古参吸血鬼の奮闘記   作:雨の日の河童

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血の舞踏会

「さあ、蹂躙の時間だ!」

「GYAAAaaaaa!!」

 

ラディアの掛け声に答えるようにグール達は近くの騎士や武装した神父たちに襲い掛かる。

ラディアは、人の形から霧に姿を変え高所の敵を排除しに行った。

 

「馬鹿め!今の内に親玉を仕留めろッ」

 

先程、飛ばされた司祭とは別の司祭が騎士達に指示を飛ばす。

グールの足止めを神父達が引き受け精鋭と思われる騎士が数人テロルに向って突撃する。

月に反射しながらきらめく剣はただの剣ではない。

銀を混ぜた剣。

吸血鬼だけではなくあらゆる怪異に対して脅威となる武器の一つ。

それに、教会が秘術、奇跡を付与させ、怪異を殺す為だけに作った退魔の剣がテロルに迫る。

 

「うりゃああああ!!」

 

渾身の一撃がテロルを襲う。

 

「ふむ、なかなかいい一撃。よし、お前は今日から俺の『物』だ」

「は?グァァァ!???」

 

が、難なく躱された。そして、そのまま頭を掴まれたかと思うと一瞬にしてグールになり果てる。

 

「クッ!?」

 

続いて攻撃を仕掛けようとした騎士達は近づくのは危険と判断してグールになり果てた元・仲間を処断する。そのまま、テロルの周りに円を描くように取り囲み隙を伺う。

 

「うん?どうした、早くこっちにこい。じゃないと・・・」

 

にも拘らず平然とした様子の吸血鬼が後ろを指さす。

殺気。

凍るような殺気に身体が反応して反射的に防御態勢を取るが・・・、

 

「脆い」

 

気づいた時には既に急所に攻撃され騎士達はそのまま絶命していた。

数人の騎士を瞬殺したのは、返り血で赤く染まったラディア。

その姿を見て感じずにはいられないだろう。彼もまた『吸血鬼』なのだと。

圧倒的な力で数をねじ伏せ、絶望を振りまく怪物に人間達は恐怖を覚える。

それでも、

 

「『【神のご加護を!!悪魔に死を!】』」

「チッ」

 

挑みかかってくる。

単体では脅威にすらならない彼等だが集団になるとその力は『結束』して何倍にも膨れ上がる。厄介なことだ。

 

「さて、どしたもんか・・・、ラディ・・・?うおッ!??」

 

いきなりラディアに背を蹴られたテロル。身構えていなかったためかなりの距離を弾丸の如く飛んでそのまま教会の外まで出てしまう。

 

「伯爵!このままじゃじり貧だ!先に、館に帰って全員招集しろ!!それまで、俺が相手しておく。それに・・・倒してしまっても構わんのだろう?」

「馬鹿者!!それフラグだ!?」

「行け、伯爵!!後で必ず戻る!」

 

言いたいことを言ったラディアはそのまま戦いを再開する。

 

「全く・・・」

 

テロルはその場でため息を吐いて長年の親友・・・というか年の離れた従弟の様な彼の性格を思い出した。

 

「頑固で心配性だったな。あいつは…」

 

一度決めたら梃でも動かない親友に呆れながらも全力で館に戻る。

自分を館に戻したという事は向こうでも何か起こっていると考えたのだろう。それに、テロルは娘の能力が昔のように暴走しないか心配でもあった。

テロルはラディアの直感を信じてただ戻る事だけを考え全速力で館に向かった。

 

グールと人間、それにラディアの戦いで教会は完全に壊れ、外が見える。

室内にあった蝋燭に変わり、月明かりが周りを照らす。

 

辺りは、赤い血の花が咲き誇る。

ラディアは己の使命を全うするため気合を入れる。

 

「さあ、死にたい奴から来い。夜の王の力、好きなだけ味わいな!!」

 

その言葉を合図に再び乱戦が始まる。

未だに、夜は明けない。

 

 




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