古参吸血鬼の奮闘記   作:雨の日の河童

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ある日の出来事 スカーレット家

「パーティーの準備ですか?」

 

 

ある日の事、ラディアはテロル伯爵に呼ばれ執務室・・・と呼んでいるだけの作業部屋に向った。

 

「ああ。明日の夜、我が妻の家族が来ることになっていてな」

「私はそのような話は聞いていませんが・・・。伯爵様、私どもの誰かに伝えましたか?」

 

数は少ないが大変優秀なメイドと執事がいるのに連絡ミスが起きるとは・・・。

掲示板でも作るか?

 

そんなことを考え始めるラディアに罰が悪そうに小声で伯爵が呟く。

 

「・・・いや誰にも伝えてなかったな」

「伯爵、地面に座ろうか」

「ええ!?」

 

誰のミスでもなくただ伯爵が忘れていただけだった。

その後、テロル伯爵はラディアにみっちりと二時間ぐらい説教を聞かされることになった。

 

 

(それにしても困ったな)

 

ラディアは今紅魔館にある食材を確認するため足早に食糧庫に向かう。

 

この館は毎日ラディアが整備しているので突然の来客にも対処できる。

だが、食料になると話は変わる。

そう、吸血鬼が食事をする時に必要な人の血がないのである。これを摂取しなければ段々と力は弱まり衰弱してしまう。

また、力の強い吸血鬼だと血を吸う本能が剥き出しになり、手が付けられなくなるのだ。

 

なぜ、調味料扱いなのかと言うとこれは気分の問題である。

姿は人に近いため彼らは美しく、優雅に食べることを好むのだ。

 

(ま、俺には当てはまらないが)

 

考えが道草を食っていたので本題に戻した。

これから来るお客様は奥様の御家族。幾ら、見た目が良い料理を出しても血が入ってなければあまり旨いとは感じないはず。

かといって、血を入れるだけで雑な物を出せばこの館の価値は下げることになる。

 

「はあ・・・。明日の朝に買いに行きますか」

 

特殊な能力を持っているラディアは他の吸血鬼と比べて朝であろうと常に生き生きしている。

 

・・・・余談であるが、その特殊な能力のせいでテロルと奥様がラディアに仕事を増やしているのを彼はまだ知らないのであった。

 

(さて、そうと決まれば速く寝なければ)

 

そう思い使用人たちが使う休憩所の出席版に『自室にて 休憩中』と書き込み、早速自身の寝室に向おうとして、

 

「ラディ、ちょっといいかしら?」

 

レミリアお嬢に止められた。

 

「どうかしましたかお嬢様?」

 

レミリア嬢はこちらを見ながら少し恥ずかしそうにしている。

 

「えっと、その、そう!フランが一緒に本を読んで欲しいっていってるの。だから今から私たちの部屋に来なさい。いいわね?」

 

「?かしこまりました。直ぐに行きますので先に行ってもらえますか?」

 

まあ、本を読むぐらいなら直ぐに終わるだろう。そう、ラディアは思って簡単に返事をしてしまった。

 

「そ、そう!なら、フランとパチェと待っているから」

 

最後だけ大人ぶって優雅に去ろうとしているが、お嬢よ・・・。羽が、羽が凄く動いていますよ!

 

やはりまだ、子どもだなぁと思いながらいったん、執事服から私服に着替えて向かった。

 

そして、お嬢様の寝室前のドアを三回ノックする。こん、こん、こんといい音がなった。

 

「お嬢様入ります」

 

扉を開くと其処には本の山があった。

 

(あ、これはまずい)

 

一瞬で自身の失敗を悟る齢九百歳。因みに、お嬢様たちはまだ、三百歳程度だ。

 

「あ、ラディア!来てくれたんだ!ねぇ、早くこっちに来て本を読んでよ!」

 

フラン嬢はこちらを無邪気な笑顔で迎え、レミリア嬢も視線で急かしてくる。

パチュリーちゃんはこれまた難しそうなグリモアを持ってこちらを見ている。

 

「あの、この本の山をですか?」

 

最後の希望をかけて尋ねる。

 

「「「うん」」」

 

仲良く三人に肯定された。

 

(あ、詰んだわ、これ)

 

そして、全員が眠るまで本を読み続けるラディアであった。

・・・次の日の夜は、隈を作ったラディアが獅子奮迅の活躍によって奥様の家族を満足させることが出来た。

が、その後ぶっ倒れて同僚の執事とメイドから悲鳴が上がったのは仕方がないのであろう。

 

 

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