紅魔館から大分離れた山の中。
夜のひんやりとした空気がラディアの気分を良くする。
ラディアの服装はいつもの執事服からラフな私服に変わっており一目見ただけでリラックスしていると分かる
つい先ほど、自分が他の執事やメイド達より倍の仕事をこなしていることが発覚し、テロル伯爵に今までの働いた分の休暇を話し合いのすえ、勝ち取ってきたのだ。
「ラディアー!!」
「ん?フラン様、レミリア様どうしてここに・・・」
星明りだけの夜空からフラン嬢とレミリア嬢が現れた。
「お父様が、今夜ラディが良いものを見に行くって聞いてね」
「うん!それで、二人で来たんだ!」
「・・・なるほど」
大体の経緯はわかった。
ラディアは、ここには居ないテロル伯爵が良い笑顔で笑っているように感じた。
確かに、お気に入りの場所には行くが二人が満足してくれるか・・・。
少しばかり困った顔のラディアにレミリアとフランは気付く。
「「・・・だめ?」かしら?」
二人はラディアの顔を下からのぞき込むような体勢でとても残念そうな顔で聞く。
「い、いえ。大丈夫です!・・・ですが、お二人が気に入るかどうか・・・」
ラディアはこの顔でお願いされて断れるのは奥様ぐらいだろうと勝手に決めつけながら二人に尋ねるも結局連れていくことになった。
「そういえば、パチュリー様はどうしたのですか?」
「パチェは、魔法の練習中よ。誘ったのだけど今日はどうしても外せないらしくてね」
「だから、二人で見たことをパチュリーにお話ししてあげるの」
なるほど、と頷きながらラディアは夜道の山を登る。
「それでは、もし気に入られたならパチュリー様も入れて四人で行きましょう」
そう、提案するとフラン嬢は嬉しそうにはしゃぎ、レミリア嬢は澄ました顔で当然!とした表情でフラン嬢をなだめている。
そこからは、だいたい十分ぐらい夜の山を登り目的の場所についた。
そこを一言で表すなら何もない平坦な場所。
他と違うとすればある場所を境に地面が広く、浅く窪んでいることぐらいだろう
「ねぇ、此処なの?何もないよ、ラディア?」
「なるほど、凄い場所ね」
困惑するフラン嬢と一発で見破るレミリア様。
「お姉さま、ここの何処が凄いの?こんなの何処にでもありそうだよ?」
「まあ、見ていなさい。ラディ、早くしなさい」
「かしこまりました」
ラディアは懐から羊皮紙を取りだしそれを破る。
今、ラディアが破ったのはのは誰にでも使える簡易魔導書。
破れば子供でも使える分、一回しか使えない代物だが今から行う事にはちょうどいい。
破れた羊皮紙から淡い水色の霧が発生する。
水色の霧は地面に落ちず、そのままある特定の場所でとどまる。
その数は六つ。
ラディアは更に、自身の懐から一冊の本を取りだし、正真正銘のグリモアを起動する。
すると、先程の霧は水色から紅色に変わり地面に吸い込まれた。
その瞬間、透明な水が勢いよく窪んだ場所に流れる。
「きゃ!?み、みず?・・・ラディアってホントに魔法使えたんだね」
「あれ、信じてなかったんですか?」
あははは、と誤魔化すフラン嬢。
そんなやり取りをしている内に窪んだ場所を水が満たし続けた。
そして、ラディア・シャンのお気に入りの場所が完成した。
「・・・きれい」
その風景を例えるなら鏡。
夜空を水が映しだし、水面に空が映っている。
フランとレミリアは靴を脱ぎ、服が濡れないように進み、上を見て、下を見て、水の中の自分を見ながら楽しむ。
「どうです?気に入って貰えましたか?」
二人にラディアは問いかけ
「ええ、気に入ったわ。また、今度四人で行きたいぐらい」
「うん!フランも気に入ったよ。今夜、ラディアに着いてきてよかった!!」
「そうですか。それでは、次は四人だけでなく紅魔館の住人全員で行きましょう」
ラディアはその時を楽しみにしながら二人と水でできた鏡の世界を堪能した。
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