古参吸血鬼の奮闘記   作:雨の日の河童

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夜の主従

 

今夜は特別な日。

長きに渡る人間と吸血鬼の殺し合いを終わらせる会談が行われるのだ。

 

会談が行われる場所は山の中にある寂れた教会。当の昔に神父もシスターからも見捨てられたこの場所はボロボロだが広く話し合うには丁度いい。

 

その場所に訪れる二人の怪物。生憎と雲が月に掛かりあたりが暗くなる。

 

一人は堂々とした歩みで目的の場所を見つめる。

高い身長に輝く金髪、身体はスラリとした青年。だが、その身体からは王の覇気を滲みださせている。

もう一人は、金髪の青年の後ろに執事服で控えている。

青年に比べ小さく少年と呼べるぐらいだ。

ここら辺では珍しい黒髪が風に吹かれ小さく揺れる。

少年は青年と対極で気配が薄くその服装と髪の色も相まって影の様だ。

そして、雲は月から離れ彼らを照らし出した。

その背にコウモリの羽を携え、紅い目が月に輝いた。

 

 

月がテロル伯爵と従者であるラディアを照らす。

 

「伯爵様、見えました。あれが今夜の会談場所です」

「うむ。ラディア、今宵は記念すべき日になる。しかとその目に焼き付けよ」

「御意に」

 

いつもの気さくな言葉ではない。

この場で彼らは、友としてではなく主と従者に徹していた。

 

「では行こうか、新たな時代を作りに」

 

古びた教会に二人は消えていった。

 

埃かぶった乱雑に配置された長椅子。割れたステンドガラス。マリア像がいない祭壇。

 

「ようこそ、吸血鬼よ。よく来てくれた」

 

そして、そこに座る司祭と武装した騎士。

 

「ああ、来てやったぞ人間。早速始めようか」

 

会談が始まった。

 

「我らの要求は魔女や魔法使い、そして我ら吸血鬼の安全」

「こちらの要求はお前たちの殲滅だ。そして、お前たちの秘儀の習得」

「要求は飲めない。秘儀はくれてやる」

「ならば、魔女と魔法使いの処刑は取りやめる」

「我らを相手にまだやるのか?少しは頭を使え」

「そちらこそまだやるのか?あれだけ狩ってやったのに」

「その倍狩られた癖に良くほざくな」

「まだまだいるのでご心配なく」

「・・・」

「・・・」

 

それは一瞬で合った。

銀を含んだ矢がテロルに放たれ、それをラディアが掴んで止める。」

 

「ふぅ・・・。交渉は・・・」

「決裂だ。皆の者ッ!!ころ・・・!?」

 

司祭はテロルに頭を掴まれそのまま投げ飛ばされた。

古びた教会の壁を突き破り、外にある木にぶつかりそのまま消え去る。

 

「ッチ。やっぱりダミーか。ッたくこれだから人間は・・・」

「テロル!!早く逃げるぞ!!」

 

ラディアはテロルに逃げるよう助言する。

騎士は既に、ラディアの手で始末している。

 

 

「そうしたいのは山々なんだが・・・な」

「ッ!?」

 

いつの間にか武装した神父や騎士に囲まれていた。

 

「ラディ、頼みがあるんだがな?」

「断っておく。お前の頼み事はろくなのがないからなッ!!」

「がッ!?」

 

先程の矢を武装した集団に投げ、一気に二人を殺しそのまま敵に突っ込む。

 

「やれやれ・・・。それじゃあまあ気張るとするか!」

 

ラディアが突っ込み戦闘を始めたのを見てテロルは一気に力を解放した。

 

「さァ、者ども蹂躙せい!!」

「「「Gyaaaa!!!」」」

 

テロルの掛け声とともにグール共が湧き始めた。その数百。

 

「ひるむなッ!!我らには神の加護がついてある突貫せよ!!」

「「「うおおォォオオ!!!」」」

 

人間たちは怯えるどころか雄叫びを上げ戦い始めた。

こうして、会談は失敗に終わりここに

夜の王対教会の最後の戦争が始まった。

 




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