ……。……忘れてたわ。

 

 

「猟団に入った後は?」

「伝書鳩に、誰にも見せずに付けて飛ばしてるわ」

 積んだ。

 

「いや、それじゃ何が欲しかったか分からへんのとちゃうか? どうやってプレゼント選んだん?」

「運良く聞き出したりしてたのよ。だからシンカイ君、頑張って聞き出して」

「他人事やないんやで?!」

「別に私はサナの子供の夢なんてどうでも良いというか、あの子はもう十三だし。そろそろ良いと思ってるのよね」

 そ、それはそうかもしれないが。

 

 

「いや、出来るだけバレずに渡したいやん」

「あら、なんで?」

 そんなもん、決まってる。

 

 

 

「本当にサンタが来たって思うのは、そりゃ幸せな気分やからなぁ」

 

 

 

 そんな訳で再挑戦。

 

 

 

「サナ、サンタに何頼んだんや?」

 とりあえず、直球で聞いてみた。

 

 アレだ、別に何頼んだか聞くくらいなんの問題もないだろう。

 そこで秘密にされた時に、無理矢理聞くと怪しまれるけども。

 

 

「……秘密よ」

 秘密にされました。

 

「そ、そうかい……」

「シンカイは何にしたの?」

 そう来たならば。

 

 

「サナが教えてくれたら教えたるわ」

 どうだ。これで答えるしかあるまい?!

 

「どーせアカリと二人きりの時間とかそんか臭い事でしょ?」

「な、なぜ分かった?! って、臭い言うなや。これは親爺が勝手───あ、なんでもない」

 あぶねぇ?! サンタが親爺だとバラす所だった。策士かこいつ。

 

 

「親爺……?」

「な、なんでもあらへん。なんでもあらへんでぇ……」

 落ち着け自分。このクエストは失敗出来ない。なんとしてでも達成するんだ。

 

 

「ふふ、言ってみただけよ。……まぁ、サンタがそれを本当に叶えてくれたら素敵なプレゼントよね。……羨ましい」

「最後なんて言った?」

「アカリと変わりたいって言ったのよ」

 いや誤魔化せよ。ていうかまだ根に持ってたのか……っ!

 

 

 な、なんか恥ずかしいな……。

 

 

「ま、私がサンタに貰えるものは秘密よ。……教えたら叶わない気がするし、本当に貰えるかも分からないもん」

 結局、欲しい物は聞き出せず。

 

 

 その後数日間、何度かチャレンジするもクエストは失敗。結局クリスマス当日になって、ダイダロスに到着してしまった。

 

 

 

「で、サナのプレゼントはどうしようなぁ」

「すまん親爺……。ワイが不甲斐ないばかりに……」

「いや、シンカイが悪い訳じゃねーさ。中々難しい問題だからな。前回がサボテンだったし、植木鉢でも買うか?」

 そんな物じゃないとは思うけどなぁ……。

 

 

 しかし、欲しい物が聴けなかったのなら仕方がない。

 

 

「……俺に考えがある」

 そんな絶望の淵で、ガイルが小さく言葉を落とす。考えだと……?

 

「何かサナの欲しいものを知る方法があるんか?」

「……伝書鳩だ」

 伝書鳩?

 

 

「……サナがサンタに託した手紙は、伝書鳩によって放たれた。俺達の船から飛ぶ伝書鳩の行く先はこの街、ダイダロスのギルド。そこに行けば、手紙を回収する事が出来るかもしれない」

「な、成る程。それなら欲しい物分かるやん! 天才か!」

『私も手伝うね!』

 そうとなれば早速ギルドに向かうしかない。プレゼントを準備する時間もあるし、急がねば。

 

 

「ようしきた。ならばガイル、シンカイ、アカリ! サナの欲しがってるもんを調べてこい! 旅館の手続きなんかは任せとけ。シンカイ、二人きりの部屋楽しみにしてろよ」

 勿論。二人きりであんな事やこんな事───いや、しないけどね。イチャイチャはしたい。イチャイチャって何か分からんけども。

 

 

 今はとりあえずサナのプレゼントだ。

 

 

 

