「あ、ラディアはまだ俺の従者だから俺達が隠居できる場所やその他もろもろの事を片付けてからレミリアの所に行けよ」
「・・・まじですか」
急遽決まった隠居。
隠居できる場所を探し新たな館の建築する仕事に加え、家具などの生活に欠かせない物を購入する仕事が増え泣きそうなラディアであった。
「お父様。ラディはこの館の執事長です。他のメイドや執事にその仕事は頼んでください」
「そうだよ、ラディアは連れていかないでよ!」
それに異を唱えるレミリア嬢とフラン嬢。だが・・・
「ん?それは駄目だ」
「そうね、可愛い娘たちのお願いでもダメだわ」
反対する伯爵と奥様。
「でも、・・・!!」
「いいか?お前たちは少しラディアに甘え過ぎだ。一人前の吸血鬼になるためにその誰かを頼る甘えた考えは捨てなくてはいかん。なに、大丈夫だ。お前たちが立派な吸血鬼に成ったらラディアをそちらに返す。帰ってきたその時はこき使ってやるといい」
いいな?と娘たちに言い聞かせるテロル伯爵。
「・・・わかりました」
「・・・は~い」
返事のその声は不満があると主張しているがあえてそれを無視するテロル。
そのまま、明日に備える為テロルと奥様は部屋に向った。
「お嬢様、私が帰って来た時、テロル伯爵に見劣りしない立派な主になって私を驚かせてください。それまで、楽しみ待っています」
そう言って一礼し、ラディアもそのまま自室に帰っていった。
「・・・おねえさま」
不安そうに服を掴むフランと沈黙を続けるパチュリー。
「・・・安心しなさい、フラン」
レミリアはフランを安心させるように頭を優しくなでる。
そして、胸を張って宣言する。
「私はお父様以上に素晴らしい当主になるわ。だから、フラン、パチュリー、安心して付いてきなさい」
二人に微笑みかけた。
その顔は幼くも上に立つ者の風格を持ち、その笑みは他者を安心させる優しさを備えていた。
「わかったわ。私は貴方の友として、一緒にいる」
「フランはお姉さまの妹として駄目になりそうなときは支えるよ!」
こうして、幼い吸血鬼と魔女は決して壊れない絆で結ばれたのだった。
そして、伯爵と奥様、そしてラディアが紅魔館をレミリア達に任せ長い月日が経った。
一人の少年が日本の山を歩いていた。
その恰好はひどく山には不釣り合いであった。
執事服にリュックサック、更には、靴は革靴というその道のプロが見れば雷どころじゃすまない恰好。
にもかかわらず、サクサクと険しい山道を進む少年。
「あ~あ。流石に、約三百年は長すぎでしょう」
伯爵様・・・。そうぶつぶつ言いながら登るのは少し成長したラディアであった。
そう、紅魔館を離れて約三百年。お蔭で、ラディアは紅魔館を探す為日本の山を巡り歩く羽目になったのだった。
「境界があいまいな場所って大雑把なんですよ本当に、さ」
そして、今お嬢様たちがいる『幻想郷』に行くためこうしているのだが分からずに困っている。この山には確かに何かあるはずなのにそれを見つけられず時間だけが無意味に過ぎる。
いつまでもつけずイライラしながら奥の手を使うか迷い・・・
「あーもー!!やってられるかー!」
結局使うことになった。
「『分けろ』」
そうつぶやいた瞬間、空間が歪みそこからさらに別の風景が見えてきた。
ラディアの能力は『分ける』こと。
今、分けたのは「結界」を分け自身が入れるようにしたのだ。
結界があると見破ったのはただの感であるが・・・。
「よし、それじゃ向かいますか」
ようやく目当ての物見つけ満足げにラディアは『分けた』空間へと入っていった。
・・・この後、大変なことになるとは知らずに・・・・
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