「・・・」
ラディア・シャンの朝は早い。
自身の寝室から起き上がり寝間着を脱いで、私服に着替える。寝癖でぼさぼさの髪を梳かしに使用人が使う浴場に向かう。
そこで、顔を洗い、歯を磨き、しつこい寝癖を梳く。
「行って参ります」
身だしなみを整え終わると直ぐに街へと向かう。
その理由は、市場で新鮮な食材を探し、また顔馴染みの店で特注のワインや調味料を買いに行くためだ。
「店主。それとそれ・・・、あとこれも頼む」
「おう、ラディアの坊主!今日は、良い牛肉が売ってるんだが一緒にどうだ?」
「なら、それも頼む」
毎度あり!と威勢のいい声で店主が質のいい肉と新鮮な野菜をこちらに渡す。
「お題はここに置いて行くからな」
「また来てくれよ!!」
ラディアは今夜の食材を買い紅魔館に戻る。
先程の男性はこの市場でよく行くため顔と名を覚えられた。
ラディアは意外とこの街で顔が広いのだ。理由は、毎日欠かさず市場で買い物をしに来るのもあるが時々、荷物の持ち運びなど手伝いをしているためだろう。
帰り際に、何人かの人に挨拶されるのでそれを返しながら紅魔館に戻るのが日課となった。
「ただいま戻りました」
館に戻り、いつもの様に仕事に取り掛かり始める。
「・・・ラディア。今、いい?」
「ん?ああ、パチュリー様。ええ、なんでしょうか?」
館の掃除と水汲みを終わらせ少しホールで休憩しているとパチュリーちゃんがいつの間にか後ろにいた。
「少しお腹が空いたの。軽い食事作れる?
「少々お待ちを。図書館に持っていきますので」
いつものなら寝ている時間なのだが多分、グリモア読んでいたのだろう。うっすらとだが、目に隈が出来ている。
お願いといってそのまま、図書館に向かうパチュリーちゃん。
さて、何を作るか・・・。
ラディアは簡単に作れ、かつ栄養が摂れるレシピを考えながら厨房に向った。
こん、こん、こん。
「失礼します。パチュリー様、軽食をお持ちしました」
「ありがとう」
ラディアはハムとレタスのサンドイッチと牛乳を持ってきた。
「それでは、また何かありましたらお呼び下さい」
「待って」
下がろうとしたラディアをパチュリーが呼び止めた。
「このグリモアなのだけど・・・」
「一緒にまた解読しますか?」
どうやら、グリモアで理解できない、また難解な物があった様だ。
パチュリーちゃんに何度かグリモアの読み方を教えたら時々こうして、尋ねに来るようになった。最初の頃は、教えていたのだが今ではあまり役に立たなくなっているとラディアは感じているのだが魔導は時に使用者を惑わし破滅に追いやることもあるので精神安定剤として今でも誘われた時には一緒にいる。
「あと、今は二人だけだから堅苦しい言葉遣いは禁止」
「あはは・・・。そういわれても・・・」
後で奥様に殺されかねないしなぁ・・・。
奥様は、レミリア嬢とフラン嬢だけでなくパチュリーちゃんも実の娘ように接している。
そのため、素の言葉遣いが良くないラディアは徹底的に言葉遣いを矯正されたのだ。
まあ、あまり効果はなかったようだが。
「私が良いって言っているのだから気にしないで」
「・・・まぁ、それなら。これでいいかい、パチュリーちゃん?」
「・・・ちゃん付けはやめて欲しいのだけど」
「それは駄目だな」
たわいない話をしながら二人でグリモアの読解をし続けた。
今日も紅魔館は平和であった。
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