 そんな訳で、三人はギルドの集会所へ。

 そこに集められ、宛先が現れなかった手紙を漁る事にした───が、これが想像以上に苦戦する事になる。

 

 まず量が多い。

 ギルドの人曰く、この時期はサナみたいにクリスマスプレゼントを伝書鳩でサンタに頼む子供が多いらしい。

 

 ぱっと見だけで山になっている。子供達の夢の山だ。

 

 

 

 こりゃ……大物だぜ。

 

 

 

『どうしよう……?』

「虱潰しに見ていくしかないわな……。時間的にはギリギリか」

 問題はどれがサナの書いた手紙か分からないって事だ。そこはもう見抜くしかない。

 

 

「……見付けるぞ」

 真剣ですね。まぁ、こういう時のガイルは頼りになる。

 

 

 そんな訳で大量の手紙を漁っていく。それを買いに行く時間を考えると本当にギリギリの時間だ。

 

 

「メラルーの人形、ウルクススの人形、時計、楽器、アクセサリー、麦藁人形。……あかん、全部違う気がするし全部当たりな気もする」

 こんなの分かる訳なくない?

 

「アカリ、そっちはどうや……?」

「んぅ……」

 ダメか。

 

「ガイルは?」

「……無駄足だったな」

 辛辣過ぎ。

 

 

「……どうかしたん?」

「……正直、俺はサンタにこの手紙を渡す気は無かった」

 それは親爺には教えないって事なのか?

 

 

「……ただ、無駄足だったな」

 ごめん、いつも通りだけどガイル君が何言ってるか分からない。

 

 

 

「……俺は帰る」

「え、ちょ、ガイルぅ?! オイコラァ?!」

 ガイルは結局そのまま帰ってしまった。え、何……? どうしたのあの子。

 

 

 その後アカリと二人で色々漁ってみたが、それっぽい物は見つからない。

 とりあえずサナの字っぽい物を掛け集めて、その中から運で選ぶしかない気がした。

 

 

 

 その趣旨と、それっぽい手紙を何通が親爺に見せて最終的には親爺に決めてもらう事にする。

 クエストはどちらかというと失敗だった。はぁ……落ち込む。

 

 それにサナの夢が壊れてしまうと思うと、なんともやるせない気持ちになった。

 

 

 

 しかし、時というのは残酷で進んで行くしかない。

 

 

 旅館に皆で集まって、クリスマスパーティー。それが終われば自分とアカリは約束の二人部屋に別れて就寝。

 

 朝起きたら親爺がプレゼントを枕元に置いておいてくれるって訳だ。

 

 

 

 

「大物を買ってきたわよ!」

 パーティー用の巨大ターキー、その元であるガーグァを一羽抱えてくるカナタとナタリア。

 あれ丸々食べるんですか……。凄い楽しみなんだけど。

 

 

「さて、それじゃパパッと料理しようかな!」

「ナタリア、調味料。お姉ちゃんはガーグァの解体、アカリは私と味付けして行くわよ」

「待って、サナ。私は? 私は何したら良いの?」

「何もしないで? 出来るなら料理に関わらないで?」

「酷くない?!」

 そりゃ、そうだよね?

 

 

「よしカナタ、悲しいなら俺の胸を貸してやる」

「ラルフ、私を慰めて……」

「いや……お前が悪い」

 幼馴染が全員噛み合ってない。

 

 

 

「さて、女子どもが飯の支度をしてる間に俺達で部屋の飾り付けやるかぁ!」

「まってお父さん!! 私は?! 私も女子だよ?!」

「初めぇ!!」

「無視!!!」

 カナタ……。

 

 

 して、旅館から資材を借りて本格的なクリスマスパーティーの飾りをしていく我等が橘狩猟団。

 大きなツリーに男どもが集まって飾りを付けている様はなんだか暑苦しい。

 

 

「親爺、もう少しあっちに行ってくれ」

「おっとすまん」

「親爺、そこにこれ付けたいっす」

「おぉ、すまんすまん」

「お父さん邪魔」

「邪魔……っ?!」

 カナタがさっきの仕返しをしていた。

 

 

 まぁ、親爺デカいからなぁ……。

 

 

 

「そんじゃぁ、始めるぞぉ!! メリークリスマス!!!」

「「「メリークリスマス!!」」」

 親爺の合図でパーティー開始。相変わらずの声量である。

 

 

「よっしゃ食え食えぇ!!」

「ターキーっす! 去年はなぜかターキーを食べた後の記憶が無かったっすからね、今年は腹一杯食べるっすよ」

 何があったんだ───いや、想像ついたわ。

 

 今回は大丈夫。カナタずっと飾り付けしてたし。

 

 

「頂くっす! あー、う───ゔぇおぁおぇおぁあああっ」

 ……何故だ。

 

「ヒールぅぅ!!!」

「なんでや?! なんでヒールが毎回死ななあかんのや!!」

 カナタの入り込む余地なんて無かった筈だろう?!

 

 

「あ、それ後で私が食べようと思って一度取って味付けしたターキー……」

「なんで戻した!! ていうかカナタは食えるの?! あんたは食っても平気なの?!」

 なんかもうカナタが事件を起こさないのは無理な気がしてきた。

 

 

 あわよくば、自分に当たりませんように。

 

 

 

「いやー、しかしターキー美味いな。こんな豪勢なもん初めてや」

『味付け頑張ったよ!』

 クリスマス万歳。もう既に来年が楽しみだ。

 

 

 ……タクヤとも過ごしたかったな。

 

 

 

「……もう、誰も───」

「クリスマスと言ったらサンタコスっすよ!」

 突然立ち上がりそんな声を上げるヒール。え、何?

 

 

「復活早?!」

「まさか食い過ぎて抵抗が出来てきたんじゃない……?」

 嫌だ。そんなの嫌だよヒール。人間捨ててるよヒール。

 

「毒物みたいに言わないでよ?!」

 いや毒物だよ?

 

 

『サンタコス?』

「サンタさん衣装っすよ。女の子用は可愛いので、是非見たいっす」

 男が着てもただの赤装束だしな。

 

 うむ、サンタ衣装か。是非見たい。

 

 

「カナタには拒否権ないで?」

「なんでよ!」

「……着てくれないんすか?」

 ヒールが怖い。

 

「わ、分かったわよぉ!!」

 後ろでケイスケが強くガッツポーズをしていたのを自分は見逃さなかった。

 

 

「こうなったらナタリアも道連れよ!」

「え、ちょ、待って?! 恥ずかしい……っ。待って?!」

 華奢なナタリアがカナタに勝てる訳も無く、連行。

 

 

『私も着た方が良いのかな?』

「別に強制やないけど、ワイはアカリのサンタコス見たいな」

「……んぁ」

 ちょっと顔を赤くするアカリ。あ、可愛い。普通に可愛い。天使。

 しかし、この言い方は少しズルかっただろうか?

 

 

『着てくるね!』

 やったぜ。

 

 

「んじゃ、私も行くか」

「サナも着るんか?」

「もうこの際なら全員着た方が良いでしょ。ほら、お姉ちゃんも行くわよ」

「え、私も?」

 願ってもみない、女子組全員のクリスマス衣装だ。クリスマス万歳。クリスマス万歳!

 

 

 

「オラァ! 着てやったわよヒールぅ!!」

「最高っすカナタぁ!!」

「良くやったヒール!!」

「ケイスケは見るなぁ!!」

 目潰し。

 

 カナタを先陣に五人の美少女美女が、フリフリでモコモコな可愛い赤装束を着て現れる。

 全員の統一感ある赤装束は、普段は見慣れない物でとても目の保養になった。

 

 

「……は、恥ずかしい」

「ナタリア、嫌だったら断っても良いんだぜ。カナタの無茶振りはいつもの事だしな」

 アニキ……なぜ今この時にナタリアに話しかけるの? 狙ってるの? ねぇ、狙ってるの? 格好良い事言う気でしょ?! そうなんでしょ?!

 

 

「ら、ら、ら、ら、ラルフ君。ぁ、あ、あ、ぁ、あの、でも……その…………皆着てるし。せっかくだから。でも、皆と比べ破られると恥ずかしいなって……うぅ……」

「ん、そうか。まぁ、似合ってるからもっと胸張ってろって。それにせっかくのパーティーなんだから楽しもうぜ」

 アニキぃぃぃ……っ!!

 

 

 無駄に可愛いとか言わないのが好ポイントだよ……。自分ならなりふり構わず言うからね?

 

 

 

「……ん!」

 そんなナタリア達を微笑ましく見ていると、少しむすっとした表情のアカリさんが自分の手を引っ張った。

 

 えーと、どうしんだ?

 

 

「せっかく私がサンタコスなんだから他の女の子なんて見ないでって言いたいのよきっと」

 そう通訳してくれるのは同じくサンタコスのサーナリア。

 アカリはそれを聞いて顔を真っ赤にして蹲ってしまった。可愛い。

 

「も、勿論アカリが一番やで?!」

「……んぁ」

「……む」

 いや、この状況でサナの事は褒められないからな?! 薄っぺらくなっちゃうし。

 

 ……まぁ、サナも充分可愛いけどもさ。

 

 

 

「ま、あんたはそれで良いのよ。……さて、はしゃぎ回るわよ皆!! 変にもやもやするより、この家族で居られることを今は楽しむの。アカリも!!」

「ん!」

 そうだな……。

 

 

 今は皆で楽しもう。

 

 

「サナも似合っとるし、可愛いで」

「……バーカ、薄っぺらいっての」

 ま、自分は元々そんな出来た人間じゃないからな。

 

 

 

 

 

「……ちょっと? なんか私だけ反応ないんだけど?」

「綺麗っすよクー姉さん! 付き合って下さいっす!」

「歳上になってから出直してきなさい」

「どうしようもないっすね!!」

 

 

 

   ◆ ◆ ◆

 

「シンカイ君とアカリちゃんの部屋はこっちのお部屋ね」

 ナタリアに連れられてアカリと来たのは皆が寝る場所とは違う二人部屋。親爺の粋な計らいで今夜はアカリと二人きりだ。

 

 

 ぐひひ、これはつまりえ───

 

「ろい事はしたらダメだよ?」

 読心術?!

 

 

「な、何言ってるか分からないよ?!」

「って、言ったらシンカイ君が挙動不審になるってサナちゃんが言ってたよ。ろい事ってなんだろう?」

 サーナリアさんぶん殴るぞ?!

 

 

「……ん?」

「何でもない。何でもないで!」

 くそ、雑念は捨てろ矢口深海。お前はそんな弱い奴じゃないだろう?!

 

 

「ところでこの部屋ね……」

 そうやって自分を正そうとしていると、唐突にナタリアがランプの火を自分に近付けながら口を開く。

 ちょっと待って? ここでそういう話する? クリスマスだよ? そういうイベントじゃないよ?!

 

 

「昔クリスマスの夜に寝ていた子供が幽霊を見たんだって」

「辞めてぇえ?!」

 

「……その幽霊はね、赤い服を着て白い布切れを持っていたらしいの」

「いやそれサンタさんやないかーーーい!!!」

 ビビらせるなよ!!

 

 

「ふふふ、冗談だよ」

 いや、普通にありそうなお話なんですが。

 

 

「それじゃ、今日二人きりで楽しんでね。おやすみ」

「おう、おやすみ」

 そんな訳で、今夜は二人きり。寝て起きたら枕元にはアカリのクリスマスプレゼント───フルフルベビーが置かれている。

 

 

 ホラーかよ。

 

 

「……さて、と」

 とりあえず少し狭く感じる二人部屋の真ん中に二人で正座して座った。

 

 

 いやなにこれ、お見合い? せっかく二人きりなんだから何か話せよ。別にいつも二人きりで話す事くらいあるだろ?!

 

 

「な、なにしましょうか」

 何で敬語なんだ自分?!

 

『どうしましょう?』

 敬語が移ってるけど?!

 

 

「……」

「……」

「……」

「……、すっ、ふふ、ぁは」

「ぷっは、流石にアホみたいやな。いつも通り行こう、いつも通り」

 何を緊張してるんだが。別に今から何がどうこうする訳じゃないんだから。

 

 

「せや、ワイからのクリスマスプレゼントがあるんやけど。受け取ってくれるか?」

「ぇ、……ぁ、ぇ、わ、た、にも……し、い?!」

「落ち着いて?!」

『私何も用意出来てない。ごめんね』

 凄く落ち込んだ表情でそう書かれたスケッチブックを抱えるアカリ。

 そんな事気にするかっての。

 

 

「気にすんな気にすんな。ワイがあげたかっただけやし。ほいじゃちょっと、眼を瞑っててくれへんか?」

「……んぇ?」

「あ、大丈夫大丈夫。変な事はせーへんから……」

 そう言うとアカリは信じて眼を瞑ってくれる。ほいじゃ、その間にと。

 

 

「ほい、もうええで」

「……ん、ぁ……っ」

 首の辺りに少し手が当たったからか、アカリは首に何か掛けられたとすぐ分かったのだろう。

 

 自分からのプレゼントはベタ過ぎるが首飾りだ。

 眠鳥とかいうモンスターの、凄い派手な色の花を使った首飾り。我ながらセンスあると思う!

 

 ついでに自分用にも同じ物を買っておいた。お揃いって奴である。

 

 

「……ぁ、っ、あ、あ……あい、……と、う」

「おう、どういたしまして」

 うんうん、似合ってる似合ってる。恋愛マスター()ケイスケさんの力を借りた甲斐があった。

 

 

『私もお返しする!』

「用意ないんやなかったんか?」

『目を瞑って下さい!!』

 え、何する気なの?! ちょ、ちょっと待って、まだ心の準備が。

 

 

 とりあえず正座して眼を瞑る。こ、こ、こ、こい!! 準備完了だぜ?!

 

 

 しかし、少し待っても相手からの反応はなく肩を叩かれる。眼を開けると『足は崩して!!』と大きく書かれたスケッチブックが。

 

「あ、はい」

 それで眼を瞑ってしばらくすると、足にそこそこの体重と胸元に暖かい感触が。これは……背中?

 

 

 

 ……え、何?

 

 

 

 眼を開けると、崩して座っていた足の中にちょこんとはまり込むアカリの姿があった。

 

 何この可愛い生き物。いや、可愛いんだけど。

 

 

 ……え、何?

 

 

「……アカリさん?」

「……」

 真っ赤ですね。

 

「……アカリさーん?」

「……ん、んぅ!!」

 えーと、何々。

 

 

『ちゅーしようと思ったけどやっぱり無理だった!!!』

 何この可愛い生き物ぉ?!

 

 

「……よしよし。ったく、アカリは可愛いな」

「……うぅ」

 もう爆死しても良いかもしれない。

 

 

 

 それで、ある意味合体した状態で幸せな時間を過ごした訳だ。小さくて柔らかい身体を抱きしめたりした。暖かい。爆発しそう。

 

 

 

「……んぁ?」

「ん、誰や外で大声出しとるアホは」

 もう寝る時間だというのに、アカリでも聞こえる大声が外から聞こえる。

 二人で窓を開けて外を覗いてみると、そこに立っていたのはなんとサナとガイルだった。

 

 

「……何しとるんや、あの二人」

 ちょいと聞き耳を立ててみる。

 

 

 

 

「……クリスマスに欲しい物を教えてくれ」

「いや、だから無いわよそんなもん。それに、プレゼントならサンタさんに頼んだもの」

 何で直接聞き出そうとしてるんだガイル……。てか、諦めたんじゃなかったのか。

 

 

「……そんな事は知っている。……ただ、俺はサンタからではなく俺からお前に渡したい物があるんだ」

 何格好良い事言ってるの君。普段意味分からない事しか言わないのに!!

 

「……あんた、もしかして私の事……好き?」

「分からん」

 いや肯定しろよ!!!

 

 

「……ただ、サナにプレゼントを渡したい。それだけだ」

「ぷふっ、何それ。流石脳筋」

 本当ですよ。

 

 

「……サナの欲しい物は、サンタでは届けられない」

 ん? ガイルまさか……お前知ってるのか、サナが欲しかった物。

 

 

「サンタでも渡せるものと渡せないものが───」

「知ってるわよ、そんなの」

 サナ……?

 

 

「ていうか、サンタさんなんて居ないことくらい知ってる。あの親爺が用意してるのだって、知ってる」

 何でだぁぁ!! 知ってるのかよ。ならなんでサンタさん信じてるフリしてたんだよ!!

 

 

「……それでも、もしサンタが本当に居るならさ。叶えてくれそうじゃない……?」

「……居たら、な」

 サナの願い事って……なんなんだ?

 

 

「ね、ガイル」

「……ん?」

「私別にあんたの事嫌いじゃない……わよ?」

 お? お?

 

「……なら俺と───」

「だから、私を振り向かせたかったら私やシンカイより強くなりなさい。筋肉だけじゃなくて、色々な所でね」

 そう言ってからサナはガイルに背中を向けて歩いていく。

 

 なんでそこで自分の名前を出すんですか。これからガイルに目の敵にされる未来が見えるんだけど?!

 

 

 

「……うす」

「ふふ、バーカ。まず私への態度を変えろっての脳筋。……帰るわよ。寒いったらないんだから」

 それにしても、サナの願い事ってなんだったんだろうな……。

 

 

 

 

 

「サンタでも叶えられない……か」

 

 

 

 

 

「……ね、ぇ」

「ん? どうした? アカリ」

『シンカイ君と二人きり、凄く嬉しいし幸せ』

 突然何ですか?!

 

 

『だけど、今日はやっぱり皆と寝たいな』

 なるほどね。

 

 

「同感や。そういうのはまだワイら早いしな」

「……?」

 いやいや何でもない何でもない。

 

 

 こっちの話。

 

 

 

 

 そんじゃ、やっぱり皆の所で寝ようか。

 

 

 

 だって自分達は、家族なんだから。

 

 

 

   ◇ ◇ ◇

 

 誰かと離れ離れになるのが嫌だった。

 

 

 

 兄が帰って来なくて、とても寂しかった。

 誰も死なせない為に強くなった。

 

 でも結局、誰も守れなかった。マックスも、タクヤも、私から離れていった。

 

 

 誰かと離れ離れになるのが嫌だった。

 

 

 

 だから、サンタさん。あなたが本当にいるのなら、プレゼントなんて要らない。

 アカリや、シンカイや、ガイル、カナタ、ナタリア。ヒール、ラルフ、ケイスケ、糞親爺、お姉ちゃん。皆と一緒に居たい。

 

 

 だから───

 

 

「私から何も奪わないで下さい。皆と居させて下さい」

 

 

 ───お願いします。サンタさん。

 

 

 

 

 

 窓を刺す光と、男共の煩い寝息で眼が覚める。

 

 

 大丈夫だよね、誰も居なくなってないよね?

 

 

 シンカイとアカリは別の部屋だから、それ以外の皆はちゃんとここに居───

 

 

「な、なんでここにあんたらが居る訳よ」

 立ち上がって直ぐに視界に入ったのは、私の真横で寝ているアカリとシンカイだった。

 

 他の皆もちゃんといる。

 

 

 

 サンタさん、別の部屋の二人まで連れてきて皆で居させてくれたんだ。

 なんかブーメランとかあるし、タクヤの事が懐かしい。マックスの事だって、忘れない。

 

 

 ……ったく───

 

 

「……サンタさん、居るんじゃん」

「……ん、おぉ……? 起きたんか、サナ。あ、ワイはもう少し寝る」

 

 ───バーカ。

 

 

 

「こら糞親爺、起きろ。朝よ、朝」

「んぉ? なんだ? なんだ? どうした、サナ」

「ねぇ、お父さん。……ありがと」

「ん?! 今なんて言った、サナ」

「何も言ってないわよバーカ!! とっとと起きろ糞親爺。筋肉バカもカナタバカも全員起きろ! シンカイ起きろ! 起きろバカ共ぉ!! ふふ、バーカバーカ!!」

 

 

 

 

 ありがとう、サンタさん。




彼女のこの先に幸せが待っていますように。

メリークリスマス。


大勢でワイワイやる作品は書くのは難しいけどやっぱり楽しいですね。
橘狩猟団の皆を満遍なく活躍させる事は出来たかしら? 出来てたら良いなと。


それでは、またお会いする事があればお会いしたいです。重ねてになりますが、そして遅れておりますが。


メリークリスマス。

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